MILANO‘S REVIEW

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『月村 奎』 作品

月村 奎 作品


シルクさん、小夜さんに教えていただいた作家さんです。
キャラクターの心理描写や、話の設定等に独特の雰囲気を持ってらっしゃって、
どんどんひきこまれてしまいます。
セックスシーンなどはほとんどないのに、立派にボーイズ・ラブなのです。


■きみの処方箋■

叔父に引き取られた智郎と、心臓の弱い義理の兄、克巳の話。
BL話上『攻め』の立場の智郎の視点で書かれていることが多く
それがちょっと新鮮です。

克巳のことを、叔父の息子で、自分の従兄だと思っていたら
養子だったことがわかったり、
頑固で独善的で、智郎のことを嫌っていると思っていた叔父が、
実はそうではなかったと発見したり
智郎の成長と、克巳との仲の進展がゆっくりと描かれています。


■アプローチ■

寮制の男子校に転入してきた智里と、寮長の廉とのお話。
智里は、前の学校で、教育実習生に強姦未遂という事件のせいで接触恐怖症なのですが、廉や仲間に見守られて克服していく様子が丁寧に描かれています。

この廉という寮長、包容力があって 適当にいいかげんで
同学年の副寮長、健吾というキャラも、カワイイ顔して理解ある有人なので
読んでいてとても気持ちがよいのです。
私だってこーんな寮なら入ってみたい~~と思ってしまいます。


■おとなり■
父同士が犬猿の仲である、和菓子屋と(ケーキを出している)喫茶店の息子
博紀と哲のお話。
和菓子の味がわからない博紀が、甘いもの大好きで鋭い感想を言う哲に
毎朝和菓子の残りを持っていってやってるエピソードが好きでした。

こちらは博紀×哲なのだけど
その兄さん同士は逆パターンで
博紀の兄さん、多紀は、前に、哲の兄さん力にゴー○ンされた経緯があり
現在は避けまくっているのです。
が、強引な力が負いかけまくって・・という『大人話』も面白かったのでした。


■WISH■
両親亡き後、小学生の弟との生活を守る為、バイトに明け暮れている大学生、尚也と、
大学の先輩でもあり、今年は尚也の担任にもなった高野とのお話。
いくら保険金があっても、二人も私立校に通っていたら、そりゃー大変だよねー
と、ついつい親の気持ちになって読んだり(笑)
この、高野も、『アプローチ』の寮長のごとく、包容力があって頼りになるタイプ。
普通のBLだったら「もっと欠点なんかもある人の方が面白い」と思うんですが
この方の小説だと、そんなそつの無いキャラでもすんなり通ってしまうから不思議です。


■Release■

これまで優等生で通ってきたのに、営業の仕事が合わず、疲弊している安西クンが
高校時代を過した町に同窓会で帰って、奥村という同級生と再会し、
「あの時の写真、まだ持ってるぞ」
と脅され?て、会社をやめ、喫茶店を手伝うという話。

この二人の話もすっきりと入ってきますけど
友達の、慶応出たけど実家を継いでコンビニ店長な森クンと
幼馴染の女の子(実は結婚できないワケアリ)の話もしっとりしていて面白かったです。


■秋霖高校第二寮1,2■

いつも、知らないうちに人のお世話をしてしまう性分の聡(さとる)は4人兄弟。
念願の寮生活でやっとひとりぐらしが出きると思ったら、
家族的な第二寮に入れられてしまう。
ぶっとんだ性格の双子だとか、超イーカゲンな先生だとかにびっくりするけど
一番酷かったのは、高校生ながら売れっ子作家の波多野だった。
横暴な彼にいいように使われて怒ってはみるけれど、いつのまにかそのペースにひきこまれていく聡。

・・・この、波多野先輩との仲が、ビミョーに進展していく様子が良いのですよ。
一旦は近代的かつプライバシーを大切にする第1寮に移っても、(実は、波多野の陰謀で)また第2寮に戻ったりと、美味しいエピソードがたくさん。
これは、まだ続巻が出そうなので、楽しみです。

■そして恋が始まる■

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