メキシカン・アメリカンな暮らし

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お姑ごんは審判




お姑ごんがうちに滞在している間は絶対に避けたいものの一つに、夫との喧嘩が挙げられる。
まあ、お姑ごんがいなくても、喧嘩そのものは出来れば避けたいのだが、お姑ごんがいるだけで、私と夫の喧嘩はより一層ひどくなる傾向にあるのだ。
というのも、実はお姑ごん、、、私たちが口論をする度に審判と化してしまうのである。(ーー;)

あれは確か夫が運転をしていた時のことだ。
お姑ごんを助手席に乗せ、私は後部座席に座っていたのだが、夫はお姑ごんと話に夢中になり、前の車が急ブレーキを踏んだことには全く気づかない様子、、、。
その瞬間、私は『もう駄目だ。ぶつかる・・・!』という目を手で覆いたいような思いを、思わず『あ゛~~~っ!!!』という叫び声にしてしまったのだが、夫は後ろから聞こえてくる私の声に驚き、急ブレーキを踏むという事態になったのである。

幸い、夫が急ブレーキを踏んだお陰で、前方車とぶつかることはなかったのだが、夫は『そんな大声を張り上げたら、かえって危ないじゃないか!』と怒る始末、、、。(ーー;)
私も私で、シートベルトを着用していたとはいえ、余りの衝撃に前につんのめってしまい、危うく頭をぶつけそうになったこともあって、『だったら、ちゃんと前を見て運転してよね。』と半分腹を立てながら言い返してしまったのである。
恥ずかしながら、これが口論の始まりとなった訳であるが、これにお姑ごんも加わってきたから、さあ大変、、、。


お姑ごん:『喧嘩は辞めなさいっ!もういい加減いいでしょう。はい、黙って、黙って。』

と、後部座席をわざわざ振り返り、私にそう言うのである。
機関銃のように私の文句を言っていたのは夫だというのに、私に黙れとはひどいものだ。その上、


お姑ごん:『お嫁1号が叫ばなければ、喧嘩も起こらなかったのよ。この喧嘩、あなたが悪いわ。』

と審判を下すのである…。(ーー;)

しかも夫はいい気になって、『ほらね、客観的に観ても君が悪いってことだよ。俺の運転に文句があるなら、君が運転しろよ。』と、ただでさえ擦り減っている私の神経を逆撫でする一方、、、。
お姑ごんの審判は、まさに火に油を注ぐような行為になり、すぐに治まるはずの私と夫の口論も治まらない状態になってしまうという悪循環に陥るのである。

確かに、叫んでしまったことで夫をビックリさせてしまったのも、よそ見運転をする夫を批判してしまったのも反省すべき点だとは思うし、また、お姑ごんが居るのにも関わらず夫と口論を始めてしまったのも悪いとは思うが、勝手に人の話の間に割り込んだ上に、一方的に夫の肩を持った挙句、私を批判するお姑ごんには、正直気が滅入るのである。

しかも、お姑ごん、、、。私と夫が、私と夫の寝室で口論をしようが、お姑ごんを気遣って家の裏庭で密かに口論をしようが、何処へでもやってきて夫の救世主になろうとするから困ったものだ。

中でも一番ショックだったのは、私と夫がお姑ごんに聞こえぬようにと自分たちの寝室で半分ささやき声で言い合いをしていた時に、気づけばいつのまにか、ドアを開けて入ってきたお姑ごんが口論に加わり、いつものように「お嫁1号が悪い」と審判を下したことなのだが、「干渉しない」という言葉はきっとお姑ごんの辞書には存在しないのだろうと、この時改めて気づかされたほどである。

今となっては、お姑ごんが居る時は、口論もろくに出来ないとさんざん思い知らされたので、お姑ごんの目の前で夫と口論になりそうな時には、そんなに大したことでなければ、私から『O.k. I understand.(うん、分かった。)』などと言っては白旗を振り、逆に大事な問題であれば、『I'd rather talk about it later.(それは後で改めてお話したいわ。)』と交わし、出来るだけお姑ごんつきの口論は避けるようにしている。


つい先程、レストラン内で口論をした後すぐに仲直りをしたカップルを見かけたのだが、いやはや、口論は良くないという見方もあるとはいえ、口論が誰のジャマなしに思いっきり自由に出来るというのも特権だよなとつくづく思ったのである・・・。(ーー;)




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