ボッティチェリ



時代は前後しますが、レオナルド・ダビンチに代表される、ルネサンス期の画家は外せないと、イタリアが生んだ鬼才ボッティチェリにしました。
フィレンツェ生れのやはりルネサンスを代表する画家で、名門メデイチ家の後援を得て、ダンテの「神曲」の挿絵版画やシスティーナ礼拝堂の壁画を描いた事も有名ですね。
フィレンツェを訪れた方なら、彼の作品を実際にご覧になられ方も多いと思います。

ルネサンス=再生”とは美術本では古代自然主義の復活”を意味すると紹介されています。この時期、中世に確立された「キリスト教美術」は、表現方法に古代の技術を復活させ、さらに新しい観念の発展が見られました。

それまでの宗教画は神の世界は生臭い人間社会とは異なる神聖な世界”と言う事で、畏敬を持って表現されるべきシンボリックな世界だったのです。
ところが、宗教改革の背景の中で、時代のニーズは大きく変わります。
聖ドミニクスと聖フランシスコなる聖人の出現で、キリスト教は本来もっと身近な存在であるべきという意識改革が起こり、シンボルからより人間社会的表現に、すなわちリアルな表現に近づいていきました。

プリマベラ(春)
春


メディチ家のカステルロにある別荘に置かれていた作品です。
キューピッドを連れたヴイーナスを中心に、左側には杖で霧を追い払うマーキュリーと三美神、右側には春の女神・プリマベーラと陰険な風の神から逃れようとする花の女神・フローラが描かれています。
イタリアを代表する画家でありながら永年忘れられ、19世紀になって再評価された彼の代表作で、近年画面が修復されて、花々が鮮やかに復活し見事な色彩を見せています。
ルーベンスの題材と同様にて、見比べると装飾性が強調されているのが解り易いですね。若きルーベンスもこの作品にきっとチェック入れたことでしょうね。

1476手頃 テンベラ(板)203×314cm ウフイッツイ美術館/イタリア


ヴィーナス誕生
ビーナス誕生


地中海の海の泡から誕生したヴイーナスが妖精達に守られて、赤いころも拡げて待つ岸辺に迎えられるところです。フィレンツェの人々に惜しまれながら若くして死んだ「美しきシモネッタ」の追憶を描いたともいわれます。
彼が憧れた古代ギリシャの異教の官能性とキリスト教のはざまに生れた傑作です。

シモネッタ: この作品のモデルと伝えられるシモネッタ・ヴェスプッチは1475年ロレンツォ・ディ・メディチ主催の「大騎馬試合」で美の女王に選ばれたほどの絶世の美女で、同試合の勝利者となったロレンツォの弟ジュリアーノの恋人と噂されたが、胸の病気で1476年22歳の若さで惜しまれて夭折した。彼女の美しさと、ジュリアーノとの恋物語はポリツィアーノ、ボッティチェリ、ピエロ・ディ・コジモなど多くの詩人や画家の想像力を刺激する
ところとなった。ボッティチェリの傑作「春」や「ヴィーナスの誕生」も彼女をモデルにしているといわれています。

1487年頃 油彩172.5×278cm 所蔵:ウフィッツイ美術館/イタリア


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