しかしその臨時市議会の日を待たずに、サンガンピュールは再び騒動を起こした。 5月8日(木)の午後。連休明けのひかり中学に一人の外国人教師がやってきた。彼女の名は、メアリー・キーン(Mary Keane)。セミロングの金髪、青い目で30歳前後。にこやかな笑顔が印象的な女性だった。この日は1年1組での初授業だった。 昼休みが終わった後の、賑やかさが少し残っている1組教室に英語を担当するベテラン女性教師、安田先生の声が響いた。 安田先生「はい、みんな注目!」 1年1組の生徒31人全員の視線が、新登場のメアリー先生に向いた。 安田先生「今日から2週間ほどひかり中学で英語の授業を担当する、メアリー・キーン先生です」 それからALT(外国語指導助手)の英語による簡単な挨拶が始まった。 メアリー先生「My name is Mary Keane. I'm from United States.」 だがその時、サンガンピュールはなぜだか急にカチンと来た。なぜだろう、もう既に我慢できなくなっていた。 メアリー先生「Let's enjoy studying・・・」
サンガンピュール「L'ennemi de paix! Sortez du Japon et France!(平和の敵!日本やフランスから出て行け!)」 そこには、すっくと立ち上がったと思いきや、もう我を忘れて本来の母国語であるフランス語で声を荒げるサンガンピュールの姿があった。突然の出来事に、あずみなど周囲の生徒は完全にあっけに取られている。 安田先生「塩崎さん!静かに!失礼だよ!」 一言厳しい口調で注意されたにもかかわらず、警告を無視し続けた。 サンガンピュール「Tous les Americains adore la guerre! Tous ils sont folle!(アメリカ人は戦争が大好き!みんなおかしいよ!)」