コタ&こたplusサチイブ お気楽DAYS

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Episode11


ふいに呼び出し音が響く。



飛空挺の アニキ から緊急連絡だ。



急いで飛空挺へ戻ると、 ダチ が詳しいことを話し出す。
各寺院から魔物が溢れ出して、
スピラ 中が混乱しているというのだ。

SOSを受けたものの、 カモメ団 はスフィアハンター。
この事態をどうすればいいのか・・・





リュック が提案した。

「お助け屋カモメ団ってのはどう?」


一時スフィアハンターを中断して、魔物退治を請け負おうというのだ。
これには アニキ もノリノリ。



各地の寺院へ飛ぶ カモメ団



寺院から魔物が出ただけでなく、どうも ヌージ バラライ
スピラ の二大勢力のリーダーがどちらも行方不明らしい。


これは何かあるに違いない。


青年同盟 新エボン党 からの要請もあって、
リーダーの行方のほうも調査してみることとなった。



ユウナ たちは、 ルブラン のアジトを訪れてみた。
ヌージ が姿を消して以来、彼女は普段の毒気も抜け、気力もないのか、すっかり抜け殻になっている。

「ほっといとくれよ」

パイン に挑発されてもまったく相手にする気も起きないようだ。
落込む ルブラン を、 ウノー たちが心配しているが、
誰の言葉をも彼女は受け入れず、ただ引きこもってしまっている。


ウノー サノー が、みんなで アンダーベベル へ行ったときに撮影したスフィアがあるというので、
ユウナ たちはそのスフィアを観てみることにした。


ユウナ たちを執拗に追う ウノー たちのカメラワークは別として、
ユウナ は一瞬映った小さい影に気がつく。


アンダーベベル の奥、アーム付き牢獄の部屋でチラッと映った人影。
びっこを引いているその人物は・・・

「ヌージだ!?」


リュック が叫ぶ。




ユウナ はもう一つスフィアがあるのを見付けた。
ウノー たちが アンダーベベル で見付けてきたらしい。

それに映っていたのは、牢に入っている【彼】に似た男。
バラライ の体を使って、 ヴェグナガン を利用しようとしている男だ。

「お前たち・・・いつか自分たちの武器で身を滅ぼすぞ!」


そうつぶやいているのが聞こえた。



「おそらく・・・1000年前の機械戦争のときのでしょうな。」


いつのまに入ってきたのだろうか。
驚いてみんなが振り帰ると、そこには話好きな老人 メイチェン がいた。


1000年前の映像?


じゃぁ、実在した人物?
【彼】=祈り子の夢だった ティーダ ではない?


だが、 メイチェン はそれを否定した。
ティーダ には スピラ の人間とは違うものを感じていたという。
スフィアの【彼】と ティーダ が他人の空似とは思えない、と メイチェン は付け加えた。



「つなががっている?」

ユウナ はつぶやく。

「祈り子様が言ってました。ぼくらの夢は消えるって。」


その言葉で メイチェン はなにか閃いたようだが、
長年さすらってきたせいか、思い出すことはできなかったようだ。



だが、 メイチェン ユウナ に気になる言葉を残して、 ルブラン のアジトから去っていった。

「ユウナ様、人はつながっとるのです。居なくなった人とも、また会えるかもしれませんな。」










Episode12


ユウナ たちは グアドサラム を後にし、
SOSサインの出ている寺院へ向かった。
魔物の出てきている寺院は今のところ2つ。



キーリカ寺院では、 新エボン党 の党員が魔物駆除に当たっていたが、
次から次へと出てくる魔物に押されている状態だった。
バルテロ もなんとかしのいでいたが、根本をなんとかしなければということで、
ユウナ たちが魔物が出てくる祈り子の部屋へ向かった。


そこには、祈り子像がなく、 ベベル の地下・バハムートの居た部屋のように
深く大きな穴が開いていた。


そして、立ちはだかり襲いかかる召喚獣イフリート。イフリート
魔物の発生を食い止めるには、倒すしかない。


心臓が押しつぶされそうなほどの悲しみを背負いつつも、
ユウナ は【それ】を異界へと送った。









ビサイド島 でも同じ事が起きていた。
次々と魔物があふれでる寺院を、
ベクレム が焼き払うといって ワッカ と口論になっていた。

火をつけるなんて、そんなことさせない。

ここは、 ユウナ が【彼】に初めて出会った場所なのだ。




魔物が出てこなければいいのだと言って ワッカ は寺院へ乗り込むが、
一人ではなんともならない。


ユウナ たちがキーリカ寺院と同じように
穴の開いた祈り子の部屋の召喚獣ヴァルファーレヴァルファーレを倒すと、
魔物は出てこなくなった。








そして、ジョゼ寺院からもSOSを受信した。
魔物を食いとめようと マキナ派 が戦っているが、どうやら手が足りないらしい。

なんと、 ギップル も行方が知れないという。



マキナ派 の戦力にも限界がある。
ユウナ たちは早速寺院に乗り込み、
マキナ派 のマシンと融合した召喚獣イクシオンイクシオンを打ち負かす。





祈り子の部屋にぽっかりと開いた深い穴。
その奥には一体何があるのだろうか?


