ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

リレー企画 199

千の想い 52  ぴかろん

イナは僕の腕から逃れようともがく
僕は彼を離さない

「イナ…お前のせいじゃない。僕が悪いんだ僕が…」
「何で!テジュンは何にも悪くないじゃん!俺がフラフラしてるからいけないんじゃん!」
「イナ…。僕がお前をヨンナムに引き合わせた。お前が嫌がってるのにヨンナムと会ってやってくれなんて頼んだ。ずっとずっと不安だったのに僕はお前を…。全部僕がやった事だ。お前をほったらかしにして、僕そっくりのヨンナムに会わせて…」
「違う…違う違う俺が…俺が…」
「僕のせいだ。そんなつもりはなかったけど、でもお前を試してたんだ!イナ…だからイナ…苦しまないで…。いいんだ。ヨンナムを好きで構わないんだ。アイツは僕なんかよりずっと優しいし可愛らしい。好きになって当たり前なんだ。皆そうだったから…」
「…」
「あいつを選んでも構わない…。でも僕と二度と会わないなんて言わないで…」
「そんなの…できねぇよ!そんなの無理だよっ」
「イナ!僕は、僕はお前のためにここについて来たんだ!もう会わないなんて酷いじゃないか!」
「…」
「お前のために何もかも捨ててきたんだ!そんな僕を今更放り出すって言うのか?」

理不尽な言葉を並べ立てた
それはなりふり構わないやり方でもあり、僕の本心でもあった
イナに本音をぶつけようと思っていた
いっぱいケンカして、いっぱい話し合って…
解り合いたいと思っていた
ずっと避けてきた事に
僕は最後の賭けをするように挑んだ

「…てじゅ…」
「絶対嫌だ!お前から離れない!お前が誰を好きだろうと構わないって言ってるんだ!僕を捨てないでくれ!イナ!」

こんな風に縋りついたことがあった
ラブとの旅から帰った時だった
イナをめちゃくちゃに傷つけてイナの元へ戻りたいと言って
狂ったように縋りついたことがあった
あの時はイナの心の中に僕への想いが詰まっていたのに
今は…

「そんな事できない!お前に心が向いていないのにお前と一緒になんていられない!お前をもっと傷つけてしまうっ」
「傷つこうが何だろうが僕にはお前しかいないんだ!」
「やめてよ…できない…」
「お前…どこで泣くんだよ…」
「…」
「誰に本心言えるんだよ…」
「…。誰にだって言える。ラブだってギョンジンだっているもの…ちゃんと聞いてくれたもの!」
「あいつらが探りを入れたから気持ち言えたんだろ?!お前からお前自身の気持ちを話せたの、僕だけだろ?違うか?」
「…」
「僕以外の誰に甘えられるんだよ!」
「ラブだってギョンジンだって甘えさせてくれるもの!ヨンナムさんだって!」
「お前を全部引き受けられるのは僕だけだ!」
「…」
「僕だけがお前を受け止められる」
「…」
「ヨンナムには無理だ!」
「…てじゅ…」
「僕はもう逃げない。お前の気持ちから逃げない。お前がどこを向いていても構わない。お前の苦しみを半分にしてやる!」
「てじゅ…。テジュン!そんなの…そんなの俺が余計に辛くなるって思わないの?!お前に気持ちがないのに何でお前に甘えられるのさ!
何でお前を引きずり込んで俺の苦しみ半分受け持って貰えるのさ!」
「僕にしか甘えられないって言ったじゃないか!」
「昨日の事がなければね!」
「関係ない!」
「関係ある!」
「ない!」
「…」
「イナ…」
「…できねぇよ…そんなの…」
「イナ…」


気持ちが無いと言ってしまった
そう言わなければテジュンは引き下がらないと思ったからだ
テジュンは俺の言葉を跳ね飛ばして俺を抱きしめた
俺はテジュンの腕の中で足掻いた
テジュンはいつも強引だ
突然怒りが湧いてきた
本当に彼の言うとおり
全てテジュンのせいだと思えた
そう思った瞬間感情が爆発した
わあわあと泣きながらテジュンを罵った

俺のためにここに来たと言いながら
ずっと俺を一人ぼっちにしてたじゃないか!
自分勝手な事ばかりして
俺に何の相談もなく勝手に仕事を決めて
一緒にいるからって言いながら
住む場所も仕事も何もかも別々で…
お前の過去だってヨンナムさんから聞いたんだ!
お前から聞いたわけじゃない!
俺の事で傷ついても俺には何にも言わないで…
ラブを愛したくせに!
ラブと楽しんだくせに!
俺には何の楽しみもくれないで自分の好きな時に勝手に旅行に連れてって!
抱きたい時だけ抱いて自分だけ満足してっ
甘えたい時に甘えて、俺は…俺はこっちに帰って来てからずっと…お前に甘えられなかった…
一緒にいたって寂しかったんだ!
お前のせいだ
俺がフラフラしちまうのはお前のせいなんだからっ
お前なんか嫌いだ!大嫌いだ!顔も見たくない!大嫌いだ大嫌いだ嫌いだ嫌いだ…


イナの感情が溢れ出した
僕に対する怒りが僕に突き刺さる
ずっと我慢させていた
あの時からずっと…イナ…

そうだよ僕のせいだよイナ
お前を試すようなことしたり、愛してるって言葉を強要したり
うまく行かないと全部お前のせいにしてた
僕は狡い男だ
ヨンナムの事だって…僕と彼女とヨンナムの事を知ってるくせに何でお前はヨンナムを好きになるんだって腹が立った…
そんなの理屈じゃないのにね
僕はラブと寝たんだ
だからそんな事解ってるはずなのにね…

離せよ!大っきらいだ
お前なんかと会わなきゃよかった…

僕は…好きだ…
お前が大好きだ…お前に会えてよかった…


イナは大声で泣いていた
子供のようにしゃくり上げていた
僕の胸の中で全てを吐き出した
僕の胸の中で僕を罵り続けるイナを
僕は愛しいと思った

やがて落ち着いたイナがくすんくすんと鼻をすすりながら僕の名前を呼んだ

「なぁに?」
「…俺…どうすればいいの?」
「…僕に…甘えればいいんだ…イナ…」
「…」
「甘えてくれればいい…嫌いでも…」
「…」

イナは僕から離れて前を向いた
大きなため息をついて両手で顔を覆っている
僕も真っ直ぐ前を向いた
イナの頭を僕の肩に引き寄せた
イナはされるがままだった

「一生…お前の方を向かないかもしれないのに…」
「いいよ…僕がお前の方を向いてるから」
「…何で…俺なんか…」
「好きだからだよ…」
「ずっとこんなかもしれないのに!ずっとお前を罵り続けるかもしれないのにっ」
「いいんだ…」
「テジュン…」
「うん…」
「…。俺…ヨンナムさんが…好きなんだ…」
「うん…」
「昨日で終わらせたつもりだったのに…まだチクチクするんだ…」
「そうだね。簡単に終われないさ」
「心があっちに飛んじゃうんだ…絶対振り向いてもらえないのに…」
「…うん…」
「…。テジュン…」
「うん?」
「俺…。俺…。テジュンの事…好きだよ…」
「…イナ…」
「ほんとに好きだよ…。大切なんだ…」
「うん」
「ずっと一緒にいたいのはテジュンなんだ」
「うん」
「だから自分が許せないんだ…。ヨンナムさんを好きになるなんて…」
「イナ…」
「こんな酷いヤツ…捨てていいよテジュン」
「こんな可愛いヤツ、捨てられるかよ。バカ」
「…てじゅ…」
「無理に気持ちを戻そうなんて思わなくていい。今のまんまでいい。僕はここにいるお前が好きだから。お前の力になりたいだけだから…」
「…」
「済州島で色んな事考えた。お前を許せないとも思った。許せなかったらどうするんだって考えた。でもやっぱり…お前が好きなんだ…」
「…」
「僕はヨンナムとは違う。お前に『待ってる』なんて言わない。僕の気持ちは僕のものだし、お前の気持ちはお前のものだ。僕はお前が好きで、お前はヨンナムが好き。それでいいんだ。な?」
「違う…」
「え?」
「俺は…テジュンも好きだもん…」
「…ふ…」
「ただ…今は…どうしても」
「もういいよ。解ってるから」
「…テジュン…」
「何でも僕に言って。辛い事も哀しい事も嬉しい事も…」
「…」
「迷惑かもしれないけど、僕もお前に甘えるからね」
「…」
「だめ?」
「…別に…」
「別に?!」
「…いいよ…」
「ふふ」
「…」

朝までまだ時間があった
僕達はくっついて眠った
仕舞い込んでいた感情を全て吐き出したイナは
安心したような可愛い顔で寝息を立てていた
初めてイナを包み込んでやれたような気がした


千の想い 53  ぴかろん

夜明け方目を覚ました
俺を包み込む腕にハッとした
懐かしい香りがする
寝息を立てているその顔を見つめた
ごめんな…どこでどう間違えたんだろう…
何であの人を好きになっちゃったんだろう…
始まりが解らない
どうやって治めればいいのかも解らない
終わらせたはずなのに
こんな風にお前に全てを話しても
心の欠片があの人を想う
俺はお前の胸の中で
こんな風にしていてもいいのかな…
苦しんだはずの男の胸を
掌でそっと撫でてみた


掌の感触で僕は目を覚ました
腕の中にイナがいる
心が向こうに行ってるのかな…
儚げな顔をしているイナに声をかけた
「何か不安?」
「…ううん…」
「…ふ…。何でも聞いてやるから言ってみろよ」
「…言えない…」
「こら!」
また心を閉ざそうとしているイナの頬をゆるゆると叩いた
「僕が好きなんだろ?僕に甘えたかったんだろ?だったら甘えろよ」
「…甘えるの…怖いよ…」
「ふ…ふはは…バカ。いつものように何にも考えないで想ったこと言えばいいんだよ。な?」
「…お前を傷つけるのが怖い…」
呟いた唇をきゅっと摘んでやった
「こら!僕はもう物凄い打撃を受けたんだぞ。バラバラになるぐらい切り刻まれたんだぞ。それでも残ってたのはお前への想いなんだ
いいかイナ。お前が嫌がっても僕はストーカーしてやるから覚悟しろ」
「…」
「傷つけてもいいから、本とのこと言ってくれ。お前の本心が聞けるなら傷なんてどうってことない」
「てじゅ…」

涙ぐむイナを抱きしめる
柔らかい

「僕っていい男だろ?」
「…うん…」
「惚れ直すだろ?」
「…うん…」
「ま、ヨンナムには負けてるけどな、今のところ…」
「…」
「そこは笑うとこだろーが」
「…てじゅは何でそんな強いの?」
「強くなんかないよ…弱っちいからお前に何も言えずに済州島に逃げたんじゃないか…でもな…」
「ん?」
「あっちで凄い人に会ったんだ…」
「…」
「スヨンさん」
「スヨン?なんで?」
「偶然僕の研修に参加してた。素敵な人だった」
「…。元気…だろうな…」
「元気だった。お前の事な、今の方が愛してるかもねって」
「え…」
「ん?どきっとしたか?」
「…」
「何だよ、ヨンナムだけじゃなくてスヨンさんにまで心飛ばす気か?」
「そうじゃないよ…でも…」
「どういう意味かって?」
「うん…」
「そもそもだな、『愛する』ってどういう事だ?お前説明できるか?」
「え?」
「…僕にはまだ解らない。愛するってどういう事か」
「…」
「僕はお前を『愛してる』って言い続けてきたけど、それは本当の意味で『愛してる』んだろうか…」
「むじゅ…難しいな…」
「ん?!今『むじゅかしいな』って言った?」
「言わない!」
「…くふふ…。まぁいいや…。とにかくさ、僕がお前に『愛してる』って言う時は『好きだ』って言うよりもっともっと『好き』だと感じる時なんだ」
「ふん」
「『ふん』じゃなくて『…ん…』だろ?」
「…」
「くぉらっ!」
「続き話して」
「ちっ…。だからそういう時に『愛してる』って言ってたんだけどさ、こんな風に嫉妬したり憎らしく思ったりするのは『愛』なんだろうかって考えたんだ」
「てじゅ…」
「ん?」
「ちっとかっくいーな」
「ふ。…でさ、ついどうしても『愛してる』って言っちゃうけど、本当に愛するって何なのか解んないんだ」
「ん」
「スヨンさんも解んないって言ってた。でもお前と別れて遠くでお前の事をふと思い出してな、『元気でいてくれるかな?幸せになってほしいな』そう願う事ってもしかしたら『愛』かもしれないねって…」
「…ふぅん。やっぱりスヨンは賢いな…」
「…ふふ…」
「じゃあ俺もスヨンを『愛してる』のかな…」
「うん」
「…」
「憎いとは思わないだろ?」
「うん」
「恋愛感情は無いけど『愛してる』」
「…うん…」
「僕は…まだお前に恋愛感情があるからさ…」
「…」
「だから…愛するってどうすればいいのか解んない。飛行機の中でも、帰って来て先輩に挨拶してる時もずっと考えてた。店の前で待ってる時も、僕はこれからどうすればいいのか考えてた…」
「うん…」
「店の戸が開いて、一番に出てきたのがギョンジンとラブだったんだ。ギョンジンと目が合った。僕は旅立つ前にラブに酷い事をしたのに、ギョンジンは僕に微笑みかけてくれた」
「ふぅん」
「それからお前が出て来た時…、お前の姿を見た時にね…前にギョンジンが言ってた事が急に理解できたんだ」
「…」
「ここにいるお前が好きだ。それだけだって…。嫉妬もするし腹も立つ、でもそんな事よりも何よりも、お前が好きだって感情が勝っちゃった」
「…」
「だから…お前が苦しんでるなら、その苦しみを少しでも軽くしてやりたいし、お前が幸せになるなら何だってしてあげたいと思った。勿論さ、欲はあるからお前の幸せの中に僕がいれば一番いいと思ったけどね」
「…。どうしてここに連れてきたの?」
「抱きたかったから…」
「欲じゃんか!」
「ついてきたじゃないか」
「だって…」
「…。最後に抱かれたかったのか?」
「…」
「ふん!最後じゃないからな!」
「嫌がる事はしないんだろ?」
「けど僕の事も好きなんだろ?」
「…」
「今日のお前、凄かったし…」
「…」
「よかったし…」
「ぶぁか!」

