Shit Fellow 茂吉のAbnormar日記

Shit Fellow 茂吉のAbnormar日記

プロローグ


俺は、もう一人の俺を見た。
不気味な笑みを浮かべ、悲しそうな目をしている俺がそこには居た。
そして当の俺は、鏡の中に居た。
俺が俺で、あれも俺?
まったく冗談にも、ほどがある。
おかしいだろ。全く頭が痛くなる。
鏡の向こうの俺がこちらに気づいたのか向かってきた。
そして、俺と鏡の向こうの俺の距離が鏡を通して、
1メートルくらいの距離になった。
そして、もう一人の俺が呟いた。
「俺は、俺だ。貴様のようなモノは、俺ではない。
 不用なモノだ。そんなモノは俺には必要ない。
 いずれ貴様は貴様でなく俺になるのだ。
 そして、貴様は消える。人格も記憶も過去も全てな。
 その日を楽しみに待っていろよ、もう一人の俺」
そうつげで暗闇の中に消えていった。
俺が俺でなくなる。
そんな事はありえない。
俺は俺だ。
これは何かの悪夢だ。
そうにちがいない。
きっとそうだ。

薄れ行く意識の中で、俺は何度も呟いた。
これが夢で、ただの悪夢で、真実ではないと。
こうして夜は深けていった。

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