自宅出産





第1回 「私が自宅出産を選んだ理由」



 それは、初めての子の出産のときの苦~い経験から・・・。

韓国ソウル在住の3年前、初めての妊娠時、深く考えずに実家

の近所に唯一の総合病院での里帰り出産を選択。そこで私を

待っていたのは、分娩室はプライバシーがない、病室は大部屋だ

と騒々しく、2人部屋だと同室の人への気配りでクタクタ、昼は

沐浴指導や授乳指導に忙しく、真夜中も授乳室に通い寝てる暇

ナシ・・・。退院するのが待ち遠しくなるほど、居心地の悪い

日々でした。



 だから、第2子の妊娠時は「今度こそ自分が納得のいくお産を

したい」と熱望。条件は、『夫の立会いが可』『できれば家族入

院したい』『会陰切開は嫌』の3つ。今回は実家がかなり遠く、

母は仕事があり、長男がいて、里帰り出産はかえって大変。そこ

で、西宮で親の手を借りずに出産しようと決意。でも、長男を連

れた夫が病院と自宅の往復するのは大変だし・・・。「それなら

自宅で産んだら、移動はないし、長男もお産に立ち会えるし、自

分も楽かなあ」とひらめいたのがそもそものきっかけ。早速自宅

分娩の介助をしてくれそうなところを捜索開始。はたして、いい

ところが見つかるかどうか?!   



