海を感じていたい

瑠璃の歌( 五行歌集）

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黒い詰め襟で　　　　　　　雑草のように　　　　　　朝露に　　　　　　　　　
巣立つ　　　　　　　　　　たくましく　　　　　　　濡れ落ちる
吾子に　　　　　　　　　　すすきのように　　　　　花一つ
幼い日の面影を　　　　　　しなやかに　　　　　　　はらりはらり
にじんだ視界で見る　　　　生きられるように　　　　想う人あり

ポーカーフェイス　　　　　泥にまみれた　　　　　　借り物の肉体
で　　　　　　　　　　　　ちっぽけな石　　　　　　の
鏡（ミラー）に向かい　　　磨いてくれた　　　　　　奥で
くっきりと引く　　　　　　貴方との偶然を　　　　　蠢く
深紅の口紅（ルージュ）　　必然と思いたく　　　　　本当の私

泪枯れ　　　　　　　　　　想いを　　　　　　　　貴方の視線
て　　　　　　　　　　　　言うも　　　　　　　　で
理由（わけ）など　　　　　言わぬも　　　　　　　ゆらゆら
ぼやけた　　　　　　　　　貴方の性　　　　　　　奏で始める　　　　
昼下がり　　　　　　　　　だから　　　　　　　　協奏曲（コンチェルト）

マグマの様な太陽　　　　　若い日の　　　　　　　炊き込めた　
を　　　　　　　　　　　　熱い思い　　　　　　　香が呼ぶ
両手（もろで）広げて　　　秘め　　　　　　　　　祖母と
抱き込む　　　　　　　　　時は流れ　　　　　　　過ごした
海の優しさ　　　　　　　　翳りゆく　　　　　　　セピア色の日々

ぬばたまの夜更け　　　　　月満ちて（フルムーン）　夕暮れの　　
グラス片手　　　　　　　　川原の石にも　　　　　　珈琲
に　　　　　　　　　　　　どこか似て　　　　　　　深々と
聞く　　　　　　　　　　　支え合う　　　　　　　　味わいながら
貴方の残り香　　　　　　　秋の日々　　　　　　　　感じる男性（ひと）あり

深夜聞く　　　　　　　　　遺された　　　　　　　　ただ一人
雨の音　　　　　　　　　　銀のライター　　　　　　黄昏の家の中
は　　　　　　　　　　　　握りしめ　　　　　　　　何処か
慈愛に満ちた　　　　　　　捧げる　　　　　　　　　で
心理療法士（セラピスト）　泪の挽歌（レクイエム）　犬の声

人は　　　　　　　　　　　無言で更けゆく　　　　　目を閉じて　
何故　　　　　　　　　　　雪の夜　　　　　　　　　耳になる
生きるのか　　　　　　　　窓に　　　　　　　　　　息づかい　　
出口の見えない　　　　　　は　　　　　　　　　　　呼ぶ声
ぬばたまの闇　　　　　　　銀の影絵　　　　　　　　昇る瞬間（とき）

北の朝　　　　　　　　　　砂一粒一粒にも　　　　　ぎらつく太陽
想いを　　　　　　　　　　それぞれの　　　　　　　に
気化させ　　　　　　　　　想いあり　　　　　　　　向かって立つ
肩を並べる　　　　　　　　人間も　　　　　　　　　向日葵の
オフィス街　　　　　　　　皆同じ　　　　　　　　　優しい眼

女の　　　　　　　　　　　黄金色にざわめく海　　　　　鉢巻きの　　　　　
想い　　　　　　　　　　　を　　　　　　　　　　　　　前髪踊らせ
男の　　　　　　　　　　　見つめて　　　　　　　　　　駆けていく
情　　　　　　　　　　　　私も風になる　　　　　　　　青い春の
メビウスの輪　　　　　　　田舎道（カントリーロード）　ゴール目指して

ランドセル放って　　　　　正義感溢れる　　　　　　　まどろみの　
駆け行く吾子　　　　　　　一言　　　　　　　　　　　延長線
に　　　　　　　　　　　　が　　　　　　　　　　　　夢でも
重ねる　　　　　　　　　　映す　　　　　　　　　　　読む
赤茶色（セピア）の記憶　　ガラスの器　　　　　　　　『チョコレート革命』

真夜中の　　　　　　　　　「たまちゃん」　　　　　　一攫千金の　
間違い電話で聞く　　　　　「うたちゃん」　　　　　　夢
告白　　　　　　　　　　　唄うように　　　　　　　　打ち上げ花火で
目は冴え冴えと　　　　　　はしゃぐ人間　　　　　　　終わった
言葉失う　　　　　　　　　もぐるアザラシ　　　　　　「サマージャンボ」

薄明かりに　　　　　　　　中東のお姫様って　　　　　飽食は
浮かぶ　　　　　　　　　　どんな人　　　　　　　　　ペットも同じ
吾子の寝顔　　　　　　　　『スルタン』　　　　　　　息子の撒くエサ
しばし　　　　　　　　　　香らせ　　　　　　　　　　を
冷気忘れる　　　　　　　　想うとき　　　　　　　　　無視して泳ぐ

カチカチ山の狸さん　　　　３０年　　　　　　　　　　師走の風　
見えない炎を　　　　　　　隔てて再びの　　　　　　　駆け抜けて行く
背にしょって　　　　　　　同窓会　　　　　　　　　　情も
受験の山見て　　　　　　　面影捜して　　　　　　　　未練も　
ひた走り　　　　　　　　　名を充てる　　　　　　　　道連れにして

モグラに　　　　　　　　　　　　　素肌に　　　　　お歯黒の
抱かれ　　　　　　　　　　　　　　白いシャツ　　　現代版か
貴方に　　　　　　　　　　　　　　貴方色に　　　　カラスミのパスタほおばり
逢いに行く　　　　　　　　　　　　染まる　　　　　ゴシップふりまく
ラヴェルの『ボレロ』聞きながら　　黄昏時　　　　　熟女達

親しき仲にも　　　　　　　竜馬の　　　　　　　　　夜桜の下　　　　　　　
秘密あり　　　　　　　　　生きたかった年齢　　　　で
『エスケープ』吹きつけ　　を　　　　　　　　　　　君を待つ　　
女になる　　　　　　　　　だらだらと生きてる　　　ゆらりゆらりと　
瞬間　　　　　　　　　　　私　　　　　　　　　　　酔った心地して

ギュペシルク　　　　　　　貴方を想い　　　　　　　無言で更けゆく　
貴方の前で　　　　　　　　胸焦がし　　　　　　　　雪の夜　
香らせる　　　　　　　　　て　　　　　　　　　　　窓　　
悪女になりたい　　　　　　求める　　　　　　　　　に
バニラな夜　　　　　　　　深紅のシクラメン　　　　銀の影絵

ビールの泡　　　　　　　　待てど暮らせど　　　　　ぷくぷくと
口角に　　　　　　　　　　道草摘む　　　　　　　　紫陽花芽吹き
残し　　　　　　　　　　　吾子の　　　　　　　　　雨を待つ
しゃべる男　　　　　　　　声　　　　　　　　　　　虹色の夢
哀しい道化師　　　　　　　風に聞く　　　　　　　　開くまで

雷　　　　　　　　　　　　微風　　　　　　　　　　日陰で
雨　　　　　　　　　　　　まどろみ　　　　　　　　紡ぐ　　　　
微笑　　　　　　　　　　　午睡　　　　　　　　　　アジアン・タイム
旅立ち　　　　　　　　　　遠ざかる　　　　　　　　あの夏の引き出し
MY WAY　　　　　　　　　　声　　　　　　　　　　　開ける時

「あいつ」　　　　　　　　鍵盤で描く　　　　　　　ぬばたまの夜更け
という名の　　　　　　　　ジョージ・ウィンストン　バーボン
ボトル　　　　　　　　　　の　　　　　　　　　　　で
飲みもせず　　　　　　　　秋　　　　　　　　　　　崩れゆく
苔生した日々　　　　　　　黄金色の波　　　　　　　南極の氷

終わりかけの　　　　　　　高く　　　　　　　　　　　愛するとは
夏休み　　　　　　　　　　そびえても　　　　　　　　丸ごと受け入れる事
息子と　　　　　　　　　　波に　　　　　　　　　　　恋するとは
読む　　　　　　　　　　　朽ちる　　　　　　　　　　うわべだけ見ること
英語教本　　　　　　　　　砂の城　　　　　　　　　　揺れる季節

電話鳴り　　　　　　　　　街角の　　　　　　　　　　忙しさが　
まどろみから　　　　　　　珈琲店　　　　　　　　　　連れてくる
現実へ　　　　　　　　　　エスプレッソ片手に　　　　快い　
引き戻される　　　　　　　喧噪を　　　　　　　　　　疲れ
午後の憂鬱　　　　　　　　楽しむ　　　　　　　　　　天からの贈り物

這うようにして　　　　　　ようやくの　　　　　　　　同窓会
手に入れた　　　　　　　　独り旅　　　　　　　　　　水面に広がる
山頂からの　　　　　　　　しがらみからの　　　　　　波紋
絶景　　　　　　　　　　　解放　　　　　　　　　　　表に出さず
人生もしかり　　　　　　　素に帰る　　　　　　　　　微笑む

角が取れ　　　　　　　　　サム・タイム・イン・ザ・イヴニング　
丸くなった　　　　　　　　そっと
父の横顔　　　　　　　　　つぶやき
に　　　　　　　　　　　　触れてみたい　　
老いを見る　　　　　　　　時

芯まで　　　　　　　　　　長い　　　　　　　　　　　一触即発
凍る　　　　　　　　　　　冬のトンネル抜けて　　　　の
北国の朝　　　　　　　　　春の日射し　　　　　　　　緊張感　　　　　　
カプチーノ含み　　　　　　微笑みかける　　　　　　　ピリピリ震える
蘇生する　　　　　　　　　山里　　　　　　　　　　　宇宙

ピエロにも　　　　　　　　愛でられ　　　　　　　　　寒い夏　
意地がある　　　　　　　　抱かれ　　　　　　　　　　　と
何時でも何処でも　　　　　開花する　　　　　　　　　長い冬
は　　　　　　　　　　　　貴方のなかで　　　　　　　ボロボロの地球が
戯けない　　　　　　　　　大輪に　　　　　　　　　　泣いている

横目にケーキ見て　　　　　身も心も　　　　　　　　　わずかの
珈琲　　　　　　　　　　　ぐらぐらと　　　　　　　　ズレが
　で　　　　　　　　　　　船酔い気分　　　　　　　　呼ぶ　
堪える　　　　　　　　　　吐くに吐けない　　　　　　哀しい時の
午後３時　　　　　　　　　胸の内　　　　　　　　　　刻印　

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