
特に理由を意識することもなく、「レディ・バード」という名前を選びました。脚本に取り組み、いくつかの異なったシーンを書いたところで、行き詰まってしまいました。そこで、すべてを脇に寄せ、「なんで私をレディ・バードと呼んでくれないの?約束したじゃない?」と、ページの一番上に書いたのです。そして考えました、「この娘は一体誰?、自分をこの名前で呼ばせようにしている、この娘は誰?」と。今、振り返ってみれば、マザーグースのわらべ歌は知っていたし、宗教的にであれ、世俗的にであれ、改名すること意味についても、考えてはいました。(グレタ・ガーウィグ監督)
http://www.hammertonail.com/interviews/a-conversation-with-greta-gerwig-lady-bird/
"Ladybird, ladybird," BY MOTHER GOOSEのことです。レディ・バードはイギリスではてんとう虫の意味でも使われ、迷って自分の服に留まったてんとう虫を、子どもたちはこの歌を歌いながらフッと息をかけて吹き飛ばすそうです。
Ladybird, ladybird, Fly away home,
Your house is on fire And your children all gone;
All except one And that's little Ann,
And she has crept under The warming pan.
てんとう虫、てんとう虫、おうちに飛んで帰りなさい
おうちが火事になり、子供たちは皆死んでしまったよ
一人だけ助かった、それは末っ子のアンだよ
鍋の下に潜り込んで助かったんだよ
カトリックの堅信では、聖人の名前を選び、自分の見習いたいこと、到達したい所を選びます。世俗的な例では、ロックスターや映画スターになりたい人が、デビッド・ボウイやマリリン・モンローなどの名前を選びます。これらは彼らの実名ではない、彼らより偉大な人々の名前です。私が面白いと思うのは、これが二重の意味を持つことです。これは自分がより大きな存在になれるという一種の優越感なのですが、その奥底には現在の自分に満足できていないという不安定感が横たわっているのです。(グレタ・ガーウィグ監督)18歳の誕生日を迎えるや否やタバコやポルノ雑誌を購入するレディ・バードには、故郷を離れて東海岸の大学に進学し「自由で可愛らしい大人の女性」になりたいという夢とともに、今在る自分に満足できない不安定さがあることを示唆しています。
http://www.hammertonail.com/interviews/a-conversation-with-greta-gerwig-lady-bird/
故郷と取っ組み合いの喧嘩をすることができる、実際に離れるまで故郷の意味を理解できないというのは、そうしたティーン・エイジャーの優越感と不安定感によるものです。「今の私のままで大満足、私の生まれは素晴らしい」というティーン・エイジャーを、私はほとんど知りません。この年代は皆、自分は正しくない、自分がいる場所も正しくない、人生はどこか他の場所で始まると思い、実際に別の場所で生活してみようと考えます。そして実際に他の場所で実際に生活してみて初めて、人生はいつだって同じように続いていることに気がつくのです。(グレタ・ガーウィグ監督)レディ・バードのように母に喧嘩して走っている車から飛び降りてしまう少女はそれほど多くはないかもしれませんが、グレタ・ガーウィグはレディ・バードの一連の行動の背後にこうしたティーン・エイジャーに共通する成長のプロセスを想定することにより、その世代を通り過ぎた数多くの大人たちの共感を得ることに成功しています。
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