映像四郎の百人斬り

映像四郎の百人斬り

「コモモ」復活





 「お水」と、「非お水」を、

 行きつ戻りつしている女友達「コモモ」。

 再来月、またもや、東京にカムバックするらしい。

 「コモモ」には、緊急事態が多い。

 ホストやってる兄貴が、「売り掛け」飛ばされて、

 200万の現金が、唐突に、必要になったり、

 「スカウト」した子が、問題を起こして、

 事務所に、多額の負債を、支払う必要が出てきたり、

 嘘だか、本当だか、よくわからないけど、

 きっと、本当っぽい。

 で、私は、金の話には、冷たいので、

 「労働力」の提供で、何とかなる以外は、

 一切、協力していない。

 その代わり、「コモモ」の解決した「緊急事態」をネタに、

 「エチュード形式」で、ショートムービーを作っている。

 助演は、その時点での「彼氏」。

 今年の初めまで、再度「キャバ」をやってたらしく、

 「ドキュメント」させてもらおうか、と思っていたのだが、

 気づいたときには、

 北国へ帰っていた。

 で、今回もまた、

 「非お水」として、やり直すらしい。



 最初に会ったのが、これまた、

 「右翼バンドマン」の「打ち上げ」だった。

 歌舞伎町で、「今日は、外人キャバいこうよー」

 と、子犬のような、無垢な目で見つめられるので、

 コマ劇から、区役所通りへと向かい、

 途中、アフリカ系アメリカ人の客引きに、声をかけられ、

 そこに入った。

 先ほど、コマ劇前の薬局から買った、

 当時の「合法ドラッグ」を試したくて、

 「右翼バンドマン」は、ウキウキしている。

 今は、「合法」=「脱法」ということで、

 中には、やばいのもあり、

 一般人に対して、注意も、呼びかかけているが、

 そのころは、まだ、あまり、

 表沙汰にはなってなかったような。

 「俺、薬学に詳しいんだ」とのたまい、

 「初心者は、熟練者と一緒のときに、かませば、

  バッドトリップはしない」

 などという甘言に乗ってしまい、

 遂、私も容器の半分を、パクリと飲んでしまったのだ。

 その「キャバ」で、飲みが進むにつれ、

 身体が、よれよれになってきた。

 いつもと違う。

 腰に力が、入らない。

 「あ、いうの、忘れてた、酒と薬は、一緒に飲むと、

  どう反応するか、わからないぞ、

  だから、おれいつも、コーラ飲んでんだ」

 先に言ってくれ、熟練者じゃなかったんかい!

 と思いつつも、もう、何もいう気力がない。

 どうやら、ダウナー系の効き目が、もろ出ている。

 「右翼バンドマン」は、様々な国からきた「美女」たちと、

 楽しそうに、「洋楽」のカラオケに励んでいる。

 しかも、金遣いが、荒いので、気づくと、

 男二人に対して、女八人。

 わっかが、できている。

 やべ、やられた。

 ここ、歌舞伎町じゃん。

 きたねえ手、使いやがって。

 そこで、一回、清算にしたが、どうやら、

 あと、2、3万上乗せすれば、朝まで、

 やりたい放題だという。

 もちろん、「右翼氏」のサインは、「GO」だ。

 (ただ、個別に注文する酒代は、別というのが、ミソだった)

 「帰りたいよー、帰りたいよー」と

 「右翼氏」にいうが、

 「もう、終電ないし、朝まですぐじゃん、

  もうちょい、いてよ」と、

 海外美女たちと、語りこみ、

 聞く耳を持ってくれない。

 「右翼氏」の周りには、

 ハーレムが、形成されている。

 危ない。

 ここは、歌舞伎町だ。

 すると、そこへ、少数派の日本人キャバ嬢「コモモ」が、

 登場し、私を介抱し始めた。

 やるじゃないか、私を黙らせて、

 このまま地獄のどん底へと、

 俺たち二人を、叩き落すつもりだろう。

 などと、最初は、鼻白んでいたが、

 「イエキャブ」出身の「チビ巨乳」に抱かれ、

 私の「インディペンデント映像」への「出演」も快諾され、

 ベロチュウを受けながら、ちんちん撫ぜられて、

 「ボッキ」してるうちに、

 全てが、どうでも良くなってきた。

 よく考えたら、財布は、「右翼氏」だ。

 そして、「右翼氏」は、底なしだ。

 一般人の細かい「経済観念」で、

 あーだ、こーだ、考えても、

 もう、どうにもならないし。

 しかし、さすが、「コモモ」、

 私を、介抱しつつも、「右翼氏」に対しての、

 「ドリンク」追加の、承認を、

 やたらと、マメにとっている。

 しかも、まわりの女の子の、「ドリンク」も、

 どんどん、更新されてゆく。

 「キャバ嬢」おそるべし。

 周りの男たちが、会話によって、

 「擬似恋愛」を謳歌しているなか、

 スーツ姿で、テント張ってる私は、

 どう見ても「反則」だった。

 私でも、思う。

 「ボッキしてんじゃねーよ、

  見たくねーんだよ」

 だが、その時は、身体がダウナーで、

 制御不能だったのだ。

 そして、朝方、追加ドリンクの嵐によって、

 跳ね上がった「伝票」を見て、

 一瞬、油汗を流しながらも、

 日本男児な「右翼氏」は、

 きれいに、会計するのだった。



 そのときの「コモモ」が、また、やってくる。

 「やらせろ」などと、

 口を滑らせると、「顧客」と認識され、

 「緊急物語」とともに、「数十万の借金」を、

 申し込まれるので、あくまで、「映像」を介した、

 「撮影関係」だが、

 きっと、何らかの「火の粉」を

 撒き散らしてくれるに違いない。


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