物の見方・捉え方
ある心理学の本で、「人の物の見方や考え方を変えるよりも、自分自身の物の見方や考え方を変える方が近道」という言葉が載っていた。
まあ、それはそうかもしれないが、私にとってはそんなことが出来る人が高尚な人に思えて仕方がないのだ。
実は私、まあ、「自分自身の物の見方や考え方を変える」とまでは行かなくとも、せめて「物の見方や捉え方の角度をちょっと変えてみよう」という心理戦を展開しているつもりなのだが、上手く行くことの方が少なく、失敗に終わってしまうことの方が断然多いのである。
あれは確か、お姑ごんがお決まりの“３ヶ月に１回侵入”しに来た時のことであった。
あの時も、お姑ごんはうちに１ヶ月ほど潜伏していたと記憶しているが、「物の見方や捉え方の角度をちょっと変えてみよう」という私の心理戦も、最初の２週間はまずまず上手く行っていたような気がする。
しかしその後、慣れない心理戦に疲れが出てきたのか、作戦に乱れが出てきてしまった。
ある日ゲストも交えて皆で寛いでいる時に、お姑ごんが私をただひたすらじーっと見つめるではないかっ・・・！
『こっ、これはお姑ごんの新技か・・・！？』
目からビーム光線でも出すのかというほどの勢いさえ感じられた。
どう対応していいのか分からなかったので、とりあえずその場を取り繕うために愛嬌スマイルで攻撃を交わしたのだが、長～い約５秒間の恐怖の沈黙の後に、お姑ごんは一言、、、。
『貴方、太ったわね～。』
その一言が完全に場の空気と私を一時停止させてしまったのは言うまでもない、、、。
が、暫くすると、ゲストの皆も視線を私の足先から頭のてっぺんまで促すではないか・・・！
まさに注目を独り占めの状態といってもいいほどである。
『そう言えばそうねー。アハハハハ。』
『ぽっちゃりしたかしら、少し。ガハハ。』
さっきまでそんなこと気付きもしなかったじゃないか、、。
そんなことを考えている内にも、私の顔が真っ赤になっていたのだろう。
またお姑ごんに指摘されてしまった。
『顔が真っ赤よ。その赤いシャツと同じ位真っ赤。キャッハッハッハ！』
皆もつられて笑い出す。
まったくお姑ごんもお姑ごんだけど、ゲストもゲストだ。
全員追い出してやりたいくらいである。
、、、あ、いかんいかん。冷静にならなくては・・・。（＾＾；）
真に受けるとそれこそお姑ごんの思う壺だし、それではかえって悔しい。
そうそう、物は捉えようであって、皆が笑っているのはきっとそんなに失礼だと思ってないからだ。
私の常識と彼らの常識が一緒だと思い込んではいけないし、私の常識だけで人の行動を判断してはいけない。そうだ、そうだ。
それに、太った、痩せたの台詞はそこら辺の井戸端会議でも普通に飛び交うような台詞だろうし、、、。
どこかひっかかる私が居ながらも、そう思うことにしたのである。
？、、、でもちょっと待てよ。
何で私が笑いものにならなきゃいけないのかい？
一家のピエロじゃないんだぞ。
やっぱり人のことを笑うのはどう考えても失礼だろう！
太っただの、顔が赤いだのっていちいち笑われている私の立場も考えろ～！
・・・一旦こう考え出すと止まらず、
あ～、もう辞め辞め。
自分自身を変える作戦も止め止め！
心の健康にいいと思っていたけど、無理はかえって悪い。
お姑ごんも変わらないなら、私もそのままでいいのだ。
そうだ、そうだ。
そう思うと、何だか気が楽になり、何でもどーんとかかってこい！という気にさえなった。
が、さすが天下のお姑ごん、、、。
その時ふと、『色も黒くなったんじゃない？オホホホ。』と言ってきたのである。
いやはや、肌の色まで余計なお世話だっちゅうに。
全く懲りていないし、分かっちゃぁいないからほんとにしょうがない。
こりゃまた作戦を練り直さなければいけないなーなどと考えつつ、新たな作戦に希望を持つ私であった、、、。
今日の勝敗＝ お姑ごん 8 ： 2 私
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