
ノンフィクションの映画を撮影する中で、運命的に起こる偶然というのはあまりないのですが、サンニの登場はまさに運命的なものでした。この作品を撮り始めた頃のアレックスは、それこそネットでデートの相手を見つけているような人でした。だから、まさか現実世界の女性とここまで真剣に向き合う人に出会うなんて思ってもみなかったのです。アレックスはサンニと付き合うようになって、人の誰しもが持つ「感情」の部分で進化を遂げていきました。彼はサンニを愛し、そして彼女も彼を非常に愛している。やがてサンニは、アレックスに対し自分の気持ちをぶつけていく自信を持つようになります。アレックスがサンニに関心を示さないときに、自分がどう感じているのか、どう思っているのかを伝えていきます。そういった変化が彼女の中で起きていく。その過程に立ち会えたのは特別だったなと思います。作り手として、映画を作っている意識を持ち、目の前で起きている現象にしっかりとアンテナを張っていました。この二人の関係は、映画の中で非常に大切な要素だったということ。また、アレックスはサンニの登場によって、2つの山を登らなくてはいけなくなったわけです。エル・キャピタンという山と、それまで不得意としていた「人間関係」という山。彼は見事にその二つを乗り越えたのです。(エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ監督)
https://cinemarche.net/interview/elizabeth-chai-vasarhelyi/
フリーライダーという垂直ルートの全高は915メートルにもなります。途中いくつかのセクションでは、カメラマンも300メートルほどトップロープでクライムダウン(岩壁の上からロープを垂らして懸垂下降すること)して狙う必要もありました。クルーはそれぞれが機材を担ぎ、壁のあちらこちらにカメラを設置し、どのアングルからどういう絵を撮りたいか?を入念に事前調査しています。カメラクルーは全員プロのシネマトグラファーでもあり、クライマーでもあります。なのでアレックスがクライマーとして、なにが一番気が散るか?は理解しているメンバーなのです。両方の技術を持った撮影者は世界でも3人くらいしかいませんけどね(笑)。クライマーが一番嫌がるのは、自分のムーブよりも撮影者たちの動きがスローになってしまうことです。なので、常にアレックスの動きを先読みして、ポジションとアングルを即決しなければいけません。アレックスがどんなに予測不能な動きをしても、アレックス本人に「カメラの存在」を感じさせないことが最優先ですから。(ジミー・チン監督)
https://cweb.canon.jp/cinema-eos/casestudy/documentary/vol2/index.html
クルーは全員優秀なクライマー兼カメラマンですけど、失敗は許されない。アレックスの死につながるかもしれないですから。50~70ポンドはする三千フィート分のロープ、重いカメラ機材、予備のレンズ、食べ物、飲み物を持ち、本人よりも早く登山し、本人が来るのを待っている。全部で14~15時間は拘束される。アレックスがルートの下調べをし、何度も動きを練習したように、クルーも練習を重ねて撮影。彼らの技術的な凄さが映像に出ています。彼らのことをどんなに褒めても褒めたりないくらいです。(エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ監督)
https://cinefil.tokyo/_ct/17301116




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