「のり2・クラシカ」鑑賞日記

「のり2・クラシカ」鑑賞日記

2006年特選コンサート 一覧 その2


ルツェルン祝祭管弦楽団


1・ブラームス
   ピアノ協奏曲第2番変ロ長調OP.83
     マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)




************** intermission ***************




2・ブルックナー
   交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」




2006.10.18 サントリーホール 19:00開演 2-RA6-12


サントリーホールの外でピアニストの伊藤恵さん、小山実稚恵さんと遭遇しました。

伊藤さんとはホールお隣の全日空ホテル、小山さんとはホール向かいのオーバカナル赤坂でギネスを飲んでいたら。。。
多分お二人とも今夜のコンサートを聴きに来られたと思います、何せポリーニさんのピアノでブラ2ですから。♪

さて、前半のポリーニのピアノ独奏によるブラームス/ピアノ協奏曲第2番、ピアノもオーケストラもしっくり溶け込んで室内楽のようなシンプルさと時には贅沢な響きとに酔いしれました。

過去にポリーニのピアノでアバド/VPOとアバド/BPOの両方オケでのCDでこの曲を楽しんでいますが今夜の生での演奏会という条件を差し引いても極上のブラ2を堪能しました。
アバドさん指揮するオケの響きは繊細極まりなくポリーニ氏のピアノに見事に寄り添い、この曲のスコアは見たこと無いのですが輪郭がはっきりした一音一音があたかも目の前に音符が浮かんでくるような感じを受けたくらい、
最後まで聞く側の集中力を途切らせない素晴らしい演奏でした。BRAVO !です。

3楽章でのブルネロさんの奏でるチェロのソロも素敵なポリーニさんとのコラボでした。
終演後、ポリーニさん何度もブルネロさんと握手してました。

さて休憩後のブルックナー、ルツェルン祝祭に参加した楽員たちの名人芸が惜しみなく発揮されすっきりしたブルックナーの大伽藍が構築されました。

特にヴォルフラム・クリスト率いるヴィオラ・パートが極上の統一された響きで新鮮な感銘を受けた。

朝比奈、G・ヴァント氏などの演奏する所謂ブルックナー節とは一線を画した演奏解釈と感じました、当日ホールで聴いた方には物足りなく感じた方もお出ででしょうが第1楽章の弦楽器による導入部”霧(きり)”或いは”靄(もや)”の澄み切った音色の出だしの響きには驚き、生演奏ならではの稀有で贅沢な体験を得ました。

第4番「ロマンティック」個人的にはブルックナーの交響曲の中では滅多に食指が動く曲ではないのですが今夜は充分に楽しむことができました。

アバドさん、楽員が去った後、鳴り止まぬ拍手歓声に応えて2回ステージに登場、
嬉しそうな表情で聴衆に笑みを返していました。

今夜のコンマス、元BPOのコンサートマスターのコリア・ブラッハー
オーケストラの編成は
前半のブラームスでは16型2管編成(16-14-10-8-6)
後半のブルックナーは20型(1Vn20-2Vn16-Va(?)-Vc14-Db(?)Hrn5,Tp3
今夜の席は舞台上手の真横の位置でしたのでヴィオラ、コントラバスのメンバー全員は確認出来ませんでした。

チェロは両プログラムとも中央に位置、ヴィオラは第一ヴァイオリンの対向に位置していました。(舞台上手外側)
★★★★★+++
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サー・ロジャー・ノリントン指揮
NHK交響楽団 第1581回定期公演


1・ベートーヴェン
   ヴァイオリン協奏曲二長調作品61
     庄司紗矢香(ヴァイオリン)

アンコール曲
 J・C・バッハ 
   無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番から第1楽章


************* intermission ***************

2・ヴォーン・ウイリアムズ
   交響曲第5番二長調




2006.11.10 NHKホール 19:00開演 2-R8-23

ノリントンさんの指揮、ノン・ビブラート奏法で今夜の最初のプログラム、結構レガートを多用しているベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をどんな風に料理するのか、そしてヴァイオリン独奏の庄司紗矢香さんも果たしてノン・ビブラートで演奏するのか大いに興味深い思いで聴いたのですが第一楽章は冒頭でのティンパニが木製のバチでかなり硬めの音色で奏した以外はモダンな演奏、庄司さんのヴァイオリンものびやか且つ繊細で丁寧な響きですが第二楽章のラルゲットになると庄司さんのヴァイオリンも含めオケも何となくノン・ビブラートのピュア・サウンドに。
しかもどちらかと言えば静謐な楽章であるはずのこの楽章、コミカルな表情の(テンポも含め)表現で面白い。
第三楽章ロンドは庄司さんの独壇場、ビブラートを効かせカデンツァを含めて堂々とした解釈でうならせます。技術的にはもちろん終始安心して聴かせる数少ないヴィルトォーゾ、歌心充分のヴァイオリニストです。BRAVO!です。
庄司紗矢香さん、ますます進化しています。
そう云えばN響の楽員も足踏みで彼女を賞賛していたのも珍しい光景。

休憩後のヴォーン・ウィリアムズ/交響曲第5番ニ長調
全曲にわたり実に緊張感を強いられる(いい意味で)澄み切った空気を感じさせる素晴らしい演奏でした。
ホルンの樋口首席も健闘していたし何よりも弦セクションの統一した音色が特筆ものでノリントンさんが意図したノン・ビブラート奏法でのピュア・トーンの意味がこの演奏で実感した次第。

以前に大友直人/東京交響楽団で同曲を聴いた時も感動を覚えましたが今夜の演奏、少し無機質な印象を感じたけれど第2次世界大戦の最中の不安をかかえた混沌とした状況で書かれたことを思えば納得かなとも。。。

本日も対向配置(両翼)でコントラバスは山台の最奥に一列に並ぶ。編成は10型2管
★★★★★
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ロリン・マゼール指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団


1・ヴェルディ
   歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲




2・チャイコフスキー
   ロココの主題による変奏曲
     ヨハネス・モーザー(チェロ)

アンコール曲
 J・S・バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番からサラバンド



************* intermission **************


3・ショスタコーヴィチ
   交響曲第5番ニ短調「革命」



2006.11.11 東京オペラシティコンサートホール 18:00開演 1-28-25


マゼール/NYフィルを聴くのは2年ぶりです。前回はNHKホールでしたが今回はオペラシティ・コンサートホールでの演奏会。

マゼール/NYフィルのパワーに圧倒されました。
ヴェルディの序曲から弦、管ともパワー全開で見事なもんです。もう1曲目終わってすでにBRAVO!がかかります。

ロココを演奏した若手男性チェリストのモーザーさん、技巧的には文句なしで楽々弾いてました。もう少し艶が欲しいところですが贅沢と言うもんですね。

1,000円でパンフを購入しました。いつも殆ど斜め読みで購入目的は記念の為なのですが帰りの電車の中でモーザーさんのプロフィールを読んだところ何と2002年のチャイコフスキー・コンクールで1位なしの2位入賞しているチェリスト、しかもロココの演奏で最優秀解釈賞を受賞とのこと、どうりで堂々とした演奏でした。

休憩後のタコ5番
マゼールさん随分遅めのテンポで全曲を支配、第1楽章冒頭の低弦部の音量のパワーから圧倒されました。ブラス隊の破壊力は折り紙付きですけれど3楽章での弦楽器群の強弱の対比の素晴らしさも特筆もの、剛だけではなく柔をも兼ね備えてますねマゼールさんをシェフに迎えてからのこのNYフィルは。。。

終楽章、ここまでず~っと、まったりしたテンポで進んできましたが最後のフィナーレ・コーダで一気に加速、ホール一杯にゴージャスなとどめの一撃が響き渡りました。
それにしてもオペラシティ・コンサートホールではこのオケの破壊力を受け止めるには少々荷が重いかも。サントリーホールも大同小異かも知れません。

NYフィルのホームであるエヴリン・フィッシャーホールはホールの広さに加えて残響の乏しいホール環境で演奏してる訳で他のオケに比べ必然的に絶対音量が大きくなるのでしょうね。最近、バルコニー席を設けたりの改修を行ったらしいですが。

アンコールは2年前のNHKホールでの演奏会と同じく
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲(何番かの詳細は後日)とビゼー:アルルの女からファランドールの2曲。
★★★★★
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札響 2006 東京公演 in Autumn

尾高忠明指揮
札幌交響楽団


1・ノルドグレン
   左手のための協奏曲 OP.129
     ~小泉八雲の「怪談」による
     (ピアノ)館野 泉


アンコール曲
  シュールホフ:アリア



************ intermission ***************



2・マーラー
   交響曲第5番嬰ハ短調




2006.11.14 サントリーホール 19:00開演   2-RA1-17


札響演奏会、昨年10月のサントリー公演以来ほぼ1年ぶりの東京での演奏会を聴く。
聴衆の数は8割以上の入りでしょうか。
昨年の曲目はメインにラフマニノフのSym.2番でしたが去年の年間ベスト演奏会の選には敢えて入れませんでした、まずまずの好演ではありましたが。他にも凄い演奏会が目白押しでしたから、昨年は。。。

さて今年の札響東京公演、前半は現代フィンランドの代表的作曲家ペール=ヘンリク・ノルドグレンの小泉八雲の怪談を題材にした本日のピアニスト、館野 泉さんのために書かれた曲、25分ほどの協奏曲ですがまずはオケ(Vnx20,Vax8,Vcx6,Dbx4)の編成ですが、この他に弦楽群の奥、2名の打楽器奏者の手前に4人のVn奏者が位置して出番は少なかったですが「怪談」らしく不協和音を奏でて不気味さを表現、また2Vnx10人の内6人が調弦を変えてあるもう一丁のヴァイオリンを持ち替えて演奏していました。

曲想は武満 徹風のイメージに似ているでしょうか、より動的な描き方です。
2名の打楽器奏者、1名はティンパニ専従、残り1名はサスペンドシンバル、トライアングル、ウッドブロックなどの多彩な楽器を演奏。

館野さん、足を多少引きずりながら何度もステージを往復、アンコール1曲のサービスがありました。左手だけの打鍵とは言え確かなリズムと音楽を奏でて素晴らしいです。

休憩後のマーラー5番
今年の3月にミョンフン指揮ロンドン交響楽団(川崎ミューザ)で聴いて以来です。

札幌はつい先日、初雪が降ったらしいですがマーラー5番の1楽章ではまだ北国での車のスタート時の暖気運転よろしくの状態で少しオケが不安定でしたが楽章が進むごとに特に管楽器がようやく調子を上げてきて素晴らしく熱い演奏になりました。

3楽章のホルン・ソロ(橋本さん)は7名のホルン隊の席の中での演奏、なかなか渋くて味わい深い音色です。がラッパの都響から移籍した福田首席は今日は少し不安定さを感じました。体調不良だったのでしょうか。

弦楽器群は大平まゆみコンミスを先頭に縦横無尽な素晴らしい働きでした。16-14-12-10-8のフル編成。
ちなみに先述のホルン隊は7名、ラッパ4名、トロンボーン3名+チューバ、フルート4名など春に聴いたロンドン響の編成と全く同じでしたが比べれば本日の札響の演奏の方に軍配を挙げたいと思います。

尾高さんの的確なバトンの指揮のもと札響は均整のとれた響きと熱い情熱でもって応えて素晴らしい仕上がりを見せました。特に4楽章アダージョ。

フィナーレも見事な統一感をもったエンディングでした。BRAVO!です。

盛大な拍手が続きましたが尾高さん、最後は”もう、お寝んね”の仕種でアンコールなしのお開きとなりました。
充分満足しました。アンコールはいりませんの気持ちでしたが、それでも札幌からわざわざお出でいただいたので武満 徹の「風の盆」から一曲何かを。。。
と、ちょっぴり思わないでもありませんでしたが、蛇足です。
★★★★☆
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飯森範親指揮
東京交響楽団 第542回定期演奏会


ヤナーチェク
   歌劇「マクロプロス家の秘事」全3幕
     (セミ・ステージ形式、チェコ語上演)


第1幕:1927年、弁護士コレナティの事務所

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第2幕:オペラ公演後の舞台裏

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第3幕:ホテルの部屋


演出:マルティン・オタヴァ

イヴォナ・シュクヴァロヴァー(MS):エミリア・マルティ(オペラ歌手)
ヤン・フラディーク(Br):コレナティ(弁護士)
ズデニェク・シユムカージ(T):ヴィーテク(コレナティの秘書)
モニカ・ブリフトヴァー(S):クリスタ(ヴィーテクの娘)
ヤロミール・ノヴォトニー(T):アルベルト・グレゴル(グレゴル家の子孫)
イジー・クビーク(Br):ヤロスラフ・プルス
経種廉彦(T):ヤネク(プルスの息子)
伊達英二(T):ハウク(老人)
志村文彦(Br):機械係
押見朋子(Ms):掃除婦/小間使い
男声合唱:東響コーラス

2006.12.2 サントリーホール 18:00開演  1-18-28

世界中で使われる「ロボット」と言う言葉を作ったことで知られるチェコの作家カレル・チャペックの同名の戯曲に基づいて作曲者自身が台本を書いた作品。

主人公のオペラ歌手、エミリア・マルティが不老長寿の秘薬を飲まされて300年以上も生きているという設定でそこへ遺産問題などがかかわってくる。
最後は魅力的な女性として描かれるエミリア・マルティの死で結末を迎える。

ヤナーチエク節とでもいうのかお馴染みの変拍子で奏されるメロディと強烈な打楽器のリズムに歌手たちがレチタティーヴォ風な歌唱を乗せていく風変わりなオペラですが飯森指揮する東響のオケの素晴らしさに驚嘆、がしかし歌手たちがステージ奥に設定された舞台の上での歌唱のため暫しオケに声を消される場面も、管理人の席が中央やや後方の席の所為かも知れません。2階席ではどうだったのでしょうか。

3幕からなる「マクロプロスの秘事」各幕ごとに15分の休憩時間が設けられました。

歌手ではやはりエミリア・マルティ役のシュクヴァロヴァーが殆どの出番にかかわらず堂々とした歌と演技、クリスタ役のモニカ・ブリフトヴァーが可憐で初々しい演技で少し気になる存在。

東響コーラス(男声のみ)は2階客席(P席)に位置、40名弱くらいのメンバーでしたが出番はわずかに第3幕のラスト近くのみでの合唱。

ステージ奥の舞台の真上にスクリーンが下げられ各幕での場の設定を思わせるPhotoが写され字幕も投影された。90分余りの時間でしたが充分楽しめたものとなりました。
指揮の飯森さんと演出のオタヴァさん、ステージ上でお互いにしてやったりの表情。ヤナーチェクのオペラ・シリーズは今後はこのコンビに委ねられるのでしょうね。次回も充分に期待に応えることでしょう。
★★★★★
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マリス・ヤンソンス指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団


1・モーツァルト
   ピアノ協奏曲第25番ハ長調K・503     
     内田光子(ピアノ)

アンコール
   シューベルト:即興曲作品90-3


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2・マーラー
   交響曲第1番二長調「巨人」




2006.12.3 サントリーホール 18:00開演  1-22-30

ほぼ満員の聴衆を迎えての本日のヤンソンス/ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団演奏会。
ホール入口ではチケット求むの音楽愛好家の人々がたくさん。。。

内田光子さんをソリストにモーツァルトの25番協奏曲、今年の1月にザルツブルクでのムーティ/ウィーン・フィルでも25番協奏曲を演奏していますが(NHK-BShiで収録)その時の演奏と比較しても内田さんのピアノ解釈に大きな違いはないように感じられます。
まさしく「ウチダ・ワールド」とも言うべきオーラが漂ってアムステルダムの世界のトップクラスのオケですら彼女のきらきら光る繊細且つ大胆なリズムに魅せられたように寄り添います。特に弦楽群は艶のある瑞々しい音色で素晴らしいです。(2管編成対向配置でした)

あまりヤンソンスさんの存在が感じられないくらい、内田光子さんの世界でした。
アンコールにシューベルト、これが又絶品でした。息を吸うのが憚れるほどの緊張感でした。

休憩後はマーラーの第1番「巨人」
やはりコンセルトヘボーの弦の音色の素晴らしさが目に付きました。
ヤンソンスさんのダイナミックな指示に的確に反応する管楽器もお見事で
非常にダイナミック・レンジに溢れたマーラーの世界を見せてくれました。
ホルンのトップが不調でしたが(ホルン隊のみいまいち)スリリングなフィナーレと”どうだ”と言わんばかりのコーダの炸裂に小さなミスもなんのその久々、マーラー「巨人」の素晴らしい演奏に感動しました。
アンコールは無しでしたが充分満足。

FLのバイノン女史は今夜は脇にまわっての演奏、Vaの波木井さんはトップ席で健在のご様子でした。弦に日本女性の姿が目立ちました。(Vn3,Vaなど)
★★★★★
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end

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