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聖歌は生歌
オルガン(楽器編)
オ ル ガ ン ( 楽 器 編 )
前の、ページで、オルガンの簡単な歴史について書きましたが、今回は、楽器の特徴について書きたいと思います。
一番基本的なことですが、オルガンは、鍵盤を押すと、空気溜めにたまった圧縮空気がパイプに送られてパイプを鳴らす仕組みです。といっても、ただ鍵盤を押した(弾いた)だけでは音は出ません。楽器によっても異なりますが、音を出したい種類の
ストップ=レギスター
を、ノブの場合は引いて、タブレットの場合は押すことで、送風管が開通し、空気を送ることができるようになります。
さて、その
ストップ=レギスター
には、ドイツ語・フランス語・イタリア語・英語、さまざまな言語で書かれたことばと、16’8’、4’、2’、22/3’などの数字や漢数字が書かれています。ヨーロッパ語で書かれたことばは、
ストップ=レギスター
の
音色
を。数字は、音の
ピッチ(高さ)
を表しています。
まず、
ピッチ
ですが、8'(
’はフィート
と読みます)という
ストップ=レギスター
は、その音と同じ高さの音(実音)が鳴ります。16’は1オクターヴ低い音、4’は反対に1オクターヴ高い音、2’は2オクターヴ高い音、22/3’は1オクターヴ+5度上のソ、の音が出ます。漢数字は、通常、一つの
ストップ=レギスター
は一つの音が鳴りますが、これは、漢数字と同じ数の音が一緒に鳴るもので、
複合ストップ=レギスター
と呼ばれています。
次に、
音色
ですが、まず、基本的な
音色
であり華やかな音が出る
プリンチパル/ダイアペイスン族
。次に、やわらかい
音色
の
フルート族
、鋭い音で、倍音も強い
ストリング族(赤い字で表示されていることが多い)
に分かれています。
さて、実際に音を出す場合は、これら、
音色
と
ピッチ
を組み合わせて行くわけですが、いくつかの基本があります。それは
必ず
プリンチパル/ダイアペイスン族
あるいは
フルート族
の8’を基本に用いる
倍音列のストップを加えると、音量が強く聞こえるようになる
ところで、オルガンには普通、二段以上の
手鍵盤(マニュアル)
と
足鍵盤(ペダル)
があります。
手鍵盤
が二段の場合、下の鍵盤が
主鍵盤(グレート/ハウプトヴェルク)
、上の鍵盤が
補助鍵盤(スウェル/シュヴェル)
で、同じストップで弾いた場合
主鍵盤
のほうが音量が大きくなります。また、
補助鍵盤
は、
カプラー/コッペル
を使って、
主鍵盤
に下ろして弾くことができます。ただし反対はできません。さらに、本物のパイプオルガンの場合、
補助鍵盤(スウェル/シュヴェル)
のパイプは
スウェルボックス/シュヴェルボックス
という箱の中に入っていて、足で
スウェルペダル/エクスプレッションペダル
を操作して、
スウェルボックス/シュヴェルボックス
を開閉することで、強弱をつけることができます。しかし、他の鍵盤はこの操作ができません。この点は、電気式のオルガンと異なります。
足鍵盤
の最低音は
手鍵盤
の一番下の最低音と同じで、そこから、2オクターヴ半上のファないしソ(ト音記号の基準の)まで弾くことができます。また、
手鍵盤
と同じ理論で、
手鍵盤
の音は、すべて
足鍵盤
に下ろして弾くことができます。
さて、
手鍵盤
が三段以上ある場合ですが、これは、
ドイツ系のオルガン
と、
フランス系のオルガン
で、少し異なります。
ドイツ系のオルガン
の場合は、下から二段目が
主鍵盤
で、その上が、
第一
補助鍵盤
、上に行くにしたがって、
第二・第三
となり、一番下が、もっとも
音量が少ない鍵盤(ポジティフ/リュックポジティフ)
となります。
フランス系のオルガン
は、一番下が
主鍵盤
で、上に行くにしたがって
第一・第二・第三
補助鍵盤
となります。
オルガンは、各鍵盤ごとに、基本になる
ストップ=レギスター
と
アンサンブルを構成
する
ストップ=レギスター
が配置されていますので、オルガン自体は一つの楽器ですが、また、各鍵盤が一つの
アンサンブルを構成
していて、鍵盤の数だけ
アンサンブル
があると考えることができます。
オルガンといえば有名な
J.S.BACH
の曲に、6曲の「トリオソナタ」がありますが、これは、右手と左手で、それぞれ一つの
手鍵盤
を弾き、さらに
足鍵盤
が加わるもので、
高度な演奏技術
が要求されますが、これなどは、まさに、各鍵盤ごとが
アンサンブルを構成
する典型といえます。
カプラー/コッペル
を使って
補助鍵盤
を
主鍵盤
に、
手鍵盤
を
足鍵盤
に下ろして弾くのは、下ろして弾いた鍵盤で、複数の
アンサンブル
を一緒に弾いていると考えることができるのです。
『典礼聖歌』の伴奏法については、またの機会に書くことにしますが、答唱句と詩編唱は、別の
アンサンブル
を使うほうがよいことは言うまでもありません。
最後に、
ストップ=レギスター
の組み合わせですが、これは、楽器によっても
ストップ=レギスター
とその
ピッチ
が異なりますし、鍵盤ごとの組み合わせも異なるので、自分がいつも弾いている楽器に慣れるしかありません。普段から、どの
ストップ=レギスター
と、どの
ストップ=レギスター
を組み合わせると、どんな
音色
になるのか、どんな
音色
で鳴るのかを
覚えて置くように
しましょう。そうすることで、他の楽器を弾くときにも、あわてずにすむでしょう。
次回は『典礼聖歌』の伴奏法を考えてみたいと思います。
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