卒業式。




  桜の花がまだ開いていないとき、授業をサボって忍足と岳人は屋上にいた。

  あと、1ヶ月ほどでもう義務教育が終わるときのことだ。


  「オレ達…もうすこしで卒業だね…」


  ぼそっ…と岳人は呟いた。

  少しだけではあったが悲しい顔をしていたのは事実だった。


  「せやなぁ…あと少しやな、俺らが一緒のクラスにおられるのも…
     本当にあと少しなんやな…。なんや、実感わかへんもんなんやなぁ」

  「……そうだ…ね」


  少し、岳人が俯いた。

  切ないのだろう。

  そしてその様子を見ていた忍足も少しだけ俯いていた。


  「あっ……でもさ、高校には一緒にいけんねんで?
        だって、ココはエスカレーター式なんやしさ」

  「だけど………っ……」

  「ん?何?岳ちゃん」


  少したってから岳人の頬を涙がつたい、

  屋上のアスファルトに涙が落ちるのを忍足は見た。



  「…?!岳ちゃん?!どないしてん?!」

  「でもっ…思っ…思いで…ゎ…っ」


  コトバが涙でせき止められて出てこない。 

  忍足は聞き取りにくかったところも有っただろう。

  そして、岳人は


  「思いで…は…ぅ゙……ココにしか…ない・・んだよ…ォ?」

  「………岳…人…」


  岳人はもう一度繰り返し、


  「2人の思い…では…ココにしかっ・…ないんだよ?」

  「…………せやな…」


  「侑……士ぃ…ぅうっ…ヤダよっ…侑士との思いでっ…」



  そういうと、岳人は忍足に抱きついた。

  泣き声を押し殺している岳人に忍足は、


  「俺も…っ…イヤやで?岳人と…離れんの」

  「ぇっ…んっ…侑士ぃ…ぅっ…」

  「でもな、大丈夫や。思いでは俺らの心ん中に有るやろ?」



  岳人は真っ赤に張れあがった目を忍足に向け、「えっ?」と呟いた。

  その、可愛さに忍足は少しだけ岳人を抱きしめた。


  「やってな、学校が中学から高校に変っても俺らは一緒か。
     思いでやって、中学校のときよりいっぱい作ればええやん」

  「・……………う…ん…?」

  「やから、中学の思いでよりもっともっと思いで作ろうやっ!な?岳人」

  「うん…分かった…でもさ、侑士…一生好きでいてくれる?」

  「誰を?」

  「…………………オレ…を」



  岳人は頬を赤らめて忍足に向かって言った。

  その答えは分かり切ったものだったが。



  「好きや。岳人。一生好きや。死んでも大好きや」

  「オレも侑士のこと大好き!死んでもだぁ~い好きっ!!」


  そして、こんな大声でしかも授業をサボっていたとなると

  先生がきずかないはずがない。


  「こらっ!!忍足と向日っ!!何サボってんだ!!!」

  「うぁっ!!ヤバっ。逃げようよ侑士っ!!!」

  「せやな」



  ―――――――ぎゅっ。

  忍足は、岳人の左手を自分の右手に掴んだ。


  「侑士っ…このままもぅ離さないで…」

  「ええよ。一生離さへん。心配しなくてええで」

  「…うん!」


  こんな恥ずかしいセリフを言えるのはこの忍足と岳人だけであろう。 

  そして、屋上には


  「青春ってやつだねぇ…」


  と、ジローの声が聞こえた。

  ジローはこの2人に連れてこられていたのだが

  忘れられていたのだった。


  「ちょっと…酷いかもなぁ・・・」


  そう言うと、ジローはまた眠りについた。

  まぁ、忍足と岳人は一生一緒にいると言ったわけだ。

  これで、高校でのバカップルっぷりを発揮すると言うことが分かった。

  これ以上バカップルにはなってほしくないが…。

  それはそれで、いいんだろうが。







   桜の花が咲く。

                    貴方との新しい物語。 












――――――――――後書き―――――――――――
ごめんなさい・・・。
毎回、岳人泣かせてごめんなさい。
毎回、忍足変態っぽくてごめんなさい。
本当に ゴメンなさい 。

2003.8.11



© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: