鍋・フライパンあれこれ美味
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
1709115
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
ぴかろんの日常
リレー企画 227
千の想い 143 ぴかろん
「アンタだって人のせいにしてた…覚えあるだろう?」
「…。そう…だね…。けどこの人はいつも…」
「いつもじゃない!イナさんとヨンナムさんの問題はずーっと片付いてないまんまじゃないか!だろ?」
「…」
「ずーっと引き摺ってるんじゃないか!ずーっとずーっと、テジュンは辛い気持ち持ち続けてるんじゃないかっ!アンタみたいに一瞬で終わった悩みじゃねぇよ!」
「…一瞬だなんて…」
「テジュンの今の苦しみにくらべりゃ一瞬じゃねぇかっ!」
「…ラブ…」
「アンタはそりゃ頭脳明晰で優秀な人間だから、悩みも苦しみも素早く解決だよな?人を許すのも、罪人を受け入れるのも、一瞬でできちゃうよな?!スーパーマンだよな!でも俺達は違うんだ!平凡でさ、些細なことで躓いてさ、囚われて抜け出せなくてもがいてさ…。アンタみたいに一瞬で解決できたらどんなにいいか…できねぇからみんな悩んで苦しんでるんじゃないかっ!ばか!」
「…」
「…抜け出したい…許したい…許されたい…楽に…なりたい…」
「テジュン、なれるよ…ゆっくりでいいんだテジュン」
「だったら…」
「なんだよ!まだ何か言う気?!」
「だったらイナは?!…イナはお前とこのジジイがヤッちまったときからずううっと…このジジイが悩んでるよりもっと前からずぅぅっと、胸の中にモヤモヤを抱えたまんまで来たんだぞ!」
「…イナ…別れたいって僕に何度か言ったんだ…。僕がイヤだって言って離さなかった…」
「…テジュン…」
「…僕がラブ、お前と一緒に帰ってきた時と、イナがヨンナムを好きになってしまった時…。僕は別れなかった。悩んでいるイナを丸ごと受け止めようと思ったんだ、ギョンジン、お前のようにね…」
「…」
「…できない…全然できないんだ…ヨンナムを見ると頭に血が上る…。ねぇギョンジン…お前、ラブが僕にこんな風に纏わりついてても平気?」
「コイツは平気なんだ。ほっといてよ。苛められて喜ぶ男だもん」
「平気なわけないだろ…心配でたまんない…」
「…しんぱい?」
「心配で心配でたまんない!祭の後のアンタ達の事は…僕は今でもイヤだけどでも…ラブにとっては必要な時間だったって解ってる。アンタもラブも愛し合ってたんだって解ってる。けど、こないだアンタがラブを餌食にしようとした事は許せない。もし今後…ラブを愛してないのに手出しなんかしたら…絶対に許さない…ラブを傷つけるようなことしたら絶対に…」
「…しんぱい…ラブが傷つくのが…しんぱいなんだ…ギョンジンは…」
「…そうだよ…」
「…なんて…男なんだ…お前は…」
テジュンさんは顔を覆ってまた泣き出した
「僕にはできない…僕がする心配は自分の事ばかりだ…」
「テジュン、俺だってそうだよ…テジュン」
「僕は…僕には…イナを受け止めることなんて…できない…できない…」
「テジュン…」
「イナがアンタを受け止めようと頑張ってたの、解ってるか?」
「もうやめてよギョンジン!」
「アイツは頑張ってた。泣きながら必死でアンタを受け止めようと…。もう頑張りきれなくなったんだ…疲れたんだ…」
「ギョンジン、もういい。もうやめて!今そんな事言わなくてもいいじゃんか!」
「…僕は立派な男じゃない…僕だって…疲れ果てるかもしれない…もう頑張りたくないって…ぶっ飛んじゃうかも…しれない…」
「…」
「…ごめん…。僕のことはどうでもいいや…」
「…ヤだ…」
「…」
「ヤだもん…」
「…ラブ…」
「アンタは頑張らなくちゃダメなんだもんっ!やだもんっ!」
ダーリンは、片手でテジュンさんの肩を抱き、もう一方の手で僕の頭を抱き寄せた
僕の髪に口づけしながら、震える声でやだやだと繰り返していた
僕は目を閉じてダーリンの肩に鼻先を埋めた
「「…ごめん…」」
テジュンさんと僕は、同時に詫びの言葉を発した
ラブは僕達を交互に見つめ、そして一遍に抱きしめた
「も…やめよ…やめようよ…ね?十分だ…今は休もうよ…ね?何も考えないで…お願いだから…」
休んでたって…ラブ…この人の頭ン中はイナで一杯だよ…
「…さけ…酒くれよ…ラブ…」
「…テジュン…」
「酒…くれないか…。ダメか?」
逃げる気?酒に…
そう言いかけてやめた
テジュンさんの気持ちも解るから
ラブはコクリと頷いてバーボンとグラスを出してきた
テジュンさんが瓶に手を伸ばしかけた時、僕はバーボンを奪い取った
「ギョンジン!今日ぐらい飲ませてあげてよ!」
「これじゃダメだ!」
「え?」
僕はバーボンの瓶を元に戻し、焼酎とミネラルウォーターを出した
「これにして。ちゃんと水で割って飲んで。バーボンより軽い」
「…酔えないじゃない…」
「酔えるよ…どうせ何飲んでも、アンタ悪酔いするはずだ。焼酎のがまだマシだよ」
「…」
「ラブが作った夕飯、ちゃんと食べて!」
「…」
「食べてよね!ラブの好意を無にしたら許さないから」
「ギョンジン…」
「酔ってもいいけど…昨日よりはマシな酔い方してよ…きっとイナも今日は昨日よりマシになってる…」
「…明日は…仕事に行くよ…」
「テジュン。大丈夫なの?」
「ふ…仕事してるほうがいい…」
「…」
「ギョンジン…僕…仕事に逃げることになる?」
「テジュンさんはイナと別れたんだ。でもこれで終わりじゃないだろ?」
「え?」
「また出会うかもしれないじゃない…イナと…」
「…そんな事…」
「僕はそういう経験何度かしたもの」
「え?!」
「けほ…。だから…また出会えた時に、今のテジュンさんよりもっと素敵なテジュンさんになっていればいいんじゃないの?」
「ちょっとアンタ…そういう経験何度もしたの?!」
「けほ…だから…昔…いててててっひててててっひぃぃん(;_;)」
ダーリンが僕の唇をぎゅううっとちみぎった
爪が食い込んでいた
「…また…出会う?」
「ひん…うん…」
「…一度…離れてみろって…ヨンナムが言った…。そういう…意味?」
「それはどうか解んないけど…そういう意味にとっちゃえばいいじゃん」
「…ギョンジン…」
「なんだよ」
「お前…やっぱり…凄い男だな…」
「…元祖はアンタでしょ?」
「え…」
「元祖凄い男はアンタなんだよ、テジュンさん…」
「…え…ぼく?」
「とにかく、飲みすぎないでね」
「…テジュン…なんかあったら電話してよね…絶対待っててよね。今夜は…今夜は絶対泊まってってよね」
「…」
「ねぇってば!」
「…ありがと…ごめん…今日だけ甘えるよ」
「今日だけなんて…いつまででも居ていいんだよ、テジュン」
…しょ…しょれはやだなぁ…
「…ありがと…ごめん…」
焼酎の瓶に手を伸ばそうとして、テジュンさんは手を引っ込めた
飲んでもいいんだよとダーリンが声をかけると、一人で寂しくなったら飲むよと笑った
夕方まで僕達はテジュンさんと一緒にいた
時々イナとの思い出話をするテジュンさんを、ダーリンは切なそうに見つめ、そして僕は、あの祭の日を思い出していた
あれから僕達は絡み合いながらここまで来たのだ…
テジュンさんを残して店に行った
僕は大急ぎでシャワーを浴びた
服を着替え、イナを探した
昨日より落ち着いた顔をしていた
というより…
もう…新たな一歩を踏み出したような…キラキラと…
テジュンさん
アンタも頑張ってもっといい男になれよ…
イナにはアンタが必要なんだよ…僕は…そう感じるんだ…
店に出ると弟がカウンターバーに座っていた
渋いオッサンの相手をしている
オッサン?
ぞわぞわと嫌な感覚が甦った
渋いオッサンはワインバーグ教授で、僕はクリスマスパーティーで会っている
だから…嫌な人ではないと解っている
でも消えない、あの時のあの…感覚…
今日はミンチョルさんがいない
ぞわぞわぞわ…ざわざわざわ…
危ない人ではないと…解っているのに…消えない…
ラブが教授に纏わりついている
ああ…まんざらでもなさそうなオッサン…
だから…
色っぽいオッサンは…
嫌いだ…
ラブが振り返って僕を呼んだ
僕は幾分ギクシャクしながら、弟のいるカウンターバーに向かった
釘は刺しておきたい
悪い人ではないと解っていても…
どういう事を言ったか、はっきりとは覚えていない
きっと僕は弟よりもきつい目をしていただろう…
ロッカールームで弟に忠告した
イナの顔が…テジュンさんの顔が…ラブの顔が僕の頭の中でぐるぐる回っていた
こんな想いをさせたくない
今なら間に合う
そう思って僕は弟を止めた
止めながら、昔を思い出した
僕は弟が傷つかないように
先回りして、弟の進むべき道を作り
弟を操縦していたんだ…
そう…もっと巧妙だったから、幼かった弟はそんな策略に気付きもしなかった…
今は…マシなのかな…向き合って言えるだけ、僕も進歩したのかな…
弟にラブと同じような言葉を聞かされた
「もし先生に助けられなかったら、僕は今ここにいないかもしれない」
止められないと諦めた
人の想いなんて他人には止められない
教授は…あの人と同じ匂いがするんだ、ギョンビン
ああ…色っぽいオッサンは…だから…嫌いだよテジュンさん…
千の想い 144 ぴかろん
朝、目を開けると見慣れない空間にいた
見慣れない布団…見慣れない部屋…
一体俺はどこにいるのかと跳ね起きた
目を擦ってもう一度回りを見る
昨日の記憶が甦ってくる
柔らかい髪
柔らかい唇
長い…睫毛…指…
可愛い人…
ああ…ヨンナムさんち…ヨンナムさんの…部屋だ…
傍にあったヨンナムさんの枕を抱きしめてふーっとため息をついた
台所から皿の割れる音がした
またヤケになったのか?!
俺は慌てて部屋を飛び出し、台所に駆け込んだ
床には割れた皿が散らばり、ヨンナムさんはぼんやりと流しに立っていた
「どうしたの…」
ヨンナムさんは流しを向いたまま、黙っている
何も言わない
…なんか言ってくれよ…寂しくなるじゃんか…
「ここで皿の片付けするの三度目だ…」
腰をかがめて大きな破片を手で拾っていると突然背中に重みを感じた
俺は危うく破片に膝をつくところだった
「なっ!なんだよっ急に!危ないじゃない!」
驚いた…ヨンナムさんが俺の背中に凭れ掛かってきたのだ
俺が大きな声を出したので、ヨンナムさんはすぐに背中から離れた
箒で破片を掃き、ビニール袋に捨てる
ふうっとため息をついて、ヨンナムさんに話しかける
ヨンナムさんは元通り、流しを向いたまま動かないでいる
黙っている…
「何が不満?」
「…ちが…」
「なんで皿割ったのさ」
「…」
「ヨンナムさん?」
黙りこくっているヨンナムさんの腕を掴み、こちらを向かせようとした
ん?抵抗してる…
俺、なんか悪い事した?
なんなんだよ、これは!
ちょっと腹が立ってグイッと引っ張ってみた
体が少しだけ俺の方に向いたのに、顔はあさっての方を向いたままだ…
なによ…この人は!もうっ!
パッと手を離して息を吐いた
その音にビクリとする背中
…意識…してる…
もしかして…照れてるの?
「…きの…」
「ん?」
「…きのうのキス…」
声が震えている
「イヤだったの?」
「ちがう…」
ふ
即答するところが堪らない
「じゃ…なによ…もっと濃厚にしろっての?」
首筋に息がかかるように話す
ピクリ
可愛い
「そんなんじゃ…」
「…恥ずかしいの?…あんなに応えたくせに…」
「…ば…」
背中から抱きしめる
ヨンナムさんの胸の鼓動が俺に伝わる
「なんで皿割ったの?」
耳に囁くとくすぐったそうに身を縮める
「手…すべったんだもん…」
「ダメだな…」
耳たぶに触れるくらいに…
「や…」
「すっげぇドキドキしてるよ、ヨンナムさん」
「…い…イナだって…」
「…ね…ヨンナムさん…」
「…ぁん…」
「ご飯まだ?」
「…」
クククっと笑うと、ほっぺたを膨らませたヨンナムさんが俺を睨む
睨んですぐに目を潤ませて俯く
「なぁんだよぉ…」
「…はず…かしい…僕…」
「…なんで?…」
「…」
可愛くてたまらなかった
「ねぇ~ご飯~」
「…できてない…」
「ん?」
「用意するの…忘れた…」
「…珍しいなぁ…」
「だって!…イナが…」
「俺のせい?」
「…」
「楽しみにしてたのにぃ~」
「も…。耳元で喋るな!」
「ええ?ここ?」
「も…や…ぁ…」
ヨンナムさんの体ごとフリフリ揺すってやった
柔らかい髪が俺の鼻先を擽る
「やめろよイナ…」
「やめないっふふん♪」
俺はヨンナムさんの体をゆらゆら揺らし続けた
ヨンナムさんの体が解れ始める
二人でクスクス笑いながら揺れていた
預けられた体を抱きしめながら、俺は思った
こんな感じ…知ってる…
どこでだった?…この感じ…柔らかで優しくて…包み込んでいたい…
「ごめん…ご飯…」
「いいよ。どっかで一緒にご飯食べよう。ね?」
「…」
「casaまで送ってって。ね?」
「あ…うん…」
「…あ!そうだ!casaの水、チェミさんの工房の…一緒に持っていけばいいじゃん?」
「え…」
「ついでに俺のパン作り見学してさ。ね?一緒に居られるじゃん」
「でも…チェミさんとこは夜の配達だから…」
「いいじゃん、今日ぐらいさ。ついでついで」
「…でも」
「俺がちゃんと言ってやるからさ、行こうよ。ね?」
「…んー…」
「なによ。一緒にいたくないの?」
「いたい…」
「じゃ決まり」
「…ん…」
ちゅ
「あ゛…」
その一瞬が堪らなく好きだ
可愛らしい反応
貴方にしかできない…
俺はまた彼を抱きしめて深くキスをした
ヨンナムさんはでかける準備を手早く済ませた
トラックに乗り込み、途中、適当な店で朝食を食べた
それからcasaに向かった
駐車場でトラックから降りようとしないヨンナムさんを引きずり出し、水を持たせて追い立てた
「…大丈夫かなぁ…」
「大丈夫だよ。俺がちゃんと言うからさ」
「…うん…」
俺達は工房のドアを開けて中に入った
イナが工房に入ってきた
ちょうどテソンから『イナがテジュンさんと別れた』という報告を聞いていたところだった
「おはようチェミさん」
「おう!イナヤ…」
テソンと俺はわりと明るいイナの声に微笑んで振り向いた
が次の瞬間、イナの後ろから工房に入ってきた男を見て、テソンと俺は黙り込んだ…
「ここまで送ってもらったからついでに水運んじゃえって俺が言ったの。いいでしょ?チェミさん」
「…あ…お…おお…」
ということは…昨日の夜、ヨンナムさんと一緒に?
「すみません…約束の時間でなくて…」
「いや…いいですよ…どうぞ…奥へ…」
ヨンナムさんが水をセットしている間に俺はイナをじっと見つめた
「…イナヤ…」
「さぁってとぉ…今日は頑張って作るからねっ。昨日はさぼっちゃったからさ」
「…イナヤ…あの…」
「セット終わりました」
ヨンナムさんに遮られた
「んじゃパン作り見学していきなよ。いいよね?チェミさん」
「イナヤ…」
「ん?なにさ」
「ヨンナムさん」
テソンは空気を読んでヨンナムさんに声をかけた
「ね、水の余分ある?」
「…はい…」
「よかった。新しい料理研究しようと思ってさ、ちょうど水が欲しかったんだ。一つちょうだい。上に運んでもらえるかな?」
「ありがとうございます。今取ってきます」
「あ…僕も手伝うよ」
気の利くテソンがうまくヨンナムさんを連れ出してくれた
「イナヤ…あのな…」
「なんだよ」
「今日は…いいわ…」
「なにが?」
「お前、パン作らなくていいわ…」
「…なんで?」
「うん…もうじき…その…開店だろう?…新作のパンを考えたくてな…こう…集中して作業したいから…ピピっと案が浮んだんだ…」
「…」
「だからお前今日は…作らなくていい」
「なんでさ。俺、邪魔しないよ」
「だから…集中したいんだ…」
俺の顔色を読んだのだろう
イナがむっつりした顔で言った
「…。チェミさん、怒ってるんだろ…」
「いや…」
「ヨンナムさんを連れてきたから?」
「…イナヤ…」
「昨日の今日で…だから?!」
「…」
「…どんな選択しても…俺が納得すればいいんじゃなかったっけ?!」
「それは…そう…だ…でも…」
「でもなにさ!」
「…いや…ただ俺は…イナヤ…」
「そんな事で怒る人とは思わなかった!」
「怒ってるんじゃない…ただ…」
「なんなんだよ!」
「今日は…お前の作ったパンを…見たくないんだ…」
「…」
「すまんイナ…俺は…」
「…テジュンの味方ってわけ…」
「そんなんじゃない…。イナヤ…俺はな…」
「…なにさ…」
「忘れられんのだよ」
「…」
「…忘れられんのだ…イナヤ…」
千の想い 145 ぴかろん
…忘れられない…
なにを?
俺は
解っている
チェミさんが何を忘れられないか…
「…ん…わかった…」
工房を出ようとしてチェミさんを振り返った
「…明日は…いい?パン…作っても…」
「…お…おお…」
声が震えていた
チェミさん…
工房のドアを閉めるとはるみちゃんがニャアと啼いた
俺は腰をかがめてはるみちゃんを抱き寄せた
「みゃみゃ?みゃん…みゃ…」
まるで元気を出せと言われているみたいだった
ぺちぺちと肩を叩く前足
すりすりと頬を撫でる肉球
両前足で俺の頬を挟みこんでち◎うううっと鼻先に口をつけるはるみちゃん
俺はクフフと笑って
笑って
そして
泣いてしまった
ヨンナムさんに聞こえないだろうか…
声を押し殺して泣いた
みゃあっみゃみゃーっみゃおっ!
はるみちゃんの声を聞きつけて、チェミさんが工房のドアを開けた
「みゃ!みゃんみゃん!」
「…お…すまんお嬢…」
ぺち☆
はるみちゃんは俺の腕からするりと飛び出し、チェミさんの懐によじ登り、チェミさんの額に前足パンチをお見舞いした
「…苛めるなってか?…苛めたわけじゃ…」
「んみゃ?!」
「…わかったよ…」
チェミさんははるみちゃんを床に下ろし、俺の腕を引いて工房に連れ込んだ
「…」
「…すまんな…俺もまだまだだから…」
「…解ってる…チェミさんが忘れられない事」
「…ん…」
「俺も…忘れないから…」
「…そうか…」
「でも…こうしたかったんだ俺達…」
「…」
「きっとテジュンも…」
「…そう…か…」
「忘れない…絶対…」
腹の底から熱いものが込み上げてきた
勝手に涙がぽとぽと落ちた
チェミさんは俺をぐいっと抱き寄せ、俺の後ろ頭にピッタンピッタン平手を打ちつけ、すまんすまんと繰り返した
涙を押し込めて俺はチェミさんに笑いかけた
明日、またねと言って工房から出た
チェミさんの目が潤んでいた
イナヤ…
俺は忘れられんのだよ…
濃顔さんのあの時の顔を…
お前のパンを愛おしそうに見つめていたあの瞳を…
お前の選択をどうのこうの言う訳じゃない
が俺はそう簡単に割り切れんのだよ、イナヤ…
これが結論ではないと、俺は思う
結論なんてないのだろうと、俺はそう思う
ただ俺は
あの濃顔さんの瞳が
お前の傍からなくなるとは考えられなくてな…
すまん…いつもの俺らしくないな…
頃合を見計らってテソンがヨンナムさんと階段を降りてきたようだ
イナはヨンナムさんになにやら話しかけながらcasaから出て行った
テソンが工房に入ってきてフーッとため息をついた
「らしくないね、チェミ」
「…ん…」
「ジジイ同盟?」
「…ばかもの!」
「…らしくない…チェミもイナシも…」
「…テソン、すまんな…」
「謝ってばっかし…それも『らしくない』よ、チェミ。テス呼んでこようか?」
ばったん☆どどどどっ
「ちぇみいいい」
がしっべたっぽちゃぽちゃっすりすりすりっ
「あいう…」
「…素早いな…テス…」
「ふふん。チェミのことはお見通しっ」すりすりすりぃぃっ
「あ…ふ…」
俺は…casaに居て本当に幸せだと思った…
「今日は思わぬ収穫だなぁ、ずっとヨンナムさんと居られるよ」
トラックに乗り込んで明るく言ってみた
「…。なんでチェミさん…。やっぱ僕が朝、水を運んだから…」
ハンドルに凭れて、ヨンナムさんは言った
「違うよぉ。新作のアイディア練るって言ってた。集中したいんだって。ホラ、開店近いだろ?」
「…ほんと?」
「うん。さ、今から何する?」
「…何って…配達…」
「…はいたつ?」
「お前がパン作ってる間は配達してるんです!僕は!」
「…わぁったよ…手伝うよ…ちぇ…」
「ちぇってなんだよ」
「だってさぁ、俺いっつも只働きじゃん…」
「その分お昼ご飯ご馳走してあげるじゃんか!マンションまで送ってってるし!」
「…なんか…誤魔化されてるよなぁ」
「…」
「誤魔化してるだろ?」
「…」
ん?拗ねた?
「…」
ふいっとよそを向いたヨンナムさんの頬を指で突く
知らん顔したまんまだ…
俺はふとチェミさんの俯いた顔を思い出す
『忘れられんのだ…』
『テジュンのあの顔』だろ?
俺の焼いたパンを見た時のあの…
根っこの跡がくぅっと痛んだ
固く目を瞑ってその気持ちを呑み込んだ
それから…
いつまでもそっぽを向いているヨンナムさんの顔をこちらに向けた
俺から視線を外している
「いつまでも拗ねてると噛み付くよ」
「…」
「よぉし…濃いの、痛いの、じゅるじゅるの…どれがいい?」
「…へ?」
「噛み付き方」
「…」
「黙ってたらじゅるじゅるにしてやる!」
「やだっ!」
「やだじゃない!じゅるじゅる決定!」
「やめろぉぉ」
俺はふざけてヨンナムさんに襲い掛かった
寂しくて切ない想いと、楽しくて切ない想いとが俺の中に同居している
こうしていれば寂しいほうはやがて見えなくなる
見えないだけで、なくなったりはしない…
時々思い出して心が痛くなるのだろう
前を向いて歩いていく
楽しいばかりじゃない
それでも笑っていたい
ヨンナムさんの唇を捉える
閉ざされていた唇がゆっくりと開いていく
俺は融けていく
自分から融けていく
どこかに焦りがあるのかもしれない
その日、店に出るとクリスマスパーティーに来ていたワインバーグ教授がいた
ギョンビンとギョンジンとラブが応対していた
ギョンジンはいつになくキリキリしていた
愛の深いギョンジンは心配事が多いようだ…
俺の事まで気にしてくれている
「テジュン、俺の家に居るから」
ラブに告げられた
「そう…」
としか答えられなかった
そう…
ラブの家に…
「心配すんなよ、バカも一緒だから…邪魔だけど…」
付け加えたラブに俺はまた「そう」と答えた
そう…
それ以上考えるのはやめた
マンションに帰ろうかな…
店が終わって裏口を開けるまでそうしようと思っていた
外にヨンナムさんがいた
その姿を見て俺はふわりと温かくなった
寄り添ってヨンナムさんのトラックに乗り込み、迎えの礼を言った
「マンションに帰る?」
前を向いたまま、ヨンナムさんは俺に聞いた
「マンションに…帰ってほしい?」
「…」
「ヨンナムさんちに…帰る…」
「…え…」
俺を振り返ったヨンナムさんの唇に素早くキスをした
なにも…変わらない…俺の気持ち…何も変わってないじゃないか…
キスをしながらそう思った
揺れている
テジュンを思って
ヨンナムさんが好きで…
早く一歩を踏み出したいのに
踏み出したと思ってたのに
そんな簡単なもんじゃない…
「…イナ…」
唇を離してヨンナムさんが言った
「…無理しないで…。焦らないで…イナ…」
「…焦ってないよ…」
「テジュンが気になるんだろ?」
「行こう」
「イナ!」
「気に…なるよ…好きだったもの…」
「…ん…」
「…帰ろう…」
寝ようか…
今夜この人と…
一瞬浮んだ考えに頭をブルブルと横に振った
『焦らないで…イナ…』
うん…そうだね…
暫く俺、浮いたり沈んだりだな…
ゆっくり動き出した車が俺を運んで行く
テジュンが帰ってこないヨンナムさんの家へ…
千の想い 146 ぴかろん
バカはギョンビンと教授の行方を気にしていた
車に乗り込んですぐ…という事はギョンビンが教授と落ちあってすぐなのだけれど…電話をかけていた
さっきロッカーで詰め寄ったり抱き合ったりしたばかりじゃんよぉ…
過保護すぎない?俺にはこれ程干渉しないぞこいつ…
「ギョンビン?おにいちゃんだ」
お…おにいちゃん?!
「大丈夫か?え?だから…その…わかってる。わかってるけど…。でも…でも…聞けよ!心配なんだっ!…え?…あ…ああ…うん…わかったよ…早く帰るんだぞ!いいな?おにいちゃんがRRHに帰らないからって変な気起こすんじゃないぞ!いいな?ん?」
おにいちゃん…その最後の「ん?」が物凄く甘~いんだけど…
電話を切った後、はふーんなんていうため息をついて、心配そうな顔で宙を見つめている
全く…色んな人が心配なんだね、アンタは!ふんっ!
全く…
「さ、行こうか。ジジイの顔なんか見たくないけど仕方ないし…はふーん…」
見たくなきゃRRHに帰れよバカ!
したら弟の素行が不良だったか優良だったか確かめられるじゃんかふん!
バカはエンジンをふかして車を動かした
運転しながらはふーんへふーん言っている
5分ぐらい走ったろうか…もうすぐうちに着くってのにバカは路肩に車を停めた
「どうしたの?」
「ん…ちょっと…」
バカはまた電話を出してきた
誰にかけるんだろう…
まさか…
「おにいちゃんだ」
そのまさかだった…
俺はその過保護干渉アマアマっぷりにちっとばかり青くなった
「あっこらっ!切るな!え?まだ着いてもいない?どこ行くんだ?え?洒落たレストランを探してる?兄さん知らないかって?そうねぇ、おにいちゃんのお薦めはぁ…。はっ!何言ってるんだっ!メシなんかその辺の屋台で食えそしてサッサとさよーならして帰るんだ!あっこらっ切るなこらっ!」
ばか…
ギョンビンはもう立派な大人だぞ…
んなに心配なら
「つければよかったのに、あの二人のあと…」
「はふーん…それも考えたんだけろ、そーすっとラブはジジイんとこにすっ飛んで帰るでしょ?すっとラブが危ないじゃない…はふーんギョンジン困っちゃう…」
「そーんなに心配なんだ」
「だってアレだぞ!あんなオッサンのあんなアレだぞ!あの人やたらと色っぽいしっ!お前とクソジジイが二人っきりで食事するようなモンだ!食事はセック…んむむ…」
訳の解らない理屈をくっ喋る形のいい唇を塞いでやった
俺の手はギョンジンのズボンのベルトを緩めてその中に忍び込む
「!ひ…!んぐぐげ…」
バタバタしているバカに体重をかけて押さえつける
バカより『少しばかり』重めでよかった…
キスをしながら手でバカの『バカ』を刺激する
唇を塞がれながら、バカは甘い声を出す
少しは感じてるのかな…
でもいっこうに『起きる』気配はない
もう片方の手でバカのネクタイを緩め、シャツのボタンを外す
その手をバカの胸に滑り込ませる
「ん…ひ…ん…」
バカの感じやすいところを刺激しても全然ダメだ…何よコレは…
俺の唇はバカの唇から離れ、首筋や鎖骨や胸に這いまわった
「や…やめ…ラブ…こんな…とこ…人に見られ…」
見られる?その方がコーフンするだろ?
俺はやめなかった
唇はどんどん下に潜り込み、片方の手で弄んでいた『バカ』を捉えようとした
「やめっ!やめて!…はぁはぁ…」
「なんで?おかしいな…こないだだってもうちょっと反応あったのに。ますますダメになってるじゃん…どうして?」
「しょんなの!きゅうにこんなとこでしゅるからっひんっ」
「急にこんなとこでしたりするの、夢だったんじゃねぇの?」
「しょ…しょれはっ調子のいい時のはなしでっへひんっあああっあっやめっあは…」
しのごの言うバカの『バカ』を捉えてみた
感じてはいるらしいが『反応』が…よくない…
暫く頑張ってみたけどまーったくダメだ…
最初ははふんへひん言っていたバカの本体が段々静かになった
咥えながらバカを見ると、異常なくらい冷めた顔をしていた
俺は唇を離して助手席に戻った
「なんで?」
「…わかんないもん…」
服をはだけたまま、呆然としているギョンジン
頼りなげで可愛く見える
少し涙目な所も可愛い
俺は服を整えてやり、バカの『バカ』をズボンの上からペシっと叩いた
ギョンジンは俯いてごめんと言った
ま、こんなとこで発情されても…困るのは俺の方なんだけどさ…
「ふー…」
がさごそがさごそ
バカはまた電話を出した
「ちょっと!アンタさぁ」
「もしもし?おにいちゃんだ…え?ちっと間があいたのは何故かって?しょ…しょれは…けほ。ンな事よりもう食ったか?え?今着いたとこ?…どこだ!どこでもいい?あっ待てギョンビン、おにいちゃんはな…あ…切った…」
「当たり前だろ?!いい年した男にそんなに干渉しなくてもいいだろ?」
「だって心配なんだもんっ!ぐすっ…」
「心配しすぎだよアンタ…教授は紳士じゃんか」
「その紳士がイギリスでギョンビンに何をした?!」
「…ギョンビンに何かあったら、アンタ感じ取れるだろ?大丈夫だよ。ただメシ食うだけだよ、ね?ギョンビンもいい感じで話してたじゃんさ」
「…でも…」
「アンタのすげー勘。あの川原で俺を探し当てたみたいに…。ギョンビンにもしもの事があったらきっと解るよ、ね?」
「…ギョンビンが受け入れたら解んないもん…あいつが強く『イヤだ』って思わなきゃ…。いい感じだったから…だから余計に心配なんだもん…いい感じだけどアイツ、揺れてるの解るし…」
「…。…アンタって…」
あれ…
もしかして…
俺は唐突にこのバカの不調の原因が解ったような気がした
そうだ…
ギョンビンだ…
ギョンビンの心が不安定だと、このバカは同調して不安定になるんだ…
そんなにも弟が大切なんだ…こいつ…
いい男だなという気持ちと、大切にされているギョンビンへの嫉妬とで、俺は胸が痛くなった
「…あいつら、どこに行ったんだろう…大丈夫かな…」
呟くバカに、大丈夫だよと力なく答えた
「…ああ…ラブんちでジジイが待ってるか…くそ!ジジイめ…」
俺の様子なんか気にも留めず、バカは車を発進させた
千の想い 147 ぴかろん
うちに着いてからもバカは何度も電話をかけていた
しつこいヤツだな…
でも羨ましい
こいつにこんなにも心配してもらえるなんて…
俺がもし
もしテジュンとなんかしたら…
そんな風に心配してくれるの?
テーブルに突っ伏して転寝しているテジュンを見ながらそんな事を思った
ダーリンのおうちに着いてから、ダーリンに隠れて僕はまた電話した
もう食い終わっただろうか…
『食い終わる』?
何を?(@_@;)
ハラハラハラ
ドキドキドキ
チャッ☆「もしもしっおにいちゃんだっ食い終わったか?!」
『…いい加減にしてよ!今注文したとこだよ!それより、食事の後どっかで飲もうかと思ってるんだけど、いいお店しらない?』
「いいお店か?んーと…そうだなぁ…江南あたりのホテルのラウンジで漢江のライトアップを見ながらチアーズなぁんて…事をしては絶対にいけないっ!今おにいちゃんが言った事は忘れろ!」
『じゃあ彼の泊まってるホテルのラウンジにでも行こうかな』
「だめだだめだだめだっ!そんな危険なことっ!(@_@;)」
『危険ってなんで?』
「ええいこの無自覚者めがっ!しょしょしょんなとこでドロドロに酔っ払ったらっ『酔いを醒ましていかないか』『え…はい』『(ふっふっふっ。部屋に連れ込めばこっちのもの…あとは介抱するフリをしてふっふっふっ)』なんて筋書きが見えてるっだめだだめだだめだっ」
『クハハハ…』『ヒーヒー』
「ん?ギョンビン?どうした?擽られでもしたかっ(@_@;)」
『クフフ…お兄さん、心配しないでください。僕は彼にそんな危害を加えたりしませんよフハハハ…それより僕の声はそんなにいやらしい声ですか?ハハハハ』
「げっ…」
『兄さんヒーヒー、それって兄さんの手口だったんだろ?近くにラブ君いないの?暴露してやる』
「ちっ…違うわっ!このっ!」
『じゃね』☆
「あ゛っ!こらっギョンビン!きいっ!切ったっ!あああ心配だっ心配だっ…。はっ!心配といえばダーリンっ」
僕はリビングのドアをばったんこー☆と開けた
(@_@;)
だだだだーりんがっ、くそじじいに覆いかぶさっているっ
(@_@;)
「ななななだだだだ」
「ん?電話終わった?」
「じじじはははなれっ」
「テジュン、眠っちゃってる…。涙の跡がついてる…。可哀想…。イナさん結構元気だったのに…酷いな…」
「は…」
深呼吸してジジイの顔を覗き込んでみた
酒はあまり減っていない
ふん!
こんな自業自得クソジジイ…
ピシ☆
「あっ!」
ばっちぃぃん☆
「でぇぇぇっ」
ジジイにデコピンした途端、ダーリンが僕の頬を物凄い勢いで引っ叩いた
ひいん(;_;)
そしてジジイの頭を胸に抱いたひいいん(;_;)
「何するんだよ!テジュンに触るな!」
「(;_;)いたぁぁぃ…引っ叩かなくてもいいじゃなぁぃ…」
「デコピンなんかするな!」
怒鳴りつけてからデコピンした場所にちゅうちゅうちゅうちゅうしだした
「やめてぇぇぇ(;_;)」
「…ん…ふ…あ…。イ…。…」
目覚めたクソジジイは、イナと…そう言いかけたのだと思う
ダーリンの胸の中でぼんやりしながら口を固く結んでいる
短く息を吐いた後、諦めたような笑顔を作って僕達に声をかける
「…おかえり…」
「テジュン…」
「あんまり飲まなかったよ…」
「うん…うん…」
ダーリンは既に涙目だ
ふん…ふんふん…
こぉんな可哀想な状況がよく似合うジジイ…
ああやっぱりイヤだっ!
イヤだといえばあのジジイもっ!
チャッ☆「ギョンビン?おにいちゃんだけど。あ゛っ…」
ギョンビンのやつ…すぐに切りやがった…
なんで?まさかまさかまさかあのジジイが…
『切ってしまおう(ブチ)…』
『でも…兄が心配して…あ…ふ…』
『可愛い唇だ…美味しい…』
『き…教授…』
ぷるぷるぷる
ハラハラハラ
ドキドキドキ
チャッ☆「おにいちゃんだギョンビン!切るな!今すぐそこを出ろ!大変なことになるっ(@_@;)…え?…え?いや…だからおにいちゃんはお前が心配でっ…あ゛っ」
また切った
はふーん…
長くため息をついてふとダーリンを見ると、クソジジイの頭を抱えたまんま、『変なものを見る目つき』で僕を見ている
ダーリンだけでなく、抱えられたクソジジイもそのクソ垂れ目を『奇妙なモノを発見した目つき』にして僕を見ているっきいっ!
「なんなのよっ見ないでよっ!」
「…ブラコン…」
「は?」
「異常執着愛…」
「はあっ?!」
「執着しすぎると嫌がられるぞ」
「…」
「…執着しすぎると…」
クソジジイのクソ垂れ目が泳ぎ、ポツっとそう呟いた
…
そうだよ
クソジジイはイナに執着しすぎなんだ…
だから嫌がられたんだ
くどいのは顔だけにしてもらいたい!
大体ラブと逃避行した時のこのジジイのセック○は、それはそれは『くど』かったらしいぢゃないかっ!
そんな風にイナを攻めるからイナはクソジジイを嫌がったんだきっと(@_@;)
クソジジイ、今もまだふっ切れずにくどくどくどくど…
そんなに好きならさっさとここから出てってイナに跪けばいいんだっ(@_@;)
ぐーるぐーる…
『ギョンビン…僕は君に大変な傷を負わせたね…君の幸せのためならなんでもするよ』
『そんな…教授…跪かないで…。僕だって貴方に傷を…僕の方こそ貴方のためなら…』
『ギョンビン…』
『教授…』
近づく弟とあっちのクソジジイの唇
『いけない。君にはあのゴージャスな彼がいる。そして君を本当に大切にしている格好よくて頭脳明晰で明朗快活で素晴らしいお兄さんもいる…。彼らを悲しませてはいけない…』
『彼は…。彼は今…。忙しくて…。僕、とても寂しいんです…教授…だから…』
『でも君にはあの格好よくて頭脳明晰で明朗快活で素晴らしいお兄さんが』
「テジュン…考えすぎないで。ね?そうだ。一緒に飲もうよ。楽しいこと考えよう。ね?」
はっ!僕ったら意識が飛んでたわ…
「そーですよクソジ…テジュンさん…一緒に飲みましょうハハハハ」
飲む?(@_@;)
『食事の後どっかで飲もうかと思ってるんだけど…』
チャッ☆「もしもし。おにいちゃんだ。切るな!いい場所があったので教える。え?飲む場所だっ!今どこにいる?え?教えたら殴りこむから教えない?…殴りこまない!え?サッサと飲む場所を教えろ?居酒屋だの屋台だのはイヤだ?」
贅沢な…(-_-)
「そんなとこじゃない。不思議な空間だ。きっといい気分になれる。え?そんなとこで飲んで僕達が変なことになったらどーすんのだって?!大丈夫だ!絶対にそんなことはさせない!…その場所はだな、RRHからこうきてこう行ってこう曲がってそのビルの五階の一室だ」
「待てよそれってここじゃないか!」
ダーリンが気付いて声を上げた…ちいっ…
「え?何か聞こえた?空耳だろう」
「ギョンビン!それ、俺ンちだよっ」
通話口で叫ぶダーリン
「ちっ違う!違うってば…」
「来る?教授と二人で来る?大歓迎だよ。テジュンもいるし」
また叫ぶダーリン
意地悪な顔で微笑んでいる…くうっ…可愛い…
「へ?へほん…そうだあの垂れ目のクソジジイも一緒だ…え…だから…。ぐす…怒鳴るな…ぐす…だって…だっておにいちゃん心配なんだも…えっえっ…だってそんなエロ教授と二人っきりれ…えっえっ…あ゛っ」
…
そっとフリップを閉じた僕を、ダーリンとクソジジイはじっと見つめていた
「アンタたち離れてよ!見ないでよっ!心配ごとが多すぎるわっ(>_<)」
「…。ギョンジン…」
「なんだよクソジジイ!」
「…お前のように…なれるかな…僕…」
「…は?…」
何言ってるのよこのジジイ…
「テジュンはテジュンだよ。こんなのにならなくていい」
「…ラブ…ギョンジンは…温かい人だね…」
「…テジュン…テジュンだって温かいよ」
「…僕はダメだな…全然…」
「…テジュン…。飲もうよ…ね?」
何よこのいいムードっ!僕が目の前にいるのにっ!
『飲む』(@_@;)
チャッ☆「ギョンビン!おにいちゃんだっ!…あれ?」
電話から機械的な女性の声が聞こえた
くおおおおっ
バカギョンビン!
僕からの電話を拒否したなぁぁぁくぉぉぉぉっ
ぐすんぐすん
心配でたまらなかったけど、こっちの二人も心配なので、僕は監視しながら酒を煽ったぐすんぐすん…
千の想い 148 ぴかろん
カラカラカラ
引き戸を開けてヨンナムさんが先に家に入る
外で見上げたテジュンの部屋は今夜も灯が点いていない
だから俺はここにいるんじゃないか…
一歩、中に入る
「シャワー浴びる?」
「え…あ…うん」
「今日は風呂、沸かさなかったから…。明日は沸かすよ」
明日
明日も俺はここに帰って来るのかな…
「あ…ごめん…明日だなんて僕…」
小さな声で呟くヨンナムさんを見つめた
「…今準備するね…」
「ヨンナムさん」
「ん?」
「明日は俺、一度RRHに帰るわ…」
「…」
「着替えとか…ないし…」
「…うん…」
「…。帰ってほしい?」
「…どこへ?」
「RRH」
「…。別に…。好きなようにすればいいじゃん…」
ヨンナムさんはあちこちに視線を飛ばしながら奥の風呂場に消えていった
テジュンは…ラブの家にいて
俺はヨンナムさんの家にいる
その階段を昇れば、こないだテジュンと二人で過ごした思い出に包まれる
この居間だって、テジュンの姿が…
ああ俺は
頷いちゃいけなかったのか
苦しむテジュンから目を逸らしちゃいけなかったのか…
マンションには帰りたくない…テジュンがいっぱいの俺の部屋になんか…
「イナ、どうぞ。汗流して」
「…んあ…ん」
曖昧な返事をして風呂場に向かう
すれ違うヨンナムさんの腕を掴む
「一緒に入る?」
ニヤリ
偽者の俺
「…」
目を逸らして答えないヨンナムさん
腕を離して「冗談」と言い、脱衣場のドアに鍵をかける
服を脱いでシャワーを浴びる
横にある風呂を見た
「…変わった風呂…」
釜のような風呂
確か『五右衛門風呂』とか言ってたよな…
釜茹でにされた罪人にちなんで作られたとか聞いた
「釜茹でに…してもらえばいいんだ、俺なんか…」
前を向いたり後ろを向いたり
浮いたり沈んだり…俺は安定しない…
テジュン、どうしてる?
もう元気になった?
俺の事なんか忘れて、早く笑ってほしい…
テジュンのあの笑顔を…
優しい言葉を…
俺は今日になって次々と思い出す
どこにも行ってほしくない
俺の傍にいてほしい
そう思っていたのに俺は…
今でもそう思ってるのに俺は…
遠ざけた
ヨンナムさんを選んだ
答え?
答えなんだろうか…
テジュン…
テジュン…
俺はまだお前に惚れてるみたいだ…
「ラブんとこに…居るんだ…お前…」
自分の体を抱きしめながら、テジュンの長い指を感じていた
イナの瞳が揺れている
揺れて当然だと思う
僕は動揺している
昨日のキスと違うキス
前に進もうと焦っている
追いかけてくるテジュンの影から
逃げようとしている
そんなイナを見ると
僕も焦りを感じてしまう
イナがシャワーを浴びている間
僕は台所に突っ立っていた
テジュン…
寂しげに微笑んでいるお前の顔が過ぎる
焼酎の瓶の栓を開け、僕はゴクゴクと液体を流し込む
口の端をぐいっと拭い、僕はまたゴクゴクとそれを飲む
テジュン…
ゴクゴクゴク…
あっという間に1本を飲み干してしまった
酒とは思えない…
掌で口を拭い、僕はもう1本の瓶を開ける
イナの焦りが乗り移ってしまった
早く…早くなんとかしなければ…
何を?
イナが…泣いている…
泣かせたのは僕
テジュンが泣いている
泣かせたのは僕
どうしていいのか解らない
逃げ出したくなる
乱暴な飲み方をした
酔っ払って寝てしまいたかった
イナがいる
今夜もイナがここにいる
嬉しいのか怖いのか解らない
そんな事より
僕は本当にイナが好きなのか?
イナとどうなりたいんだ?
なぜイナは今夜ここに来たんだろう
イナの焦り…
もし…
もし…イナが僕を…
「お先~」
ぺたんぺたんと足音がして、イナが台所を覗き込んだ
「…なに…先に飲んでたの?」
「…」
「…なに…。何やってんの…なんでこんなに飲んでるの!何これ!シャツが濡れてるじゃないか!どうしたんだよ!」
「…飲みたくなって…」
「…。ラッパ飲みしたくなった?」
「…うん…」
「酔っ払いたかったの?」
「…」
イナは黙って僕の腕を引き、居間に連れて行った
「飲むんなら二人で飲もうよ」
座卓の前に僕を座らせ、イナは微笑んで言った
気を遣わせている
気にかけてほしい
どういう気持ちなんだこれは…
不安にならないで…
テジュンを思い出さないで…
今は僕を…
「何が悲しいの?」
「え…」
「涙…」
「え…え…」
「俺がグラグラしてるからか…」
「…」
「ごめん…」
「…。チェミさんに…何言われたの?」
「ん?」
「今朝チェミさんに…」
「…ああ…だから…」
言いたくなかった
あれは、チェミさんとテジュンと俺だけの思い出だから…
「だから…やっぱりその…。昨日の今日で俺がヨンナムさん連れてったから…怒ってた…」
「…」
「立ち直りが早すぎるって…」
「…」
「でもさ、俺達、きっかけ掴んだんだもんな…。掴んだんだ。そうだよ」
「…なのに揺れてるじゃん…」
「ん…。きっかけ掴んでもグラグラだな…」
「…捕まえても…いい?」
「…え…」
「明日、帰らないで、マンション…」
「…」
「ここに帰って来て…」
「ヨンナムさ…」
僕からイナにキスをした
酔いが回ったのかもしれない…
石鹸の香りがする
「…ヨンナムさん…ん…」
「僕を見てほしい…」
「…見てるよ…」
「僕を思って…」
「…ヨンナムさん…」
俺の心を見透かしたように、とろんとした目のヨンナムさんが抱きついてきた
体を支えきれなくなって俺は床に倒れこんだ
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
普通の日記
3日の日記
(2026-08-03 04:25:46)
株式投資でお小遣いを増やそう
口座の実績について
(2026-08-03 08:33:00)
たわごと
いろんな世界とつながること
(2026-08-03 07:30:37)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: