A Lotus’ Home Page

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第二話


「まずはこの場所に行ってみるべきじゃない?この『ディートワー』ってところ」
そういってベルが見せたのは『この町の歩き方100選!!』の1ページだった。そこには『ディートワー』のページが載せられている。
 喫茶店『ディートワー』。回り道の名前にふさわしくこの町の中でも端の方にある。そのモダンの雰囲気は多くの若者に人気があり、若者たちの溜まり場にもなっている。
「ここに行くのか?なんかこのオシャレな感じは嫌いだな」
「この子ってこのくらいの年でしょ?ならここに何回か来たことあるんじゃないかな?」
「う~ん、まぁまずはそこに行ってみるか」

 オシャレな喫茶店の前に明らかに場はずれな二人組みがいる。歳はあっているのだが、男の子のほうは背中に大きな剣を背負っている。その横にいる女の子も腰に真っ黒い銃をぶら下げている。
「やっぱこの格好はまずかったかな?」
「ああ。すばらしく合ってないな」
「一回宿に戻る?」
「それは面倒だろ」
二人は意を決して喫茶店の中に入る。
 そこは木造りのモダンな雰囲気がする喫茶店だった。カウンターが空いているので二人はそこに座る。座るとすぐにマスターがやってきた。ヒゲのよく似合う優しそうなおじさんだ。奥の方にはまだ若い青年がコップを磨いている。
「ご注文は?」
「俺はブルーマウンテンのNo.1」
「ボクはモカで」
少ししてから注文どおりのものがやってくる。二人はまず一口飲む。
「おいしい…」
「ありがとうございます。それでお二人はなんでこちらに?」
マスターが二人を見ながら言った。
「仕事でこの子を探しているんです。知りませんか?」
そう言ってベルが少女の写真を出す。
「君達はレイヴンかい?」
「はい。そうです。」
そういえば、名前を聞いておくのを忘れたとベルは思った。ずいぶん初歩的なことを忘れたと思ったが幸運にも写真の裏には人の名前らしきものが書いてあった。そこには『with seis』と書かれていた。しかし、ベルはいまいち確証が持てない。
「このこの名前は?」
「えっと…」
名前をなかなか言えないベルの代わりにフラッドが名前を言う。
「そのこの名前はセイス。セイス・ミンスターです」
「知らないねぇ…ファイは知っているか?」
そう言って奥でコップを磨いている青年に写真を渡した。
「…見たことないですねぇ」
そう言って、マスターに写真を返した。マスターは受け取った写真を返しながら、客にも聞いてみたらと言ってくれたので、ベル達は後ろの興味津々にこちらを見ているテーブル席に座っている人達に聞いたみた。

ベル達の宿の食堂でまるでテーブルにかじりつくようにへばっている二人がいる。ここ三日何にも進展がないのだ。
「なんでこんなにみつからないんだ?ただの家出ならもう少し情報があってもいいだろ」
「なんでだろうね。もしかしたらただの家出じゃなかったりして」
ベルが冗談まじりに言った。
「まさか…いや、待てよ。ここ三日で誰かセイスのことを知っていたか?」
「そういえば、誰も…」
「なんか嫌な感じだな。仕方ない…情報屋を使うか」
「え、情報屋って…グレンのこと?」
あからさまにいやそうな顔をしながらベルは尋ねた。
「ああ、ここら辺で情報屋やってる中で一番腕がいいやつはあいつだけだろ?」
情報屋『グレン・シルバーグ』この町で働いているレイヴンなら知らない人はいないぐらい有名だ。その腕は一流でこの町で彼に頼めばどんな情報だって聞ける。しかし、彼の性格は最悪で報酬は金などではなくて、頼みごとを一つ聞くというものなのだ。
 前回、ベルが情報を貰ったときはケルベロスの肝を持って来いと言われた。なんとか持ってこれたが死ぬような思いをした。情報は確かなものだったから良かったけど、これで嘘の情報だったらグレンの頭に風穴を開けるところだった。
「本当に行くの?もうちょっと何か手はない?」
「これ以上時間がかかったら足どりが掴めなくなってしまうよ。ほら、駄々をこねないで行くぞ」
そう言ってフラッドは嫌がるベルを無理やりグレンの所に連れて行った。

 町の西部に位置するこの家は木で作られており、中には家財道具一式が揃っている。窓から西日が差し込む中、一人の眼鏡を掛けた男が読書に耽っている。
 玄関の方で二回ノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「お邪魔するよ、グレン」
グレンは来訪者の顔を見た。一度しか見ていない顔だが職業柄一度見た顔は忘れない。
「よぉ、フラッドにベルじゃないか。そろそろ来るころじゃないかと思っていたよ」
フラッドの後ろで嫌そうな顔をしているのにグレンとフラッドは気づいていたが、あえて無視して話を進める。
「さすが情報屋だな」
「フフフ、情報屋をなめてもらっては困ります。それで御用は?」
「この写真の子が何処にいるかしらないか?」
そう言ってフラッドは写真をグレンに手渡す。
「…見たことない顔ですね。この町の住人ですか?」
「そう聞いている」
「ふむ…じゃあ、もしかして『あれ』だろうな。この町を東に3キロほど行ったところに白い建物があります、そこに行ってみなさい。もしかしたら面白いものが見れるかもしれません」
「それはその子に関係があるのか?」
「関係があるから言っているのですよ。さて、情報料ですが…」
ベルの顔が強張る。一体どんな無理難題を押しつけられるのかと待ち構えているのだ。
「今回はいりません」
「は?」
ベルは肩すかしをくらいとても間抜けな顔をしている。
「いや、実はですね。前回貰ったケルベロスの肝が余りにも良い状態だったもので…だから、前回ので二回分という事です」
「…」
「それではお引き取りください。こちらも色々と忙しいのですよ」

グレンの家を出てベルは考え込んでいた。
「どうしたんだ?」
「ちょっとグレンの態度が気になって…」
「情報料がなかったことか?ラッキーだったじゃないか請求されなくて」
「けど、グレンの性格からして絶対請求されると思ったんだけどなぁ…」
「考えすぎだよ」
「そうかなぁ…」
ベル達はもう日が沈む事もあって宿に帰る事にした。

 グレンは家の前からベル達がいなくなるのを確認した後ゆっくりと奥の部屋に行く。
「これでよかったんですね?」
そこにいたのはギルドにいた青い髪の少年。
「ああ、いい仕事だった。これであいつらは明日『研究所』に行くな。すまんな変な頼みごとをして」
「まぁ、こちらも嘘の情報を教えたわけでもないし、お金も貰っているんで文句は言いませんけど…」
青い髪の少年は立ち、帰ろうとする。
「それではまたのご利用お待ちしています」
「…」
青い髪の少年はそのまま何も言わずグレンの家を去って行った。

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