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ぴかろんの日常
(企画)ミンギ 映画撮影中 4
S の謎 足バンさん
暫く考え込んで振り向き真っすぐふたりを見るスヒョン。
「いかがですか?思い出していただけましたか?」
「背中を見ました」
「背中?」
「黒いスーツの男と白いスーツの男」
「顔は見ませんでしたか?」
「後ろ姿だけです。画廊の外に、あの硝子の向こうに立っていました」
「他に何か特徴は?」
「何も。もういいでしょう?」
顔を見合わせ、礼を述べて画廊のドアを出るギョンジンとラブ。
道路に出て巻き付くギョンジンの手をほどきながら店を睨むラブ。
「何か隠してるな」
「隠してないってばぁ~ラブには全てを見せてるってばぁ~」パシンっ!
「脅されてるのかな」
「ラブに脅されたらもうそれだけで」バシンっ!
ふと目線を上げると袋を持ったスヒョンが画廊の2階の窓際に立って
ラブたちを見下ろしている。
そこに誰か白いシャツの男が走り寄り抱きつきキスをする。
スヒョンは男とキスしながら視線をラブに送り
抱きしめている男の背中に指でゆっくりとアルファベットを記す。
「S?」
「え~?えす?僕どっちかっていうとエム…」バッシーンっ!
スヒョンはそのまま偏光スイッチに手を伸ばし
硝子の窓は透明度を失った。
ラブはすぐに通信する。
「Sです。Sに何かあるかもしれません」
「Mですっ!絶対にMですっ!」バッチーーンッ!
「もう邪魔しないでってば!こんがらがるでしょっ!」
一方キスを終えたスヒョンはドンジュンの手を引いて
急いで奥の部屋に入って行く。
「もう我慢できない」
そう言うといきなり座り込み、袋から毛糸と編み棒を出して
一心不乱に編み物を始めるスヒョン。
その手はこころなし小刻みに震えている。
その光景を少し離れ壁に寄りかかり凝視するドンジュン。
その目には妖艶な光が宿り
口元には悪魔のような微笑みがあった。
「カ~ット!バッチリで~っす!オーケーでーっす!」
「ちょっとミンギ君~!やっぱ震えながら編み物ってすっごくカッコ悪くない~?」
「そんなことないっす!スヒョンさんミステリアスっす」
「ドンジュン、おまえでしょこれ持ち込んだの」
「違うよ!子供に”監督にわたしてくらしゃい”って頼まれたの!」
「こども?」
「ちょっとミンギ君~!僕まるでバカっぽくない~?」
「そんなことないっす!ギョンジンさんエロティックっす」
「もぉバチンバチン叩かれて髪薄くなっちゃうよぉ」
「じゃドサクサに紛れて触んないでよもぉ!」
「はいはーい次行きますよぉ!」
「で監督、何編めばいいの?」
「好きなもん編んで下さい。展開には関係ないっす」
「ん~じゃミソチョル君のセーターにしよっと」
「むっ!何でミソチョル君よ」
「だってかわいいじゃない」
「アクターのシートカバーとか思いつかないの?」
「でっかいじゃん~」
「ふんっ!」
モニターでそれらの様子を見ているギョンビン。
隣で知らんぷりしているミンチョルをじろりと見る。
「ね、子供ってもしかして…」
「コホン」
「そういえばフリーページの”誰悩”読んでみたら」
「ケホン」
「かなりドンジュンさんと一緒にスヒョンさんをイタぶってたみたいだね」
「コホッケホン」
「で、また見てみたくなったとか?」
「ケッコホン」
フィッシャーマンズ・シンドローム オリーさん
画廊の奥の部屋で震えながら編み棒を動かすスヒョン。
それを妖しい目つきでじっと見つめるドンジュン。
スヒョンの方へ近づこうとした途端・・
チャイムの音。
店に客。
中毒症状のスヒョンを気にしながら店の戸口に向かうドンジュン。
ドアを開けると調査員ギョンビンが立っている。
「この人に見覚えは?」
「いきなり何よ、あんた警察?」
「黙って聞かれたことに答えて。」
「態度でかいなあ。」
「時間を無駄にしたくない。で見覚えは?」
「ないよ。」
「君はここのオーナーとは親しい間柄ですね。」
「やけに詳しいね。調べたの?」
「僕の仕事です。写真の彼が近辺で拉致されたという通報がありました。」
「覚えてないよ。」
「ほんとに?」
「ああ。」
ギョンビン、ドンジュンの目を見ながらゆっくりと腕を掴む。
「痛っ!何するんだよ。」
「車の運転は両手でしたいでしょ。」
「痛っ!ほんとに知らないよっ。イタタッ、お、思い出したっ!
白いスーツと黒いスーツの男がいた。」
「それはわかっます。さっきエロコンビが聞いた。僕が知りたいのはその続き。」
ギョンビンゆっくりとドンジュンの腕を捻る。
「片手でハンドル操作は大変でしょうね。シベリアはおろかソウルの街中だって・・」
「ス、スヒョンに聞いてくるから、はなしてよっ。」
「編物中毒患者の証言はあてになりません。毛糸欲しさに何を言うかわからない。」
「そ、そのスーツの男達が、写真の男の人を車に乗せたよ、・・」
「やっと思い出してくれたましたね。でどんな車?」
「黒のベンツ。クラスはE、多分500だよ。」
「どっちに行きました?」
「山の手の方。」
「OK。協力に感謝します。」
「まったくぅ、もう少しで腕が折れるとこじゃないか、ぶー。」
「腕一本くらいで済めばラッキーですよ。」
「人に乱暴して何て言い草だよ。」
「ひとつ忠告しておきます。彼氏を編物で操ろうなんて考えない方がいい。」
「え?」
「編物中毒は詳しく解明されていないので薬物治療ができない。甘く見たら危険です。」
「嘘・・」
「北欧、スコットランド、アイルランドでは以前から問題になっていました。ただ生活に密着していたため見過ごされてきた。」
「そうなの?」
「現地ではフィッシャーマンズ・シンドロームと呼ばれています。」
「ほんとに?」
「やっとスコットランドの研究者が最近論文にまとめました。次回のWHOの総会で紹介される予定です。」
「へえ・・」
「マフラー程度なら完治する可能性が高い。」
「へ・・」
「患者に与える毛糸は極太から少しづつ太さを落としていって少しづつ編み棒から遠ざけること。
くれぐれも上質な毛糸を与えないように。」
「症状が進むとどうなるの?」
「片時も編み棒を離せなくなる。そして歌を歌いだす。」
「歌?」
「あなた、変わりはないですか♪日ごと寒さがつのります♪そして、着てはもらえないセーターを何枚も編む。想い人のね。」
「そんな・・」
「編みあがったセーターが明らかにあなたのサイズより胴回りが大きく、僕の彼にぴったりだったらどうします?」
「・・・」
「僕だって、あの人が編んだセーターが何枚も彼に送られてくるのは困る。」
「・・・」
「あの人が編んだセーターを着ている彼の姿なんて見たくないでしょ?僕も同じだ。じゃ、失礼。」
「くっ・・」
「肝心な事を言い忘れた。」
「な、何だよ。」
「僕は今だかつて彼に肩を揉ませたこともなければ耳を掃除してもらったこともない。
いくら僕が登場する前のことだからって見過ごすわけにはいかない。
彼には後できっちりお仕置きをするつもりですけど、あなたもこれから十分注意して下さい。」
「う・・」
カッーートっーーー!!
