メキシカン・アメリカンな暮らし

メキシカン・アメリカンな暮らし

宗教とお姑ごん




宗教の違いはおそらく、特に宗教大国と呼ばれているアメリカにおいては、姑嫁問題のトップ10入りしそうな問題の一つではないかと時々思ったりする。
実は、宗教に関することでトラブルが起こったという話は、アメリカに嫁いだお嫁さんから割りに良く聞く話でもあるのだ。

まあ、とりあえず宗教を書く欄を埋める為だけに宗教を適当に選ぶ、というインスタント信者なるものも存在するとはいえ、やはり、宗教大国・アメリカと言われているだけに熱心な信教者も多く、それだけトラブルの割合が高いと言えるのかもしれない。

もちろん、熱心な信教者が必ずしも宗教によるトラブルを起こすとか、宗教の違いのせいで必ずトラブルが起きるとかそういう訳ではなく、トラブルが起きる場合は、相手を尊重することを無視したり、自分の価値観や習慣を無理に相手に押し付けようとしたりするなど、宗教以前にやはり人と人との摩擦が問題になってくるのである。


実は、私のお姑ごんも信教者なのだが、余りにも熱心すぎるが為に、人にも押しつけようとする癖があり、一時期本当に悩まされてしまったことがある。
確か、結婚してから初めて会いに行った時に、二言めに出た質問が宗教についてであった。
このような宗教に関する質問は、アメリカでもタブーだとされているが、お姑ごんとしてはとても気になったのだろう。


お姑ごん:『宗教は?』

私:『特にこれといって信仰してる宗教はないです。』

明確にそう答えたのも覚えている。
その時、お姑ごんは納得のいかない表情を作っていたが、きっと『信仰してる宗教はないです。』と言った人に出会ったこともないのだろう。

『どういうことそれ? 神様を信じていないの? ご家族の方は神様信じているでしょう? せめて仏陀は信じてるでしょう?』

と次の瞬間に幾つもの質問が機関銃の弾のようにずらずらと一斉に飛び出してきたほどである。

そして私は、

『キリスト教も仏教もその他のあらゆる宗教も宗教者も尊重しますが、特に定まった宗教を信じてる訳ではないと言いたかったのです。』と言ったのだが、
無宗教ということ自体が受け止められない様子だった。

『何も信じないで、どうやって生きていけるの?』

お姑ごんが不安そうに私を見つめる・・・。(ーー;)
どうやって、、、って言われても、そんなこと考えたこともない。
しかも、“信じない”などと言って宗教を否定するつもりもないし、ただ、“これといった宗教や宗派に属していない”だけであって、神の存在や宗教を全く否定するのとはちょっと違う。
また、そこが無宗教と無神論の違いであるとも認識しているつもりだ。


私:『ですから、無宗教なだけであって神を否定している訳でもないし、
貴方の宗教を否定している訳でもないんですよ、決して。』

お姑ごん:『あのね、神様信じないと地獄に落ちるわよ。』

私:『いや、だから、神様を信じてないという訳じゃなくて、、、。』

お姑ごん:『神様はこの世にたった一人なの。けれど、しっかり私たちの行いを見てるのよ。』


それから、延々と神様のことについての講義が開かれたのは言うまでもないが、お姑ごんの、「私をカトリック教に入信させる」作戦がこの先3年余りも続くことは、この時の私には知る余地もなかったのである・・・。







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