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2006年01月19日
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テーマ: ゴハンな話(435)
カテゴリ: 食事
 以前、「爆弾おにぎり」というメニューを見た事があり、好奇心にかられて注文してみると、丸々と大きくにぎられたおにぎりを黒々と海苔で巻いて爆弾に見立て、導火線を思わせる花火が斜めに突き立てられた料理が出てきました。パチパチと小さな火花を散らす花火が一段落すると、辺りに漂う硝煙の臭いも手伝って、皿の上の黒く巨大なおにぎりがいかにもマンガに出てくる爆弾に見えてしまいます。周囲の視線を気にしながら箸で切り目を入れてみると、中身にもこだわってくれたのか「かやくご飯」が出てきて、思わず笑ってしまった事があります。

 しかし、この「かやくご飯」の「かやく」、細かい事を言うと「火薬」ではありません。かやくご飯に限らずカップ麺を食べる際にも、「かやく」と表記された小袋が入っている事があるので、目にする事も多いのではないでしょうか。袋の中には薬味や具材、場合によっては調味料も一緒に入って、さまざまなものが混じりあって入っている姿は、確かに硝石、硫黄、木炭を混合して得られる火薬のようではあります。

 小袋のかやくやご飯のかやくは、正確には「加薬」と書き、漢方薬で使われる言葉で、「加役」と書かれる事もあります。主剤となる生薬の効き目をより大きく効率的にするために用いられる補助剤の事で、そこから転じて料理のメインとなる食材の味を引き出す脇役の具材や、料理そのものの味わいを引き立たせる薬味の事を指すようになり、歴史的には室町時代の和歌山、兵庫、高知あたりから使いはじめられたと言われます。

 その後、料理の美味しさ引き立てる薬味は、加薬という言い方はあまり用いられなくなり、料理に加えられる多彩な具材が加薬と呼ばれるようになりました。その意味からご飯にさまざまな具材を入れ、炊き込む五目ご飯はかやくご飯と呼ばれ、今日も親しまれています。日本人がはじめて火薬に接したのは元寇の時だと言われ、広く知られるのは鉄砲伝来以降だと考えられます。その点から見ても火薬とは関係がない事は明白で、爆弾おにぎりは不発弾だったという事になります。





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最終更新日  2006年01月19日 07時38分28秒
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