「お疲れサマでーす。OKでぇす。」
「前半かなりそれらしい場面が撮れたね。」
「そうですね、でも、ラストのセリフって何?」
「さあ?」
「何だか僕ジャンキーみたいじゃない?こんなのあり?」
「すみません、ギョンビンさんのアドリブが多くて。」
「ふうん、そうか。」
「ドンジュンさんもお疲れさま。」
「痛いよ、ギョンビンの奴、マジで捻るんだもん。」
「ドンジュン、大丈夫か?」
「平気、平気。あれ、スヒョン指震えてるの?」
「いや、何でもない。」
「ちょっとっ!今後ろに隠した袋何よっ!」
「やめろよ、何でもない。」
「見せてっ!」
「あっ、そ、それは・・」
「このユザワヤの袋は何よっ!」
「何でもないよ・・これは・」
「中身は毛糸じゃないでしょうね。アンゴラとかアルパカとか・・」
「・・・・」
「ちょっとこっち来てっ!」
「あ・・毛糸だけは取らないで・・」
「何だか大変だな、ま、いいか。よ~し次撮るよ。ギョンビン、スタンバイ!」
「さっきミンチョルさんをズリズリ引きずって帰りましたけど。」
「え???」
「もうちょっと親指に力入れて。」
「こうれしゅか?」
「ああ、そうそう、いい感じ。」
「首のつけ根のとこ、ぐっと押してみて。」
「あい。」
「ほんとにすごく上手だね。」
「ろうもありがとうれす。」
「最後は肩全体を優しくマッサージね。」
「あい・・ゼロゼロ・・」
「ゼロゼロ言わない。つぎは耳掻きなんだからね。」
「まらやるのれしゅか。」
「何、嫌なの?」
「い、いえ、やらしぇていたらきましゅ。」
「ふわふわは最後だよ。」
「あい・・」
報告 ぴかろん
(本部司令室)
「は?え…えす?」
『Sです。Sに何かあるかもしれません』
『Mですっ!絶対にMですっ!』バッチーーンッ!
『もう邪魔しないでってば!こんがらがるでしょっ!』
「…えす…なのか?」
『Sです!』
『僕どっちかっていうとエム』バッチーーン!
『あっちいけ!ばか!』
『ああんラブゥ…』
「その…君がえすなのか?」
『俺が言ったのはSです!』
「…それが…一体どうしたと…」
『だから…重要な…あんっもうっ何してんだよっあっあっ…もうっ』ばきばきばきいいっ☆
『うぐーっきくぅぅ…』
「(ごくり)今…ギョンジンを殴り飛ばした?」
『あ…はい、すみません。変なことばかりして邪魔をするからつい…うわぁぁっ』
「どうしたっ!」
『なななんでもあっあああん…ありませへ…』げしっげしっどすっ☆『もう二度と○▽◆しないからねっ!』
『ひいいいんごめんなしゃああい』
「(ごくり)…今ギョンジンを蹴飛ばした?」
「ちょっと隊長!やめてください!なんで俺の太腿に触ってるんですかっ!」
「あっ…抓るんじゃなくて、ピシッてシッペしてよ…」
「はあっ?!」
「あっ…スヒョク…スヒョクっ…ああ…行っちゃった…」
『すみません…あの…重要なじょうほああっあんっいやだってもうっきいっ!ばかっ!…失礼しました。ですからSという』
『僕はえむで…』ばきいっ☆
「だからそれがMr.Nとどういう」
『ミンチョルさんはLなんだ!』
『はあ?』
『セーターのサイズだよ』
『はああ?』
『なんちって…きひひん…ウケた?ねぇウケた?ラブ、ウケ』べちん☆
『ハウスッ!』
『キャイン…』
通信室の奥からテソンがやってくる
通信を受けているソクにチラリと目をやってから、スヒョクに声をかける
「情報が入った」
「え?Mr.Nの事ですか?」
「そ。画廊のオーナーとその…愛人、もしくは鷹、もしくは悪魔…ここだけ情報が錯綜しているんだが…その二人が黒いスーツの男と白いスーツの男を見た。顔は見ていない。後ろ姿だけだそうだ。画廊の外に立っていたらしい。そのスーツの男達がMr.Nを車に乗せたらしい。車は黒のベンツ。クラスはE、多分500。画廊から見て山の手の方に走り去ったとのことだ」
「…ミン・ギョンビンですね?…やるなぁ…さすが一番のキレ者ですね」
「スヒョク、感心してる場合じゃないよ。君だってキレ者のはずなんだから…」
「…あ…はい…」
「本来ならばラブと君とが画廊に潜入するはずだったんだ…そうしたらきっと…うまくいってたろうに…。ギョンジンがしゃしゃり出て…」
ダンっ
机を叩きハアハアと息を荒げるテソン
「大丈夫っすか?…あっ!ソクさん!タバコ消して!」
「大丈夫だ、暴れたりはしないよ。…とにかく…ギョンビンは非番なのに、どういうわけか自宅から真っ直ぐ画廊に向かい、この情報を聞き出した…」
「非番なのに?!」
「なぜラブとギョンジンの行動を知っていたのか…疑問なんだ」
「…」
「チェミボスが彼らに手渡した紙袋、あれにナゾが隠されてるかもしれない…そのナゾを解明したい」
「はあ…でもあれは画廊のオーナーの口を割らせるための道具と聞きましたが…」
「そうだ」
「Mr.Nとは関係ないんじゃ…」
「そうだ」
「じゃあ別に謎を解かなくても…」
「料理というものは」
「…は?」
「メインを引き立てるために、添え野菜だとか天盛りだとか、飾りをつけたりする」
「…はい…」
「それがメインの味を何倍にも高める」
「…はあ…」
「だから紙袋のナゾを解く事は、Mr.Nを探し出すために必要な事だ」
「…は…はぁ…」
「興味がある」
「…」
「調べたい…調べに行きたい…カメラをしかけたいっ…」
「…テソンさん…」
「テソンシっ!持ち場離れるとグー三発だってよっ!」
「あっmayo…(*^^*)ぅふっ…今行くよ…じゃ、そういう事で」
「…はあ…」
