MOON LIGHT ~約束~


10月・・・紅葉の季節の中で、俺は親の離婚により行き場をなくした。
一人暮らしはやていける自信がなかったため、いとこの家に引越す事になった。
その家には、昔一度行っただけで、道はもう忘れていた。
そのため迎えを頼んだのだが来るのが遅い。
予定時刻より1時間遅れているのだ。
まぁ、駅がちょっとした山の上にあるせいだろう。
切崎「ったく・・・遅いっての・・・」
そんな独り言を吐きながら待つ切崎。
周囲を見回すと美しかった。
綺麗だった。前住んでいた所にはない美しさ。
遠くには山があり、今は紅葉の季節、赤く染まった山々が綺麗だった。
下を見れば町が見える、昔を思い出しながら眺めてみた。
上を見れば空があり、青く澄んでいて雲が流れている。
流れる雲を目で追いかけていけばどこまでも続いていくそら、それをどこまでも流れていく雲。
こんな恵まれた風景を見て、空と一緒に心も澄んでくるようだ。
そして、まわりの景色を見ながら待っていた。
やがて、待ち合わせしていることも忘れて景色にみとれていた・・・。
ここの景色は正に一流だろう。
その時、切崎が隣に少女がいることにやっと気づいた。
少女「綺麗だよねぇ・・・、毎年紅葉の季節はここに来て景色を見る人が多いんだよ」
少女が現れた。あの懐かしい少女が。
髪は前に会ってた時より短かった。セミロングと言ったところだろうか。
身長は170くらいあって、スタイルは結構良い。
さすがに結構成長しているようだ。
切崎「そうだな・・・・俺が前ここに来た時は夏だったから知らなかったよ」
そう、切崎が前来た時は夏。
確かここの夏はとびきり暑かった気がする・・・。
少女「いきなり話掛けられたのにびっくりしないの?」
唐突な質問にも驚かず、
切崎「びっくりしてほしいか?びっくりまー!いつからそこにいたの!?」
と、わざとっぽく驚いてみる、実際驚いていないが。
少女「・・・・あからさまにわざとらしいよ・・・」
当たり前のことだが少女もわざとだという事に気がついた。
そして少女が聞く。
少女「ところで、私の名前覚えてる?」
不安そうに聞いてみた。
切崎「あぁ、覚えてるぞ」
少女は、内心では(覚えててくれたんだぁ・・・)と、ものすごく喜んでいた。
まるで幸せをつかんだように。
少女「私も覚えてるよ」
ご機嫌な声だった。
まるで雲がない真っ青な空のような機嫌の良さだった。
切崎「なら、答えてみろ、そのあと答えてやる」
少女「うん、わかったよ、切崎 悠」
少女は間違いなくフルネームで答えた。
それに対して切崎は・・・
切崎「殺村」
と冗談を言う。人がご機嫌でいるのにその気持ちを崩すかのように・・・。
少女「そんな名前嫌だよ・・それに違うよぉ」
正論だろう。
切崎「ほら、はやく行こうぜ」
少女「ごまかさないで・・・」
少女の気持ちは一気に雨雲。
切崎の気分は真っ青な空。
切崎「早く行かないと理緒さん心配するぞ、急ごうぜ、未来!」
未来「あ・・よかった・・覚えててくれたんだ・・・」
こうして未来の心の空は雨が止み晴れ晴れした空になった。
切崎「置いてくぞー、先行っちゃうぞー」
切崎は道を覚えていない、どうやって関宅に行くのだろうか。
未来「道もわからないのに・・・それにそっち逆方向だよ・・・」
未来が止めていなかったら切崎はどうなっていたことだろうか。
切崎「・・・・・急げとは言わないから道案内してくれ」
未来「うんっ!」
こうして切崎の新しい生活は始まろうとしていた。
切崎「ってか、転校するってのにあいつら全然いつも通りだったよな・・・寂しいぜ・・」
あいつらとは前の学校での友達とかのことだろう、切崎の言うとおり、その友達は皆寂しいとかそういう感情はわかなかった、と切崎は思い込んでいる。
どうせ俺は・・・と切崎は少し落ち込んでいた。
未来「独り言言ってないで、早くいこっ」
未来が切崎を急かす、それほど再会できたことがうれしかったのだろう。
いつの日か失いそうになった子供の気持ちがよみがえり、今ならどんなことでも楽しく思えそうだった。
やがて、腕を引っ張られ着いたのは、記憶のどこかにある家だ。
2階建てで庭も多少ある。
普通の家と比べれば多少広い家だ。
2人で暮らすには広すぎるだろう。だが、今日からは俺もこの家に住むことになる。
3人で暮らせば丁度良いだろう。
そして、関宅の門の前で昔の記憶を思い出しながら門から入っていく。

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