映像四郎の百人斬り

映像四郎の百人斬り

「あーと」





 昨夜、午後11時半、

 早めのうたた寝をしていると、

 携帯が鳴った。

 出ると、ワクワクプロジェクトで、お世話になっている

 「浦島姉姫」さんだ。

 撮影と一緒に、「あかり」づくりに

 参加するといってしまった私は、

 「プラスドライバーと、はさみと、ラジオペンチが、

 できれば必要」なことを伝えられた。

 そして、本日、横浜は、みなとみらい線

 「元町・中華街駅」で下車し、

 元町公園の「エリスマン邸」を目指す。

 「港のみえる丘公園」や「外人墓地」に隣接する

 「元町公園」方向に向かうと、なだらかな傾斜ととともに、

 樹木が多くなる。

 空気がいい。

 静かだ。

 人が、ちらほらしかいない。

 そして、迷うこと、数回。

 VIPな空気感の漂う住宅街と対面した格好で、

 歴史的建造物である「エリスマン邸」は、

 公共空間と化した優雅な雰囲気で、

 クールに佇んでいた。

 イベントタイトルは、「作るde創る」。

 「参加者が、灯りを手作りし、

 その灯りに囲まれて、音楽を聴く」という、

 「市民参加型のアートイベント」だそうだ。

 これは、「浦島姉姫」さんが、

 パートナーのSGさんと運営する

 NPOを目指した組織が主催だった。

 横浜に散在する「歴史的建造物」たちの「ソフト」を入れ替え、

 「アートを提供する」ことで、「人々の交流の場」として、

 「今」に対しての「建物おこし」をすることが、目的らしい。

 酒に酔うと、

 「私はナウシカなの!目的は、世界征服なの!」

 とシャウトするらしい「浦島姉姫」さんにとって、

 横浜は、あくまでも、「世界の中の一部」でしかないようだ。

 「あかりづくり」の部の講師は、ARTemisさん。

 「あかりに囲まれた音楽」の部の歌手は、まみさん。

 「エリスマン邸」の地下階ホールは、

 「元町公園」の高層部に位置し、

 地下といっても、暗くなく、

 樹木に覆われ、谷底に位置する弓道場などが、

 見渡せる、「地あかりばんばん」の心地よい空間だった。

 崖が、くりぬかれ、テラスになってる感じ。

 「あかりづくり」教室は、子供も入れると、

 ざっと40人ほどの盛況。

 ホールは、ちょうどよい、いっぱい状態。

 ARTemisさんのカラーセラピー論も、交えて、

 段階を追って、素材をデザインし、組み立てていく。

 最初は、カメラを回しながら、たまに席について創る、

 を繰り返していたが、「浦島姉姫」さんに、

 「ちゃんと、作ってくださいよー」とせかされ、

 しかも、「目の前の女性」が、「メーテル」のような格好をした

 きれいな人だったので、

 次第に、「あかりづくり」にのめりこんでしまった。

 適当に、やっつけで作って、終わりにしようと思っていたが、

 「目の前の女性」の「クールで真摯な創作態度」に感化され、

 私は、「あらんかぎりの破片を散りばめる子供的デザイン」で、

 何とか、対抗しようとしていた。

 完成すると、ARTemisさんが、全員に、

 自分の作品に「タイトル」をつけるようにと促し、

 私がつけたタイトルは、「空中水族館」。

 「杉の花粉や葉っぱと一緒に、抽象的な魚が輪舞している」のだ。

 私の場合、あまりにも、不恰好な作品ができあがったのだが、

 この「あかりづくり」のすごいところは、

 私のような意味不明な作品でも、

 暗闇で電源を入れ、3メートル離れてみると、

 見紛うばかりの、「素敵な芸術作品」に見えることだ。

 そして、隣の「ベーリックホール」に「音楽」を聴きに移る際、

 子供もつれた数十人の人々が、手作りあかりを手にして、

 ぞろぞろと行進する姿は、突然やってきた「イースーター」のごとく、

 奇妙な「祝祭性」に彩られていた。

 これまた、歴史的建造物である西洋建築の「ベーリックホール」

 に、参加者の「手作りあかり」が、参加者の手によって配置され、

 暗がりの中で、一斉に点灯されるのだが、

 まるで、唐突にやってきた「精霊流し」のようで、

 瞬く間にチャペル的空間が、充満した。

 そして、「美しき魂のサウンド」を掲げる

 歌姫「まみさん」が登場し、

 SGさんの操る青のスポットライトも相まって、

 心地よい癒し空間が、出現した。

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