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先日、再び出張で福山(広島県)を訪れた。今回は1泊だったので、電車で20分ほどの距離にある、尾道の老舗・名Bar「暁」にお邪魔するつもりでいた。 尾道の「暁」と言えば、1945年開業、映画の街・尾道を舞台にした映画にもたびたび登場している、全国的にもとても有名な老舗Barである。以前から、一度は訪れてみたいと願ってきた。そして僕は、今回の出張で実現させようと計画した。ところが前日の夜、念のために電話してみても、応答がない。嫌な予感がしてネットで情報を調べてみると--。 何人かの方が、「暁の閉店」を惜しむ記事を書かれていた。読めば、店を閉じたのはことし2月末で、マスターの体調不良が理由だという。ただし完全な閉店ではなく、「一時閉店」なのだとか。 「こんなことなら、もっと早く行っておくべきだった」。悔やんでも悔やみきれない事実だった。しかし、ネット情報をもう少し詳しく読むと、暁には福山に支店があり、そちらは営業しているとある。それなら行かない手はない。あの暁の支店なら、雰囲気が悪い店のはずがない。尾道・暁の再開見込みについても、少しは情報が得られるかもしれない(写真左上=暁・福山店)。 で、福山の支店の営業を電話で確認した後、早速お邪魔した。電話に出たのは年配の女性だったが、店にいたのは年配の(マスターらしい)男性と女性の2人。 来意を告げて、「尾道の店の再開の見通しはどうなんでしょうか?」とその男性に尋ねる。すると、なんとその男性こそ、尾道「暁」マスター・佐藤軍治さん(66)で、女性は奥様だった。「体の具合がいまいち良くなくてねぇ…。またよくなったら再開しようとは思ってるんだけどねぇ」とマスター。聞けば、病気の後遺症で片足が不自由なのだという(確かに、歩くのが少し辛そうでした)。 しかし、福山の「暁」の雰囲気は、写真でもよく分かるように、尾道の本店にも勝るとも劣らない。オープンは1966年で、その後83年に現在地に移転したという。壁という壁はほとんどがウイスキー棚でボトルがぎっしり。その数は3千本以上とも。 しかも天井には、尾道店と同じように、たくさんのノベルティの灰皿が針金で止められ、ディスプレーされている=写真右。なぜか帆船の模型もぶら下がっている。その数と迫力に、ただただ圧倒されるのみ。 「尾道の店の飾ってるボトルは、ほとんどがホコリをかぶっていますが、こっちの方は一応きれいですよ」と笑わせてくれるマスター。何十年も前のボトルがごろごろ。これだけ集めるのにかかった時間と情熱を考えると、言葉を失う。 ご存じのようにマスターは2代目。尾道の本店のボトルはほとんど、亡くなった初代マスターのお父様が集めたという。「最初はサラリーマンをしていて、オヤジの仕事を継ぐことになるとは思いませんでした」としみじみ語るマスター。 福山の支店は、これまでもっぱら奥様が中心となって営んでいたが、今回、夫婦で営むことになった。だからかどうか分からないが、店内にはアットホームな温かい雰囲気に溢れ、居心地がいい(写真左=マスターの佐藤軍治さん)。 スコッチのハイボールを1杯頂いた後、せっかくだから、暁のオリジナル・カクテルをお願いする。ネーミングにひかれて前から飲みたかった「沈黙の艦隊」=写真右=を。 2種類のウオッカにブルー・キュラソー、グラスの底に緑色したマラスキーノ・チェリーを沈める。このチェリーは潜水艦を模しているんだとか。潜水艦に見えるかどうかは、貴方の想像力次第。度数は結構高いのに、爽やかで、きりっとしていて、意外と飲みやすい。ちなみにオリジナル・カクテルには、店の名にちなんだ「暁」というのもある(こちらは「パルフェタムール」というリキュールを使う)。 あまりの居心地の良さもあって、マスターや奥様と話し込み、気が付けば1時間半以上お邪魔していた。今回、尾道の本店には行けなかったけれど、この福山で、佐藤マスターと会えたのは幸運で、何よりも嬉しい(写真左=トイレの壁には、柳原良平さんが来訪時に描いたアンクルトリスの色紙も)。 マスターどうか無理せずにしっかり体を治されて、体調が戻ったら尾道の本店もぜひ再開させてくださいねー。あの暁・本店は、尾道にとっては「文化財」のような存在で、Bar愛好家には「宝」のような酒場なのだから。【舶来居酒屋・暁(福山店)】広島県福山市入船町2丁目5-5 電話084-923-2104 午後7時~午前2時 日休 新幹線福山駅からタクシーなら南東へ5分ほど。徒歩なら15~20分くらいです。【追記】その後、尾道に行く機会がありましたので、閉店中の「暁・尾道本店」を撮ってまいりました=写真右。こういう歴史と伝統のある店がこのまま消えてしまいなんて、想像したくもありません。「どなたかが後を継いでもらえたら」というのが、僕も含めBarを愛する人間の共通の願いだと思います。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2008/06/29
