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サンガンピュールの物語(恋愛編)3話



 ゆうこのクラスメイト(特に女子)が次々と上坂の餌食になっていく。例えば、女子の目を長時間見つめ続けていたり、あるいは美術の授業中、女子が立っている最中に椅子を動かしたり。いたずらし放題だった。ゆうこ、上坂らのいるクラスの担任教師は事態を重く見て、上坂を出席停止にできないかと校長、教頭に相談したほどだ。

 しかしよく考えてみた。ゆうこは入学以来、上坂からそのような嫌がらせを受けたことが一度もなかった。こうしたことから、ゆうこは一種の縁を感じることとなった。まさに「灯台下暗し」だ。それから数日間、彼女はしばらく静かになって、上坂のことを観察していった。上坂はやはり、ゆうこに対してだけは悪いことをしなかった。なぜだろうか。彼女の妄想が始まった。
 「上坂君は何か特別な意図があるから、嫌がらせをしてこないのかな?ひょっとして、これって・・・上坂君が、みんなから私を守ってくれてるってことじゃないのかな」
 いつの間にか、まるで自分をテイルズシリーズのヒロインに見立てていた。もうテストのことは頭から離れつつあった。中間試験開始の日まであと1週間を切るところだった。

 その次の日の放課後、ゆうこは勇気を振り絞って上坂に声を掛けた。
 「あの・・・上坂君」
 「へ?どうしたの、塩崎」
 「実はね・・・」
 「早く言えよ」
 「実はね・・・、上坂君って他のみんなに迷惑ばかりかけているけどさあ、あたしに対しては何もしないよね。どういうことなの?」
 勇気を振り絞って一歩前に出た感じの彼女だった。上坂はこう返した。

 「教えてやろっか。実はな塩崎、お前の大事な秘密を知ってんだよ・・・!」

 ゆうこはこの言葉を聞いた瞬間、自分の心の中で大地震が起こったような衝撃を受けた。塩崎ゆうことは仮の姿であり、本当の姿はスーパーヒロインたるサンガンピュールという彼女の根幹に関わるような秘密だろうか。彼女は真っ先にそう考えた。ずっと・・・あたしの大事な秘密にしてたのに・・・。彼女はそう心の中でつぶやいた。しばらく無言になった後、つい感情的になってしまい、大声を出した。
 「お願い、あたしの秘密を知ってんなら誰にも言わないで!お願いだから!!上坂君があたしと付き合いたいなら、付き合うからぁっ!!」
 「ほんとか!?ちょっと考えさせてくれ」

 今になって「はっ」としたゆうこは、自らの感情に任せて発した一言がまだ信じられなかった。これでいいのか、と。一方で上坂はほんのしばらく考え込んだ。そして答えた。
 「いいじゃねえか。付き合ってくれ!俺は塩崎には一切手出しはしないよ」
 「ほんと!よかった・・・」
 大事な秘密がばれずに安堵したゆうこがいた。

 ( 第4話 に続く)

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