穴を覗きこむ ユウナ たち。


リュックがつぶやく。


「この下、どうなってんのかな?」



あまりの深さに飲みこまれそうになるほどだ。





そのとき、 パイン が叫んだ。

「危ない!」




よろめきながらも今だうごめくイクシオンが、渾身の電撃波を放ってきたのだ。



理屈ではない。

瞬時に本能で飛んでいた。

電撃波の直撃を避けるために。






しかし・・










パイン リュック が気が付いたとき、
ユウナ の姿はなかった。


彼女が衝撃波を避けようと飛んだ先には、
ポッカリと開いた穴が開いているだけ。









「ユウナァーーーーーーーーーーーーッ!」



穴に向かって二人は呼ぶ。


答えはない。


リュック パイン はただ呆然と穴を見つめるだけだった。












Episode13



ふわふわとした感覚。
なんだかいい香りがする?



穴に落ちた ユウナ が目覚めた所は、不思議な空間だった。
景色・・・といえるのだろうか。
幻想的な空間――――地面には花が咲き乱れている。
どこかで滝の水音が聞こえる。

なんとなく 異界 に似ているが・・・


立ち上がる ユウナ は、自分が歌姫のドレスフィアの格好をしているのに気が付いた。


あれ?どうして?



そうだ、確か ジョゼ寺院 の穴から落ちて・・・

落ちていく途中で、あの指笛を聞いた気がする。




人の気配がした。
警戒して振り向く ユウナ の前に現れたのは――――

【彼】!?


優しい声を掛け、近づいてくる【彼】。


キミなの?



「ボクだよ。シューインさ。」

そして、【彼】は ユウナ をこう呼んだのだった。


「レン・・・」












「サイアク・・・」

そう思った瞬間、【彼】に似た男は ユウナ を強く抱きしめた。

なぜだろう・・・
そういうつもりはないのに自然と自身をその身にゆだねてしまう。
ティーダ ではないのに、なぜか心地よい気分に入りこんでしまう。

歌姫のドレスフィアのせいなのか?




何?誰の気持ち?

もしかして・・・ レン










「目を覚ませ!」


ハッ



覚えのある声に我に返る ユウナ
ぼんやりとした視界の先に現れたのは―――――

ヌージ
そして、その後ろには ギップル もいる。



二人の邪魔に気付いた【彼】に似た男は、

「終焉までまもなくだな」

そう言って、一瞬 バラライ の姿に見えたかと思うと、
ユウナ を突き放し、別の空間へ消えていった。


ヌージ ギップル は姿を消した バラライ を追ってきたようだ。
バラライ の体を【彼】に似た男が乗っ取っているらしい。
そして、 バラライ なら ヴェグナガン のいる場所を知っている。
【彼】の狙いは ヴェグナガン なのだろう。


パイン に渡してくれ」

そう言って二人はそれぞれ一つずつスフィアを ユウナ に託した。



「あんたは地上を頼む。」

ヌージ はそう言って ギップル と共に【彼】の後を追っていった。





ただ一人取り残された ユウナ

もう何が何だかわけがわからない。
混乱してどうしたらいいのかもわからない。


「もぉーっ!どうしろっつーのッ!

っ・・・・・


あーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」



ブチ切れる ユウナ



ヒューーーーーーーーッ


えっ!?



ふと何か聞こえた。


真剣に耳をすませる ユウナ


ヒューーーーーーーッ


確かに聞こえた!
指笛が!
ティーダ が教えてくれた指笛。


どこ!?

どこに居るの?

姿を見せて

おねがい



ティーダ の幻を見た気がした。
その姿を追いかけたる。

「待って!」


だが、幻はずっと先を歩いて消えてしまった。


幻?それとも・・・






ユウナ はバハムートと闘ったベベルの地下・ アンダーベベル で目覚めた。

ユウナ を呼ぶ声が通信機から聞こえてくる。
どうやら戻って来られたらしい。

いまだに夢の中にいるような感じから抜けきれない。


心配するカモメ団のみんなに、 ユウナ は元気に答える。

「ユウナ、戻りましたっ」












Episode14


飛空挺にもどったユウナは、穴に落ちてからのことを詳しくリュックたちに話した。
わかったのは、ヴェグナガンがヤバい兵器であること、
【彼】に乗っ取られたバラライを、ヌージとギップルが追っていることだった。