肝心な情報を忘れているスヒョクであった…
「カーット。ナイスですソクさん」
「…あの…ほんとに僕、バカみたいじゃないですか?」
「キュートですよぉとっても。ねぇスヒョクさん?」
「は…はぁ…」
「ミンギぃ…僕もなんだかマニアックすぎない?」
「いえ、テソンさん、ちょうどいい具合ですよ。それに、ラストシーンは気に入ったんでしょ?」
「…呼ばれただけじゃん…」
「じゃ、呼ぶのナシにします?」
「あっ…そんなっ」
「はい、次のシーンいきますから」
どたばたはあはあ
「ギンちゃん!ひどいよ!電話だけなのになんであんな事までしなきゃいけないのさっ!ぐすぐす」
「ううんラブぅ、いつもやってる事じゃんかぁ」
「ばかっ!もうっ!」
「あ、ギョンジンさんとラブちゃん、あっちの個室で休憩してていいよぉふふふ」
「いやだっ!」
「ぐふふん」
「ぎんちゃんっ!」
「次のシーンよういしてくださぁぁい」
謎のラビリンス ぴかろん
「そんなシーン必要ですか?監督ぅ」
「監督はお前だ」
「だったらあえてそんな危険なシーンは…」
「ぶぁか!迫力を出すためにはこういうシーンだって必要だ」
「…」
「監督はお前だが、僕の方が監督としての経歴は『少しばかり』長い。『長いものには巻かれろ』『巻きつく襟巻きには巻かれろ』って言うだろ?ラブ君を見てみろ」
「…監督…意味不明です…」
「とにかく『長い僕に巻かれなさい』」
「…『ケムに撒かれる』かんじです…」
#####
(本部司令室)
ーホワイトボードの前のでかいボスと少しでかいテソン、怖い顔でスパイ達を見つめている
「Mr.Nの居場所がさっぱりわからんとは情けない!ラブ、ギョンジン、画廊のオーナーからの情報はたったのあれだけなのか?」
「はい…あの紙袋のおかげでやっとあれだけの情報を掴みました。ねっラブ」
「げほんっ!それで…ラブはすぐさま連絡をよこしたが、君は何をしていたんだギョンジン!」
「えっ…僕はラブを愛して」
「役立たず!」
「…(;_;)」
「お前は今日から三日間、単独でこれを調べろ!」
「ええっ単独でぇぇ?そんなっそんなっ」
ー騒ぎ泣き喚くギョンジンを別室に引きずっていくソヌとジホ
「ラブ。情報を流す時は正確にな…。とくに今回情報を受けたのがこの『ぶぁか』だったからな…」
「ぼすっ僕のどこがぶぁかなんですかっ」
「ボス…ごめんなさい…早く知らせなきゃと思って俺…焦ってて…そのうえギョンジンが俺の…弱いところを…攻めてきたから…」
「(ごくり)そうですよ!ラブの報告が曖昧だから僕はっ」
「シャーラップ!…ラブ…。涙目にならなくていいぞ?ん?」(ラブちゃんには優しくね(^^;;))
「でもボス…」
「ん?なんだ?」
「とにかく素早く情報を流さないと…特別なお仕置きがあるって…聞きました…とっても…ハードなお仕置きだって…」(ちょっと瞳潤ませて、ボスを誘うようにね(^o^))
「…だれがそんなことを?ん?」
「…ギョン…ジン…」
「ぶぁかっ!ったくあのぶぁか!…いいかねラブ君、情報は正確に、そして迅速に…だ。いいね。お仕置きなどしないから…ん?安心したまえ」
「…あ…はい…やさしい…」(うるうるしながら)
「…けほ…こほん…。ところでソク隊長。いくらラブが慌ててたからってこの『ギョンジンはM。ラブはS。僕は究極のM。ミンの彼氏はL。だからミンはS』という報告は…なんなんだ!」
「はっ…私が聞き取り、私が感じたままを報告いたしましたっ!間違いはありません。なっラブ君」
「…」
「そうだろ?ギョンジンはM。ラブはS。これに間違いはなかろう?!」
「…ちがうもん…」
「だがあの時は」
「…違うときもある…」
「「「「「…」」」」」
ーボス、無言で指をならす
ソヌとジホ、ソクの両腕を抱えて書庫につれていく
「あああせめて一言スヒョクと喋らせてぇぇぇ…」
「スヒョク。三日間書庫に近づくな。食事はテソンが差し入れてやれ」
「「はい」」
「さて…本題に入ろう…やっと入れる…。Mr.N捜索が全く進んでおらん。情報もあれ以来入っておらん。そこでテソンからの提案だ」
「鍵はやはり画廊オーナーにあるように思います。
画廊オーナーと編み物の不思議。そしてあの紙袋を提供した『子供』…。ミン・ギョンビン」
「は、はい…」
「君、非番だったのにどうして画廊オーナーのところへ行ったの?」
「…そ…それは…」
「あのオーナーの愛人、もしくは鷹、もしくは悪魔と知り合い?」
「…あ…いえ…。ただ、自宅に繋がっていたモニターを見ていて、『子供』というキーワードにひっかかり、少し個人的にも調べたくなりまして…。そしたら思わぬ収穫でした…」
「ほぉ…『子供』…。それは…君の彼氏そっくりだというあの『子供』?」
「…」
「ミン・ギョンビン…なぜ黙り込む…。君、もしかして犯人側のスパイじゃないのか?」
「ボス!そんなひどい!…わかりました。白状します…あの子供が気になりました。もし子供がその紙袋を渡して…と言ったのなら、なぜ子供が?どうしてそんなことに巻き込まれなきゃいけないのかと…。心配になりまして…」
「…わかった。とりあえず君は勝手な行動をしたので、今日一日テソンの通信室を手伝ってくれ」
「…はい…」
「ソヌ君、そしてスヒョク」
「「はい」」
「画廊へ行ってくれ。そしてオーナーと、その愛人、もしくは鷹、もしくは悪魔が一緒にいるテーブルにいき…」
ー作戦を耳打ちする
「「ええっ」」
「そ…それは…危険すぎませんか?」
