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サンガンピュールの物語(成長編)4話

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 中学生活を始めて1週間が経過しただろうか。「塩崎ゆうこ」と名乗ることにすっかり慣れたサンガンピュールは、クラスメイトとおしゃべりをすることが多くなった。最初はためらっていたのだが、クラスメイトが気軽に話しかけてきて、自然に打ち解けたのかもしれない。しかし「スーパーヒーローである、サンガンピュールのそっくりさん」という話題は入学のときから消えることはなかった。実は「ゆうこ」が本物で、正体を隠していて、クラスメイトが気づかないだけの話である。

 ある日、サンガンピュール(ゆうこ)は学校の友達の女の子を自宅に招いた。もちろん、彼女にとって初めてのことだ。そんな中、Kから
 「もう友達ができたのか。よかったな」
 と声をかけられた。その時、友達の女の子は言った。
 「ゆうこって、この町で育ったんじゃないんだよね?」
 「うん、そうだよ。だから引っ越したときは大変だったよ」
 とサンガンピュールは答えた。
 おしゃべりをしているうちに彼女はあることに気がついた。
 「そういえば、あたしは学校に入る前まではおじさん(K)か市長さんしか話す相手がいなかったから、同世代の友達がいなかったという意味で、正直寂しかったかもしれない。でもクラスメイトと話してみると、いろいろと面白い。いろんなためになる情報が入る。友達なんか必要ないと言っていたけれども、おじさん(K)の言いたかったことが分かった気がする。1人ぼっちというのも、あたしにとっては悪くないけれど、やっぱり友達がいたほうが楽しいよ」

 ゆうこ(サンガンピュール)は思わず、涙を見せた。おそらく彼女が涙を流すのは、ロンドンでKに拾われた時以来であろう。元々、男勝りで一匹狼みたいな性格の持ち主の彼女は、友人を持つことの大切さについてこれほど深く考えたことはなかった。

 「ゆうこ、どうしたの?涙が出てるよ」
 と友達の女の子は言った。しかしサンガンピュールは
 「いや・・・、何でもないよ」
 と答えた。
 自分の悩みを打ち明けることができる同性の人は、今までにいなかったのだ。男であるKに対して打ち明けることも少なくなかったが、性別の違いからだろうか、何度か誤解が生じることもあった。男と女とでは同じ事情でも感じ方が微妙に違ったりする。性格は男勝りのサンガンピュールも、所詮は女の子なのであった。

 ( 第5話 に続く)

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