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僕の大好きなアイラ・ウイスキーの故郷、アイラ島には現在稼働中の蒸留所は8カ所あります。 昨年秋アイラ島を訪れた際には、そのうちボウモア、ラフロイグ、ラガヴーリン、アードベグ、ブルックラディックの5カ所にお邪魔することができました。 残る3カ所はカリラ、ブナハーブン、キルホーマンですが、このうちキルホーマン(写真右 =(C ) Kilchoman Distillery )は2005年6月に操業を始めたばかりの新しい蒸留所です。 しかし、当然のことながらモルト・ウイスキーを蒸留して樽で熟成させ、出荷できるまでには最低でも5~8年もの日数が必要です。 昨年秋アイラに訪れた際も、もちろんキルホーマンの存在は知っていました。ただ、蒸留所へ行ってもそこで造られたウイスキーが飲めないのではあまり意味はないので、足は運びませんでした。 しかしキルホーマンも、商品を出荷できるまで待っていては、従業員の給与も払えません。そこで、「ニュー・ポット」(「ニュー・メイクス」とも言います)と呼ばれる、出来て間もないモルトを瓶詰めして、少しずつ市場に出すことにしたようです。 そんなキルホーマンとしての初めての酒を、なんと大阪キタのあるBarで飲む機会がありました。初めてお邪魔したBarでした。店名が、ブルックラディックの蒸留所長の名にちなんでいたことにも興味をそそられました。 僕が昨年の秋、アイラへ旅したことを話すと、バーテンドレスの方が「それじゃぁ、これは飲んだことありますか?」とバックバーから出してきてくださいました(写真左)。 いつか飲めるだろうと思っていましたが、こんなに早く味わえるとは! ニュー・ポットは普通、あああ無色透明な酒です。しかし、この「キルホーマン」にはほんの少し色があります。ラベルには「ニュー・スピリッツ」と記されています。 説明を読むと、「07年12月蒸留、08年2月瓶詰め」とあります。すなわち出来たてほやほやではなく、3カ月間樽で熟成した後、瓶詰めしたものです(「ニュー・ポット」とは名乗らず、「ニュー・スピリッツ」と名付けたのはこのためか?) 口に含んでみると、当然、ニュー・ポット独特の麦芽臭はありますが、上品な甘味がほのかに感じられ、ニュー・ポットというより、4、5年熟成させたモルトのようなまろやかさも見せています。62.4度と樽出しの強さですが、そんなとげとげしさを感じさせない味わいです。 う~ん、わずか3カ月の熟成でこれほどまでに。キルホーマン恐るべし。これからが期待できます。熟成を重ねた本物のキルホーマン・モルトの登場が待たれます。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2008/06/22
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スペイン・バルには結構行っているのに、恥ずかしながら知りませんでした。こんなに旨いものだったとは!スペインのガリシア地方では、塩味で茹でて食べるのが人気で、名物料理だそうです。 先日、大阪で行きつけのバル「Q」にお邪魔した際、カウンターのガラスケースに、亀の手のような奇妙な海産物があるので、マスターのMさんに聞いてみたら、それが「ペルセベス」(Percebes)=写真左=でした。 「ペルセベス」はフジツボの仲間で、一応貝類に分類されています。塩味で茹でて殻(皮?)をむいて食べるだけというシンプルな食べ方で味わいますが、グロテスクな見かけと違って、これが旨いのなんの! 磯の香りが染み込んでいて、食感は、歯ごたえのある貝の身か、あるいは赤鶏系の鶏の身のような。殻は思ったより簡単にむけます。 日本のバルでは、メニューにしている店は少なくて、「Q」でも初めての入荷とのこと(九州・佐賀産だそうです)。4月~6月くらいの間しか採れないようなので、今が旬というか、もうシーズンは終わりかけかな。聞けば、日本でも「亀の手」とか「烏帽子(えぼし)貝」とか呼ばれて、日本でも全国の港町周辺では結構食べられているそうですが、都会へ出荷されることはまれなようです。 「ペルセベス」は辛口のシェリーや白ワインに、めちゃめちゃ合います。「やめられないとまらない」という「かっぱえびせん」のCMがありますが、まさにそんな感じ(写真右=「Q」で飲んだマンサニージャ「Sanluquena」。旨かった!)。僕は、フィノやマンサニージャを飲みながら、あっという間に30個ほどをたいらげてしまいました。ネットで見ると、通販でも売っていますが、残念ながら季節が限られているようです。 こんな美味しい食品をこの歳になるまで知らなかったとは、情けない限りです。後で調べてみると、ブログの友人のステラビアさんは、すでに2006年11月22日の日記で触れていました(さすがスペイン通!)。遅れていたのは僕だけぇ? あぁ恥ずかしい。国内外の料理には、僕がまだまだ知らないものがきっといっぱいあるんでしょうね。こりゃ、せいぜい長生きするしかありません。・こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2008/06/14