イナは背中を向けて拗ねた
僕はイナの顔を覗き込んだ
イナは顔を背け、ついには枕に突っ伏した
僕は彼の敏感な首筋に舌を這わせた
ぶるるっと背中が震えた
そのまま唇で背中を辿って行く
吐息が漏れ始め、僕達はまた体を合わせた
ラブと繋がったとき
僕は恍惚感を味わった
イナとでは感じなかったのに…

今僕は、もっと深く、打ち震える様な悦びを感じている
何故だろう…イナもまた今までと違っている
僕達はようやく本当に一つになれたのかもしれない


千の想い 54  ぴかろん

チェックアウト前に大急ぎでシャワーを浴びた
いいと言うのにテジュンが体を洗ってくれた
掴まれた肩や腕が熱くなる
俺はやっぱりテジュンが好きだと思う

ホテルから出てどこかで飯を食おうということになり車に乗り込んだ
テジュンが冗談っぽく笑って言った

「ヨンナムんちに行くか?」

そう言われて気付いた

「お前昨日ヨンナムさんに会ったの?」
「いや」
「電話は?」
「してない」
「してよ!心配してるよ!」
「いいじゃんか!」
「よくない」
「心配させときゃいいの!」
「だめだよ。ああ俺、気が回らなかったなぁもう」

取り出した携帯電話をテジュンが掴む

「いいの!」
「なんでだよ」
「…。わかったよ、自分ので電話する」

テジュンは路肩に車を停めて電話をかけた

「おはよ」
『テジュンか?どこにいるんだよ!』
「おや、心配してくれてたの?」
『当たり前だろ!どこにいるのさ』
「ソウル」
『いつ帰ったんだ!今か?!』
「昨日」
『なんで帰ってこない!』
「イナと一緒だ」
『…』
「夕方には帰る」
『待てよ…イナ…そこにいるのか?』
「ああ」
『替わってくれ』
「いやだ」
『お前…』
「じゃあな」
『おま…』

テジュンは乱暴にフリップを閉じ、ため息をついてハンドルに突っ伏した

「テジュン…」
「はぁっ…ちくしょう」
「…」
「ヤな声聞いちゃった」

そう言って俺を抱きしめた

「お前に替われって言うんだもん馬鹿野郎」
「…」
「あいつと話したかった?」
「…てじゅ…」
「だめだな僕…立派な事言っても嫉妬しちゃう…」
「…」
「…。はあっ!よし!飯食いに行こう。どこ行く?」
「…。あ…じゃ、とっておきんとこ連れてってやる」
「ん?どこ?」

ドキドキしていた
ヨンナムさんは俺に何を言いたかったんだろう
…ただ単に心配してくれてただけだよね?
道案内しながら気持ちがヨンナムさんに向いていた
テジュンの長い指で唇を摘ままれた
テジュンは切なそうな顔で微笑んだ

「ごめん…」
「…僕こそごめんな…」


潤んだ瞳で僕に謝るイナ
おとといの夜の出来事を聞いた時、殴り飛ばしてやりたくなった

誰を?

僕が送ったメールが引き起こした事なのに
イナにそうさせてやりたいと思ったのに
昨日イナと肌を合わせた感触が甦る

ヨンナムも
イナのこの肌を
知っているんだ

イナを包み込んで偉そうな事言ったくせにもうこれだ…

「な…弱っちいだろ?僕…」
「…ううん…」
「イナ」
「ん?」
「そういう僕に腹が立ったらちゃんと言ってね」
「…」
「僕はお前に気持ちを隠さない」
「テジュン…」
「僕の全てをお前に見せる」
「…」
「うっとおしいだろ…」

イナは笑って首を横に振った

「少しずつでいい…僕を解って…」
「うん…」
「ご承諾いただけますか?」
「うんって言っただろ?」
「いやいやじゃない?」
「しつこいな」
「しつこいんだ僕は」
「…。いやいやじゃないよ。知りたかったから…嬉しい」

本心半分ってとこかな…
本当に知りたいのはヨンナムの心だろうな…
あの野郎…あの鈍感野郎…
でも…僕も鈍感野郎だからあいつの事は言えないな…


テジュンを連れてまたcasaへ来た
いつもの腰高窓から中を覗き、チェミさんの顎がクイっと動くのを見て裏口から上に上がる

「くぉらイナ!」

工房からチェミさんの低音が響く
俺は上りかけていた階段を下り、工房のドアを開ける

「なに?」
「『こどもぱん』かなり進んでるからお前ちゃんとやれよ。いいな」
「解ってるけどこの店、いつ開店すんのさ」
「くっ…。この野郎…」
「あ…それと…あれあるかな?」
「ん?」
「三層のゼリー。昨日作るとか言ってなかった?」
「ああ…一個だけ残ってる」
「一個?」
「十個だけ作ったんだがな、昨日ラブのヤツが昼飯代わりだとか言って四つも食った」
「…」
「残りは俺達とはるみがくった。で、一個…」
「ちょうだい。デザートに…」
「おお。後で取りに来い」
「うん」
「待て」
「ん?」
「今日はやけに色気があるけど何かあったか?昨日より色っぽいぞ」
「ぶぁか!」

「イナ…誰?」
「あ…俺のパンの師匠…」

階段の途中で俺を待っていたテジュンに答えるとチェミさんがニヤリと笑った

「本命登場か?!お?さてはこれだったか?」

クイクイと腰を前後に動かしああ…なんて声をあげる

「大ぶぁか!」

俺は恥かしくなって階段を駆け上った

リビングに行くとはるみちゃんが飛びついてきた
少し顔を顰めてクンクンと俺の匂いを嗅いでいる
そして目をまん丸にした後ピタピタと俺の頬を右前足で叩き
意味ありげに「みゃぁぁ~ん」と啼いてニヤニヤ顔になった
全く怪猫だぜ
俺の後ろにいたテジュンを見つけると、こんどは「みゃっ!みゃみゃみゃんみゃああぉ」と騒ぎ出した
俺はテジュンにはるみちゃんを抱っこさせようとしたのだが、はるみちゃんは仰け反ってくるりと回転しながら床に下りた
そしてウルウルとした瞳でテジュンを見つめて、右前足で床に「○」を書き始めた

「ん?器用な子だね。こんにちは」
「にゃんにゃにゃにゃぁはぁ~ん…」

妙にモジモジしている…

「くぉらっ!おめぇこういう顔も好きなのかよ!」
「みゃぁはぁ~ん…」
「イナ…通じるのか?」
「なんとなくな」

俺達ははるみちゃんに案内されてリビングのテーブルまで行った

「お前…何でまたいるんだ!」
「イナさんこそ…あ…」

なんだか俺よりも常連になっているラブが、テジュンを見て固まった

「おはようラブ」
「テジュン…」
「ギョンジンは?」
「…」
「ん?どうしたの?」
「…昨日から二人一緒だったの?」
「うん」
「…」

チェミさん特製のフランスパンを咥えたまま、ラブは俺の袖を引っ張ってリビングの端まで連れていった
テジュンは癒しのくりいむぱんからナツメ茶のサービスを受け、casaの説明だの『こどもぱん』の概要だのを聞いている

「何だよ」
「何だじゃないよ!どうなってるの!」
「どうって…」
「ヤったの?」
「…」
「ヤったんだ…」
「あのさぁ…お前の興味はそこだけかよ」
「うん」
「おいっ!」
「…。あっちはどうなったのさ。昨日の今日じゃん…」
「あっちは…終わったもん…」
「…」
「何だよ」
「そんな風じゃなかったよ。昨日」
「え?」
「イナさんの気持ち、ビンビンに向いてたじゃんか」
「…」
「でも…今見た感じ、テジュンとイナさんいい雰囲気だった」
「…。ラブ」
「ん?」
「テジュンに何もかも話した」
「…え…」
「テジュンからも話聞いた…。ごめんな…。テジュン、お前に乱暴したって…」

俺がそこまで言うとラブは顔色を変えてテジュンの方に行った


ナツメ茶を飲んでいたらイナと話していたラブが怖い顔をしてやってきた

「何で言ったの!」
「…」
「何でイナさんが俺に謝るの!」
「え…」
「何であの事イナさんが謝るのさ!何でだよ!」

ラブの瞳に涙が溜まっていた

「ラブ」
「俺は…俺はあんな事なんとも思ってないのにっあんな形でも貴方の役に立てたならそれでよかったのにっイナさんに謝られたら俺…俺…」
「ラブ…」
「俺だって貴方の事好きなのにっ」
「ラブ…」
「惨めになるじゃんか!」
「ラブ…僕は…」
「ばかっ」
「…。ありがと…ラブ」
「悔しいから言っちゃう」
「?」
「昨日イナさん、ヨンナムさんとここに来た」
「え…」
「ケンカでも何でもすればいい!」

ラブは拗ねた顔をしてリビングから出て行った
イナが後を追いかけたが何かキイキイ怒鳴って階段を駆け下りて行った

「どうしたんだろ…ラブ」
「ヒステリーじゃないの?」

イナがため息をつきながら言った
運ばれてきた朝食を食べながら僕はイナに聞いた

「昨日はヨンナムと来たって?」
「ぶっ…」

スープを吹き出し咽るイナ
そして気まずそうな顔をして頷いた

「ふぅん…やるぅ」

胸の中で小さな炎が上がった

「…それはその…」
「僕はやっぱり二番手ってわけか」
「あの…」
「そう言えばスヨンさんがこんな事も言ってた」
「…」
「イナは『えむ体質』だって」
「『えむたいしつ?』」
「苛められたいんだろうってさ」
「…ちがっ」
「くふ」
「…。そうかも…しれないけど…。いいじゃんか…べつに…」
「いいけどさ」
「…ラブなんで怒ったの?」
「お前が僕のしでかした事謝ったから」
「…」
「ラブねえ」
「うん」
「僕のことが好きなんだってぇ」
「ふぅん」
「ふぅんって…お前妬けないのかっ」
「…」
「きしょーっ!めっちゃくちゃムカつくぅぅ」

そんな事を言っていたら階下から悲鳴と口論が聞こえてきた
イナは「ちょっと行ってくる」と言い残してリビングから消えた


「何でチェミがラブちゃんを抱きしめてるわけっ?何でラブちゃんはチェミに抱きつくわけっ?!どーゆーことよっどーゆーことよっ!きいきいうええんうええん」
「いいじゃんちょっとぐらいチェミさんの厚い胸板借りてもっ!」
「だめぇぇチェミは僕のものだもぉんええんええん」
「テスさん、独り占めなんてズルイ」
「ひっ…ひどりじべなんがじでないぼぉんびぇぇんびぇぇん」
「独り占めしてるじゃんか!いつもチェミさんに纏わりついてっ」
「ひっひっ…ひとりじべだんがじでだいぼぉぉんびぇぇんびぇぇえん」
「こらぁラブ!何やってんだよお前はぁっ!」
「あっ!ふんっ」
「くはは」
「ぐははじゃないもぉんチェミのばかぁぁ」
「ラブ、ちょっと来い」
「やだバカ」
「…この野郎殴るぞ」
「やだバカ」
「…」
「ふん!イナさんなんか嫌いだ!」
「なっ」
「ふんっ」
「くぉの…ヒステリー!」
「なっ…何だよっ幼稚園児!」
「ゼリー四つも食いやがってデブるぞ!ぶぁか!」
「いいじゃん別にっ!」
「色気小僧」
「むっ…イナさんなんかあっちこっち手ぇ出しやがって!テジュンが可哀想だ」
「ギョンジンこそ可哀想じゃねぇか!虐げられて」
「あれはいいの!」
「そうだぞイナ、ギョンジンはあれでいいんだぞ」
「ぢぇみのぶぁがぁぁぁ」
「あーすまんテス、よしよし」
「いやん俺の事ヨシヨシしてよぉ」
「らぶっ!」
「くぉらぁ何やっとんじゃいっ神聖な工房でぇぇっ!ラブちん!我儘ヒステリー過ぎると出入り禁止並びにピンクボトル没収するぞぉっ!」
「「「「…」」」」

いつの間に現れたのか解らないmayoさんの一喝で、騒動は静まった
俺達はもう一度リビングに戻って食事を続けた
ラブはテジュンに乱暴されそうになった事を俺に知られたのが嫌だったと言った

「テジュンになら何されてもいいんだもん俺。それなのによりによってイナさんが謝るんだもん…悔しくて…」

可愛い子ちゃんの理屈は、解ったような解らないような…だけど…

「好きなんだもん、俺、テジュンの事…。テジュンに幸せになってほしいんだもん…」

その気持ちは…よく解った

「イナさんもうフラフラすんのやめてよね」
「…」
「ねっ!」
「だっていいって言ったモン、てじゅ…」
「きいいっきいっ!きいいっ」
「いてっ引っ掻くなよっ」
「そんな事してたらもう一回奪ってやるからあっ」
「…」
「あれ?いいの?」
「多分無理だと思う…てじゅ、俺に惚れてるみたいだから…」
「きいいっきいいっ無茶苦茶腹が立つぅぅ」

俺達の争いをテジュンは笑いながら見ていた
そしてぼそっと呟いた

「ヨンナムと…ちゃんと話、しなくちゃな…」

その横顔が余りにも毅然としていて
そして壮絶に色っぽくて
俺は久しぶりにテジュンに見とれてしまった


Silver fox_2   妄想省mayoさん

PCを開きながら…言った..

「ぁ..先にランチ..にしましょうか?..」
「ぃゃ..テソンのランチだ..ゆっくり味わいたい..」
「ぷっ..でも..」
「…??..」
「もちます?..」
「メ@_@メ..早く終わらせよう..」

銀狐様に上目使いでチッ#..と睨まれた..
そして..まだ工事中のサイトを開く間...銀狐様は仰せられた..

「ミンドンの件なんだが..ボイトレも始めたことだし..ミンドンのHP作成に取りかかって欲しいんだが..」
「オモ..ロバート先生でしたね..何時からですか?..ボイトレ..」
「今日から..って..先生を知ってるの?..」

銀狐様は『それもお見通しな訳?…』みたいな..狐目ちらりの流し目をされた..
はぁ~ん..その昔は鼻血を出したものだが..^^;;..

「はひ..^^;;..この間..あんどれ先生からチラッっと..聞いてましたから..」
「あんどれ先生から?..」
「はぁ..先日..あんどれ先生のお孫さんの誕生日にモビールをお贈りしたんです..そのお礼の電話の時に..」
「ぁ..へ?..ま..孫ぉぉ??..あんどれ先生は孫がいるの!?..息子がいるのは知っていたが..」
「息子さんは..普通に結婚されてますから..」
「そぅ..なの..」

銀狐様はリビングにぶら下がっているモビールの緩やかな動きに視線を走らせた..

「あたしにょろばーとにょれっしゅんうけたりゃじぇったいだいじょうぶだわん..」

〃☆_☆〃...

キッチンからあんどれ声が聞こえ..銀狐様はソファから弾けるように腰を浮かし..左右に首を振られる..

「テソンってばぁ~~^^;;..」
「ぁ..ごめん..^^;;..mayo..」
「て..テソンなの?..今の..」
「はぁ..」
「まいったな..」

銀狐様は改めてソファに腰を埋め..改めてくすくすと微笑まれた..

「ミンドンさんのHPは.."フラッシュちらちらに始まり..小出しに視聴~わくドキでネチズンを捉える..という方向性で..」
「ぅん..」
「こんな感じで...既に大方..枠組みしてますケド..」

PCを銀狐様の方へ向けた..
銀狐様はディスプレイをご覧になり..満足そうに微笑む..

「相変わらず..仕事早いね..」
「はぁ..ぁのぉ....いろいろ"お揉め事"..ございましたでしょう?..その間にちゃちゃと造りましたから..」
「ぇ?..ぁ..へ?..コホンケホン..@@...???...」

「ンケッケッケ(>▽<)...」
オットマンに座ったと同時に腿に乗ったはるみは躰を揺らして笑う..
こめかみを人差し指でカリカリ〃とする銀狐様..

「そろそろMV作成goサイン..出して頂かないと..ジホ監督にもMVの件..責っ付いて頂けますか?..」
「ぁ..りょ..了解..それで..ミンドンのHPはミューズのHPに既存したいと思う」
「はい..」
「この際..ミューズの本体のHPもリニューアルしたいと考えてるんだ..」
「そうですね..生まれ変わるミューズ..蘇るイ・ミンチョル..ですから..」
「ぁ..は..ひ..ふ..へ..
 で..それをソヌさん..ミンギ君..ジホ監督あたりに依頼したいと思うんだが..彼らの都合はどうだろうか..」
「画像..動画..他の入れ込み..テーブル配置..フレーム分割・配置等ですし..
 それ程負担にならないと思いますので大丈夫だと思いますが..」
「そう?..」
「はい..ロゴデザインの変更とか..その他はその都度メールで頂けますか?..」
「わかった..キチャン達に伝えておく..」

「それから..こちら..各年代毎の女性誌になるんですが..」
「…?..」

ブリーフケースから5冊の雑誌を取り出し..テーブルへ並べた..
銀狐様は興味深そうに一冊づつ手に取られ..ぺらぺらとページをお捲りになられる..

「これらは各誌..米や仏雑誌の提携韓国版ではありません..」
「どうりで..モデルが他国人じゃないね..韓国の雑誌はこんなに良かった?..出版社は皆同じかな..」

銀狐様は総ての雑誌のひっくり返し..裏表紙をご覧になられた..

「[メゾネット]..って..吸収されたって噂..聞いたけど..大丈夫?..」
「はい..内部の体制が大幅に変わって..ターゲット毎の販売部数はトップになりつつありますよ..」
「ぁぅ..そうなの..知り合い?..」
「ぁ..まぁ..」
「そ..」
「その中で後々ミンドンHPの情報..掲載しようと思いますが..どれを選択しましょうか..」
「ん~~..ターゲット的に20代前半から7・8までらしいこれと..と...30代後半くらいまでのこれ..だろうか..」

銀狐様は2冊の雑誌をお選びになられた..

「社長もこれがいいだろう..と仰ってました..」
「そ..なら..この2冊にしよう..」
「わかりました..最終的に2冊になるか..1冊にして付録を付けるかの選択は出版社側と決定させて頂いても..」
「ぅん..いいよ..それは君に一任する..」
「わかりました..」

「いずれ..ミューズのミンドンHP..映画のHP..BHCのHP..それぞれにバナーを貼ってリンクさせないといけませんね..」
「…??..BHCって..BHCのHPまで手掛けてたのかい?..」
「ぁ..はぁ..」
「HPはミンドンのHP..だけ..だと思っていたんだが.」
「BHCメンバーは2人のMVに絡む程度..にしようとおもったんですケド..」
「けど?..」
「どうせなら..BHCとしてのHPも作ってしまえ..と考えました..
 必要なときに慌てないように..無駄でも何もしないよりはいいですから..」
「用意周到なのはいつものこと?..」
「^^;;...それで..すぐBHCのHP構築を始めました..」

「ひとりで造った?..」
「試しにメンバーが自由に造れるようにフリーのページを設けてみたんです..」
「と言っても..ある程度知識がないと出来ないだろう?」
「そうですね..面白がって弄ってるメンバーもいます..でも..」
「…?..」
「ドンヒさんはゲームのsimばかり手がけているからでしょうか..
 画面動作がうるさくて..配色もサイケで..落ち着きません..色彩感覚に問題アリ..」
「んぷぷ..解るような気はする..」
「ソグさんは..画面動作がどうも滑らかではないんです..固くて..面白くなくて..構造はしっかりしてるんですけどね..」
「んくく..」
「テプンさんはぁぁしろ..こぅしろと..頭小突いたり..背中バンバン#..だけ..」
「ぷはは..」
「ウイルス防止のプログラミング..ソヌさんにお願いしたんですけどね..」
「彼なら完璧なんじゃなぁ~いの?..」

銀狐様はかなりイヤミな物言いで仰せられた..
たはは..そういえば..ソヌはBHCに来た初っぱな..銀狐様が管理するBHCのPCに入り込んだっけ..

「でもちょっと..甘いところがあって..」
「ふっ..そうなの..」

銀狐様は今度はふふん..と左眉を上げられ..楽しげに..イヤミな笑いをされた..

「じゃ..誰が最終的にチェックを?..」

問いには答えず..私も楽しげに..不気味に笑った..
銀狐様はそれ以上は聞いても無駄..と思われたのか..何もお聞きになられなかった..

「ぁの..映画で"大変"お忙しいとは思いますが..BHC-HP開設の際には..」
「コホン..何かな?..」
「チーフのコメントは掲載しませんと..はぃ..」
「ぇ?..ぁ..そ..そうね..ケホン..じゃ..スヒョンと僕で一言書けばいいかな..」
「^^;;..すいません..私宛に..メールで結構ですので..」
「わかった..スヒョンに伝えておくから..ゴホッ..」

銀狐様は優雅にさらりと御前髪を指で祓われた..
そして..銀狐様のお腹が激しい音をお立てになった..


La mia casa_34 妄想省mayoさん

さて..
打ち合わせを終えた闇夜とお狐様はダイニングテーブルへ移動した..
タイミング良くテーブルに並べられたテソンのランチにお狐様は目を見張られた..

…ぎぃ#..ぎゅる..っるぅぅぅぅ....
激しい音をお立てになったお狐様のお腹は背中とくっつく(んな筈はあるまいが..)のではないかと思われ..
奥深い口腔内は唾液で満ち溢れているに違いなく..
上質のスーツをお気になされたのか..
さすがにだらぁ~り..唾液を垂らされることはなされなかったが..

…じゅる..
微かに..ほんに..微かに..洩れ聞こえた..
それを隠すかのように..(もう聞こえてるっちゅーにぃ?..)掌を唇に当てられた後..お言葉を発せられた..

「テソン..」
「はぃ?..」
「こ..こんなに食べてもいいのだろうか..ぼ..僕はこんなに食べたら..」
「はぁ..」
「ミンに..ミンに3倍..ぃゃ..それ以上の..計り知れない..と..トレーニン..を...ん..か..課..せられる...」

……ぁぁ..
落胆の仕草でお狐様は掌を額に当てられた..
だが..額に当てた掌の指間から覗く..パリリン@..今にも壊れそうなエメラルドのお目々..

……食べたい..
テソンのランチメニューを捉えて離さない..
エメラルドのお目々が既にパンにへばり付く様で在らせられる..

(→_→)...(←_←)..
闇夜とテソンは互いに目を合わせ..
お狐様の悦に入られているお姿を憐れみの顔で拝み(一応...)
が..心優しいテソンはお狐様に笑顔で言った..

「大丈夫ですよ..ミンチョルさん..」
「でもぉぉ..」
「座ってください..立ったまま食べるんですか?..(^^)」

テソンの笑顔で安心されたお狐様..
さっ..と上質のJKをお脱ぎになり..空いている椅子に"丁寧"にお掛けになり..
そしてふぅ...とひと呼吸の後..椅子にお座りになられた..
袖口の釦を外され..軽くシャツを捲られ..両掌をニギニギされ..ポッキンポッキン..指を一本一本鳴らし始めた..

===
「戦闘態勢だね..ちぇみぃ..」
「んっくく#...食うぞぉぉぉ~いっ#..って感じか?..テス..」
「ん~~..そんな下品な言い方はしませんわ..お狐様は..だよ..ちぇみぃ..」
「ぷはっ#..腹へってりゃぁ..おんなじだわな..」
「へへ..そうだよね..性欲と食欲は同じ?..ちぇみぃ~」
「てててて..テスぅ..」
「へっへ~ん~~っとぉ..(^o^)...」
「ったぐ..」
===

お狐様のランチメニューは以下..
・Apple Bread&Herb Bread
・パプリカ&ズッキーニのグリル
・真鯛の網焼き
・きのこと水菜のスープ

テーブルの角と角にお狐様とテソンは座っている..
闇夜はテソンの隣..はるみはテソンの腿に立ち..前足をテーブルに乗せ..お狐様の動向を@@..見守る..

お狐様はマオカラーJKを脱いだ闇夜が椅子に座ったのを確認すると..
4本指を同時に折り..親指の関節を再度ポキン#..と鳴らした..
グラスを手に取り..喉仏ぐるりんこ@ぐるりんこ@..ミネラルを口にされた..
ナイフとフォークを持ち..先ずApple Bread&Herb Breadを弄くり始めた..

「テソン..」
「はぃ..」
「何故僕のこれは5mmづつしかないのかな?..彼女のはそれぞれ1cmは有にあるのに..」

===
「「ぐはは#..ひーひー#...」」
「しょうがないじゃんねぇ~~..ちぇみぃ~~..ひぃ~ん..」
「ぶはは..ぁ~~..まぁ~~ったくだ..」
===

「ミンチョルさん^^;;..それはしょうがないでしょう..Breadを倍の量にしたら」
「何..」
「運動量..どの位?mayo..」
「ジョギング30分かな..」
「だそうです..」
「ぁぅちっ..」

「ミンチョルさんは..タダでさえ歩かないヒトなんですから..代謝率悪いでしょう?..」
「歩くのは疲れる..僕は忙しい..そのための”めるせです”だ..」
「はっ..^^;;..まっ..先にスープからどうぞ..」
「ぅん..」

お狐様は素直にナイフとフォークを置き..
スプーンを手に持たれ..お飲みになられた..カポッ..カポッ..カポッ..

「テソン..」
「はぁ..」
「味がない..」
「^^;;..」
「それに..」
「何でしょう..」
「スプーンが小さい..小さすぎる..これはティースプーンじゃないかっ..」

===
「て..テソンの奴..ちっ..ちっちぇ~スプーンと来たかっ#..んぐ..ぐぐ..ぶはは..」
「ひーひー..(>▽<)//..で..でもさぁ..ちぇみぃ..」
「ふぉ?..何だ..テス..」
「何回も口に運ぶ動作が重要なんだよぉ..ひひー..」
「んだがなぁ..お狐様にわかるか?..そいつが..」
「「ぅ~む...」」
===

「ミンチョルさん..スープを舌で転がしてください?..オソ#..」
「ぅん..カポッ...」

お狐様は口に含んだスープを今度はすぐにごっくん@されるすることなく..
口腔内で..舌でれろれろ..(恐らくな..)泳がせ..それからごっくんされた..

「解ります?..甘みが..」
「ぅん..」
「ダイエットの隠れた敵は塩分ですから..ミネラルの多い塩をほんの少し使うといいですよ..」
「そう..」

お狐様..口数少なく..素直で在らせられる..

「ぷっ..ゆっくり食べてください..」
「ぁぃ..」

お狐様はそれから野菜と真鯛のグリルをゆっくりを噛みしめるように味わい始めた..
お狐様の咀嚼が足りないと見えると..
はるみはテーブルを前足でトントン#..と叩き..〃@_@〃..っと首を振る..
お狐様ははるみの顔を見..みゃ(^o^)//..と笑うとごっくんを続けた..
果たして..お狐様は..料理を味わえたであろうか..たはは..

「テソン..」
「はぃ?..」
「AppleとHerbのこのBread..バター使ってるのかな?..」
「ぁ..それ..油..使ってないんですよ..パサついてます?..」
「ぃゃ..しっとりしてる..」
「パウンドケーキの応用なんですけどね..これ..テスが作ったんですよ..」
「テス君が?@@..」
「はぃ..」
「すごいな..頑張ってるんだ..テス君も..」
「はぃ..」
「今度はバターたっぷりのパウンドケーキが食べたい..」
「^^;;..いずれ..」

===
「…」
「ぷっ..頑張ってよかったな..」
「ぅん..」
俺はちょっと俯いた懐のテスの頭をくちゃ#..っと撫でた..
===

食事が進み..多少腹の落ち着いたとお見受けされるお狐様は闇夜に声を掛けた..

「君は寝る暇があるの?..」
「はぁ..人並みでなないですね..何分..私が..[あれこれ]..[あちこち]..[きっちり]..[抜け目無く]の性分なもんで..」
「ぷっ..そうみたいだね..」
「時間と能力の足りない部分はcasaの3人にかなり迷惑かけてます..か..」
「ふっ..そう..」
「誉められ~の..笑われ~の..怒られ~の..です..はぃ..」
「お互いさまだよ..mayo..(^_^)..」

テソンが闇夜の背をすりすり〃を撫でた..
闇夜が擽ったそうに俯いてハーブブレッドを口に運んだ..
お狐様はその様を見..ニコリとそれはそれは優しいお顔でご覧になり..
最後に残った皿の上のハーブブレッドに黄色のパプリカのグリルを乗せ..
大きなお口に放り込まれ..30回の咀嚼ののち..ごっくんされた..

