メキシカン・アメリカンな暮らし

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3ヶ月に1回は大喧嘩




お姑ごんとお舅ごんは3ヶ月に1回の割合で必ず大喧嘩をする。
そんなことは私が首を突っ込む問題でもないし、まして、首を突っ込みたいとも思わないのだが、お姑ごんは必ず私の夫に電話をかけては、一緒に同居したいと大喧嘩をする度にせがむのである。

ついさっきもお姑ごんから電話がかかってきたのだが、やれやれまた喧嘩したようで、夫が『遠距離バス賃はこっちが出すから、気軽においで。』と言っているのが聞こえてきた。

何年もこの家族の中に居れば、何となく色んなことが分かってくるもので、大喧嘩した後のお姑ごんはまず声の調子と言葉使いが違う。


私:『ハロー?』

お姑ごん:『夫1号に代わってちょうだい!』


声の調子は残念ながらここで再現出来ないが、言葉使いはこんな感じで、ハローも言い返さないで、すぐに夫1号を電話口に要求するのも、大喧嘩があったサインの一つだ。

お姑ごんは、大体3ヶ月に1回はうちの家を訪れて1ヶ月余り滞在するのだが、大抵、お舅ごんとの大喧嘩という理由でうちにやってくる。
そして、大喧嘩になる度に、

『もう夫(私のお舅ごん)とは別れる! 同居させて~!』

と泣きながら、私の夫に電話してきては、2つのトランクを持ってここにやってくるというのがお決まりのパターンだ。
お姑ごんがうちに滞在している間は、お舅ごんに対するお姑ごんの愚痴を私が聞き、それでも1ヶ月ほどすると自宅恋しさにいそいそと帰える準備をするのだが、後に残された荷物をお姑ごんに指示された通りに私が郵送するという過程が年がら年中繰り返されるのである。


一番初めにお姑ごんが「夫(お舅ごん)と離婚する」騒動を起こした時には、さすがにひどく心配したものだが、お姑ごんの離婚騒動は、習慣のごとく年がら年中繰り返されるのでもういい加減慣れてしまったとは言うまでもなく、、、。
そんなこんなで、今となっては私も『あ、また喧嘩しちゃったみたいよ。』と軽く片付けてしまえるのである。
いやはや、慣れというものは本当に怖いものだ。


さて、さっきのお姑ごんの電話なのだが、2時間ほど喋った後に夫はどうにか電話を切った様子で、いつものごとく、『ふーっ、、、。』とゆっくり溜息をつき、そして、いつものごとく『どっちが親なんだか、、、。』と呟いていた。
『頼られている証拠なのよ。』と私はお決まりのように言うのだが、この会話も今年でいったい何回目になるだろうか・・・。


ちなみに、今日の大喧嘩の内容はというと、ふとしたことからお舅ごんが『これは俺が買ったものだから触るな!』とお姑ごんに言ったらしく、お姑ごんは、『あっそー!じゃあこれは私がお金を払ったものだから使わないでね!』
といい風に競争が始まり、仕舞いには二人で家中にある全ての物を指差しつつ、これは私の、これは俺の、と大喧嘩になり、それがついには離婚話までに発展したようである。


喧嘩にレベルをつけてもしょうがないのだが、いつもこの程度のことで離婚騒動が起きるから、夫と私も「はいはい、そうですか。」と流してしまうのである。
「これは俺の物、これは私の物」の喧嘩がどうやって離婚につながるのか、私の頭では理解し難いのだが、それ以前にあれだけ離婚騒動を起こしながら、しばらくするとお舅ごんの元へいそいそと嬉しそうに帰るのに、3ヵ月後にはまた同じことを繰り返すお姑ごんのこともよく理解出来ずにいる。


しかも、お姑ごんの部屋は未だに「お姑ごんの第2の部屋」として残されたままで、空き部屋を自由に使えないのもちょっと痛いところである。
これじゃあ、「無料遠距離バス代特典つきの、いつでも予約なしで借りられる無料開放の宿」を3ヶ月置きに営んでいるようなものだ。
さっきの電話の様子じゃ、またうちに来る羽目になりそうだし、私の、お姑ごん専用宿経営はまだまだ続きそうである・・・。



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