ソポクレス(藤沢令夫訳)『オイディプス王』
~岩波文庫、 1999
年第 55
刷改版~
エディプス・コンプレックスの語源でもある、あまりにも有名なギリシア悲劇作品です。
一方、自分が父を殺し母と交わるとの神託を受け、コリントの父母のもとを離れ放浪の旅に出たオイディプスは、テバイをおそうスフィンクスの謎を解き、まちを救ってライオス亡きテバイの王に即位します。
しかし、その後もテバイは災厄が続き、前王ライオスを殺害した者を罰せよとの神託が出ます。
災厄を打破するため、盲目の予言者テイレシアスを呼びつけたオイディプスですが、自分自身がライオスを殺したとの予言者の言葉に激怒します。しかし、妻(=前王の妃)イオカステや、コリントの使者たちの言葉を聞くうちに、恐ろしい運命に気付き始め…。
話の真相自体は有名ですが、あらためてこの作品を読むと、その真相に至る過程のオイディプスやイオカステたちの心の動きがたくみに描かれていることに気付かされます。オイディプスに呼ばれ、真相を知っているがゆえに答えを拒もうとするテイレシアスとオイディプスのやりとりなどなど、読んでいてやりきれない気持ちになる場面の連続でした。まさに悲劇です。
訳者解説も大変興味深く、特にアイスキュロスによる『オイディプス』劇との比較や、アリストテレスによる批評の詳細な分析、そして 1881
年ハーヴァード大学で行われた完全上演の様子の紹介などが印象的でした。
(2024.11.19 再読 )
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