出発 ~その1~

バス通り

京成八千代駅で8:27発の特急に乗り換えた。予定より一本遅くなったが、もうじたばたしても仕方がない。明らかに出国する気まんまんの人も目立つ。サリーをまとったインド系らしいおばちゃんや『るるぶフランス』を読む若い女性など。大半は第二ターミナル駅で降りたが、僕は終点の第一ターミナルで降りた。ココで降りる客は出国する人だけだろう。ゴロゴロとスーツケースを押して歩く人ばかり・・・かと思ったら、スーツ姿に新聞を小脇にはさんだ男性や小さなハンドバックひとつの女性などもいる。いくら旅なれているからといってそんな出勤みたいな格好で海外に行く人もいるのかなあ、と思っていたら改札の先に手荷物検査があり、その人たちは『職員専用』のゲートに入っていった。やっぱり出勤だったのかと、納得した。

いくつものエスカレーターを登り、4Fのチェックインカウンターに着いた時、時計はちょうど9:00だった。間に合った~と思い指定されたE-35のカウンターに行くとすでに長蛇の列。そしてそれはまだまだ増えつづける。間に合うのかなあと思っていると案の定、僕の番は9:45になった。チケットをもらい荷物を預けると10:00.そして出国ゲートはさらに長蛇の列。搭乗開始は10:45。すでに間に合いそうもない。両替とペットボトルのお茶を買うぐらいの時間はあるかと思っていたのだが甘かった。これからは格安航空券で『満席です』といわれた場合は3時間前には着いていようと誓った。出国ゲート通過は10:40。もうトイレに行く余裕さえない。「間に合わない!」走って搭乗口に急ぐと誰もいない。掲示板には『遅れ』の文字が。ホッとして両替と買い物を済ますが、そこで約一時間待たされた。出発前からやれやれである。
「59K」の私の席は窓ぎわだったのだが、隣りは旅慣れていなそうな初老の男性。挨拶しても上の空で緊張してるみたいだ。後ろの席は、離陸前から大はしゃぎの女の子、8歳くらいか。すでにテーブルをガチャガチャしたり大声で叫んだり、ピコピコと電子音を響かせゲームをしたりと落ち着かない。がっかりだ。苦痛の12時間にならなければいいが・・。

ヴァージンアトランティック航空のエアバスは、エコノミーとはいえ思ったより狭くない。ビジネスのあのゆったりをわずか二週間前に経験しているが、コレならばそれほど辛くないだろう。
離陸し安定飛行に入ると、前の席のカップルが荷物を持ってうれしそうに移動していった。たぶんビジネスがあいていたのだろう。エコノミーでもビジネスがすいていると席がうつれることは知っていたが、僕はエコノミーを楽しみたいと思っていたので、そのあいたカップルの席に移動した。コレで二人がけを一人で独占できた。う~ん、いいフライトになりそうだ。
食事をしたり、映画を見たり、音楽を聴きながら寝たりと、時計を見ると出発から10時間も経っていた。数年前にイタリアに行った時はかなり苦痛だった。JALのエコノミーは狭く(もっとも、冬だったので厚着のせいもあるだろう)食事もイマイチで寝られず、一時間おきに時計を確認してはため息をついていた。こんなに長時間のフライトに慣れた自分に驚きだ。もっとも機内ではアルコールを取らないほうが調子がいいことに南アに行った時に気がついた。『ただ酒』にやたら弱い僕としてはサービスのビールやワインを遠慮するのはかなりつらいが、それ以上に何時間もする事がなく、狭いシートでイライラするほうがつらいのだ。

ヒースロー空港に無事着陸し、やたらうるさい事で有名なイギリスの入国審査を待つ。しかし、簡単な質問と帰りの航空券を見せたらあっさり入国できた。こんな時、優しそうな笑顔を持っていると得だなあ。隣りのカウンターは僕が並んでいる間ずっと質問攻めだったのに。

地下鉄に乗り込みBayswaterを目指す。その車内では『ロンドンらしい』光景を目にする。手すりで運動をする若者、読んだ新聞をシートに置いていく者、昼間からビールのカンを立て続けに二本飲み干したオヤジ、かわいらしい女性が隣りに座ったかなあと思ったら、バッグから小さいりんごを取り出し食べ始める。どれもココでは珍しい光景ではないだろう。
そんなこんなで駅に着きホテルに到着。狭いながらも清潔でよかった。シャワーを浴び街に出る。軽い空腹だったので何を食べるか迷う。マクドナルドを見つけた時、出発前に見たTVを思い出した。今、ロンドンでは『クォーン』と呼ばれる肉もどきが流行っているという。きのこ系の細菌を培養して作るこの肉もどきは検疫の関係で日本には輸入できないらしい。チキンに似た味、感触ながらベジタリアンも食べられるというものらしい。思い切って注文してみた。・・・確かに鶏肉に似ているが、たいしておいしくない。俺はベジタリアンじゃないから普通にチキンでも良かったんじゃない?という自問自答を無視し、食べきった。

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