そして、シンラ曰く、【彼】の言っていたレンとは、歌姫のドレスフィアの人だという。

ユウナはふとパインがいないのに気がついた。

甲板へ出ると、パインが一人たたずんでいる。
ユウナはパインにヌージたちから預かったスフィアを伝言通り手渡した。

自分のことをあまり話さないパインが、
少しずつ過去を語り始める。


「昔の…仲間なんだ。」

パインが自ら自分の過去を語った。

「アカギ隊の候補生だった。3人(ヌージたち)の班に付けられた記録係が私だったんだ。」


アカギ隊とは、寺院が


「つながる先に…キミはいないんだ…」


古いスフィアに映っていた【彼】に似た男は、ティーダではないことがわかった今、
ユウナにスフィアハンターを続ける意味はない。


ブリッジに戻り、ユウナはこれからどうするかを話し合った。
アニキやリュックは、スフィアハンターをやめることを残念がっているが、
パインはそれも有りだと言う。

ユウナは考えた。

「それでも私、旅してたいんだ。
つながる先を確かめたいよ。」






ユウナはヌージの言葉を思い出す。


「あんたは地上を頼む」



ヌージ、ギップルはバラライを追って行ってしまった。
リーダーを欠いたそれぞれの組織は、まとめ役がいなくなって、その不安からお互い思想の違いからぶつかり合うようになっていた。

そして、ルブランはヌージ不在でもぬけの殻。

遠くガガゼトでは、ガリク中心に若きロンゾ族が、グアド族への恨みを晴らそうと決起したという。


このままではスピラがバラバラになってしまう。
ヴェグナガンが動き始めているかもしれないというのに、こんな状態では!

「ユウナが歌うってのは?」

パインが提案した。


ユウナの歌が聴けると浮かれるアニキのリーダー命令で即決。

ユウナもスピラのためならと、何を歌うかを考えてみた。
不思議なことに歌姫のドレスフィアを着ることで、レンの想いが歌になってユウナの中に流れてくる。


カモメ団はベルベル族のトーブリにコンサートの段取りをしてもらい、
スピラ中から観客を集めて、いがみあう新エボン党と青年同盟の人々の心を一つにしようと計画する。











Episode15


会場は、多くの人々を一度に集められる広さから雷平原。
トーブリたちの宣伝営業活動と、ユウナの知名度から、たくさんの人々が雷平原に集められた。


雷と雨の止まない雷平原。
集まった人々は青年同盟派と新エボン党、そして、派閥争いに関わりたくない人たちに別れ、
互いに文句を言ったり、挑発したりして、早くもいざこざが起きているようだ。
不穏な空気が伝染していき、ついにはつかみ合いのケンカにまで発展しそうな勢い。


そんな様子を見ながら、ユウナは歌姫のドレスフィアに着替えて
ステージ代わりの飛空挺の甲板へと足を進めた。


観客の言い争いが続いている中、マイクを握りしめ、ユウナは語り始める。


「1000年前、まだシンもいなかったころ、スピラが2つに分かれて争っていた時代がありました。」


シンを倒した大召喚士の言葉に、観客たちは一斉に口をつぐんだ。

「それは、スピラの過去の過ち…その過ちからシンが生まれて…
でも、私たちは―――スピラは悲しい過去を振り捨ててきた。
シンが消えてたった2年でスピラはとても明るくなった。
私はこの光を消したくないんだ…ねぇ、みんなは?

たくさんの人がいて、一人一人考えが違って、時には争うこともあって…
それでも心は一つになれるよ。
私は信じてる。
たとえ引き裂かれたとしても私たちの想いはつながる…これは、そんな歌です。」



雷平原にメロディが響き始める。

ユウナは自然とあふれ出る詩をメロディにのせて歌い始めた。

シンラが開発したスフィアスクリーンによって、
雷平原の空に繁栄していた当時のザナルカンドの町並みが映し出される。


観客はみなビックリした顔で上空を見上げている。
彼らは1000年前のザナルカンドなど観たことはないのだから。


やがてスフィアスクリーンには一組の男女が映っていた。

寺院の僧兵に追われる二人。
ヴェグナガンを動かそうとする男性
その前に手を広げて立ちはだかり、彼を止めようとするのは、
歌姫の衣装を着たロングヘアーの女性。

手を取り合う二人…女性は微笑んでいた。

そして…僧兵たちが一斉に引き金を引く。


まるでユウナが観た夢が、登場人物だけを替えてそのまま映っていた。

驚きを隠せないままも、ユウナは最後まで歌い続ける。


やがて決してなくなることのなかった雷平原上空の厚い雨雲から、
太陽の光が差し込んだ。
まるで、人々の確執を洗い流すかのように…


そして、歌い終わったユウナは心にあふれる感情を押えきれずにその場に泣き崩れるのだった。





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