お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

病院からの贈り物



INCUの入り口のオフィスで、主人は書類にサインをしました。 オフィスの人は書類に目を通すと、私達に大きな袋をわたしました。中にはあいちゃんのわまりにかざってあったぬいぐるみが入っているのがみえました。そして、その下にはピンクのきれいな箱がはいっているのもみえました。

もう、ここにくることはないだろうと思いながら、オフィスをでるとき、何気なくベットの番号と入院しているあかちゃんの名前がかいてあるホワイトボードが目にはいりました。 昨日の夜まであったあいちゃんの名前はきえていました。そして、そこには、違うあかちゃんの名前が書いてありました。

家に帰って、袋のなかをのぞいてみました。なかからはぬいぐるみとピンクの箱、それから、ちいさな本とファイル、あいちゃんが最後につかっていた手編みのブランケットがでてきました。

主人は、あいちゃんがつかっていたブランケットをタンスの上にひいて、その上にぬいぐるみをかざりました。そして、そのぬいぐるみに、“あいちゃんの友達になってくれて、ありがとう”と言いました。

ピンクの箱にはきれいな絵が書いてありました。そのなかには、あいちゃんが最後に着ていたたピンクのうさぎさんのお洋服と、ピンクの手編みのぼうし、ぴんくのちいさなくつしたそれから、ピンクのリボンがはいっていました。 私はそれを箱からださずに、そのままタンスの上にかざりました。

小さな本には、“ こんにちわが、さよならになるとき”という題がついていました。同じように、産まれてすぐに子どもを亡くした人達の体験談や、赤ちゃんに宛てた手紙や詩などが書かれていました。私は隅から隅まで、なんども読み返しました。<自分だけではないのだ> と、自分を理解させようとしていたのかもしれません。

病院からの贈り物の中には使い捨てのカメラもメッセージと一緒に入っていました。メッセージは最後にあいちゃんをケアしてくれた看護師さんからの手紙でした。

< お悔やみを申し上げます。 誰も、想像ができないくらい、つらい思いをされていることと思います。 ご冥福を心よりお祈りいたします。
私は、Darinが帰った後、Ailanaをお風呂に入れました。Ailanano顔はとてもおだやかでした。彼女の写真を撮っておきましたので、カメラを入れておきます。 今すぐではなくても、いずれ見たいと思った時に、現像してください。 Ailanaはピンクのうさぎの洋服を着て、たくさんのぬいぐるみ達にかこまれて、まるで天使のようでした。
ゆっくりと、時間をかけて、進んでいってください。 つらくて、だれかと話がしたいときは、ここにいらしてください。私達はいつでもお待ちしています。

Michele Boyer>

手紙を読み終わり、何気なくファイルをあけてみると、そこには青いインクで花の絵がかいてあるカードが入っていました。そのカードを開けてた瞬間、私の目からは、また涙が流れはじめました。

カードにはあいちゃんのちいさな手形とちいさな足型がのっていました。手形のは私の小指ほどの長さしかありませんでした。足型は私の人差し指ほどのながさでした。

ちいさな、ちいさなあいちゃんの、ちいさなおててとちいさなあんよ。思いがけない病院からの贈り物でした。




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