発達障がいな息子たちとの日常

発達障がいな息子たちとの日常

あわ大惨事


子供達は、家の前で遊んでいる。
家の前の道路は、近所の車しか通らない生活道路なので、
庭のない我が家にとっての“庭”なのだ。
ここはまた人はよく通るので、遊んでいるうちにいつの間にか“庭”から“公園”になっていることも多い。
今日も、二人の女の子が加わっていた。

一人はnaoの同級生。
去年、外国からやってきた転入生だ。
去年はちょくちょく遊びに来ていたけど、最近は来てなかったので、珍しいな、と思っていた。
もう一人は、お向いの借家さんの、幼稚園年長さん。
実は、misaのカノジョ(^m^)
あのmisaが、この子にだけはとびっきりの優しい顔を見せる。
motoにも誰にも言ったことのない優しい言葉をかける。
またお誂え向きに、この子も大の虫好き。
なので、虫に詳しく(←デタラメも多い)虫捕りが上手いmisaは、彼女にとってはヒーローなのだ。
そして、misaの行動が気になるmotoは、この二人が仲良く虫捕りなどに出掛けると必ずついていく。
彼女も、末っ子の割に面倒見がよく、motoをうっとうしがらずによく遊んでくれるので、
3人で神社などに行っても、misaより頼りになる。
なので、子供が数人で家の前で遊んでいると、
私が監視していなくても、あまり心配はいらない。

でも今日は違った。
いつものように、家に入った私。借りていた本を返しに図書館に行こうと、本を集めていた。
そこへ、naoとmisaが汗だくになって入ってきた。
「motoがMちゃんたちについて行っちゃった!!」
「どこへ?」
「わかんない!あの子たち自転車なのに、moto連れてちゃったんだもん!!追いかけたんだけど角をまがったらもういなかった!!」
な、なにーーーーーーーーーーーーーーーーーぃ!!!!!
聞けば、遊びに来ていた同級生とはnaoは気が合わないらしく、
遊びたくなかったので家に入ろうとしてmotoを置いてきてしまったことに気付き、
連れてこようともう一度外に出たら誰もいなかった。
角を曲がってみtら、遠くに3人の姿が見えた。
motoは呼べど叫べど振り向かず(←こういう時には聞こえないフリをする)、
走っても追いつけなかった、と。

慌てて自転車を出し、行った方へ走る。
念のためnaoの同級生の家にも寄ってみたが自転車がなかった。
行きそうな場所へ、misa、naoと3人で手分けして走った。
いくら二人が自転車でも、motoが歩きならそう遠くへは行かないハズなのに、見つからない。
実は、一週間ほど前にも同じことがあった。
お向かいの彼女とmotoの二人でいなくなった。
その時は歩きだったので、それこそ近所しか考えていなかったけど、
なんと、車の通りの多い道路を、横断歩道もなくカーブしている所で渡って小学校に行っていた。
お母様は叱ることもなく、彼女もケロリとしたものだった。

今日は自転車だ。
もっと遠くへも考えられる。
一番近い公園にも行ったけど、いない。
もう一つの公園に行くには、大通りを渡る。
まさか・・・・・。
「まさかいないよね」という気持ちと「お願い!無事でそこにいて!」という気持ちが入り混じりながら、公園へ走った。
いない。
ほっとしたようなガッカリしたような複雑な気持ちで、今渡った大通りをまた渡った。
そういえば、この通りでは事故が起きている様子はない。
とりあえずよかった。
あとはどこを探せばいいのか・・・家に戻っているだろうか・・・。
とにかく家の方へと自転車を向けると
行く先の四つ角に、車が立ち往生しているのが見えた。
その車の向こうに、見慣れたピンクの自転車。
そして、motoの泣き声が!!!!

血の気が引いた。

心臓が口から飛び出しそうになりながら、震える足でペダルをこいだ。
私が着くより先に、停まっていた車が走り去った。
そして、大泣きして座り込んでいるmotoが見えた!!
「moto!!」と駆け寄ると
「あのね、転んじゃったの」とnaoの同級生。
その言い方があまりに軽く、一気に火がついてしまった。
「どこ行ってたの!!」
「公園」
「なんでこんな小さい子を連れて行くの!!おばちゃんに何も言わないで!!」
「私じゃないもん」
「もう一人はどこ行ったの?!」
「先に行っちゃった」
なんだとーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
腹の中のマグマがボコボコと煮えたぎってきた!!
とそこへ、「ど~したの~(^-^)?」と彼女が戻ってきた。
その笑顔を見たら、噴火してしまった。

「なんでこんな小さい子をこんな遠くまで連れてくるの?!自分達は自転車でこの子は歩きなのよ!!おばちゃんに何も言わないで勝手に公園なんかに連れていかないでよ!!!Mちゃんはこの前も同じことしたでしょ?!あの時も、道路を渡るなって言ったじゃない!!この子がついてきたんだったら、おばちゃんか誰かに『ついてくるよ』って言えばいいでしょ!!どれだけ心配して探したと思ってんの?!事故にでもあったらどうするのよ!!!!!あなたも3年生にもなってそんなことも分かんないの?!」
もう、口が止まらない・・・。
怒りで体は震えるし、息が荒くなっている。
何も言わない二人を前にしていたら、まだいくらでも言ってしまいそう。
motoを自転車に乗せ「ウチの子なら張り倒してるよ!!」と言い残して走り出したら、
「ごめんなさい」と二人の声が背中に聞こえた。
ふと、我に返った。
そうだ。motoも悪いんだ。
帰宅して今度はmotoにお説教。
「兄ちゃんと姉ちゃんが一緒じゃない時はついていっちゃダメ!!」とお尻を一撃。
暑さで真っ赤になった顔をくちゃくちゃにして大泣きした。

はぁ・・・よかった何もなくて・・・(+_+)

騒ぎに気付いたオオカミが尋ねてきた。
事情を話すと、思いがけない言葉が返ってきた。
「そりゃあnaoちゃんが悪い」
へ・・・・・???
「ママが外にいない時はnaoちゃんがママなんだから、ちゃんと見てなきゃダメでしょ。一人で家に入ったnaoが悪い」
そりゃあないでしょ。こんな時に。
「naoはちゃんと見てたよ」とnaoが怒ると
「見てなかったからいなくなったんでしょ」
なんでこんなにデリカシーのない奴と一緒にいなきゃいけないのか・・・。
同じ状況にmisaもいたのに、misaは責められない。
「だってnaoちゃんはお姉ちゃんだもん」
また別の怒りが湧き
「もとはといえば、ママが全部悪いの!!ママが外に放っておいたから!!」と叫んだら、オオカミも黙った。

あの二人のお母様方は、きっと何も知らされていないのだろう。
何も言ってこなかった。
というか、どちらも親の存在が薄い。
お向かいの子には、社会人のお兄ちゃんが二人いる。
要するに、遅く生まれた大事な一人娘ちゃん。
だから甘やかしているのか、いや手を抜いているのか、彼女の行動にはノータッチ。
かなり遅くまで外で声がしているし、夕方でも一人で神社へ行っていたりする。
私の車がよそから帰ってくる音を聞きつけては家から飛び出し、周りをウロウロする。
naoの同級生は、どういう理由からか知らないけれど、お友達と遊ぶ姿は見たことがない。
お兄ちゃんとよく一緒にいる。
要するに、2人とも寂しい子たちなのだ。
おまけに2人とも末っ子だから、motoのようなチビッコはまるでおもちゃなんだろう。
悪気はないのは分かってる。
でも、いけないことはいけない、危ないことは危ない。

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: