ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

リレー企画 ホ○ト祭 110

底なしの沼へ 2  ぴかろん

部屋に戻った
テジュンが顔を上げて俺に近づき、いきなり抱きしめた
俺は腕を突っぱねて抵抗した

けど俺には力が残っていなくて、簡単にテジュンの腕に包み込まれてしまった

懐かしいテジュンの胸
懐かしいテジュンの香り
耳元で聞こえる俺の名前・・

テジュン
テジュン
テジュン・・
会いたかったよ・・
どんなに俺が会いたかったか、わかってるの?

「僕等は・・寝た・・」

ああ
あああ
はっきりとその口から告げられた

涙が一筋流れた

「知ってたよ」





知ってた?どうして?!

僕は抱きしめていた腕を緩めてイナを見つめた

「なんで?どうして知ってる?」
「感じた・・。お前らが一つになった時。おとといの・・夜だったろ?」
「・・・」

そんな・・。じゃあ・・。

「・・ねえ・・。なんで『僕を信じるか?』なんて聞いたの?」
「・・」
「信じてたら・・これだもんな・・。ひどいよな・・」
「イナ・・聞いてくれ。全部話す」
「・・なんで・・なんでラブを追っかけたの?なんでラブを連れてったの?どこで何してたの?どうしてラブを抱いたの?」
「・・ボロボロのラブを放っておけなかったんだ・・」




ラ・・ブ・・
そう言った?
呼び捨て?
・・そりゃそうだよ・・寝たんだもん、こいつら・・

「放っておけなかった?」
「ああ・・」

なぁんだ・・。じゃあ・・、あの時からテジュンはラブを選んでたんだ・・

俺の目からまた涙が溢れる
俺は・・弱いよスヒョン
いっくら踏ん張ろうと思っても、二人の事実をシャワーみたいに浴びせかけられると・・
俺・・スヒョン・・俺・・



愛しくて 1 ぴかろん

僕は部屋のドアを開け、ラブに入るように促した
でもラブはドアの前で立ち止まったまま動こうとしない
腕を掴んで軽く引っ張り中に入れる
ふわりとラブの体が移動する
動いた後からほのかにラブの香りがする
僕の心はざわついて、ドアを閉めたと同時にラブを後ろから抱きしめた
ラブが息をのんで体を強張らせた
それを感じて僕は腕に力をこめる
きつく抱きしめる
逃れようとするラブを離さない僕
やがてラブは諦めたように力を抜いた
僕も腕の力を緩めた

そしてラブに囁いた

「帰ってきてくれてありがとう… 」
「俺…テジュンと寝たよ。何度も何度も抱かれたよ。凄かった。凄く幸せだった。アンタと寝たときより体も心も嬉しかった!アンタなんかよりずっと大事にしてくれた!俺、俺、テジュンを愛してる。これからもずっとテジュンを愛し続ける!」

「…じゃどうして帰ってきたの?」

僕は驚くほど冷静だった…

「…それは…」

冷静に、次に告げられる言葉を待つ

「それは…アンタが…」
「…」

ラブは顔を歪めて叫んだ

「アンタが好きだからだよ!アンタが好きなんだ、アンタに会いたかった…アンタと愛し合いたかった…だから帰ってきたんだ…」
「ラブ…」
「でも俺、テジュンも…。テジュンも好きなんだ。愛してるんだ!もう離れられない。引き剥がせないぐらい心に張り付いてる!こんな俺、どう?アンタどう思う?!」
「ラブ…。愛してる」
「…」
「愛してるよラブ…」
「…俺…俺、テジュンを愛してるって言ったんだよ?聞いてた?抱かれたんだぞ何度も。何度も何度も何度も!一日中抱き合って、愛し合って・・別れるの辛くて…今も…辛くて…」
「でも…僕のところに戻ってきてくれた…」
「…なんともないの?…俺がテジュンに抱かれたこと、なんとも思わないの?」
「なんともないと思う?」

僕がそう答えると、ラブはさらに顔を歪めて涙をこぼした

「辛かったよ・・凄く・・。イナも僕も辛かった」
「・・つら・・かったって?」
「イナが勘付いた・・おとといの夜だっけな・・。お前たちがヤっちまったって言い出して・・」
「・・うそ・・。イナさん・・知って・・」

ラブの瞳が揺れた
イナへの罪悪感?後悔?
テジュンさんを・・ほんとに愛してしまったからか?


「・・僕のせいだ・・。僕がお前を傷つけたからこうなったんだ」
「アンタ・・俺が傷ついて、それでやけになってテジュンに抱かれたって思ってる?!」
「いや・・」
「・・」
「最初は・・そう思ったよ。イナが勘付いた時は、きっとお前がテジュンさんを誘って、また自分を傷つけようとしてそんな事したんだって・・。
でも・・そうじゃないんだろ?お前・・本気でテジュンさんを好きになったんだろ?いくら口ではすっぱな事言ってても、お前の本心は純粋だ・・。僕に対してもそうだったもん・・。ちがう?」
「・・」
「本気で好きになったから抱かれて、抱かれるうちに本気で愛して・・愛されて・・。幸せだった?」
「・・おじさ・・ん・・」
「本当の気持ちを教えて」
「・・」
「幸せだったかい?」
「・・しあわ・・せ・・だった・・。すごく・・」
「・・そう・・。よかった・・」
「・・怒らないの?」
「怒る?どうして?」
「嫉妬しないの?」
「もう十分嫉妬したよ・・」
「・・わかんない・・アンタの考えてることが・・」
「ラブ・・。これでも僕は必死で考えた。いろんな事考えた。考えても考えても・・どうしても・・お前がいなきゃ僕はどうしようもないってとこに辿り着くんだ。
お前とちゃんと話がしたかった。僕はお前と生きていきたい。お前と一緒に歩いていきたい。でもお前はどうなんだろう・・。それをちゃんと聞きたかった。
テジュンさんを選ぶのなら・・それでもいい。僕は僕でお前を思い続ける。きっとイナもそうだと思う。
でももし、僕と一緒に歩いて行ってくれるのなら、僕はお前の全てを受け止めようって思った。
たとえ誰と何をしようと、僕はお前を愛してる。お前の全てを愛してる。たとえお前がテジュンさんを愛していても、僕はお前を愛してる・・。その気持ちに気づいたんだ」
「・・受け入れてくれるっていうの?俺の心にはテジュンがいるんだよ?!そんな俺でもいいっていうの?!」
「わかるもの、お前の気持ちが・・。僕はイナが好きだった。同時にお前も好きだった・・」
「でもアンタ、イナさんへの気持ちと俺への気持ちは違うって言ったじゃない!俺は・・俺はテジュンもアンタも同じように好・・」
「イナが好きだった・・確かに好きだったよ。認める。僕は自分を誤魔化してただけだ・・。抱きたいと思った。抱けなかったけど・・。だからあの時、イナの名前を呼んでしまったのかもしれない・・。ごめんね、悲しい思いをさせた・・。酷いことをした・・」

ラブはふっとため息をつき、俯いてまた話し始めた

「・・俺・・、テジュンに抱かれながらアンタの事考えてた。テジュンもそうだと思う。俺を抱きながらイナさんの事思ってたはずだ・・。
俺ね、抱かれてよかったと思った。アンタの気持ちがよく解ったんだ・・。二人とも好きだっていう気持ちがすんなり解った・・。俺のしたこと、犯した罪・・許されないことかもしれないけど・・俺はテジュンと一緒に堕ちたかった。アンタのいるとこまで・・」
「・・堕ちる?・・僕のいるところ?」
「・・あのまま帰ってきてたら、アンタきっと俺に謝り続けて、俺に後ろめたさ感じてたろ?」
「・・ああ・・」
「・・俺が罪を犯したら・・きっとアンタと向き合えると思った・・でも・・すべきことじゃなかった・・」
「・・」
「・・イナさんを傷つけた・・」
「ラブ・・」
「あんなにいい人を俺、テジュンを奪って・・傷つけた・・」
「ラブ・・」
「俺、こんな酷い人間だよ?アンタを傷つけたなんてこれっぽっちも思ってない!やっちまってから、イナさんにだけ悪いことしたって思ってる・・。こんな酷い男だよ?」


涙を流しながら話し続けるラブを、僕は抱きしめた

「そんなでもどんなでもラブに変わりないだろ?僕は・・ラブが好きなんだ!」
「おじさ・・」
「イナだっていろいろ考えてた。あいつの事は心配しなくていい」
「どうして!アンタそんな立場に立ったことないから」
「立場?今立ってる立場はイナと同じようなものじゃないか?」
「・・」
「でも僕は受け入れる。お前もテジュンさんも真剣だったんだってこと、受け入れる。それでもお前もテジュンさんも、僕とイナのところへ帰ってきてくれた。帰ってきたかったからだろ?
その事も受け止める。お前達は真剣だった。真剣に悩んだ。そうだったんだろ?」
「・・」

コンコンとノックの音がした
僕はラブから離れてドアを開けた
ギョンビンがワゴンにブランデーの水割りセットのようなものを載せて苦い顔をして立っていた
タイミングを見計らっていたのだろう・・

「邪魔しちゃった?」

気まずそうに聞くギョンビンに微笑んで、ありがとうを言い、ワゴンを受け取る
ギョンビンはチラリと中を覗いて、頑張って・・といい、そして僕の耳元に口を寄せ、「もう少ししたら僕達も寝室に行くから・・遠慮なく・・」と囁いてニヤリと笑った

僕は眉を上げてギョンビンに答えた


替え歌 「愛の十字架」 by ギョンジン ロージーさん

放しちゃいけない 今ここで
離れたくない もう二度と
おまえの黒い瞳から
愛を見とどけるまで

かくしちゃいけない お互いの
今夜の気持ちは 燃えている
おまえのすべて 受けとめて
僕は誓うよ

それは 何時からだろう
愛を男の胸で ささえ
おまえのことを 放すまいときめた

離れちゃいけない わかるだろう
特に今夜だけは



迷っちゃいけない 今ここで
二人のあいだのグラスには
おまえの不安な心が
揺れているようだよ

数えちゃいけない わるい事
お願いも一度 僕を見て
おまえの 甘いくちびるに
返事をみたい



それは 何時からだろう
愛を男の胸で ささえ
おまえのことを 放すまいときめた

迷っちゃいけない わかるだろう
特に今夜だけは
特に今夜こそは


(布施明『甘い十字架』)


替え歌 「すべてをこえて」 by ギョンジン ロージーさん

恋の炎 揺らめく胸 
おまえだけを 追いかけているよ
おいでここに 僕の腕に
燃えるような くちづけをあげる

辛い過去を 飛び越えておいで
おまえだけに この愛を誓う
どんなおまえも 放さない
解って 欲しい


恋に燃える 心燃える
おまえだけを 抱きしめていたい
だから僕の 胸のときめき
聞こえたなら 飛びこんでおいで

辛い過去を 飛び越えておいで
おまえだけに この愛を誓う
すべてを超えて 愛したい
すべてを こえて

辛い過去を 飛び越えておいで
おまえだけに この愛を誓う
すべてを超えて 愛するよ
すべてを こえて


(松山千春『長い夜』)



お泊り れいんさん

僕はヨンナムさんに書いてもらった地図を頼りに、ヨンナムさんの家へと向かっている
もちろん、あいつも一緒だ
あいつのお決まりのセリフと泣き落としに負けて、しぶしぶ承諾した
一人でいろいろ考えたくて行く事にしたのに、これじゃ全く意味がない


