おはなし  風邪



啓介と恭子のクリスマス編
前回の「別離」の続編かも。


 **************************


クリスマスソングが、流れる。

あ~ 今年もまた、1人ぼっちのクリスマスだなあ~
いつになったら、好きな人と、クリスマスが過ごせるんだろう。

本当に、サンタさんっているのかな。
子供には、サンタさんが来るのに、どうして大人には、サンタさんが
来ないのかな・・・
大人でも、サンタさんからプレゼントをもらっている人は、たくさん
いるのに。

やっぱり、恋人がサンタクロース?
世の中、不公平。

クリスマスが、近づいても、啓介からの連絡はない。


つまらないなあ~
恭子は、クリスマス間近に、1人でタイヤ屋にいた。

 「あれ、もしかして・・・」

恭子が、商品を見ていると、声をかけてくる男がいた。

 恭子「ああ、同じ黒のFDの・・・」

 「そそ。覚えていてくれたんだね。ありがとう」

 恭子「うん」


2人は、タイヤ屋を出て、一緒にお昼を食べた。
クリスマスが、近づく中、淋しい恭子は、うれしかった。

 恭子「あのーー あのですね・・・
    クリスマスイブって、あいてますか?」

恭子は、思い切って聞いてみた。
クリスマスイブは、運よく土曜日である。

 「うん」

男は、うなづいた。

 恭子「あの・・・私も、クリスマスイブ、1人なんですよ。だから・・」

男は、ちょっと考えてから言った。

 「本当に、俺でいいの?」

 恭子「うん・・・」

何か、歯切れが悪かった。
本当は、やっぱり啓介と一緒に過ごしたいと、いう気持ちがあった。

でも・・・
自分から、電話する勇気はない。
<クリスマスイブに会いたい>と言えない。

 「クリスマスイブに、Hしていい?」

ドキッ。

恭子は、大きく首を振った。

 「そんなに拒否しなくても・・・冗談だってば~」

男は、笑った。

 「でもね。本当に俺と、クリスマスイブを過ごしたいと思うなら
  それくらいの覚悟はなくっちゃあ・・・」

恭子は、だまりこんでしまった。

 「もしかして・・・好きな人 いるんじゃないの?」

ドキッ。
ドキドキ・・・

 「やっぱり、いるんだ・・・」

ドキッ。
ドキドキ・・・

 「その好きな人と、会えばいいじゃないか」

 恭子「・・・会いたい。 でも・・・」

 「でも・・・?」

 恭子「電話をするのが、怖いの。 会うのが、怖いのよ」

 「う~ん。 じゃ、手を開いて」

恭子は、右手を開いた。
男は、恭子の手のひらに、漢字で<勇気>と書いた。

 「さあ、これを食べて」

ん?
何これ。 何かのおまじない?

 「ぱくっと、飲み込んで」

恭子は、言われるままに、手のひらの<勇気>を口に入れた。

 「少し早いけど、俺からのクリスマスプレゼント・・・
  これで、勇気が出ただろ。
  好きな人のところに、電話して会えばいい」

 恭子「でも・・・」

 「その人のこと、好きなんだろ?」

 恭子「うん」

ありがとう・・・


同じFD乗りから<勇気>をもらったものの、なかなか電話ができない恭子。

どうしよう・・・

20日、21日、22日、23日・・・
クリスマスソングが、流れる。
とりあえず買ったプレゼントを見て、ため息をつく恭子。

どうしよう・・・

恭子は、仲間に頼んで、高橋家を探してみる事にした。
啓介の父親が、有名なので、意外にも早く、高橋家を見つける事ができた。


 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


24日。

どうしよう・・・
まだ電話してない。
啓介さんは、24日にうちにいるのだろうか。

ドキドキ。


本番の24日の夜。
高橋家には、啓介のFDだけあった。
啓介は、いるのだろうか。
家族で、出かけたとか。


ピンポーン
ゴボゴホとせきこんだ啓介が、出て来た。

 恭子「こんばんは。 どうしたの?」

 啓介「おまえか・・・どうした?」

 恭子「クリスマスイブだから・・・会いに・・・来たの」

 啓介「そうか。まあ、あがれよ」

 恭子「お邪魔します。 風邪ひいたの?」

 啓介「ああ。 熱は、下がったんだけど、だるくてさ~」

ゴホゴホ・・・
鼻水も出ている啓介。

 啓介「それなのにさ~ 親父とお袋は、クリスマスパーティとやらに
    出かけたし。 
    アニキは、彼女とデートだし」

ゴホゴホ・・・

 恭子「大丈夫? ご飯食べたの? お薬は?」

 啓介「飯食ったし、薬も飲んだ。寝てれば治る」

ゴホゴホ・・・
啓介は、ベッドに横になった。

 恭子「本当に、大丈夫?」

 啓介「あぁ」

 恭子「ごめんなさい。調子が悪い時に来て・・・」

 啓介「アニキが、出掛けに<今朝の占いで、いい事がある>なんて
    言ったけど、本当にいい事、あったぜ。
    おまえと・・・・・・・会えた。
    クリスマスが近づいて、おまえの事が気になってた。
    でも今更、会いたいなんて言えるわけがない」

ゴホゴホ・・・

 恭子「私も・・・・会いたかった・・・
    あっ。これ。クリスマスプレゼント」

恭子は、袋を渡した。

 啓介「サンキュー」

ゴホゴホ・・・

 恭子「大丈夫?」

 啓介「何とか・・・ごめん。 プレゼントの用意してなかった」

 恭子「ううん。いらない。
    こうして、啓介さんに会えた事が、私にとって大きなクリスマス
    プレゼントだから」

ゴホゴホ・・・
啓介は、つらそう。

 恭子「何か、かわいそう。 代わってあげたいくらい・・・」

恭子が、啓介を見つめた。

 啓介「もうそろそろ、帰った方がいいんじゃないのか?
    風邪うつるぞ」

 恭子「大丈夫よ。 啓介さんのそばにいたいの」

 啓介「プレゼント、何がほしい?
    今度、会う時までに、考えておけよ」

 恭子「だから、いらないってば~ こうして、啓介さんのそばに
    いるだけで十分」

 啓介「その辺で、ほしい物があったら、持ってけよ」

恭子は、辺りを見回した。
その辺って・・・
車の雑誌や、パーツが転がってるだけ。

ゴホゴホ・・・
鼻水も、ずるずる~

 恭子「お父さんとお母さんは、何時頃帰って来るの?」

 啓介「泊まって来るって、言ってた。
    <熱も下がったし、子供じゃないんだから大丈夫ね>って
    お袋が、楽しそうに出掛けて行った。
    アニキも、彼女と一緒だから、帰って来ないだろう」

 恭子「そうなんだ・・・」

 啓介「俺は、1人でも大丈夫だから、帰れよ」

ゴホゴホ・・・

恭子が、啓介のおでこに手をあてた。

ドキッ

 恭子「少し熱が、あるんじゃないの?」

 啓介「大丈夫」

 恭子「ねえ・・・今日ここに泊まってもいい?」

ん?

 啓介「何、言ってんだよ。おまえ。
    俺は、1人でも大丈夫だから、恭子は帰れよ。
    そのうち、俺の風邪がうつるかもよ」

 恭子「うつってもいい・・・
    啓介さんの風邪をもらったら、啓介さんが、元気になるでしょ」

 啓介「おまえは、ばかだな~」

ゴホゴホ・・・

 恭子「ほしい物、見つかった」

ん?

恭子が、啓介を見つめた。

 恭子「啓介さんの風邪が、ほしい・・・」

啓介が、笑った。

 恭子「啓介さんの風邪が、ほしいの・・・」

 啓介「一晩中、俺のそばにいるのか?
    ・・・・それとも、一緒に寝るのか?」

ドキドキドキ・・・

恭子が、啓介の顔に、近づいて来た。
同じFD乗りから<勇気>をもらったから、できる・・・

ん?

 恭子「恥ずかしいから、目を閉じて・・・」

啓介は、目を閉じた。
啓介の唇と、恭子の唇が、微かに重なった。

ドキドキ・・・

 啓介「もっと・・・・キスしようか」

ドキドキドキ・・・


たくさんたくさんキスをして、あなたの風邪をもらう。
あなたに元気に、なってほしいから。

サンタさん。
すてきなクリスマスプレゼントを、どうもありがとう。


 おはなし「風邪」完


 *************************

 あとがき

暑い初夏に、なぜ~~~~
クリスマスなんだあああああ。
と、書いている本人も、読んでるあなたも、そう思ったでしょう(爆)

下書きは、昨日1日にした。
直しも入れずに、時間がないため、打ちながら直し。
って、ほとんど直してない(笑)

啓介と恭子のその後を、書きたかった。
ちなみに、啓介から恭子に会うおはなしも、考えていたが・・・・
忘れた(笑)
突発的に、頭の中で描いているから(笑)

ってか・・・
こんなおはなしをUPさせていいのだろうか・・・
啓介が、風邪ひいてるっておはなしを、どこかで書いた記憶があるんだけど。

リクエストを頂いているんだけど・・・
全く、思いつかなくて・・・
メールもそのままだし・・・
この場を借りて、すいません。。

何でも、書けると自分は思っていたんだが (←あほw)
最近、暑さで脳みそが腐り始めて~
だって、もうおでん屋休業だしぃ~

というわけで
ここまで、読んで下さった方、どうもありがとうございました。

多分次はないかも、しれませんww

  2004年6月2日


HOME



© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: