※あなたの大切な人は 誰ですか? こちらはお気楽極楽発信所※

第2話


こんな数日が続く。正直、2、3日で飽きて出ていってくれると
思っていた。
暗く誰もいない部屋に帰ってきて、
一人で食事をしてTVをみてストレッチをして寝る。
そんな、なんでもない日常が年下の元彼によって破壊され
、明るくご飯もできあがった家に帰ってくる毎日。
まんざらでもないけど、彼の狙い・・・
目的は一体なんなのであろうか?そんなことを考えながら
一緒に夕食をとっていた。

4日目の夜、ぬるい風呂にゆっくりとつかった後、
お気に入りのブランドの新作マニキュアを
機嫌良く塗っている時にここにヤツがいる理由が判明した。

「ねえ、さり~」
くろがチョコチップアイスを食べながら呼ぶ。
「・・・・・・・」
「ねえってば!!」
「そんなバカみたいな大きい声出さなくても聞こえます~!」
私は、ちょっとムッとした顔を作って答えた。
静かにTVをみていたと思ったら、
大きな目でじっとこっちを見ていた。
年下だからってそんなかわいい顔をすれば、
他のお姉さんたちはにこにこしてくれたと思うけど、
もー、私は違うからね。

「なんでさ、追い出さないの?いくら元彼だからって
居座られたらこまるんじゃない?」

「だって、どうせ他に行くところないんでしょ?
あの、くろが大嫌いな義理の叔父さんの所しかないじゃない」
「んー、そだね。」
「でしょう?」
「それに・・・・・・・」
「それに?」洗い立てのふわふわな髪に触りたい衝動に
かられつつ、その言葉も行動も飲みこんだ。

・・・寂しいとは口が避けても言えなかった。
この一年半、正直言うとダイエットをしなくても痩せていく体、
精神不安定な日々が続いていた。
でもそれは私が選んだ道、くろに罪はない。

事の起こりは、東京で観測至上最高の暑さを記録した日から
だった。



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