健康コラム

健康コラム

PR

プロフィール

ニンタマ博士

ニンタマ博士

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2022年11月16日
XML
カテゴリ: ペット
 FIPの治療は症状を緩和する対症療法を行いながら、免疫力を高めるインターフェロンによる療法が採られてきましたが、ほとんどの場合において悲劇的な最期を迎えていました。2019年にFIP研究の世界的な権威であるアメリカのペダーソン博士によって「GS-441524」という薬剤が治療に極めて有効という報告が行われると、致死率100%とまでいわれた病気に治療できる可能性が生じました。
 GS-441524はギリアド・サイエンス社によって開発されたものですが、何故かギリアド社は世界中の猫の飼い主が待ち侘びているといっても過言ではない薬を量産する事はなく、待望する市場の声を受けるかのように中国からコピー薬とされるムティアンが登場しました。
 ムティアンはGS-441524の特許を侵害した海賊版とされますが、GS-441524が注射薬であった事に対し、ムティアンは経口投与する事ができるようになっていました。84日間、毎日皮下注射する事を考えると、経口投与できる事は飼い主の負担を軽減してくれたといえます。ムティアンの経口薬は当初、ハードカプセルが採用されていましたが、後に錠剤となり、より飲ませやすくなっています。
 その後、コロナ禍を受けてギリアド社はGS-441524に化学的修飾を加えた人用の抗コロナ薬、レムデシビルを流通させます。レムデシビルは体内で代謝されるとGS-441424になるとされ、海外ではレムデシビルを使ったFIPの治療も行われています。
 ムティアンの需要の高さを受け、ムティアン社を退社したスタッフの一人が「CHUANFUNING(CFN)」を開発し、同じような経緯から「メロンX」「スパーク&オーラ」なども誕生しています。
 メロンXはCFN同様、ムティアンの上位互換薬といわれているのですが、日本ではNPO法人が独占契約を結んだそうで、一般的には見掛ける事がなく、情報も少ない事から坊ちゃんの治療薬としては選択肢に入れる事はできませんでした。
 スパーク&オーラはムティアンよりも安価に売られているそうですが、治療後の再発率が高いとされ、特にドライタイプでは3割近くも再発が見られている事から、金額の問題ではなく使用は避けるべきと思えました。
 日本ではレムデシビルと同じくコロナ薬としてモルヌピラビルが知られていますが、モルヌピラビルにもFIPを治療する効果があるとされます。モルヌピラビルはアメリカのエモリー大学のドラッグイノベーション企業によって開発され、特許が解放されている事から安価なジェネリック薬を多く見付ける事ができます。
 他のFIP治療薬よりも細胞毒性が高いという意見もあり、投与量や治療プロトコルも確立されていないとさますが、日本でも治療に使う獣医師が増えているともいわれ、やがてモルヌピラビルを使った治療法が一般的になると、経済的事情から治療を断念するという事も少なくなるのではと期待しています。
 坊ちゃんの治療を開始してから三週間後、様子を見るために病院へ連れて行き、エコーの診断でお腹の肉芽腫が跡形もなく消えている事を知らされ、獣医師共々「信じられない」と効果の高さに驚かされました。
 ドライタイプの肉芽腫はなかなか完全には消えてくれず、その中にウィルスが潜んでいる事から治療期間が長くなるという情報もあった事から、一つの山場を越えたようにも思えました。何も知らなければその段階で治療を終了してしまうのですが、早期に治療を終了すると再発率が高まる事を知っていたので治療を継続し、84日間の投薬を終えました。
 多くの場合、再発は一ヵ月以内とされますが、その後、二ヵ月が経過する坊ちゃんに再発の兆候はなく、無事に治療できているようにも思えます。CFNには再発保証があり、四か月以内に再発した場合、無償で治療を行う事ができます。ムティアンはそれよりも長い保証期間があり、半年は保証される事になっています。とりあえず保証期間の終了まで再発しない事を願いながら、坊ちゃんの様子を注意深く見詰めていかなければと思っています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2022年11月16日 08時07分37秒 コメントを書く
[ペット] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

カレンダー

コメント新着

舟橋美江@ Re:外国ライス(3)(06/07) ここで書かれていた「クスノキ屋」は、私…

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: