おんさま日記 onsama

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発達途上人


 2003年12月のある日、退職の挨拶の中で20年ほど前に『生涯発達の心理学』という本が出されたと話した。本当だったかなと今朝調べてみると、違っていた。13年前だった。
 岩波新書で、高橋 恵子,波多野 誼余夫 1990年12月20日
 帯には次のように書かれている。

世界一の長寿国となった日本.だが一方で,「老い」への不安もまた大きい.中高年,特に老人は,「ぼけ」や「寝たきり」に代表されるように,ただ衰えていくだけの存在なのだろうか.本書は心理学の立場から加齢と知的能力との関連を探り,人間はそれぞれの年代において常に有能であり続けると主張して,「老化」の見方を大きく覆す.


 従来の心理学は青少年を取り扱っていた。成長・発達し続けるこころや「心理」を紐解こうというものである。それが行き過ぎると、他と比較して進んでいるとか、遅れているとかという物差しになってしまい、子育てにおける標準化の作用を引き起こしてしまう。
 大人の心理学は、病気を扱い、発達という概念が希薄になってきていたと思う。そこで上に挙げた『生涯発達の心理学』に衝撃を受けたのである。
 その前から小此木氏の本を読んでいたので、大人になりたくない心理=モラトリアムについて、私なりに理解していたつもりである。
 大人になって確固たる哲学を打ち立てるという強い意思は私にはなかった。いつでも柔軟に軌道修正することができる人間でありたいと思っていた。道は分かれても選択が誤っても、あるいは遠回りしていても山に登ることができる。その選択は人さまざまだが、私なりの登り方があるのだろうと思っている。20台を頂点にして、年齢を重ねるとともに能力は落ちてくるというグラフ(幼年期→少年期→青年期→・・・)を間違ってとらえてはならないと思う。

 いつまでたっても人は成長し続けるのである、と思う。能力は落ちるかもしれない。けれども蓄えた知識を運用したり後世に伝えることができる。お年寄りの役割は社会の発展に欠かせないものだと思う。

 私が早期退職するとい選択をするのも発達途上人だからという考えに基づいている。生活するのにはこれまでの延長の方がはるかに容易いし安定している。けれどもまだ自分でやれることができるのではないか、自分のための仕事を探そうと軌道修正を行うのである。

    2004年元旦


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