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2014年03月25日
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カテゴリ: 健康
 生命に関するセンセーショナルな発見、その後の信憑性への疑問とそれに伴う大きな転落。19世紀にアンドリュー・クロスという研究者に起きた事件は、今回のSTAP細胞の発見によく似た展開を見る事ができます。

 アンドリュー・クロスは1784年、イングランドはサマセットの裕福な家庭に生まれ、子供の頃から好奇心が旺盛だったと伝えられています。好奇心の赴くままに科学実験を行う事が好きで、少年時代にも多くの実験を行い、両親の遺産を相続した後は思う存分実験に開け暮れる毎日を過ごしていました。

 そんな彼が52歳を迎えた1826年、人工ガラスの結晶を作る実験をしていた際、その事件は起こりました。実験の4日目、電気を通している対象物に白くとても小さな突起物が生じている事を発見し、観察を続けていると徐々に突起物は成長を続けていき、26日目には完全な虫の形を形成して動き始めました。

 注意深く虫を観察するとそれはコナダニの一種である事が判り、慎重に準備したにも関わらず実験器具内にダニが紛れ込んでしまった可能性を感じた彼は、さらに慎重に準備を進め、再度同じ実験を行うのですが、そこでも同じように突起物が生じ、やがてダニへと成長していきました。

 電気実験の末に生命を創造したという事に半信半疑ながら事実をレポートにまとめ、電気学会に報告すると新聞記者の知るところとなり、人類史上初の生命の創造としてセンセーショナルな話題となり、彼の事はイギリスだけでなくヨーロッパ中に知られる事となります。

 噂を聞き付けて追加実験を行って検証する者も現れ、一部には実験を再現する事に成功する者も見られ、その中には後の科学に大きな影響を与えたファラデーの姿もあり、クロスは生命を創造し神の領域に踏み込んだ男という評価さえ与えられます。

 しかし、そうした盛り上がりは長くは続かず、再現性の低い実験は信憑性そのものが疑われるようになり、再現できたとする実験もその厳密さが疑問視されるようになってきます。彼が正式な科学者ではなくアマチュアの実験家でしかない事も実験結果への評価を下げる事となったのですが、それ以上に悲劇的だったのは、生命の創造という神の範疇を冒してしまった事で神を冒涜したと捉えられ、多くの宗教団体の攻撃対象とされてしまった事です。

 折悪く小麦に病害が蔓延し、それが神を冒涜した事への報いと受け取られてしまったために、誰もが彼を避けるようになり、彼の家へと向けた露骨な悪魔払いが行われたり、暴力的な場面に遭遇したり、彼を目撃すると人々が慌てて窓やドアを閉めたりという事が見られ、商人たちも彼と取り引きする事を拒んだといいます。

 結局、不遇の中で彼はこの世を去る事となり、最後まで前世で冒した罪の報いと嘆きながら息を引き取ったといいます。今日では慎重を期したつもりでも目に見えないダニの卵が実験器具の中に混入したという真相とされ、電気を使って生命を創造したという話題は小説のフランケンシュタイン博士のモデルとなったともいわれます。






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最終更新日  2014年03月25日 07時46分52秒
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