純愛★オーストラリア男

これまた大昔のお話

Pa~の友人が突然、メディテーション(瞑想)とやらにはまり出した。
とあるメディテーション団体に入り、ほぼ毎日その団体に入り浸るという日々を送っていた。
元々この彼女、あまり友達の居ない子で、何故かしらPa~に異常なほどの親近感を覚えたらしく、来る者は拒まず精神の心優しき(?)Pa~が、その当時、彼女の唯一の友達だったのである。
その彼女が突然Pa~への誘いをしなくなったので、正直心配になったのだ。

≪何かしら悪い団体にでも惹き込まれているのではないか?≫

その後、彼女は必死に英会話を学び始めた。
外国語とは縁のなさそうな娘だったので、正直Pa~はおったまげた。
理由を訊けば、そのメディテーション団体のメンバーほぼ全員が欧米人だと言う。
彼らとのコミュニケーションをとる為にも、是が非でも必要とのことらしい。
いくつになっても『学ぶ』という事は結構なので、Pa~は温かい目で見つめていた。

そんなある日、彼女がメディテーション団体のパーティーがあるので、Pa~にも参加してくれないかとお誘いが掛かった。

≪どんなあくどい団体なのか、この目で見てやろう!≫
と、彼女と一緒に【外人ハウス】と呼ばれるボロアパートへ出向いたのだ。
そこには、インドかぶりしたイギリス人やオーストラリア人・カナダ人達がたくさん居り、エレガント好きなPa~にとっては、一見ヒッピーのような彼らは好ましい人達ではなかったのだが、話をするともっと歩調の合わない連中だという事が判明した。

しかし、その中で一番 まともそうな 男前オーストラリア人と、ナンだかひょんな事から付き合う事になった。
この彼はその当時、28~9歳だったと記憶している
欧米人に似合わず(?)随分礼儀正しい奴で、まるで中学生のような清い付き合いを続けていたのである。
ロマンティックな夕闇の川岸を歩いている時、ホンの小さな水溜りに出くわした際、彼はまったく自然に手を出し、Pa~はその手を自然に取ってヒョイッと水溜りの上を飛んだ。
初めて握った手と手、お互いナンだか離すキッカケも掴めず、そのまま手をつないで川岸を歩いた。
≪ナンだか昔の 青春純愛映画 の一シーンのようだなぁ・・・≫

そんな純愛ごっこが続いていたある日、彼が自分の家に来ないか?と言った。
≪でた~~~!いよいよか~~~ぁ!?≫
≪これこそが 成人の付き合い ちゅうもんだわさ~~~!≫
≪イヤイヤ、しかし待てよ・・・≫
≪まだキッスもしていないのに、いきなりちゅうのもナンだなぁ・・・≫

などと、ま~ったくお馬鹿な事ばかりが頭をよぎってはいたが、一応ランジェリーにも注意を払い、初めて彼のアパートを訪ねたのである。

前述の【外人ハウス】よりも悲惨なぼろアパートに彼は住んでおり、Pa~の頭の中で♪神田川♪のメロディが流れ出す。
随分長いこと実際に目にした事のないようなちゃぶ台が、古びた畳の6畳間にポツンと置いてあり、Pa~はそこに腰掛け、彼はキッチンへお茶を入れに行った。

と、そのちゃぶ台の上に、指輪だけがポツンと置いてあるのを発見。
≪オ~ッと!純情そうな振りして、しっかり女を連れ込んでいるではないか~!≫
他の女の置き土産かと思ったのだ。

彼がお茶を持ってちゃぶ台の向こうに腰掛け、何事もないように話し始めた。
Pa~もそ知らぬ振りをして会話する。
すると、彼が
「お誕生日おめでとう!君のお誕生日は数日後だけど、その日は仕事で会えないから、今日お祝いしようね。この指輪は君へのプレゼント」

≪ゲェ~~~ッ!≫
彼に言われるままその指輪をはめると、少々太めのPa~指にピッタリだった。
正直言って、Pa~の好みには程遠い安モノ代物ではあったが、このニクイ演出に流石のPa~も 青春純愛映画 主役気分になる。

結局その日は、指輪のプレゼントを頂戴しただけで、 他のモノは頂けなかった のだが、Pa~浮かれ気分で梅田駅へと向かったのである。
梅田駅の長いエスカレーター上でピョンピョン飛び跳ねていると、Pa~乗る電車の発車ベルが聞こえた。
慌ててエスカレータ-を駆け上がり、お目当ての電車に滑り込んだ。
息せき切って腰をおろし、何気なく自分の手に目をやると
≪ギョェ~~~~~~~~~~ッ!!!!!!!!!!≫

ホンの数十分前に頂戴した指輪、リングはPa~の指に残ってはいたが、石は忽然と消え失せていたのである。

つづく・・・・・・・・・・・・


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