第2回 「肝っ玉助産婦さんとの出会い」



イエローページ掲載の西宮市内・近辺唯一の助産院へ家族揃っ

て話を聞きに行く。外観は一見普通の4階建てのマンション。診

察室も待合室も誰かの家に遊びにきた感じのアットホームさ。

出てきた助産婦さんの笑顔に「ぴぴっ」とくるものがあり、「こ

の人にお任せしよう!」とすぐに決断。次に気になるのは自宅出

産できるのかどうか。長男のお産が前期破水で始まり、微弱陣痛

が丸1日以上続いたため、次もそうかもという不安には、破水し

ても自宅出産可能と聞いて安堵。その他の条件は「布団1枚ある

こと(笑)」「お母さんが4週間寝て過ごせること(上の子の

世話や家事等他の人に頼めること)のみで楽々クリア。



 ただし・・・胎児の回旋異常や、胎児の心音など体自体に問題

がある場合のみ、嘱託医でのお産になるということでした。また、

同じ日に助産院で先にお産が始まっていれば、私も助産院でのお

産になり、同じビル内のワンルームマンションの1室に家族で入院

も可能というお話を伺いました。



 定期健診の診察は最低30分間はあり、私の話をじっくり聞いた

上で、的確なアドバイスをいただきました。妊娠34週くらいに逆

子になった時は、かなりきつい体勢の逆子体操を伝授。血液検査

の結果は各数値を見ながら体のことを詳しく説明。つわりの反動

で1週間に2キロも体重が増え続けた時には、叱るのではなく、妊

娠前の体重から最終的に増えてもいい値をグラフにし、前月比で

はなく、全期間的に判断して、「もっと増えても大丈夫!」とあ

っけらかんなくらいでした。食事は量よりも質を重視し、たくさ

ん食べたらその分よく運動するよう指示。だから、とにかくよく

歩いた妊娠期間でした。甲東園から助産院のある香枦園までとか、

甲子園から甲東園までとか。甲東園から北口までの30分程度なら

朝飯前!まるで何かに取り付かれているかのように歩く、歩く。

家までの坂道の往復のおかげで足腰は益々鍛えられ、長男の時同

様、順調な妊婦生活を送り、予定日は近づいてきた。



第3回 「自宅出産あやうし?!」



 「それ」は突然やってきた・・・。 予定日1週間前の妊娠39週

1日目の朝、おしるしがきたのだ 。 長男の時は、内診後の出血

が数日続いたのに歩き回り、破水か ら始まったので、おしるし

とは思わず、いきなりの出血で何かの異常か?? と焦る。助産

院に電話して確認すると、「心配するこ とはなく、多分午後に

は産まれるだろう」とのことでホッ。



 そしてまもなく陣痛がやってきた。来た来たあの痛みだ。

しかし、助産士さんが来るからと、俄然張り切って、掃除機を

かけたり、トイレ掃除をしているうちに、治まってしまった。2人

目だからと余裕ぶっていたが、念のためにと2日前に図書館

で借りたばかりの本で確認すると、妊婦さんが疲労したりす

ると、陣痛が遠のくことがあるそだそう。昼過ぎに助産院から

電話をもらい、事情を説明し、なぜか謝ってしまった。



 その日はいつものように過ごし、真夜中にふと目をさまし

てトイレにいくと、またおしるしが! そしてすぐに10分おき

の陣痛が始まった。誰もいない居間で陣痛のがしをする。

高台にある我が家からは、近所のマンションがよく見える。

まだ明かりがついている家を見つけては、孤独感を癒や

していた。その後体力温存のため少し眠ることに。



 朝になり長男と一緒に起きたとたんに、陣痛は5分おき

に。3分おきになったら助産院に電話することになってい

た。昨日のように陣痛が遠のくといけないし、朝早すぎる

電話も・・・と思い、しばらく待ってから電話を入れた。する

と、「今日の予約を全部取り消すのに、今から患者さん全

員には連絡つかないかも。それに、昨日一日の予定を全部

(私のために)取消したから、こちら(助産院)に来てもらわ

ないといけないかも」と言われ・・・。自宅出産は無理なの?!

と落ち込む私。   



第4回 「やっと・・・」



 自宅出産は無理か・・・と落ち込んでる暇もなく、陣痛は3分
おきに。助産士さんに言われたように、赤ちゃんの頭が下がるの
に沿って、背骨の脇を夫に指圧してもらうと、痛みを全然感じない。
長男のときは、夫が海外におり、私一人で陣痛逃しをしてかなり
大変だったので、“な~んだ、お産はこんなに楽だったのか”と
思ったくらい。長男は、夫が私を指圧しているのを見て、最初は
何事?と怒っていたが、そのうち一人で遊び出した。
 助産士さんが到着し内診されると「子宮口はまだ5cm開で、午後
になりそうですね」と言われる。しかし、「子宮口を後ろから前に
しときましたー」という声に、返事をしている矢先、いきなり陣痛が
1分おきになり、居間のソファから動けなくなった。息遣いも荒く、
声も絶え絶えでいると、「いよいよですねー」と院長先生がにこや
かに登場。“自宅出産で、究極のLDRだー”と思っていたのに、結局
居間から寝室までけっこう歩く羽目に。介助しやすいからと、仰向け
で横になる。
 風邪で鼻が詰まっていたので、とにかく息を懸命に口から吐いて、
容赦なく来る陣痛の痛みを逃す。その後20分足らずで破水。助産婦
さんの手を握りながら、宙を見つめて、ほんのわずかな陣痛の合間に
できるだけ力を抜いて息を吐く。繰り返しているとついに頭がでて
肩がでる感覚が!「出てきたー」という声が自然にもれ、涙が流れ
おちた。

最終回「うれし★たのし 自宅出産」

 誕生のその瞬間、「ビデオとったのかしら?」と思う余裕もあり、
みると夫は長男を抱きながらビデオで撮影、皆感無量。嫌がる夫
を助産婦さんがリードして、へその緒カット。私と赤ん坊をつない
でいた命の糸はなかなか切れなかった・・・希望通りの男の子と
わかったのは、そのしばらく後でした。
 実は、超心配性の母は勿論、父や親戚にも今回の自宅出産は
内緒にしていたので、皆に驚かれました。タイミングよく、翌日から
母が都合をつけて来てくれることになっていたし、生後3日間、1
週間後と助産婦さんが来てくれて赤ん坊の健康状態や母体の
回復などしっかりケアしてくれたので安心でした。産褥期の間は、
できるだけ横になるように、トイレに行くときは四つんばいで、との
忠告をしっかり守りました。
 次男は、助産婦さんの勧めで、生後1日目からしていたうつ伏せ
運動のおかげか、驚異的なスピードで発達をとげ、9ヶ月で歩き出
し、末はオリンピック選手か??と今は夢見る親ばか両親なのです。
 私の理想を叶える自宅出産には、色々な人の協力は不可欠で
した。しかし、何よりも、「医者や人任せでなく、自分で産む」という
強い意志を忘れず、どのような出産がしたいか明確なイメージを持
ち(欧米では細かいバースプランを提出するのが当たり前)、それ
を実現する為に必要な知識を得、自己健康管理をしっかりしたこ
とがポイント。(助産婦さんが間に合わなければ、自分で子供を取り
上げる覚悟も。)産前も大きなトラブルなくお産に臨めて本当にラッ
キーだったとも思います。
 連載のタイトル通りの、うれし・たのしの大大満足なお産ができた
ことは、産後の自分の精神状態・育児に大きなプラスになりました。
自宅出産が決して難しいことでありません。これを読んで、「自宅」
が一人でも多くの人の出産場所の選択肢に加わったらうれしく思
います。では、次回、自宅水中出産(!?)記までさようなら! 
これまで読んでいただいてありがとう!

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