のっちゃんのクローンblog

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第一章「問題」



 世の中は腐りきっている。2052年5月10日、ある少年は思っていた。

 21世紀に入ってから半世紀が経った。ずいぶんと便利さは増して、もう外に出る意味はなくなってしまった。
 すべてパソコンで操作してしまうのだ。

 どの家にも特殊なエレベータが設置されており、そこに全てが送られてくる。
 そこから他の家に行く事もでき、仕事などは全てそれで移動になっている。

 だから外にはもう五年は出ていない。

 だが、便利さが増した分、環境問題はより一層酷くなっていった。

 温暖化やら酸性雨やらと、テレビではよく騒がれている。

 そして最近、また新たな問題が生まれていた。

 「先ほど入った情報です」

 平然とした顔で、テレビの向こうでアナウンサーは言う。

 「つい先ほど、大統領が射殺された模様です」

 またこれだ。これが新たな問題だ。
 世の中が気に入られなければ終わり。この世界が気に入らなければ大統領を殺せばいい。

 そんな考えを誰もが持っているこの世の中。既に何百人と大統領・大統領候補が殺されていた。

 だからアナウンサーは全く動じない。

 最近では「誰が1年間持つのか」と、賭けまで行われている。

 ただ、全国民がそうかと言われればそうではない。

 現に俺は反対派だし、まだ何万人と反対派はいると思う。

 だが、もし今堂々と

 「僕は反対だ」と言えば、すぐに殺されてしまうだろう。


 だからこの世の中は成りたっている。


 「また、警察に動く気配は見られません」

 警察も、何も言えないでいる。すでに諦めているのだ、この社会問題に。

 これが日常になっている日本に、メスを入れることが警察には出来ないのだろう。

 天皇陛下はこの世の中に恐怖を持ち、笑顔はない。

 「この大統領は、1ヶ月半の政治活動でした。久しぶりの、1ヶ月半更新です」

 「1ヶ月半・・・長いほうだな」

 大統領の名前は公表されない。殺されないための策らしいが、今の情報化社会のこと、無駄な策である。

 「何で、こんなにも短いのかなぁ。俺ならもっと長くやって見せれるのに」

 最近はよく、そんな事を思っている。ただ、俺は批判するだけだ。

 本当に大統領なんかになろうなんて思ってない。ただの望み。

 誰かこの世界に、救世主がほしいだけ。

 「ここでまた新しいニュースです」

 今度は少し、慌しい感じだ。

 「つい先ほど、連続殺人事件の二十人目の犠牲者が出ました」

 俺はテレビに釘付けになった。

 「13時52分頃、東京都内に住む西ノ宮和子さんが先日の予告通りに射殺されました」

 これは便利になってからすぐ起きた。移動はエレベータになってから、名前・住所を入力すると、その家に入る事が出来る仕組みになっている。

 もちろん住人にはリモコンを持たせ、不審者が入ってきた場合には拒否する事が出来る。

 だが、その住人がそのリモコンのボタンを押さなければ、誰でも入ってくる事が出来てしまうのだ。

 そして事件は起こったんだ。連続殺人事件が。

 性別は問わず、殺された人物同士の関係はつながらない。

 しかも、その相手には必ず「殺す」と書かれた手紙が配達されている。

 いつ一緒にいようが、急に倒れて死んだりと、原因は不明。


        やっぱりこの世は、腐っているんだ。


「情報が入り次第、またお伝えします」

 またふと、思う。

 「これだって、俺が上に立てば、直してやるのに。」


  もう一度言っておく。単なる望み。







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