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2006年01月12日
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カテゴリ: 食事
 先日、急性胃腸炎を引き起こす寄生虫、「アニサキス」に汚染された恐れのある養殖カンパチ約9000匹が出荷されたという、何ともショッキングなニュースが報道されていました。問題のカンパチは高知県の養殖業者によって中国から輸入されたもので、アニサキスに汚染された可能性が高い事から、出荷前には冷凍するなどしてアニサキスを死滅させてから出荷するよう、高知県によって指導されていたものが、一部の業者によって何の処理も行われないまま和歌山県の加工業者へ出荷されたというのです。

 幸いにも今のところ健康被害は報告されていないという事ですが、県側では現在、流通経路や出荷先を調査中との事で、アニサキスによる健康被害は比較的早い時期に発生するため、今後の被害の発生が懸念されます。アニサキスによる急性胃腸炎は、正式には「消化管アニサキス症」と呼ばれ、新鮮な魚介類を生の状態で食べる事の多い日本では、比較的多く見られる症状でもあます。

 アニサキスは本来、イルカやクジラの腸に寄生する回虫で、イルカやクジラの糞にたくさん含まれた卵を魚が食べる事で魚の体内に入り、魚の腸で孵化、幼虫になります。その魚をイルカやクジラが食べる事でイルカやクジラに寄生し、腸内で成虫になって卵を産むという一生を送っています。そのサイクル内で生息している分には、アニサキスもそれほど害悪視される事もなかったのですが、その食物連鎖に人間が入り込んだ事で生じた弊害が消化管アニサキス症という事になります。

 酸には強いので胃の中で活動する事ができ、胃の中にいる時は内視鏡で取り出す事も可能ですが、小腸に入り込まれると摘出が不可能となり、死滅するのを待つしか手立てがなくなります。元来、イルカやクジラの腸内で生活するため、人の消化管内での生息にはむいておらず、苦し紛れに消化管の壁を食い破り、胃や腸の壁に潜り込んでしまう事があります。その際、小腸などのように壁が薄い部位の場合、消化管に穴が開けられてしまう事もあり、アニサキスによる最も危険な状態と考える事ができます。初期の症状として見られる腹痛は、アニサキス自体によるものというより、アニサキスに対する過剰な免疫反応によるもので、一種のアレルギー反応として捉える事ができます。そのため、個人の体質によってはアニサキスが体内に入り込んでも腹痛を起こさない人や、これまで平気だった人が急にアニサキスアレルギーになる事も考えられます。

 魚の腸内にいたアニサキスは、宿主の魚が死ぬと腸から身へと移動するので、生きた魚を調理したり、逆に非常に古くなった魚では感染しない事が判っています。また、熱や低温には弱いので、充分加熱する事や冷凍すれば死滅してしまいます。以前、寿司屋の裏方で、魚屋さんと寿司屋さんが口論しているのを聞いた事があります。寿司屋さんは魚のお腹から虫が大量に出たという事で、古い魚が納入されたと言って聞かず、魚屋さんは市場から直送したと言い張っていました。「その虫はアニサキス、お腹にいるって事は新鮮な証でもあるのにな...」そう思いながら、同じまな板で調理された寿司を食べている自分に一抹の不安を感じてしまいました...。





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最終更新日  2006年01月12日 07時39分42秒
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