とんぼ

陽射しが柔らかくなって眠くなる頃
一匹のとんぼが飛んでいた
暖かくなった日の打ちっぱなしのコンクリート

とんぼは人の撒いた水に誘われて
うすっぺらな羽と軽い体で
ふわふわと飛んでいた

とんぼが見るは、そこに動く人か
はたまた、そこにある水か
・・・その両方か

顔いっぱいに見開かれた数多の眼で
正確に捉えるは水の位置か
はたまた人の差し出した腕か

とんぼは人の差し出した腕に静かにとまり
水を眺めていた
ゆっくりゆらゆらと輝く水に見惚れるかのように

人はとんぼを見て何を考えたか
とんぼは人を見て何を感じたか

ゆっくりと流れていた時間を速めたのは
桜の花びらを散らせた一陣の風

あっ

ふわっと浮き上がるとんぼの体
とんぼを追いかける人の眼

・・・またね

とんぼの眼に映る蒼い蒼い空
人の眼に映る青い青い空


田舎町のガソリンスタンドでの
ちょっとしたとんぼと人の会話


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