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追補2. Sol Cubano(ソル・クバーノ)【標準的なレシピ】(液量単位はml)ラム(45~60)、グレープフルーツ・ジュース(45~60)、トニック・ウォーター適量、氷数個、グレープフルーツのスライスで蓋をしてストローを指す。生ミントを上に飾る。【スタイル】ビルド(大ぶり<240~300ml程度>のコブレットかサワー・グラスを使うことが多い) 「ソル・クバーノ」はおそらく、日本人がつくった現代のカクテルの中では、日本国内では最も有名なカクテルではないかと思います。今では全国どこのオーセンティック・バーで「ソル・クバーノ」を頼んでも、問題なく通じるでしょう。 誕生したのは、1980年に開催された第1回トロピカルカクテル・コンテスト(サントリー社主催)。そこで選ばれたグランプリ10点の中から第1位に輝いたのがこのカクテルでした。カクテル名は「キューバの太陽」という意味。考案したのは、当時神戸市のバー・サヴォイ(現在は「サヴォイ北野坂」オーナー・バーテンダー)に勤務されていた木村義久氏(1946年生まれで、現在72歳)です。 「グラマラスな南国の美人と、ラムの原産国であるキューバをイメージし、創作した。グラスに載せたグレープフルーツのスライスは現地の女性が被るフラワーハットを表現した」そうです(出典:「木村義久カクテルブック」=2017年、神戸新聞総合出版センター刊)。 折しも、日本では70年代後半からトロピカルカクテルがブームとなっていた時代でした。木村氏が考案した当時、グレープフルーツはまだ若干高価な輸入果物で、(今では1個100円くらいですが)1個250~350円もしました。グレープフルーツはもっぱら、ジュースとして飲むか、半分に切って砂糖を載せて、スプーンで味わうスタイルが一般的でした。 オーセンティック・バーでは、ウオッカにグレープフルーツ・ジュースを混ぜるカクテル「ソルティドッグ」がようやく日本で知名度が出てきた頃でした。「ソル・クバーノ」は、ホワイト・ラム、グレープフルーツ・ジュース、トニックウォーターという身近にあるシンプルな材料の組み合わせ。程良い甘さと爽やかな酸味のバランスは、たちまちカクテル好きのお客さんに受け入れられました。 木村氏は「グレープフルーツの価格は今はまだ高いが、生産量は多いので、いずれ日本国内にも広く普及して手頃な値段になる」と予想しました。つくり方も手軽なビルド・スタイル。グレープフルーツの価格が安くなるにつれて、提供するバーもどんどん増えていったのです。 なお、「ソル・クバーノ」はあまりにも急速に普及してしまったため、普通のロングカクテルのようにタンブラーで提供したり、グレープフルーツ・スライスで蓋をしないスタイルで出すバーも見受けられます。しかし、木村氏のオリジナルは冒頭のようなスタイルなので、提供するバーはできれば、この本来の形にこだわってほしいと願います。 フードライターの曽我和宏さんよれば、ソルクバーノ」についてこんなエピソードがあるそうです。少々長いですが、引用させて頂くと(出典:曽我和宏の「気になる1杯」)。 「昔、木村さんが知人と横浜のバーを訪れた折りに、メニューにあった「ソルクバーノ」を注文した。その時、横浜の某店のバーテンダーは『これほどスタンダードになってしまったカクテルを考えた人は、もう他界してしまっているでしょうね』と言ったそうだ。彼はそれほど古くからあるのだからスタンダードになっているのだと言いたかったのだろうが、流石に死人にされてはたまらないと、周りが木村さんを紹介したそうだ。木村さんが名刺を出した際には、あまりの意外さに周囲からどん引きされたと話していた」。 ちなみに、考案当時は下記の日本初出資料にあるレシピでつくっていた木村氏ですが、近年はホワイト・ラム45~80ml(飲み手のお酒への強さや好みで調整)、グレープフルーツ・ジュース60ml、トニックウォーター60mlという分量でつくっておられます。かなりアルコール強めな味わいで、ラムの香りもしっかり楽しめます(レシピ出典:「木村義久カクテルブック」)。 最後に今回、木村氏自身に聞いた、とっておきのエピソードを紹介しておきましょう。 木村氏は、このソル・クバーノで優勝したご褒美として、1980年の秋、主催者のサントリー社からニュー・カレドニアへの旅に招待されました。旅先で開催された現地でのパーティーでカクテルを振る舞いましたが、当時34歳で独身だった木村氏に、そのパーティーで「運命の出会い」がありました。 たまたま横浜から旅で訪れ、パーティーにも参加していた一人の日本人女性と出会い、それがきっかけで付き合うようになったのです。当初は遠距離恋愛。木村氏は休日になると、当時持っていたフォルクスワーゲンを運転して、神戸から横浜まで往復したそうです。二人は2年後に結婚。なので、ソル・クバーノは、奥様との“縁結びの神”でもあった訳です。【確認できる日本初出資料】「サントリー・トロピカルカクテル・ブック」(1982年刊)。レシピは「ホワイトラム30ml、グレープフルーツ・ジュース60ml、トニックウォーター適量、グレープフルーツ・スライス&生ミント(飾り)」です(現在のレシピは冒頭に掲げたもの)。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2019/02/24
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【おことわり】今回の追補編では、比較的現代に生まれたカクテルで、その後全国的な(あるいは世界的な)知名度を勝ち得た作品をいくつか取り上げます。 追補1.Augusta7(オーガスタ・セブン)【標準的なレシピ】(容量単位はml) パッソア(45)、レモン・ジュース(15)、パイナップル・ジュース(90) 【スタイル】シェイクして、氷ごと大ぶりのトロピカル・グラス(またはコブレット)に入れる。 大阪・梅田のバー「オーガスタ(Augusta)」のオーナー・バーテンダー、品野清光氏のオリジナル。パッソアとは、ブラジル産などのパッション・フルーツとレモンの果汁でつくったフランス産のリキュールで、1986年に商品化されました。トロピカルな味わい、雰囲気が人気を集め、現在ではカクテルの材料として幅広く使われています。 品野氏ご本人によれば、パッソアが日本に初めて輸入された1997年頃、懇意だったカクテル評論家・福西英三氏からのリクエストもあって、「オーガスタ」のカウンターで創作したとのことです。レシピを決めるにあたっては、「当時とても質の良いパイナップル・ジュースが手元にあったので、これと合わせればとても美味しく仕上がるんじゃないかと考えたら、まさにその通りになった」とのことです。 カクテル名の「7」は、品野氏の7番目のオリジナルという意味。1997年に刊行された福西英三氏の著書「リキュール・ブック」の「パッソア」の項で初めて紹介されています。通常は、あるカクテルが本に載るまでには少し時間差が生まれますが、オーガスタ7の場合はほぼ同時です。 その後、1998年に、古谷三敏氏が「漫画アクション」誌上で連載していた人気漫画「Barレモンハート」で取り上げられた(福西氏は、古谷氏に漫画のネタを時々提供していました)ことで、全国的に広く知られるカクテルとなり、国内のオーセンティック・バーでも確かな知名度を得ることになりました(現在、文庫版では第15巻に収録)。 短期間で全国に幅広く普及した要因としては、どこのバーでも手に入りやすい3種類の材料なので、つくりやすかったこと(末尾【注】ご参照)、さらに、低めのアルコール度数で、女性にも飲みやすい、あまり甘すぎない、優しくフルーティな味わいだったことが大きかったと言われています 「オーガスタ7」は現在では、日本国内のオーセンティック・バーであれば、おそらく9割以上の店で「頼めば通じる」カクテルになっています。“全国区”となった背景には、もちろん人気漫画の力は大きかった訳ですが、自らの名刺に「オーガスタ7」のレシピを印刷し、全国の同業者に会うたびに、「あなたの店でもオーガスタ7をぜひつくって、お客様に勧めてください」と名刺を渡してPRしたという品野氏の地道な努力も、普及に大きな力となったことは間違いありません。 なお、古谷氏が「レモンハート」で取り上げることは、品野氏には事前に知らされず、(品野氏は)店のお客様から「漫画雑誌に載ってるよ」と知らされて驚いたという、面白いエピソードもあります。いずれにしても、「オーガスタ7」は、「ソル・クバーノ」と並んで関西のバーテンダーが考案し、現代の「スタンダード」として定着した数少ないカクテルです(最後に嬉しいニュースが一つ。パッソアの裏ラベルには、2019年夏頃から、オーガスタ7のレシピが印刷されるそうです)。 【確認できる日本初出資料】「リキュール・ブック」(福西英三著、1997年刊)。※収録されているレシピは、97年当時のレシピで「パッソア45ml、パイナップル・ジュース100ml、レモン・ジュース10ml。シェイクして氷を入れたタンブラーに注ぐ」です。【注】バーテンダーであれば、誰しも自分がつくった創作カクテルが次世代へ伝わり、将来的には「スタンダード・カクテル」として認知され、定着してほしいと願うのが普通だと思います。しかし80年代以降、日本の創作カクテルは、コンペで優勝、準優勝しても2、3年経てば忘れ去られ、全国的に普及して次世代へ受け継がれるものは、残念ながらほとんどありません。 その大きな理由の一つが、一般的にコンペ出品作のレシピで使う材料が5~6種類と多すぎることです。材料の中には特殊なお酒やリキュールも多いので、他のバーではつくりたくても入手がそう簡単ではありません。特殊なリキュールがゆえに短期間で生産中止(廃番)になってしまう商品もあります。 もう一つの理由は、日本のコンペでは甘口系カクテルの方が高く評価されるため、出場選手が甘口系のカクテルばかりで競うことです。結果、上位に入賞するカクテルのほとんどが甘口系です。一口に甘口系と言っても様々ですが、5~6種類のスピリッツやリキュール、ジュースを混ぜるので、味は複雑になる半面、(見かけの色は違っても)似たり寄ったりの味わいに陥りやすいという指摘もあります。 一方で、飲み手であるお客様は近年、甘口系よりも辛口系の、さっぱりした味わいのカクテルを好む傾向が強くなってきています。結果として、作り手の目指す方向と飲み手であるユーザーの嗜好に溝が生じています。このため、優勝した創作カクテルであっても、短期間で忘れ去られてしまうというのが現実なのです。 言い方を替えれば、飲み手の嗜好をあまり考えず、作り手の論理でつくる甘口系カクテルばかりがコンペで評価されるということが、後世に残らない要因の一つでしょう。当たり前のことですが、カクテルの味を評価するのは最終的にその対価を支払うお客様であって、作り手やコンペの審査員ではありません。 現代で「スタンダード・カクテル」として定着しているものでも、最初から「スタンダード」であったのではなく、最初は個人が考案した創作カクテルでした。世界中の数多くバーテンダーがそのカクテルをつくって提供し、たくさんのお客様に愛され、長年飲み継がれて、ようやく「スタンダード」になった訳です。 個人的な意見ですが、もし「スタンダード」として末永く認知されることを目指すなら、全国どこのバーのバーテンダーでも手に入りやすい3~4種類以内の材料で創作しなければ、幅広く普及し、次世代へ残っていくことはないだろうと感じています。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2019/02/23
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皆さま、Bar UKの2019年3月の店休日のお知らせです。 3月は、毎日曜日のほか、2日(土)、9日(土)、21日(木)=祝日、30日(土)にお休みを頂戴いたします。 ※なお、21日と30日の店休日は、グループでの予約があれば、臨時営業も可能です。3日前までにマスターまでお問合せください。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半(入店は8時まで)、定休日=日曜・祝日、別途土曜に月2回、水曜に月1回不定休(月によっては変更されることも有り)。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円
2019/02/23
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Bar UKからの大事なお知らせです。 店内の冷凍庫が不調で、氷が十分冷えないため、代替機が届く(18日午前)までは変則的な営業となりますが、何卒ご理解、ご容赦くださいませ。 14日(木)、15日(金)は保冷ボックスに氷を入れて、時間を短縮しながら細々と営業いたします。14日の営業時間は午後3時~午後9時半の予定です。また15日の営業時間は午後7時~10時を予定しています(ただし氷がなくなれば早仕舞いするかもしれません)。 ご来店の際は、念のため店までお電話(06-6342-0035)頂ければ幸いです(16日の土曜日と17日の日曜日は、もともと店休日です)。 18日(月)は今のところ、通常通り営業できる見込みです。 【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半(入店は8時まで)、定休日=日曜・祝日、別途土曜に月2回、水曜に月1回不定休(月によっては変更されることも有り)。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円
2019/02/13
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Bar UKからのお知らせです。皆さま、本日2月13日(水)のBar UKは、第16回「テイスティングの集い」(テーマは「Isle of Arran」)開催のため、午後9時半頃まで貸切営業となります。何卒ご了承くださいませ。
2019/02/13
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約3週間ぶりのBar UK写真日記です(By うらんかんろ)。 山形・酒田バー「ケルン」のバーテンダー井山計一さん(92)の半生とカクテル「雪国」誕生秘話を描いた映画「YUKIGUNI」の関西での上映が、いよいよ3月8日のイオンシネマ和歌山を皮切りに、22日大阪・テアトル梅田、4月上旬京都シネマ、神戸・元町映画館とスタートします。 2月18日(月)には大阪で関係者向け試写会もありますが、その際はカクテル「雪国」の制作デモンストレーションや、故・成田一徹さんの手になる井山計一さんの切り絵原画(2枚目の写真)の展示も予定しているということです。楽しみですね。 マスターはこの日、英国のジン「シップスミス(Sipsmith)」のセミナーに参加しました。マスターが何よりも嬉しかったのは、講師の一人が、お酒やカクテルの歴史の研究者でもあるジャレッド・ブラウン(Jared Brown)=2枚目の写真前列右=だったことです。 ブラウン氏は、長らく行方不明だったハリー・クラドック(サボイホテルのバーテンダーで、歴史的名著「サボイ・カクテルブック」=1930年刊=の著者)の墓碑を発見。クラドックの伝記を著し、その功績に改めて光を当てた凄い人なんです。ジンの製造にまで関わっていたことを、マスターはこの日初めて知りましたが、ほんと多彩な才能を持った方ですね。 マスターはこの日、カクテルのお勉強のために、大阪のバー「オーガスタ(Augusta)」にお邪魔しました。そして名物のカクテル「オーガスタ7」について、考案者のマスター品野清光さんからいろいろと取材しました。マスターはいずれBlogでの連載「カクテルーーその誕生にまつわる逸話」にまとめるそうです。早く読んでみたいですね。 閑話休題。カクテルつながりで、もう一つ話題を。マスターは最近、自宅に新しいバラの苗木を植えました。その名も「コクテール」。丈夫に育ってくれたらいいですね。 バーUKに、新しいスコッチ・モルトウイスキーが仲間入りです。「リズモア(Lismore)」21年。「リズモア」は銘柄名で、中身はスペイサイドのある蒸留所の長熟モルト。残念ながらその名は非公表ですが、麦芽香も心地よい、とてもまろやかで美味しいモルトです。ぜひお試しを! マスターは現在、お酒業界の雑誌「LIQUL(リカル)」で「カクテル・ヒストリア」という連載を続けています。第3回が終わったばかりですが、「読まれた方からの評判はもちろん少し気になりますよ。だから頑張って書こうと思うんですが…」とも。連載はあと2回続くそうです。 マスターはこの日、営業前に「樽セミナー」という会に参加し、お酒の樽について樽について、あれこれお勉強しました。知れば知るほど奥が深い樽の世界ですが、「正しい樽の知識が、(店に置くべき)良いボトルを選ぶ目を養うことにもつながる」と言うマスター。バーUKのお酒は、他のバーと比べて、より熟成樽にこだわっている理由が分かった気がします。 熟成樽へのこだわりということで、最新のバーUK入荷ボトルの紹介です。アイラモルトの「カリラ(Caol Ila)」の7年熟成のシングルカスク。マルサラ酒の樽でフィニッシュ(後熟成)をかけた変わり種です。アルコール度数はなんと59.3度というガツンなボディ。7年という比較的短い熟成期間ながら、まろやかで旨いモルトに仕上がっています。これはもう飲むしかないですね。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2019/02/11
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