「画廊オーナーは『天使だ』という噂がある。だから大丈夫だろう」
「でも…『もしくは悪魔』と付き合ってるんでしょ?」
「大丈夫だろう…多分」
「…でも、僕だったらそんなことされたら、復讐を考えます『なぜ?どうして?』って思いますが…」
「ソヌ君…とにかく行け。命令だ!」
「…」
「スヒョクも!」
「「はい」」
ーしぶしぶ本部を出る二人
別室に篭らされたギョンジン
目の前に資料とパソコンの画面にボスからのメッセージが…
『手荒なまねをしてすまなかった。君の弟を疑うわけではないが、ギョンビンが何か今回の画廊オーナーに関係しているようなフシがあると、裏工作のプロ、テソンから報告があってな…。
それで兄であり、プロ中のプロの君に単独捜査をして貰いたいのだ。
幸い見た目は君とギョンビンはそっくりだ。
敵の目も欺きやすい。
今日一日ギョンビンを本部に拘束するので、本日中にこの謎を解明してくれ。
資料を読んだらすぐにその部屋の秘密扉から外へ出ろ。車は使うな。なお、このメッセージは自動的に消滅する。成功を祈る』
真剣なまなざしで資料を見るギョンジン
『子供ーミン・ギョンビンの恋人に酷似ーが、画廊オーナーに間接的に紙袋を譲渡。画廊オーナーの反応が異常。重要な秘密の隠蔽か?
非番のミン・ギョンビンと、この子供の接点も見受けられる。
子供に接触後、オーナーの事情、事件に関する子供の知識、ミン・ギョンビンとの関係、子供のプロフィールなど調査のこと』
「プロフィール?子供の?…ふうん…この子かぁ…。確かに弟の彼氏にそっくりだ…。でも…目が青いな…」
ーギョンビン、資料を始末し、写真だけ持ってそっと秘密扉の奥に消える
#####
「かーっと!ナイスでした!ありがとうございましたっさあ、時間ないですからっ次のシーン次のシーン!」
「「「ミンギ、この演技は納得がいかな」」」
「はいっここ撤収~!はいっ次!」
足早に去るミンギ
文句言われる前にとっとととんずら
「「「「「ミンギ~っ!」」」」」
白状 足バンさん
画廊の前に佇む黒いスーツのソヌとジーンズ姿のスヒョク。
ふたりの足元を一陣の強い風が吹き抜ける。
画廊の2階の大きなテーブルではスヒョンが一心に編み物をしている。
比較的安価で細目の毛糸。
その横に寄り添ってドンジュンがその姿を見つめている。
「手が震えなくなったね…もう少しだからね…」
「…」
「ごめんねスヒョン…僕が悪かったんだ…」
いきなりドアが開き静寂が破られる。
「なにっ?なんなのよっっ!まだ何かあるのっ?」
「スヒョンさん、まだ隠していることがありますね?」
「ないってばっ!」
「君には聞いていない、スヒョク」 パチンっ
「何すんだよっ離せっ!」
ドンジュンはスヒョクに羽交い締めにされ椅子から引き離される。(ここ色っぽくね)
「そいつに手荒なことはするな!アルファベットを教えただろうっ!」
「車のことも話したじゃないさ!」
「まだあるはずです。全部話して下さらないと」
「もうない!」
突然厳しい目になったソヌがテーブルの上に飛び乗りスヒョンの前に進む。
シュッと鮮やかな回し蹴りが繰り出され
スヒョンの手の中の編み物が天井に高く舞い上がった。
落ちてくるそれを片手で受け取り立て膝をしてスヒョンを見下ろすソヌ。
「返せ」
「話して下さい」
「話すことなど」
「ないと言うならこうする」
スヒョンの目の前でゆっくりと編み目をほどいていくソヌ。
「やめてぇーっ!やめて!スヒョンがやっとリハビリできた作品なんだからっ!」
「じゃ君が言うか?」
「だめだっ!ドンジュン!何も言うなっ!」
「じゃぁこうするまでです」 ぴぃぃぃ
「あああっ!やめて!やめて!お願いそれはスヒョンが頼まれた」
「ドンジュンっっ!」
ドンジュンは身体を拘束され涙でぐしゃぐしゃになりながら続ける。
「もう見てられないもん…それは頼まれた携帯カバーだよ!」
「携帯カバー?何でそんなものを」
「知らないよ。じっとしてられない人間を惹き付けられる携帯カバーを作れって。天使ならできるだろって。
作らなきゃ雪山でのある人のことを今の恋人にバラすって」
「ある人?」
「そんなの帰ってフリーページ読んでよ!」
「犯人の顔は?」
「だから後ろ姿しか見てないの!袋が置いてあってメモが入ってたの!」
「では S とは…」
「そのメモ用紙を見てみろ」
スヒョンから用紙を受け取り、テーブルから飛び降りて静かに編み物を置くソヌ。
スヒョクに目で合図する。
解かれて泣きながらスヒョンの胸に飛び込むドンジュン。
道路で画廊を振り返るソヌとスヒョク。
「やはりかわいそうなことしましたね」
「仕方ない…仕事だ」
「で?そのメモ用紙は?」
「ホテルのものだ。シェラトン・グランデ・ウォーカーヒル」
「そこにいるんでしょうか」
「携帯カバーなんかで N を抱え込むもりか?」
「”ある人”に恨みがある者でしょうか」
「さあ…ただ言えるのはかなり単純で身勝手な人物のようだな」
「カアーーーーット!オッケーっでーっす!もぉ最高でぇーっす!」
「うあぁぁぁん!ミンギ君ひどいよぉ!スヒョンをあんな苛めてぇ」
「よしよしドンもう泣くな、撮影なんだからね」
「あ、あの~皆さん、ジホ監督っすよ、このシーン考えたの」
「僕のせいにしないでよ」
「か、監督が巻かれろって…」
「ああ…すみませんスヒョンさんの編み物をあんなに…」
「ソヌ君は悪くないよ」
「えっえっえっ…もうスヒョンがかわいそうじゃんかぁ」
「ぐしっぐしっ俺まで泣けてくる」
「スヒョクさん~」
「ドンジュン~!おまえマジで泣き叫んでたなぁ」
「ひぃんらって…ひぃん」
「俺もソクさんに会いたくなっちゃったよぉ…ぐしっ」
「いいなぁ…青春だなぁ…ここも撮っておいてね」
「か、監督ぅ~」
「ミソチョル君のぱんつ…こんなにほどけちゃった…」
「マジでそんなの編んでていいの?ぐしゅん」
「アップにならないからいいんだって」
「あ、あの、僕が直しますから」
「ソヌ君編めるの?」
「い、いえ」
「あ、あのあの、皆さん次のシーン行きたいんですけどあのっ」
「ね、ちょっとこの棒持ってみる?」
「こうですか?」
「そう、こう、こう、そしてこうね」
「はい、こう、こうですね、ああホントに済みません…」
「うまいじゃない、ね?」
「ほんとら…ソヌさん上手、ぐしゅん」
「ホントだ、ぐし」
「そうですか?け、けっこう面白いですね」
「くうぅ!芸術は人の垣根を越えるなぁ…ここも撮っておいてね」
「ジホがんどぐっっっっっ!」
逢瀬 れいんさん
暗く細長い廊下に一つの影
足音を忍ばせ、腰を低くし、時には匍匐前進で音もなく進む
己の気配を消し、完全にあたりと一体化する影
書庫の手前でその影はピタリと動きを止める
辺りを伺い、そろりと起き上がり、小窓を小さく叩く
「・・ソクさん・・ソクさん・・」
小窓に映るもう一つの影
影と影が一枚のガラスを隔てて向き合う
「・・スヒョクなのか・・?」
「はい。大丈夫ですか、ソクさん」
「おぉ、マイハニー。僕を心配して会いに来てくれたのか」
「食事はちゃんと摂ってますか?」
「うん、食事は美味しいし、デザートにプリンもついている」
「酷い扱いを受けてはいませんか?」
「うん、運動不足になっちゃったから、フィットネスマシーンを差し入れしてもらったよ」
「そう・・よかった。それにしても、こんな所に監禁されて・・」
「ははは、本当はな、こんな所抜け出す事くらい、僕にとっては朝メシ前だ」
「・・じゃ、なぜ、抜け出さないの?」
「それはな・・昼行灯の内蔵助だ」
「何ですか?それ・・」
「ん?・・まぁ、いいだろ。たまにはこんなのも」
「ソクさん・・」
「で、画廊のオーナーには会ったのか?」
「はい」
「何か有力な情報は掴めたのか?」
「おぼろげな犯人像と宿泊先くらいしか・・
画廊オーナーはかなり編み物依存症が進んでいる様で、不安定になっています
恋人らしき人もヒステリック状態で、まともな会話ができる状態ではありません」
「そうか。で、ソヌ君は?」
「はい、彼流のやり方で、心理的にもかなり甚振っていました。彼が口を割らせたようなものです」
「いいか?事を焦らず、じっくりいけ。少しずつ情報提供者の心をとき解していくんだ」
「わかりました」
「前に進むも勇気だが、時には退く勇気も必要だ。危険な賭けには出るな。いいな」
「ソクさん・・」
「ん?どうした?」
「か、かっこいいです・・」
「そ、そうか?」
「三日間も会えなくて・・僕、ちょっと寂しいです・・」
「馬鹿だな。弱気になるな。余計な事は考えず、任務に戻れ」
「ソクさん・・わかりました」
拳をぎゅっと握り締め、堅く目を閉じ、想いを断ち切る様にくるりと背を向ける一つの影
「スヒョク・・待て」
「・・・?」
「大事な事を忘れていた」
「何ですか?」
「えへ。がんばってね!のチュウ・・」
「えっ!」『そんなの台本にないけど・・まっいいや・・』
ガラス越しに吸い寄せられるように近づく二つの影
手と手を合わせ、唇と唇を合わせる
「スヒョク・・三日後には会えるから・・その時はまた頼むぞ」
「頼むって何を?」
「ん?・・爆弾処理・・」
「んもぉっ!ソクさんっ!」
「はい、カーーーット!お疲れさまっす!よかったっすよ。ソクさん、後半ちょっとアドリブ入りましたね」
「あ、ついね。まずかった?ミンギ君」
「いや、いいっすよ。ソクさんらしくて。それに前半かっこよかったっす」
「そう?好感度アップできたかな?」
「そうっすね」
「抱かれたい男の格付け上位に食い込めそう?」
「それはなんとも・・」
「爆弾処理シーンも撮影するの?」
「それはちょっと・・R指定になっちゃいますから・・」
「そうか・・残念だな」
「もう!ソクさんったら、急にあんなアドリブするから、僕困っちゃったじゃないですか」
「ごめん、ごめん、スヒョク。つい本音が出ちゃってさぁ」
「やだな、ソクさんったら」
「そういうスヒョクこそ」
「あ、やだ、ソクさん、そんなとこ触っちゃ・・」
「あ、この右手が勝手に・・」
「きゃっきゃっ」
「えへへへ」
『ったくもう!どいつもこいつもいちゃいちゃと・・ちっ!やってらんないよ、ジホ監督ぅぅ~!』
「じゃ、次のシーンいきますんで、10分休憩っす。
あ、メイクさん、そっちの二人、徹底的にてかりを直しておいて下さい。よろしく!」
青い瞳の誘惑 ぴかろん
カツカツと街を歩くギョンジン
『ったく…いくら僕の外見が弟そっくりだからって、その子供が僕に心を許すんだろうか…
だが弟の彼氏といえば極上品…
その彼氏にそっくりの子供…
僕はあのクラブにいる子供をモニターで見ただけだが…実物は美味しそうなんだろうか…しかし…子供だしな…手荒なまねはしたくないし…』
考えながら歩いているギョンジンに抱きついてくる子供
「おじちゃんっ!」
「うっ…」『飛んで火に入る夏の虫…あまりにも簡単すぎる…』
「しゅきっ!」
「はうっ…」
子供の突然の告白に骨抜きになりそうなギョンジン
「ラブラブラブラブ」
小声でおまじないを唱えるギョンジン
子供の頭はギョンジンにとって微妙な位置にあるらしい…
しがみついて離れない
「ぼ・ぼうや…。お顔を見せてくれる?」
不思議そうな顔でギョンジンを見上げる子供
「おじちゃん…ミンのおじちゃんじゃないの?」
「…ミンの…おじちゃんだよ」
「…ちょっとちがう…」
じっと見つめる子供
『吸い込まれそうだ。なんて子供だ!』
「ミンのおじちゃんは『せいけつ・そうかい・せいじつ・かっくいー・せくしー』の『せそせかせ』なおじちゃんだもん…。おじちゃんは『すずやかそう・えろそう・かっくいー・かっくわりぃ・すけべそう・しつこそう・ながそう』なかんじがするよ。」
『くそう!なんて子供だっ!』
「でもミンのおじちゃんそっくり…ほんとはなんのおじちゃん?」
「本当にミンのおじちゃんなんだけどなぁ…」
「おじちゃんのおにいちゃん?」
「ん…そう…」
「おじちゃんは?」
「今日ね、先生に叱られちゃってね、君に会えないからその事を伝えてって言われて、僕が君を探しにきたの」
「…ほんと?なんで叱られたの?」
ギョンジン、子供の目の高さにしゃがみこみ顔を覗きながらしっかり肩を掴まえ、逃がさないようにする
「あのね…君がミンのおじちゃんに渡した紙袋あるだろ?あの事でとっても叱られたんだ」
「…」
顔色の変わる子供
「あれは…なんなの?君はあの『絵がいっぱいあるところのおじちゃん』のこと知ってる?」
「…」
「おじちゃんのおにいちゃんに教えてくれないかな。でないとおじちゃん…君に会えなくなるかもしれない…遠いところへ連れて行かれるかもしれない…」
「ぐしゅっ…」
「…なんならミンのおじちゃんのかわりにおじちゃんのおにいちゃんと仲良くしゅるかい?(ごくり)」
ぶわっちん☆
両手でギョンジンを挟み叩きする子供
「えっえっえっえっえろっえむっえっちっ」
『…なんて泣き方するんだこのガキ!』
「あっ…おじちゃん、おめめちゅりあがった…。ほんとにミンのおじちゃんのおにいちゃんら…おじちゃんのおにいちゃんっ」
突然甘えモードに入る子供
ギョンジンクラクラする
『ななななんて子供…ギョンビンのヤツ、こんな怖ろしい子供を相手にしているなんて…なんて危険な奴だ!』
「あのね…絵がいっぱいあるところのおじちゃんはね、とってもやしゃしくて、ぼくをかわいがってくれりゅの。らからぼくは、てんしのおじちゃんっちってるの。れもミンのおじちゃんはあのしとにちかづいちゃいけましぇんっておこりゅの」
「うんうん」
「ないてたらね、へんなかおしたおじちゃんがきてね、あのかみぶくろわたして、『これをもっていけば絵のいっぱいあるところのおじちゃんがよろこぶよ』っていったの。ぼくじぶんでもっていこうとおもったんらけど、ぱんやさんのまえをとおったら、おいしそうなくりいむぱんとちょこれーとぱんがやきたてだったの。しょれれつい、おみしぇのなかにはいったの…。したらね、てんしのおじちゃんとなかのいいおにいちゃんがいたの。らからぼく、しょのひとにかみぶくろわたしちった。らって、しゅぐに『ぱん』がたべたかったから…。ミンのおじちゃんのいないあいだしか、たべれないから…。ぐしゅん…」
『ギョンビンのヤツ、こんな小さな子にまで食事制限を…』「可哀相に…」はぐううう
「はふん…」
『ああ…なんて色っぽい子供なんだ…ギョンビン…お前は本当になんて事を…』「ミンのおじちゃんは君にこんな事したりするの?」
「もっといろいろしゅる。ちうとか…」
「ち…ちう?…ああ…こんな感じ?」
ギョンジン、子供のほっぺにチュッと軽くキス
「ちがう。もっとしゅごいの…」
「…しゅごい…じゃこんなの?」
と子供のほっぺに少し濃厚なチュウをするギョンジン
「ちがう。ほっぺじゃにゃいもん…」
「…どこにするの?」
「こ・こ」
唇を触る子供
青い目が妖しく光る
クラクラしてその唇に吸い寄せられそうになるギョンジン
「ラブラブラブラブラブラブラーブっ!」
頭を振って我に返るギョンジン
「君のお名前は?」
「くふん…」
「クフン?!」『チフン!』
しばし項垂れ涙するギョンジン
「どうしたの?おじちゃんのおにいちゃん…。ないてりゅの?」
と言ってギョンジンの涙を唇で拭いとる子供
クラクラするギョンジン
「お名前がクフン?」
「ちがうよ。ミソチョノーレ」
「ミソチョノーレ?」
「イけいだよ」
「イ系?」『なるほど、イタリア人』「韓国語、上手だね」
「ママは韓国人」
「そうなんだ…。好きなものはくりいむぱんとちょこれーとぱんなの?」
「しょう!しょれにけーきもだいしゅき!」
「…今度来る時はお土産に持ってきてあげるよ…」
「わああいっおじちゃんのおにいちゃんだいしゅきっちゅぅぅぅぅぅうう」
ミソチョノーレ、ギョンジンの唇にちゅうううっと吸い付く
目を白黒させるギョンジン
やがてフラフラになり、へたり込むギョンジン
「おじちゃんのおにいちゃん、じゃあね。ぼく、おはなししたから、ミンのおじちゃん、もうゆるしてあげてね」
「あ…はふん…」
「じゃあねっちゃおっ」
「はふん…ちゃお…」
ふ抜けたギョンジン、空を見上げる
「かーっと!ミソチョノーレくんありがと…あれ?いつも神出鬼没だなぁ…どこ行ったんだろ…。ギョンジンさん大丈夫?」
「はふん…」
「ばかギョンジン!子供相手に何イカレてるんだよっ!」
「あ…ラブ…あの子供…すごいよ…」
「にいさんっ!なんでキスなんかするんだよっ!」
「あ…ギョンビン…なにあのこ…強烈すぎるよはふん…」
「兄さんがホッペにチューなんかするからっ!」
「お前…子供相手にそんな濃厚なチューしてるの?…」
「してないよっ!ぶぁかっ!」
「イタリア系ハーフかぁ…」
「ちがうよっばかっ!もうっ!ミンギ君、ミソチョノーレどこ行ったのさ!」
「わかんないんですよ、僕もお礼言いたいのに…」
涼しい顔で現場に来たミンチョル
「どうしたの?ミン。そんなに目を吊り上げて」
「…ちょっと…こっちへ…」
「やあ、お兄さん、どうしたんです?へたりこんで…くふん」
「…あ…あなたそっくりでした…」
「え?」
「いいからきて!」
「僕は今ここに来たばかりあうんっ何脇腹チェックしてるんだ!」
「くりいむぱん?ちょこぱん?いくつ?いくつ食べたの?!ええ?!」
「…食べてない…」
「クンクンクンクンうそつきっ!甘い香りがする!それにっ兄さんの香水の移り香がっ!」
「…」
「来て!」
「いやらっ…」
「来なさい!」
「あっごめんなしゃいっそのっこりはっそのっ」
「はふん…」
「ギョンジンのばかっ!俺、テジュンのとこいくぞ!」
「じゃ…ちゅうして」
「え?」
「のーこーなちゅう…でないと…ぼーっとしたまんまだ…」
「…ギンちゃん!フィルムとめて!とめてよ!」
「あ…はいはい」
「…みんなアッチ行って!」
「「「あ…はいはい…」」」
2人きりになったラブとふぬけたギョンジン
ラブが濃厚チューすると、徐々にエロミンに戻るギョンジン
「監督、カメラ回してる?」
「てそまよに頼んである。抜かりはない」
「…ねぇ…もういいんじゃない?もつれて寝転んだよあの2人…」
「…もうちょっといいだろ…」
「あ…ボタン外してる…」
「くふ…」
「かんとくぅ…違う映画になっちゃいますううう!」
「けへん…」
ミソチョノーレの歌(イタリア歌曲?) びょんきちさん
おお、その愛らしき青き瞳よ、ミソチョノーレ
僕を魅了する愛らしき唇よ、ミソチョノーレ
絹のごとく美しい髪、真綿のごとくやわらかき肌
僕にも触れさせておくれ、ミソチョノーレ
ああ、なんということだ、弟よ
このいたいけな子供をどうしようというのだ
君はこの子を調教しているのか、それとも調教されているのか
吸い込まれそうな青い瞳、みつめられるとくらくらする
その囁きは天使のごとく、その唇は悪魔のごとく
僕を迷わせ、苦しめ、地獄の底に引きずり込む
ああ ミソチョノーレ、君は一体誰なんだ?
何を知ってるというのだ、何を隠しているのだ
教えておくれ、ミソチョノーレ
ミソチョノーレ、ペスカトーレ、サルバドーレ
イタリアーナ、ナポリターナ、教えてーな
おお、愛の駄天使、ミソチョノーレ
替え歌 「青い瞳」 ロージーさん
青きその瞳 美しく
夢ならば醒めるな 君の瞳よ
僕を惑わせる 海の色
いとしくなつかし君の瞳
涙に潤みて 輝くは
消えゆく幻 青き瞳よ
つかの間は過ぎて 今はただ
いとしきなつかし君の瞳
青きその瞳 悩ましく
夢ならば醒めてよ 君の瞳よ
罪の匂いさえ 甘やかな
いとしくなつかし君の瞳
涙に潤みて 輝くは
消えゆく幻 青き瞳よ
つかの間は過ぎて 今はただ
いとしきなつかし君の瞳
(ディック・ミネ
『黒い瞳』
)
CCPS オリーさん
シェラトン・グランデ・ウォーカーヒル
スイートルームの前に立つギョンジン
青い目の子供を尾行してたどり着いた
ギョンジンのノックでドアを開けたのはあの男
「「あなたは!」」
互いに叫んで沈黙
「ちょっとお聞きしたい事が」
ギョンジン気を取り直して質問
「忙しい」
あわててドアを閉めようとする男
「お手間は取らせません」
強引に中に入るギョンジン
カメラ、部屋の中へ移動。
「なぜあなたがここにいるんです?」
「し、仕事です」
「どんな仕事?」
「あなたには関係ない」
「僕は青い目の子供を追ってここへ来た」
「何の話だか」
「とぼけてもだめだ。ミソチョノーレはどこ?」
「え・・」
ガラス玉の視線を泳がせる男
強引に進み、奥の部屋のドアノブに手をかける
「あっ!そ、その部屋は・・」
男の制止を振り切ってギョンジン奥の部屋のドアを開ける
「こ、これは?」
男を振り返るギョンジン
「他の人には見せたくなかった・・」
俯く男。
床に真っ赤な薔薇の花がハート形に置いてある
まん中にリボンがかかった小さな箱
「ここでミンにプロポーズしようと・・」
突然泣き崩れる男
泣いている男を抱き起こしソファに座らせるギョンジン
『ふへへん、泣くとますます色っぽいなあっといけないラブラブラブ・・』
「なぜ急にプロポーズを?」
「僕はもう疲れた。だからミンにプロポーズして、秘密を全て打ち明けて助けてもらいたかった・・」
目に涙を浮かべる男。
「秘密?」
「ああ、みんな僕のせいだ!」
頭をかきむしって取り乱す男
優しくそれを止めるギョンビン『ラブラブラブ・・』
「秘密をあいつに知られて脅された。画廊のオーナーにしかできない仕事がある。
それを手伝えば秘密をミンに黙っててやるって・・」
目をふせて震える男
優しく肩を抱くギョンジン
『ぐふっ、超美味しそうなんだけどふへんあっラブラブラブ・・』
「だからスヒョンに紙袋を届けた」
「いや、袋を渡したのは子供だ」
「・・・」
「なぜ黙るんです?」
「あれは僕です」
苦しそうに顔をゆがめる男
「イ系のミソチョノーレがあなた!?」
「そうです」
「ありえない。だってあれは子供だ」
「それが僕の秘密・・ああ、ミンに知れたら僕達は終わりだ・・」
泣き崩れる男
それを抱きかかえるギョンジン
『うう、カメラが回っていなかったら、とっくにへへんあっラブラブラブ・・』
「話してくれ。きっと力になる」
「無理だ、誰にも僕を助けられない!」
「このままだとまた君は脅される。それでいいのか?」
「もう、たくさんだ・・」
「だったら!」
「だめだっ!」
「弟をここに呼ぼうか?」
「やめてくれ、ミンは何も知らない」
「僕が相談に乗る。弟のためだ」
なんちゃってアドリブで再び男を抱きしめるギョンジン『へへんひひんラブラブラブ・・』
「僕は・・僕は・・中毒なんだっ!」
ギョンジンの腕を振り払おうとする男
はずみで男の胸からクリームパンとチョコレートパンが床に転がり落ちる。
「クリームパンとチョコレートパン。CCPSだったのか、ミンチョルさん・・」
愕然とするギョンジン
あわててパンを拾い大事そうにしまうミンチョル
「ミンは僕をとても愛してくれた、とてもだ」
「知ってる。」『なんちゃってちくしょ~おっとラブラブラブ・・』
「その愛がとても強くて愛されすぎた僕はシュルシュルと・・」
「シュルシュルと?」
「ベッドの中で縮んでしまった」
「信じられない!」
「ミンの抱擁が強いと僕は我慢できずに縮んでしまう!」
「何てことだ」『うう、試してみたいラブラブラブ・・』
「でもそれは僕達だけの秘密。問題はなかった」
「じゃあなぜ?」
「ある日僕は好物のクリームパンを久しぶりに食べた。
ミンは僕の体調管理には厳しくて大好きなクリームパンもチョコパンも食べれなかった」
「弟は確かに厳しい」
「新しくできたあの店、顔の大きい一見コワモテだけど実はかわいい目をしたカリスマがやってるパン屋、
ひとりの時あそこでパンを買って隠れて食べた」
「隠れなくたって」
「ミンに見つかったらまたダイエットの嵐だっ!」
「なるほど、つづきを」
「上質なバターを使って作ったカスタードが口の中に入った瞬間、僕は天国にいた・ああ・・」
焦点の定まらない目で遠くをみつめるミンチョル
「無我夢中で食べた、一個ニ個三個・・体中が恍惚感に包まれた・・」
震えながらさらに遠くをみつめるミンチョル
『やけにリアルだな』
「四個目を食べた途端体が縮んだ。ミンに愛されていた時のようにしゅるしゅると」
「症状が出たんだな、クリーム&チョコレートパン・シンドローム」
「ひとつ違ったのは目の色・・」
「ああ、あなたは目の色に出てしまったんだね」
「ミンの前なら縮んでも構わない。でも目の色が違えばミンにごまかしがきかない。
隠れてパンを食べたことがばれてしまう・・それにっ!」
「それに?」
「あのパン屋がチョコパンも作ったっ。これも素晴らしい・・ああ・・症状はどんどん進んだ」
「それで?」
「僕は必死で調べ、CCPSの事を知り、昔の恋人が編物を止められなかったのを思い出した」
「昔の恋人が画廊のオーナー?」
「そうです。ホテルでスヒョンに密かに会った。スヒョンは女医さんを紹介してくれると言った。
でも、そんな時あいつが僕に声をかけた。スヒョンに毛糸を届けろ、彼にしか編めない物があるって」
「それがあの紙袋」
「スヒョンはリハビリして随分良くなっていた。だから僕は断わった。そんな事できないって、でも・・」
「脅された。」
「昔の雪山の事やCCPSの事をミンにばらすって。僕は悩んだ、でも仕方なく毛糸を・・ああ、何てことを!」
ふたたびすすり泣くミンチョル。
その肩を必要以上の強さで抱くギョンジン
『ラブラブ・・♪all you need is loveじゃなかったヒンっ!』
「泣かなくていい。悪いのはその脅した相手だ」
「ミンは僕を疑ってる。だからプロポーズして中毒の事も何もかも告白しようと思った」
「事情はわかった。でその脅した相手だが誰だか教えてくれるね」
「そ、それはできない・・」
「なぜ?」
「教えたら僕は必ず抹殺される。できない・・」
カッーーーートっ!!!!
「は~い、お疲れさまでしたあ」
「いやあ、ミンチョル君、迫真の演技だったね。こぼれたパン拾うとこなんか本物のCCPSみたいだったよ」
「コホン、監督、僕随分研究しましたから」
「なるほど」
「ところで監督、CCPSでパンをむさぼり食べる場面は撮らないの?」
「そこまでは予定してないけど」
「ストーリィに深みが出ると思いません?」
「あんまりえぐくなるとなあ。ミンギの作品だし」
「綺麗に食べればいいでしょ。中毒だから個数だけたくさんにして・・あっ!!」
「ちょっとこっち来てっ!」
「ミ、ミン。今日は待機じゃなかったの?」
「見学してました。でパンをむさぼり食べるシーンが何ですって?」
「あ、いや、監督がどうしても撮りたいって言うから断わってたんだよ」
「その逆に聞こえたけど、僕の耳がおかしい?」
「ミ、ミン、耳の検査した方がいいよ」
「必要ない!ちょっと来て!」
「あひっ!もうしましぇん・・らから・・はうっ」
「あの二人も色々あるなあ」
「監督、すぐいなくなっちゃう子役ってマジでミンチョルさんだったりして」
「ははっ、まっさかあ」
「ほんと、まさかですよね」
「だよな」
「ですよね」
「「・・・・」」
「ラブ、ラブ、早く僕を抱いてっ!」
「何また甘えてるのっ!」
「KNSにかかりそうなんだっ!早くッ!」
「KNS?」
「きちゅね・のうしゃちゅ・しんどろーむ・・」
スパコーーーンっ!
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