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2007.09.08
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首

~角川文庫、1996年改版初版~

 金田一耕助シリーズの4編の短編が収録されています。それぞれの簡単な内容紹介と、感想を。

「生ける死仮面」 昭和2X年8月。奇人として知られる古川小六のアトリエからの異臭に気付いた警官がアトリエをのぞくと、古川が、死後そうとうの時間のたった美少年の隣におり、デスマスクに化粧しようとしていた…。男色家で知られる古川のこととて、昭和の「青頭巾」事件ともいわれた事件であるが、少年は、殺害されたわけではなかった。単純な事件と思われたが、金田一耕助は、複雑な背景があるのではないかと考える。

「花園の悪魔」 昭和2X年4月。Sという温泉場の花園の中で、全裸の女性の死体が発見された。被害者であるヌードモデルのアケミは、旅館の人々に顔を隠した人物と、旅館の離れで会っていた。しかし、最重要参考人であるその人物―アケミと親しい欣之助と思われた―の行方は、つかめなかった。

「蝋美人」 最愛の娘を亡くしてから、悪い評判もたちはじめた医学博士の畔柳氏が、腐乱した自殺死体の骨に肉付けをして、生前の姿を再現しようと計画した。再現された「蝋美人」は、防犯展覧会に出品されたが、これが物議を醸した。それが、夫を殺して失踪したと考えられていた、妖花マリとそっくりだったからである。その頃、金田一耕助のもとに仕事の依頼があった。マリによる夫殺し(と思われていた)の事件を見直してほしいというのだった。

「首」 300年前、名主が殺害され、その首がちょこなんと置かれた岩は獄門岩、その身体が流れ着いた場所は首なしの淵と呼び習わすようになった。岡山県の小村に休養にきていた金田一耕助は、なじみの磯川警部からそんな話を聞いた。ところが、昨年も、猟に出ていた旅館の主人が殺害され、その首が獄門岩に置かれ、体は首なしの淵から発見されたという。磯川警部は、その事件を解決しておらず、忸怩たる思いを抱いていたが、さらに、警部と金田一耕助が旅館に滞在している間に事件が起こった。映画撮影にきていた一行がいたが、映画監督が殺されたのだった。一年前と全く同じ状況で…。

ーーー

 何度目かの再読です。


 さて、どの話も良かったです。「生ける死仮面」は、単純そうに見えながら、意外な事実がどんどん出てきて、わくわくしながら読み進めました。「花園の悪魔」は、以前『死神の矢』の感想でもかいたことですが、アケミさんが出てきてテンション上がりました。それはともかく、ラストが怖いですね。「蝋美人」では、防犯展覧会が出てきますが、これは京極夏彦さんの『今昔続百鬼―雲【多々良先生行状記】』に収録された「古庫裏婆」に出てくる「衛生展覧会」のようなものでしょうか。当時の風俗がうかがえるのがよいですね。
 そして、表題作の「首」。中学生の頃に横溝さんの作品を読むようになったのですが、当時の私にとって、「本陣殺人事件」『女王蜂』のようなトリックは、とてもわくわくするものでした。今回再読するにあたり、そういえば、「首」もわくわくする話だったとぼんやり思い出したのですが、やっぱり良かったです。
 なお、本作に収録された4つの短編は、いずれも事件の年代がはっきりしませんが、「首」事件は、『八つ墓村』事件よりも後のことということをメモしておきましょう。

 どの事件も陰惨なのですが、横溝さんの作品にはどこか優しさがあるように思います。

*表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。





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Last updated  2007.09.08 07:15:32
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