そして..お狐様のランチは終わった..

~~~~~
っと思うだろうぉぉ??...
オマケがあるんだ..実は..ぬはっ#..
そいつはお狐様メニューと共に..casaぶろぐでな..くはっ#..


うわさ  オリーさん

特訓の話は店のみんなに広まっている
まず僕からドンジュンさんへ、そしてスヒョンさんに伝わった
スヒョンさんは、僕はこのままでいいと思うけどなあ、なんて
人ごとみたいに笑って彼をみつめたりしていた
ちっ…
そこへテプンさんが、何だ何だと割り込んできて知ることとなった
後はもう尾ひれがつきまくってあっという間に広まってしまったのだ

「ギョンビンが元チーフに軍事訓練をしてるって知ってるか?」
「何のために?まさか兵役を済ませてないのか、元チーフは」
「違った。軍事訓練じゃなくて、断食を強要してるらしんだ」
「それならちょっとわかる」
「あ、それも違った。何でも夜な夜な鞭打ちの刑だとかで…」
「ひいいいっ、それじゃサド侯爵じゃないっすか」
まあこんな調子…

少しづつ彼が締まってきたことと
時々カッツン歩きでわざとらしく足をもつれさせたりしているせいで
とんでもない噂はあらぬ信憑性を帯びてきているのだった
今日も噂を流した当のテプンさんが僕の肩をたたき小声で囁いた
テプンさんの声は囁きとはほど遠かったけど

「その後どうだよ、鞭打ちの刑は?」
「違いますって」
「バシバシしごいってるって噂だぜ」
「それはテプンさんの作り話でしょっ、シェイプアップの運動だって言ったじゃないですか」
「んで、どんな風にしごいてんだよ?」
「だからしごいてるんじゃなくて、トレーニングですっ!」
「いいってことよ、俺にまで隠すことないって」
「テプンさんのせいで僕、鬼みたいじゃないですか」
「いくら映画のためだってよお、飯食わせないでしごいて、
あいつが店でぶっ倒れたりしたら大騒ぎだぜ」
「そんなんじゃないですよ、まったく…」
「俺が店でリクエストされて一気食いすると、すげー目で睨みつけるんだぜ」
「けほっ…」
「飯くらいちゃんと食わせろよ。あいつに睨まれるの苦手なんだよなあ」
「はあ」
「それによ、食いもんの恨みは恐ろしいから気をつけろよ
あいつ育ちが育ちだからよ、美味いもんばっか喰い慣れてんだろ」
「だから何度言ったらわかるんです。そういう事じゃありませんから」

「ギョンビン君」
「あ、テソンさん」
「これ。カロリー計算表」
「はあ」
「今日casaでランチしたんだ。それであんまり心配そうだったから
ちゃんとカロリー計算して、君に報告するからって約束したんだ」
「ほらっ!やっぱ、お前のことこわがってんじゃかよ」
「外食するときはカロリー高いもの控えろって言ってるだけですよ」
「だからあ、あのお坊ちゃまにはそれができないのよ」
「そんなに美食じゃないと思いますけど」
「とにかく報告しとくからね、はい計算表」
「ありがとございます」
「でね、あんまり過激なダイエットさせるとリバウンドがくるよ」

「リバウンドが来たら追い返さないとまずいぞ」
「「…」」
「家に入れたりしたらだめだぞ」
「テプン、何言ってんの」
「リバウンドってやばい奴が来るんだろ」
「「…」」
「二人ともどうしたよ、黙りこくって」
「けほっ、ギョンビン君、もし必要ならメニュー作ってあげてもいいよ」
「ほんとですか?」
「おいっ、俺を無視するんなよっ」
「痩せても、お肌カサカサじゃまずいだろ」
「そうですね。じゃあお願いしようかな」
「だから俺を無視するなっ!」

「何騒いでるの?」
「あっ、現時点でナンバーワンデブだ」
「デブって…何っ!」
「ウシク、お前も元チーフと一緒にダイエットしたらどうだ?」
「よけいなお世話だよ」
「先生、そのうち潰されちまうぞ」
「そんな事ないもんっ」
「最、ますます影が薄くなっちゃって、先生マッチ棒みたいじゃんか」
「うるさいっ!お前こそ店でドカ食いやめろよ」
「俺はドカ食いしても太らないだろ」
「ふんっ!」
「そう言えばそうだね。どうして?」
「何かいい方法があるんですか?あったら教えてください」
「けほっ…まあいいじゃねえか」
「いや、気になる。教えろよテプン」
「うるさい、ウシク」
「テプン、まさか過食症じゃないよね」
「それはまずいでしょう」

「ええいっ、黙れっ!」
「言えよ」
「教えてください」
「店がはねた後、吐いたりしてないよな」
「お前ら、秘密守れるか?」
「守れる」
「守ります」
「たぶん」
「いいか、他の奴らには秘密だぞ」
「わかった」
「わかりました」
「闇夜には言うかも」
「ちょっとくっつけ。ほら、ギョンビンもっと寄れよ、ウシクもテソンも」
「で何で太らない?」
「どうしてですか?」
「一応知りたい」
「原因はだな、ケホンっ…チェリムだ」
「「「チェリムさん?」」」
「実はあいつが飯を作るとな、食える部分が極端に少ないんだ」
「「「食える部分?」」」
「つまりだな、焦げた、生だったりでよ、8割がた食えないんだ」
「「「8割がた…」」」

「どうでもいいけど、お前らハモるな。だから店でドカ食いしてちょうどいいんだ」
「結婚考え直したら?」
「うるさいっ!」
「でもテジ君はどうしてるの?」
「そうですよ。子供にはちゃんと食べさせないと」
「あいつは大丈夫だ。自分の分は自分で作ってる」
「「「…」」」
「学校があるから残業の多いチェリムや夜の仕事の俺とは飯は別にしてくれと」
「さすがだな」
「賢いですね」
「賢明な選択だ」
「とにかくそういうわけだから俺はこれからもドカ食いをする、いいな?」

「そうか、まずいご飯を作ればいいのか」
「こらっ!チェリムの飯をまずいって言うな。食えないだけだ」
「もっと悪いじゃん」
「ギョンビン君、変な事考えちゃだめだよ」
「あ、テソンさん…はい…」

開店前にテプンさんとテソンさん、ウシクさんと話したことを思い出しながら
ソファで台本を読んでいる彼をじっと観察したりしてみる
体重が4キロ落ちたけど、腰周りはもっとしぼりたい
やっぱりテソンさんに頼んでダイエットメニューを作ってもらおうか
なんて思っていたら今度はデスクに移動して小難しい顔でパソを眺め出した
自分の指でなでているその顎のライン、もっとシャープにしたい

「何さっきから見てるんだ」
「あ、いや別に」
「今日のレッスンはどうだった?」
「ロバート先生の?」
「他に何がある」
「うん、なかなか勉強になったよ」
「そうか。次のレッスンはいつだ」
「それがね、先生すごく忙しいから空いた時間ができたら電話するって
そしたら30分以内に来いって。明日かもしれないし、1週間後かもしれないって」
「先生らしいな。確かに忙しい人だから教えてもらえるだけでもラッキーだ」
「そうだね。がんばるよ」
「ああ」
「ちょっと発声練習してこようっと」
僕はとぼけてベランダに出た

口が裂けても、レッスンが厳しかったなんて言うもんか
先生にぶたれたり、蹴られたり、怒鳴られたり…それはもう大変だったけど
急用ができたおかげでやっと先生から開放された時には神に感謝した
車の中で僕とドンジュンさんは口をきく元気もなかった
しばらくしてドンジュンさんが搾り出すように言った
「これってどうよ…」
「どうよって…」
「激しすぎない?あの先生」
「確かに…」
「声が出ないからってとび蹴りすることないじゃん。イナさんかと思った」
「あの体にしては身軽でしたね」
「感心してる場合かよ。お前は受身ができるからいいけど、僕なんかモロ食らったよ」
「僕よけたからその分倍返しです」

「大体お前がミンチョルさんに辛く当たるからあんな先生つけられちゃったんじゃん」
「僕のせいだって言うんですか」
「かもしれない」
「そんなことないでしょ。すごい先生だって言うから一流どこをつけたんでしょ」
「一流だからってとび蹴りするかよ。道場じゃないんだからさあ」
「確かに…」
「とにかく、スヒョンには気取られないようにしないと」
「僕もさりげなく見せないと」
「ああ、それにしても疲れた」
「ほんと。少し寝ましょうか」
そして僕らは店が始まるまで、車の中で寝たのだった
でもこんなことは口が裂けても言えない…
言うもんか…

「いいわね、あんたたちっ!必ず発声練習を一日1時間やることっ
その前には必ずストレッチっ。わかった?
だいたいね、あんたたちみたいなヒヨッコがバラード歌うなんて10年は早いんだからっ
わかったわねっ!」
先生の怒声がしばらく耳から離れなかった
そしてその日から僕とドンジュンさんは
いつ携帯が鳴るかどきどきしながら過ごすことになったのだった
ちっ…


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