暗い夜道を15分程歩いたところでヨンナムさんの家は見つかった
噂には聞いていたけど、かなり年季の入った建物だ
重要文化財に指定されているとかいないとか・・


おんぼろ引き戸に手をかけて開けようと試みたがなかなか開かない

「こーゆーのは、俺、得意だから貸してみろよ」

そう言ってホンピョが力まかせに引き戸を開けようとした
・・で、案の定ぶっ壊した


中から慌ててヨンナムさんが出てきた

「あ!兄貴!ごめんなっ!俺、ちょっと触っただけなのによお、このおんぼろ引き戸が勝手に壊れてよお」

ホンピョがバツが悪そうに、頭をゴシゴシ撫で付けている


「気にしなくてもいいですよ。ソクさんに言ってすぐに修理してもらいますから」
「え?ソクさん、そんな事もするんですか?」
「ええ、彼は僕の頼み事をイヤな顔一つせず、進んでやってくれます。今時貴重な気持ちのいい男です。
それよりどうぞ、入って下さい」

ヨンナムさんの優しい笑顔に迎えられて僕達は敷居を跨いだ


「丁度、軽く夜食を食べていたところです。一緒にどうですか?」

ヨンナムさんに勧められて、僕達は広い居間に通された


「俺、兄貴の隣っ!」

ホンピョのバカは急にはしゃいだ風にヨンナムさんの隣を陣取った


なんだよ・・
さっきまで僕の袖の端を掴んだまま、トボトボ後をついて来ていたくせに・・
ふん!なんかムカツク・・

それからもホンピョの奴、
「兄貴、これうめえなっ」
「兄貴、おかわりっ」
とか、座敷犬みたいに尻尾振ってヨンナムさんになついている

ふん!なんか・・面白くない・・

食事の後、僕は二階の一番奥の部屋に通された
一番手前の部屋がソクさん、真ん中の部屋には一応テジュンさんの荷物が置いてあるらしい
ヨンナムさんは端から詰めていかないと気が済まない性質なんだそうだ
で、一番奥の部屋が一部屋だけ空いていたってわけだ


ホンピョは早速
「今日は兄貴の部屋で寝る」
と言っていた
兄貴、兄貴って、兄貴じゃないのに・・
ヨンナムさんも無邪気になついてくるホンピョの好きな様にさせてやってたみたいだ
布団を二つ並べて寝たところで、ヨンナムさんなら安心だろう


僕は部屋の風呂に浸かりながら、あれこれと考え事をしていた

ホンピョの奴、ちゃんと風呂には入ったのかな
また、石鹸使わずに、テキトーに洗って済ませたんじゃないのかな

ふん!ヨンナムさんに頭も綺麗に洗ってもらえばいいんだ
僕だって一人でのんびり入れるしあいつの面倒を見なくても済む


僕は風呂から上がって、タオルで頭を拭きながら、何か手持ち無沙汰な気がして、ビール片手にテレビをつけた

ふん!今日こそ子守唄を歌わなくてもいいし、背中トントンもしなくていい
あいつの「しゃびしいっ」も聞かなくて済む


そうなんだけど・・
一人になりたくてここに来たんだけど・・
なんか・・しゃびしいっ
あれ?ホンピョの口癖がうつっている


そんな時、ふいに部屋の扉が開いた

「おい、ドンヒ!起きてるかっ」
「お?なんだ、ホンピョか・・ノックくらいしろよ」
「あのな・・俺、やっぱここで寝るわ」
「なんでだよ。・・ヨンナムさんとこで寝るんじゃなかったのか?」
「ああ、だけどよ・・なんか・・眠れねえんだ」
「どーして?」
「ん・・なんかよお・・部屋に仏壇があったりしてよお・・薄気味悪くてな・・」
「ふうん・・」
「んでよお・・子守唄も背中トントンもやってもらったんだけどよお」

ふん!やってもらったんじゃん

「兄貴ってばよお、音楽の教科書に載ってる様な歌ばっか歌うしよお・・あれじゃ目が冴えちまってよ・・」
「・・・」
「背中トントンの具合もな・・ちっとばっかし違うんだよな」
「・・で?」
「んだからよ、やっぱな・・ドンヒの子守唄と背中トントンが俺様の眠りにはもってこいでな・・」
「・・で?」
「なんでい!何度も言わせんなよな。・・だから、やっぱドンヒと一緒に寝てやる事にした」


そう言ったかと思ったら、ホンピョはすぐさま僕の布団に潜り込んだ
で、結局、いつもの様に子守唄と背中トントンだ


でも、その日はなぜか、子守唄も背中トントンもそんなに嫌じゃなかった


ホンピョがポツリと
「おめえって・・いい声してんのな・・ZZZ」
そう言ってすやすやと寝息をたて始めた


へへへ・・
可愛いとこあるじゃん、こいつ・・


僕はちょっと照れ臭い様な、くすぐったい様な気持ちになった
そしていつもより長めに背中トントンしていた僕も、だんだんと眠くなり
またいつもの様にホンピョを抱っこした格好のまま、深い眠りに落ちていった


替え歌 「知りたくないよ」 by イナ ロージーさん

二人の ことなど
知りたくないよ
たとえ たとえ俺が
訊いても 言わないで

あいつの ことなど
忘れて欲しい
俺が 悪かったと
解っているけれど

おまえの愛は 俺だけの
俺だけのもの だったのに

ああ 愛しているから
耐えられないよ
いっそこの俺 捨てて
くれたら よかったのに


(菅原洋一『知りたくないの』)



底なしの沼へ 3 ぴかろん

テジュンは順を追って話し始めた
ボロボロで傷ついているラブに、ホテルの部屋の片付けを手伝わせ、それから自分の寮の部屋に連れて行って泊まらせたこと
次の日は寮の部屋の片づけをした事・・
ボロボロの時は、体を動かしているのが一番いい
何も考えずに済むから・・

俺もスヒョンにそうしてもらったんだ・・

じゃあお前もスヒョンが俺を思ってくれたようにラブのことを思ってたってこと?
お前の寮の部屋なんて・・俺は・・知らない・・
どんな部屋だったんだろう・・どんな物が置いてあったんだろう・・

寮を片付けて銭湯に行って、それから海辺のリゾートホテルで三日間過ごしたとテジュンは言った

テラスにジャグジーがあってね、スヒョンさん御用達のホテルだよ、あそこに行きたいとラブが言ったから・・
ジャグジーに花を浮かべて入ってみたいって言ったから・・


そしてテジュンとラブはそのジャグジーに一緒に入り、酒を飲んでいろいろな話をして、一緒のベッドで眠ったんだって・・

「その日は、キス以上の事はしなかった・・。僕は早く帰りたかったから・・。お前のところへ・・」

同じようなことをスヒョンは俺にしてくれた
キスは無かったけど・・

次の日、ラブにせがまれてショッピングしてデートして食事して・・


そんな事

テジュンとしたことないじゃんか・・
俺のしたかった普通のデート・・

テジュンとしたことないじゃんか・・


その日、帰ってきて、テジュンはそのデートに酔っていたって言った
部屋に入ってラブに自分からキスをしたって・・

前の日のジャグジーには花が無かったから、今日は花びらジャグジーに一緒に入ろうって言われてたんだってさ・・
その中でテジュンはラブに・・

なんで?
俺にはそんな事してくれたことないじゃない・・
なんでラブにそんな事を?


それでラブを慰め終えたと思ったんだって・・
それで終わりにして次の日に帰って来るつもりだったんだって・・でも・・

「ラブと話してて・・ラブを抱きたくなった」

俺のこともギョンジンのことも、二人ですごくすごく考えたって・・
だけど

「ラブの事を・・本気で好きになってた・・だから・・欲しかった・・」


…ほら
テジュンは浮気なんかできない人だって、俺、前に言ったろ?
抱くとしたら・・その時は本気で好きになった時だって・・

それでもテジュンを好きなんだと・・俺、今朝そう思ったのに・・
どうしてこんなに揺れるんだよ・・
どうしてこんなに妬ましいんだよ・・


「いけないと思ってた。お前を愛してるから・・。でもラブの事も好きだったし欲しかった・・」


俺がソクやギョンジンとキスしたくなるみたいに、テジュンはラブを欲しくなったんだと言った
ラブを抱いて幸せを感じたと同時に、俺に対する罪悪感と後悔でいっぱいになったって・・

その気持ち、俺に・・わかるだろう?ってテジュンは言った

ああ・・わかるよ・・いつもお前を苦しめてたよね、俺は・・
フラフラしてさ、ソクやギョンジンとキスしまくってさ・・
挙句の果てにギョンジンを誘って酔わせて・・ラブを傷つけた・・

いつも怖くてさ・・
お前が離れていかないか
すごく怖くてさ・・
でもキスがしたくてさ・・
ソクもギョンジンも好きだったよ・・だからキスしたんだ俺

キスした後、必ず後悔してた・・
わかるよ、そういう気持ちだね・・でも・・


抱くなんて・・


本当だったなんて・・


「こんな気持ちのまま帰ったら、僕はお前に向き合えないと思った」


だから

ラブと底まで潜ったっていうんだ・・
底までって?

「・・どう・・いう・・こと?」
「何度も抱いた」
「・・」

部屋に篭ってずっとくっついていたって
繋がらなくてもくっついていたって・・

なんで?
なんで?
なんでラブと?
俺とじゃなくてなんでラブとなの?!
どうしてそれを俺に言うの?!


ルームサービスの食事を食べさせあったり、部屋のいろんなところでラブを抱いたりしたって

なんでそんな事まで言うの?!
聞きたくないよそんな事!


ずっと朝まで何度も抱き合った
最後に繋がった後、僕達はお互いに愛し合ってるって解った・・


そ・・

それが言いたかったんだ・・
ラブと愛し合ってるから俺はもういらないんだ・・

「イナ。でも僕はお前のところに帰ってきたかった。ラブもね、ギョンジン君のところへ帰りたかったんだ。僕達は最初からお前達のところに帰りたかった。
お前達とちゃんと向き合って話がしたかった。だからラブと僕は・・寝たんだ・・」


「意味がわかんねぇ・・
なんで寝る必要があるんだよ・・
愛し合ってるなら俺たちのとこに帰ってこなくったっていいじゃん・・
そのまま・・そのままどっかへ行っちまえばよかったんじゃん!」

「言ってるだろ?帰りたかったんだ、お前のところへ。僕はお前に僕の気持ちの半分も伝えてなかった。だから僕の心の中で起こったこと全部お前に伝えたいんだ!お前に僕を解ってほしいから!・・僕達は愛し合ったしこれからも僕はラブを愛し続ける、死ぬまでずっと。ラブはもう僕の心の中に溶け込んでしまった。染み込んでしまった。
僕は後悔しない。ラブを愛したこと、後悔してない。
どんなにお前が好きかって事も解った・・。帰りたかったんだお前のところに・・。
僕の言ってることは無茶苦茶かもしれない。でも僕は・・お前と一緒にこれからの人生を生きていきたいんだ!」
「なんで?・・ラブじゃなくて?どうして?」
「ラブにはラブの好きな人がいる。僕はお前が好きだ。僕の本当に欲しいのはお前だから・・。会いたくて堪らなかった・・」


ずうっと涙が流れ続けてた
ラブと愛し合ってるのに俺が好きで・・俺と生きていきたくて帰ってきた?
どういう意味さ・・
どういう・・

胸が苦しくなって顔を伏せて泣いた
わかんねぇ
わかんねえ
俺が好きだと思ってるのに何故ラブと寝た?
ラブを愛してるっていうのにどうして俺と生きていく?
俺が好きなのに何故・・


『僕を好きだといいながらいつもいつもソクやギョンジンとキスしまくって・・』


あ・・

お前・・

お前もこんな・・
こんな苦しかったの?

わかんなくて苦しかった?


俺はテジュンの顔を見上げた
テジュンは真っ直ぐ俺を見つめている
その瞳を見て俺はしゃくりあげた
しゃくり上げて泣き続けた

テジュンは俺の背中を撫でてくれた

ひとしきり泣いてから俺はテジュンの手を握って、ゆっくりと話し始めた



「お前・・いつもこんな思いしてたの?
俺がよそでわるさして帰って来た時、いつもこんな思いして俺を許してくれてたの?

お前・・すごいね・・。ほんとに・・すごいね・・お前・・

俺さ、お前が帰ってきてくれたらさ、俺はお前自身が好きなんだッてこと、伝えようと思ってた。
ラブとどうこうなったとしても・・それでも俺はお前が好きなんだってちゃんと・・お前と向き合おうと思ってた。

でも俺、こんなに・・こんなに苦しい思いが待ってるなんて思わなかった・・
どうしていいのかわかんない・・
辛すぎる・・
お前みたいになれない・・
俺・・俺・・
俺だめだよテジュン
俺はダメだテジュン」

「何が?何がダメなの?イナ・・」

「・・ 別れよう・・」



ノラの心配   足バンさん

コンサートの後、僕はスヒョンと一緒に店に戻った。
スヒョンが何だか目を通す書類があるっていうから。

店には戻って来るメンバーのためにって
テソンさんがちょっとした軽食を用意してくれていたので
僕は事務室のソファでそれを食べながら待っていた。

「今日の最初の”Summer Place"って曲”避暑地の出来事”の主題歌でしょ?
 僕ずいぶん昔に観たんだけど…その時はひどいぞ大人の身勝手!って印象だったなぁ
 今だったら違った印象なのかな…スヒョンは観た?」

スヒョンはオーナーからっていう書類を熱心に読んでいて聞いてやしない。
デスクに寄りかかって何やら真剣な顔で考え込んでいる。

「なにそれ?」
「前に話がきた映画出演の件」
「ふぅん…で?」
「ああ…やっぱり断ろうと思って」
「ふぅん」

僕は特にそれ以上詮索するつもりはなかった。
スヒョンも前から興味なさそうだったし
断るなら別に聞いたって仕方がないと思ったから。

この時は…
のちにまたこの件でうろたえるようなことになるなんて思ってもみなかった。

それよりも今夜の僕は
イナさんのことが気になって仕方がなかった。
ラブ君もギョンジンさんもミンチョルさんのところに行くことになったって
帰り際にギョンビンが教えてくれた。

イナさんが会場でテジュンさんと一緒に出て行くところを見た。
頑張って背筋を伸ばしてたけど
でも顔に血の気がなかった。
今朝あんなに元気にしてたのに…
テジュンさんを前にしたら…辛いんだろうな…

僕は尚も書類に目を通してるスヒョンの顔を見ていた。
僕もイナさんみたいなあんな目をしてたんだろうか…

スヒョンの携帯が鳴った。
イナさんみたいだ。

一人で話を聞いて、一人で考えて、一人で決めろ。いつもそうしてきただろ?
頑張れ・・な?お前が好きなのは、テジュンさん自身、そうだろ?

携帯を切ったスヒョンはデスクの端に腰を掛けてため息をついた。

「行ってあげなくていいの?」
「今行ったらあいつ自分で考えられなくなる」
「でも…苦しんでるんでしょ?」
「…」
「あのひとあんな風ですごく繊細なひとだよ」
「わかってる…わかってるよ」

スヒョンは目を閉じてまた深いため息をついた。
行ってあげたい気持ちを抑えてるんだろうな…

僕はスヒョンに近づいてそっと胸にもたれ背中に腕をまわした。

「ね…何でひとはひとを好きになるんだろう…」
「ん?」
「苦しいことばかりでさ…」
「…」

返事のないスヒョンの顔を見上げた。
スヒョンはちょっと困ったように眉をあげて微笑みながら
ほんの少し唇を噛んでいた。

「ドンジュン…おまえはどうなの?」
「僕…?」
「僕はおまえと同じものを見て感じて分かち合いたい…それだけ」
「スヒョン…」

スヒョンは書類をデスクに置いて僕を柔らかく抱きしめた。

「”避暑地の出来事”で辛い恋を経験した主人公が言うセリフ憶えてる?」
「ううん」
「”愛とユーモアがあれば何もこわいことはない”」
「…」
「苦しいことばかりじゃないよ」
「ん…」
「イナもきっとまた笑ってくれる」
「ん…」

僕はスヒョンの香りを胸に吸い込みながら目を閉じた。

そして僕たちは…
イナさんの引き裂かれるような苦痛を想い
なかなか帰る気になれずにいた。


沼の面 1 ぴかろん

俺は、やっとの思いでそう言った
別れた方がいい
俺のような奴と一緒にいることは無い
ラブとの方がきっと幸せになれるよ・・
わざわざ俺のとこに帰って来ることなんかないよテジュン・・

「なん・・だって?」
「・・別れよう・・」

テジュンの目をまっすぐ見つめてそう言った
憎いとか悔しいとか、そんな気持ちじゃなくて・・
俺みたいな奴ともう関わらせたくなかったから・・
それに俺・・苦しすぎてだめだよ・・
ラブを心に抱えたお前と生きていくなんて・・
俺はお前みたいにすごくないから・・できねぇよ・・
ごめん、スヒョン・・
俺、勝負、降りる・・
できねぇよ俺

ごめんな・・あんなによくしてくれたのに俺、勇気ねぇよ・・


「ごめん・・別れようテジュン・・」

テジュンの顔から血の気が引いた
俺はこれ以上一緒にはいられないと思い、立ち上がってドアの方に足を踏み出した
その瞬間テジュンが俺の腰にしがみつき、俺は床に倒れこんだ

テジュンは俺の背中に顔を埋め何事か呟いていた
驚いて体の向きを変え、テジュンを見た
体が震えている

「・・どうしたの?テジュン・・」
「・・いやだ・・」
「・・テジュン?」
「・・いやだ。いやだいやだ・・別れるなんて・・いやだいやだいやだ!いやだ!いやだイナ!」
「・・テジュ・・ン・・」

