一即多、多即一

一即多、多即一

ガイアシンフォニー第5番



 一切は繋がっている。これはこの映画の中で語られているメッセージの一つである。宗教もしくは精神世界の分野で言われてきた「すべては一つに繋がっている」ということが最先端科学においても、証明されてきている。

 ガイアシンフォニー第5番の出演者、ラズロー博士の最新作、「Science and the Akashic Field: An Integral Theory of Everything」(仮邦題:科学とアカシック場:すべてを統合する理論)においては、時空を超えてすべてを互いに結合している場を「アカシック場」もしくは「Aフィールド」と名付け、その性質について科学的に議論している。

 量子力学においては、「Entanglement」(絡み合い)と呼ばれる現象が見出されており、光速を遙かに超えるスピードで、準同時的に量子が結合しあっていることが証明されている。 人の意識が他人の意識に作用すること(テレパシー)、祈りが治療に効果を発揮することなども、科学的に証明されてきている。

 ラズロー博士は、伝統的科学では解明できていないこれらすべての現象が、 「Aフィールド」を通じて起きていると考えている。 「Aフィールド」は、「量子真空場」「ゼロ・ポイント・フィールド」「サイ・フィールド」とも呼ばれてきているものである。

 一切は繋がっている。これはまさに仏教の縁起の法則である。ラズロー博士は2000年以上前から仏教が唱えていたことを、科学的に証明しつつある。将来的には宗教と科学が完全に融合する時がくるであろう。

 宇宙は一切の記憶を内在させている。だから私たちの行っていることが、未来にも影響を与えていく。故に自分のことを考えず、他人のために尽くすことが大事になってくる。私たちの行っていることが、子孫に影響を与え、自分たちにも返ってくるのである。一切は繋がっているのだから、周りのこともすべて私たちに関連がある。宗教で言われてきたことが単なる絵空事でなく、やはり重要な意味合いを持っていたのである。

 また、ダライ・ラマ法王が来日した時の様子がおさめられていた。ダライ・ラマ法王に一人の女性が質問をしていた。色々と悲惨な内容のことが報道されたりしているが、それを子供にどのように説明していけばいいか、といった趣旨のものであった。法王は確かに苦しみが多いが、それによって慈悲の心を培っていくことができる。だから目をそらさないでほしい、といった回答をしていた。
 苦しみを人は避けたがるが、それによって慈悲の心を培っていくことができるのだから、それも大切なことである。法王のこのような考え方は、非常に素晴らしいと思う。ダライ・ラマ法王の自伝を読んだり、映画を見たことがあるが、本当に悲惨な経験をされてきているが、そういうことをみじんも感じさせないほど、法王の笑顔は明るく、声は慈悲に満ちあふれている。これ以上ないほど悲惨な体験を乗り越えてきた者から生じる慈悲の心を感じさせた。

 他にも映画には貴重なメッセージがたくさん込められている。普段私たちは取るに足らぬことに翻弄されているが、地球や宇宙の広大な営みの前には、そのようなことが本当にどうでも良くなってくるように思える。単なる楽しみを求める映画が多いが、たまにはこういった心あらわれるような、そして色々と考えさせられるような映画を見ることも大切なことであると思う。

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