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2019年01月17日
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カテゴリ: 食事
 春が来ると隣県の福岡、太宰府天満宮では「鬼すべ」という神事が行われ、松の葉を燃やして煙を出し、その煙で鬼を燻して追い払うという事でその年の災難消除や開運招福が祈願されます。そんな大切な神事が松葉不足のために開催を危ぶまれるという事がありました。

 幸いにも近隣のゴルフ場などから松葉が提供され、無事に神事は執り行われたのですが、聞かされていた松枯れ病の猛威はそんなところにまで影響を与えていたのかと驚かされると同時に、松枯れ病の深刻さを実感させられた事が思い出されます。

 松枯れ病は「マツノザイセンチュウ」と呼ばれる線虫によって引き起こされるとされ、その媒介には「マツノマダラカミキリ」というカミキリムシが関与しているといわれます。マツノザイセンチュウはそのままでは松に感染する事はできないのですが、マツノマダラカミキリと協力し合う事で感染を広げ、マツノマダラカミキリもその恩恵に与るという関係が構築されています。

 マツノマダラカミキリは松の若い枝の樹皮を食べ、松の表面にできた傷からマツノマダラカミキリの体内に潜んでいたマツノザイセンチュウは松の内部へと侵入します。松の内部でマツノザイセンチュウは急激に数を増やし、やがて松の各部へ水を送り届ける仮道管を侵されると松は枯死してしまいます。

 マツノマダラカミキリはマツノザイセンチュウに体内に入られても影響がなく、良い運び手であり、松の内部への道を切り開く者ともなっています。松が生きている状態ではマツノマダラカミキリが卵を産み付けても松脂によって卵が巻かれて孵化する事ができないのですが、枯れてしまうと卵を産み付ける事ができるようになり、結果的にマツノマダラカミキリを増やす事になります。

 枯れた松に産み付けられた卵が孵化すると、やがて幼虫は松の内部へと穴を開けて入り込んみ、蛹となって成虫へと成長します。蛹になるために開けられた穴にはマツノザイセンチュウが集まり、成虫となったマツノマダラカミキリの体内に侵入する事から、ほとんどの成虫がマツノザイセンチュウの媒介者となってしまうといわれます。

 そのため枯れた松を放置すると松枯れ病の拡大に繋がってしまうとされ、有効な殺虫剤を使う、もしくはチップ状に粉砕して内部に隠れたマツノマダラカミキリを駆除しなくては感染拡大を阻止できないと考えられていました。

 最近、新たな松枯れ病予防策が発見され、殺虫剤などの薬剤を使わない環境にも優しい手法という事で、普及が期待されています。新たな手法は松の木を一定の周波数で揺らすという単純なものですが、マツノマダラカミキリは振動を感じると天敵のキツツキが来たと勘違いして、松の木から離れてしまうといいます。

 マツノザイセンチュウは100年以上前に日本へ入り込んできたとされ、1901年に長崎で起こった大規模な松の枯死が最初の記録とされています。線虫とカミキリムシの絶妙な関係が各地で猛威を振るうという事になっていたのですが、100年を超える問題が木を揺する事で解決すればと大いに期待してしまいます。





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最終更新日  2019年01月17日 07時41分26秒
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