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昨日6月6日(金)は、うらんかんろの最も馴染みにしている酒場の一軒、大阪キタのBar「K」の20周年のお祝いでした。「K」と言ってもイニシャルではなく、店名そのものが「K」なのです。 「K」とはオープン直後からなので、もう20年近い付き合いです。マスターの松葉道彦さんは当初、この「K」のスタッフとしてスタートされました(写真左=Bar「K」のマスター、松葉さん)。 そして持ち前のセンスに加えて、血のにじむような努力を重ねて、数々のバーテンダーのコンクールでも優勝するなど、今では(まだ40代前半ですが)大阪、いや関西、西日本を代表するバーテンダーとなりました。 店の場所が会社の帰り道にあったので、Bar「K」には昔からよくお邪魔していました。スタッフはその都度入れ替わりがありましたが、松葉さんはスタッフとして、その後店長としてずっとこの店を守ってこられました。そして3年前、念願かなって「K」の経営者となりました(ご参照→05年6月7日の日記)。 「K」は、オープン当初はサントリー社系のBARで、メインのウイスキーはサントリーの角瓶でした。そのため、最初のオーナーが角瓶のイニシャルから「K」と名付けられたと聞いています。 今では、サントリーとは直接の関係はなくなりましたが、当初の縁もあって、店名はそのまま引き継いでいます。3年前に店名を一新する手もあったのですが、松葉さんは、「このKが自分の原点ですし、もうお客さんにも親しまれていますから」と、変えませんでした。 松葉さんが「K」のスタッフになったのは、店がオープン直後の20代前半の頃です。だから、彼とももうずいぶん長い付き合いになります。初々しい頃から知っていて、師匠のTさんに怒られながらも、どんどん成長していく松葉さんを見るのは楽しみでもありました。 松葉さんの素晴らしさは、オールラウンド・プレーヤーであるところです。バーテンダーに必要な条件と言えば、カクテル等をつくる技術、酒類の知識、トーク(話術)、接客(ホスピタリティ)などが挙げられると思います。 どれをとっても今では、松葉さんは超一流です。とくにトークは絶妙洒脱で、日本全国あちこちのBARを巡り歩いている僕ですが、いまだ、彼ほど話術が巧みなBARのマスター(バーテンダー)には出会ったことはありません(強いて言えば、銀座の「Bar保志」のマスター、保志さんが匹敵するくらいでしょうか…)。 この夜の20周年のお祝い。僕は同じく馴染みにしている友人と一緒にお邪魔しました。僕らはそれぞれ、とっておきのウイスキーをお祝いに持参しましたが、奇しくも両方とも「ラフロイグ」でした。 僕は、5月に「ラフロイグ友の会」の会員限定で発売されたばかりの「Cairdeas」ボトル(「Cairdeas」=カーディス=とはゲール語で「友情」という意味)。複数の17年物のクォーター・カスクを選び、バッティングしたとのことです。 一方の友人は、80年代の「オフィシャル10年」。この時代のオフィシャルは熟成感たっぷりで、現在のオフィシャル25年物に負けないくらいの奥行きがあります(写真右上=左からラフロイグ「Cairdeas」、同80年代の「オフィシャル10年」、3杯目に頂いた同「オフィシャル40年」!)。 どちらのボトルも極上の味わいであったことは言うまでもありません。新旧のラフロイグは、「K」の20周年と新たな旅立ちを祝福するうえでも、ふさわしいお祝いになったのではないかなと信じています(写真左=帰りにいただいだ20周年記念の革製コースター)。 僕にとっては、まるでホームBARのように居心地のいい「K」がこれからもますます発展していくことを祈らずにはいられません。松葉さん、心から有難う。20年間の友情に感謝です。これからも宜しくお願いしまーす。【Bar・K】大阪市北区曽根崎新地1丁目3-3 好陽ビルB1F 電話06-6343-1167 午後6時~午前1時 日祝休こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2008/06/07
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