テジュンの顔が涙に濡れて、くしゃくしゃに歪んでいる

「いやだ!いやだ!イナ!いやだ!別れないでくれ!別れるなんて言わないで!お願いだから!お願いだ・・いやだっいやだっ・・」

テジュンは・・泣き叫んでいた・・
そんなテジュンは初めてだった

「お・・お前を失いたくないっ!お前を失いたくない!お前がいない人生なんて・・考えられない!いやだ!いやだイナ!捨てないでくれ!僕を捨てないでくれ!」

泣きじゃくるテジュンを俺は呆然と見ていた

「・・テジュン?・・」
「絶対いやだ!絶対にいやだ!」

泣き叫びながらテジュンは、俺のシャツのボタンに手をかけて引きちぎった
そして乱暴に俺の体に口付け始めた

「いやだ!いやだ!この体は僕の物だ!いやだ!離さない!絶対に離さない!イナ!イナ!イナあああ・・ああ・・」

胸板や鎖骨や腹を強く吸われながら、俺は狂ったように泣いているテジュンの心を思った
そしてスヒョンの言葉を思い出した
2つの愛・・

俺のことも愛してくれてるの?テジュン・・
俺が必要なの?テジュン・・


俺は泣きじゃくって俺の胸に顔を埋めているテジュンと体をを入れ替えた
テジュンの頭の横に両腕をつき、その顔を覗き込んだ
そこら中を泳ぐ瞳、震える頬、涙に濡れた睫毛、俺の名を呼ぶその唇


俺の見たことのないテジュンがいる
俺の大好きな男が・・こんな弱々しい姿を俺に・・俺に見せている・・
俺が・・いなきゃ・・だめなの?
ほんとうに?

俺はテジュンの頬を撫でた
その頬にぽつんと俺の涙が落ちた

「イナ・・愛してるんだ・・」

震えるその唇に、俺は静かに口付ける
ずっと待っていた唇に俺の唇を重ねる
静かに何度も、何度も何度も
俺はテジュンに接吻をした・・


たくさんのキスを落とした後、俺は床からテジュンを抱き起こした
立ち上がらせて、腕を引いてベッドまで連れてきた

俺は先にベッドの縁に座ってテジュンの手をとり、テジュンを見上げた
テジュンは俯いて泣いている

こんなに・・
こどもみたいに震えてる・・

これはいつもの俺だ・・
テジュンに縋って捨てないでくれって泣き叫んでるいつもの俺だ・・

俺は・・いつものテジュン?
こんな可哀相な男を放っておけなくて、手を差し伸べてくれるテジュン?

ううん・・
お前・・俺以上に苦しい思い抱えて帰ってきたんだよな・・
ラブの事、愛しちゃって、でも俺の事も忘れないでいてくれてさ・・

「ラブのとこに行けば楽なのに・・
そうしたって俺、恨まないのに・・

なんで俺?
俺が、ラブを抱えたお前を支えていけるって思ってるの?
俺、そんな大きな人間じゃねぇよ・・」
「いやだ・・いやだいやだお前がいなきゃ生きていけないっううっううう・・」

俺はテジュンを隣に座らせた

「いいの?俺でいいの?俺がお前のそばにいても・・構わないの?
俺、ちっぽけだよ。お前の事、一生疑うかもしれないんだよ。それでもいいの?」
「お前じゃなきゃダメなんだっお前じゃなきゃ・・」
「・・俺が・・必要?」
「イナっ・・イナ・・」

テジュンが俺に抱きつく
俺はテジュンをベッドに横たえてやった

俺もベッドに横たわり、テジュンの頭を俺の胸に乗せ、テジュンの髪の毛を弄くった
テジュンは俺の胸で震えながら泣いている

初めてだ・・
俺が
テジュンを
抱きしめてる・・
こんな俺を
テジュンは頼りにしてるなんて・・

俺はテジュンの髪に口付けて俺は俺の狭い心の間口を広げてみようと思った

「テジュン・・。俺、小さい人間だからさ、すぐ逃げ出したくなるんだけどさ・・。俺。俺頑張ってみる・・。
お前の事、理解できるように頑張ってみる・・。だから・・もうこんな風に泣かないで・・。お前が俺のこと、思ってくれてるってよぉくわかった・・。」
「イ・・ナ・・・・愛してる・・愛してる・・イナ・・愛してる・・」
「俺も・・俺もテジュンの事愛してる・・もっと愛したい・・」

ラブに負けないぐらい愛したいよ、テジュン・・

「このまま、眠ろうよテジュン・・気持いいや・・」
「・・イナ・・わかれない?」
「・・ん・・今はね・・」
「いやだっずっと一緒だ!」
「テジュン・・」

しがみつくテジュンの頭と背中を撫でながら、俺達はそのまま寝転んでいた


ぽじゃんまじゃ....1   妄想省家政婦mayoさん

「よかったね...」
「ぅん..ヴォーカル無しで聴くのもいいね..」
「ぅん...(^_^)」
「(*^_^*)...」

僕と闇夜はコンサートの演目が終わって隣の闇夜と話していた..
隣でずるっと低く座っている闇夜を軽く引き寄せた...
引き寄せたその手で闇夜の頭を僕の肩に乗せようとしたとき...

ジホが後ろから身を乗り出し...右....左...ぬぅ~ぬぅ~っと順に僕たちの顔を覗いた...

「ね...真っ直ぐ帰るの?君たち....」
「えっ#.....ぁ...ぁぅ...」

ソヌとミンギは後ろでくすくす笑っている....

「テソンさん....監督...小腹すいたってさっ...」
「そういえば...監督もソヌさんも今日はつまみ食いしてなかったですね....」

「「テソンくぅ~ん^^;;...^^;;....」」→ソヌ・ジホ

「ね...何か食べて帰ろう#....みんなで...」

僕はソヌとミンギの顔を交互に見ると2人とも頷いた...
闇夜に振り返ると声なく笑い..頷いた...

「じゃ..行きますか...」
「おっけー~」

僕等のちょっと前を歩いていたミンギが監督とソヌに聞いている...

「先輩は何食べたいんスか?」
「ん~~...ステーキ.......」
「ったぐ...昼にいいもん食ったじゃないスか....カロリー摂りすぎッス...」
「あのね#...」
「先輩とか...監督くらいになっと...代謝率落ちるんスから...夜は軽めに....」

「「ミンギ##...<(`^´)>.....<(`^´)>....」」

「てへへ....テソンさ~ん....何がいい?」
「僕?.....mayo...どうしよっか.....何食べたい?」
「ぅん?....何がいいかなぁ....」
「えぇ~ぃ....ふたり一緒ならどこでもOK!ってことッスね##...はいはい...」

「「ミンギぃ....^^;;...^^;;.....」」

前を歩いていたジホが僕等に振り返った...

「テソン君はさぁ....まよ君食べたいんでしょぉ~?.....」

「「か...監督##」」

「テソン君~美味しいの?..ま...ょ...」

スパコン#スパコ~~~ン##

ソヌがまた丸めたパンフレットでジホの頭を叩いた....ちょっと強めに..

「2連発ぅ...痛いなぁ...ソヌ君...」
「もぉっ#...調子に乗りすぎですっ#」
「ぉぉん....怒ると怖~いからな...ソヌ君はっ...」
「何ですか?」

きっ#っとジホに向いたソヌがまた叩く仕草をした....

「ぁ...ぁ...ごめんなしゃい...(>_<)..」

「もぉ~~何処に行くんスかっ#...」
「じゃぁさ....ぽじゃんまじゃ行こう!...」
「もぉ~せっかくいい音楽聞いたのに...屋台っスか?監督ぅ....」
「い~じゃん....ねぇ...ソヌ君....」
「ぷっ.....いいですよ...」
「ヌナぁ...いい?」

「テソンは?あんまし行かないでしょ?ぽじゃんまじゃ....」
「ぅん...最近は...でも行ってみる...」

闇夜は振り向いたミンギに頷いた...
ミンギはソヌと一言二言話した後..僕等の方へやってきた..

「ヌナ...先輩が今日はワイルド系やめてランソンだねって...」
「あはは....わかった...」
「mayo...『ワイルド』とか『ランソン』って..何?...ぁ...ランソンって...」
「ん......」

闇夜は首を傾げている僕の背中をポンポン叩き...ミンギは僕を見てへっへぇ~っと笑った...



Round Midnight 1 ぴかろん

ワゴンをテーブルの方に持って行き、オーディオのスイッチを入れた
ジャズが流れる
僕はラブに飲むか?と聞いた
ラブは首を横に振ったので、僕の分だけブランデーを注ぎ、ノドの奥に流し込んだ
ラブはうつろな目をしていた


キャノンボール・アダレイ 3. Serves Me Right - (take 5)

「ラブ…シャワー浴びるか?」
「…え…」
「疲れたろう?」
「…いいよ…」
「じゃ一緒に浴びる?」
「…何言ってんの…」

僕はラブを見つめた

抱きたい…
ラブを抱きたい…

「お前が欲しい。今すぐ欲しい」
「おじさ…」
「イヤならやめる…でも…欲しい。抱きたい。だめか?」
「…」
「愛してる…お前をちゃんと抱きたいんだ」






俺にはわからなかった
あいつの言う言葉がすぐに飲み込めなかった
ただ俺の体が欲しいだけなんじゃないのか?
俺をまるごと受け止めるなんて、あいつにできるわけないじゃない…

「俺、今抱かれたら、テジュンの名前呼ぶよ、きっと…」
「構わない」
「俺、テジュンに抱かれてるって錯覚するよ、アンタのこと思い出しもしないで」
「そんな事ないさ」
「そんな事ないってなん…」

俺はあいつに唇を塞がれ、身動きできなくなっていた
あいつの香りが俺を狂わせる

俺の欲しかった唇が俺に降りてきて
体の芯が熱くなっていく

俺はテジュンを愛しているはずなのに、この男に会った途端、この男を求めている
淫らなのは俺
愛を求めているのか快楽を求めているのか解らなくなる

あいつは器用にシャツのボタンを外す
テジュンに買ってもらったピンク色のシャツがするすると脱がされて俺から離れていく

テジュン
そばにいて
俺はこの男に本当に愛して貰えるのか
とても不安でたまらない…
とても不安なのにどうしてこんなに
この男が欲しいんだろう…

「好きだ。ラブ・・好きだよ」
「あ…ああ…」


Blue Mitchell 3. There Will Never Be Another You



知らないうちに服を脱がされた俺はベッドに横たえられてアイツの愛撫を受けていた
あの時と違う、優しくて丁寧なくちづけが体中に降り注ぐ

俺の体を貫いたナイフの傷跡に一つずつ、アイツの唇が触れる
俺はアイツのシャツのボタンを外し、その胸に手を伸ばした


滑らかな厚い胸


シャツを滑らせて上体を露わにした


逞しい太い腕


あいつが俺の顔を覗き込む


優しい瞳


俺はその唇に触れ、頬や鼻に触れ、睫毛に触れた

涙が溢れ出る


もう一度初めっからやり直せる?


Blue Mitchell 6. When I Fall In Love

「これ・・テジュンさんだね・・」


あいつは僕の鎖骨にそっと触れて言った

俺は頷いた



「コンサートの前に・・つけてもらった・・」


なんて言うだろう
怒るかな・・
僕に見せ付けるためか!って怒るかな・・


アイツはそっと微笑んで、僕の鎖骨に口付けした


「妬かないの?」
「ん・・」
「どうして?」
「どうしてなんだろう・・」
「腹立たないの?」
「立たない・・愛おしい・・」


愛おしい?


俺はアイツの頭を掴んで上げさせ、その顔を見た

「ん?」

嘘をついている顔じゃない・・

「本気で愛おしいなんて言ってるの?なんで?他の男につけてもらったキスマークだぜ?!」
「だって愛おしいんだもん・・ほんとに・・。変?」


変だよ・・わかんねぇよアンタの心・・


あいつの愛撫は止まない
俺は堪らなく感じている
テジュンとは違う手が、指が、俺の体を這いまわって、俺の中の罪悪感と一緒になって感覚を鋭くする


「もっと感じていいんだよ」「声出していいんだよラブ・・」
「かわいいよ」「愛してる」「綺麗だ」「ラブ」「ラブ。ラブ」



絶え間ない言葉の攻撃
素直に受け止められない俺
でも俺はこの男を・・

愛してる

欲しくて堪らない・・
テジュン・・

昨日あんなに愛し合ったのにテジュン・・

俺は・・なんて人間なんだろう・・


ああ・・あああ・・




長い愛撫の後、あいつは俺の脚を抱えた


「いい?」


そんな事聞くな!
俺は顔を背けた


あいつは俺にのしかかって、俺の顎を掴んで口付けた
そして瞳を覗き込んでもう一度言った


「一つになってもいい?」


潤んだ瞳を見つめる
俺を求めているその瞳を・・
ここでイヤだと言ったら
あんた、止めてくれるっていうの?


「イヤなら止める・・」


じゃあ・・止めて・・
「来てよ・・」


うらはらな言葉
どちらもが本心


「いいの?」
「焦らすなよ」
止めて・・



あいつは困惑した表情で俺の腰を支える
あいつが俺に入ってくる
ああ

あああ



マイルス・デイビス 1. Round Midnight


ゆっくりとあいつが動く
俺の体も動く
ああ

どうしようテジュン

テジュンとは違う・・



ゆっくりと動きながら俺の唇を吸うあいつ
目をあけてあいつの顔をみる俺

ずいぶん・・気持ちよさそうだね・・

「あ・・すごい・・ラブ・・」


あいつは動きを止め、潤んだ瞳の悩ましげな顔を向けて俺を見た


「・・かん・・じ・・ない?」


俺は平然とした顔で答える


「まだ・・」


嘘つき、震えるほど感じてるくせに・・
死ぬほど嬉しいくせに・・


あいつはまたくちづけを落として、大きくゆっくりと動く




ああ
荒れ狂う波が防波堤に打ち付けられるような
そんな感覚が俺を襲っている
なのに俺は仮面を被り、冷ややかな顔であいつを見つめている
何やってんだろ俺
何で素直になれないんだろ俺


あいつは俺を喜ばせようと、一生懸命に動いている
ああ
ぜんぶかんじてるよ
ぜんぶ・・俺にとどいてるよ・・ああ


やがてあいつの動きが早くなり、俺はやせ我慢なんかできなくなった
波が防波堤を飛び越えて、俺の体を狂わせるあああ・・


ああ・・あああ・・あ・・だめ・・だめだギョンジン・・だめっあっああっ


「ラブ?ラブ・・気持ちいい?」
「きもち・・きも・・」




Gene Ammons 4.Angel Eyes




それまで冷たい顔で、僕の攻めに反応を見せなかったラブが、突然顔を歪めて震えだした
感じてはいけない・・とでも言うように指を噛み、眉根を寄せている
感じてるの?ラブ


「声出していいんだよ、我慢しなくていいんだラブ」
「ん・・んん・・」
「ラブ・・ラブ・・」


妖艶なラブの表情に、僕の体のリズムが早くなる
早く、強く攻める
叫び声が少しずつ大きくなる
ふっと目を開けて僕を見るラブ
たまらくなって口付ける僕
二人の荒い息遣いが僕達を昂ぶらせ、僕はますます勢いづいていく


「ギョンジン・・ギョンジンああっあ・・ギョンジンっ」


僕の・・名前だ・・
僕の名を呼ぶラブが、僕の腕の中にいる・・


「ラブ・・愛してる・・ラブ」


動きながらラブに囁く
僕の名を呼び続ける錯乱したラブ
愛してる
愛してる
こんなに好きだとは思わなかった
僕のそばにいて・・お願いだ・・ラブ・・


「あ・・・ギョンジン、ギョンジン・・ああっ・・ああ・・テジュン・・テジュン・・テジュン」
「ラブ・・」


替え歌 「美しく熱くなれよ」 by ギョンジン (ロージーの勝手に愛の世界) ロージーさん

おまえ今僕の胸で蝶に変わるよ
蒼ざめたその翼-hane-を薔薇色に染め
これがしあわせと
泣きながら飛んでゆくよ

唇は使えないよ 僕がふさいだ
うらはらの言葉などもう言わせない
おまえ熱くなれ美しく熱くなれよ

二度とは離れられない
僕から離れられない
もっと熱くなれ熱くなれ
すべて脱ぎ捨て
僕の愛だけを僕だけを
貪るんだ


僕の愛を愛をおまえだけにあげよう
今夜こそはほんとの僕見せてあげるよ
たとえおまえが誰かを愛していても
僕から離れられない

おまえ今僕の胸で蝶に変わるよ
蒼ざめたその翼を薔薇色に染め
これがしあわせと
泣きながら飛んでゆくよ


僕の愛を愛をおまえだけにあげよう
今夜こそはほんとの僕見せてあげるよ
たとえおまえが誰かを愛していても
僕から離れられない

僕の愛を愛をおまえだけにあげよう
今夜こそはほんとの僕見せてあげるよ
たとえおまえが誰かを愛していても
僕から離れられない

もう二度と

(西条秀樹『君よ抱かれて熱くなれ』)



替え歌 「アナタ」 by ラブ (ロージーの勝手に愛の世界) ロージーさん

アナタ やっと逢えたね
やっと やっと あえたね
アナタ アナタの瞳
しあわせな夢 夢じゃないよね

アナタ 微笑むアナタ
愛の 優しい言葉
アナタ アナタの匂い
夢にまでみた アナタのくちづけ

死んでもいいよ
アナタの腕に抱かれて オレは炎
アナタは火の鳥 燃やして 燃やして
すべてを オレのすべてを

アナタ アナタの吐息
甘い アナタの唇
アナタ アナタのすべて
オレだけのもの ああ 今だけでも


死んでもいいよ
アナタの腕に抱かれて オレは炎
アナタは火の鳥 燃やして 燃やして
すべてを オレのすべてを

アナタ
愛しているよ もう 放さないで
ねえ これは夢なの
何だか怖い 怖いよ
もっと もっと強く抱いて

あぁアナタ 愛してる・・
あぁアナタ 愛している・・
ああアナタ 愛してる・・


(グラシェラ・スサーナ『アドロ』)










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