日向ぼっこ大好き

日向ぼっこ大好き

遠距離出産

ハート 遠距離出産ハート

日向のママとパパは2003年5月に結婚。
そして新婚2ヶ月目にして日向を妊娠。
付き合いが長かったこともあって、待望の赤ちゃんだった。

妊娠中は、パパが会社に行く前、必ずお腹に手を当てて
「パパ、行ってくるよ」
って話し掛けていた。

パパは毎日仕事が遅いので、ママは里帰り出産をすることになった。
パパはなるべく出産には間に合うように駆けつけると約束してくれたけど
残念ながら、日向が生まれたあの日だけは、どうしてもはずせない出張があり
間に合わなかった。
だから、ママは日向のことをおばさん二人(ゆうちゃん、ようちゃん)に見守ってもらいながら出産した。
日向は泣かなかったけど、ママは
「どうせ羊水を吸引すれば泣き出すさ。」
と軽く考えていた。

 ところがいつまでたっても日向の呼吸が安定しなかったから、
ママの腕に来ることなく、そのまますぐにインファントウォーマーに乗せられ処置されることとなった。

羊水を吸引しても、体をさすっても呼吸が安定しない・・・。
先生や助産師たちが診察し、騒ぎ始めた。
「口の中のMって形が変だ。顎も小さいような気がする。おでこが出てるのも気になるなぁ。目も離れてる・・・胸も膨らんでいる」
と先生が日向を見ながらいろいろ呟いている。

ママは、
『赤ちゃんはみんな、生まれた瞬間に「おぎゃー」って泣くもんだ』
と決めつけていたから、あまりにも弱々しく泣き始めた日向を見ても、
まだ母親になった実感が湧かなかった。

ただ、『とにかく日向に触りたい』とだけ思って、助産師さんにお願いした。
「赤ちゃんの手、触ってもいいですか?」
「じゃ、手を消毒してからね」
助産師さんがそういうと、ママに液体の消毒薬を渡して手にふりかけてくれた。
ママは、この時ちょっと悲しかった。
消毒しなくちゃ、自分の子供に触れないんだ・・・って。


そして、先生から
「酸素を投与していないと体内の酸素濃度が下がってしまって呼吸が安定しない。
だから念のため、大きな病院の小児科に診てもらいます。救急車で搬送するから」
と説明を受けた。
その後のことは良く覚えていないんだ、ママ・・・。

どうやって自分が病室に運ばれたのか。
どうやってベットに移されたのか・・・。

とにかく、日向が救急車に乗る前に一瞬だけ、日向を抱かせてもらった。
ママの腕に抱かれた瞬間、チアノーゼが出て苦しそうに呼吸する日向・・・。

「もういいです、もういいです。早く酸素をあげてください」

日向は私の腕から、救急車に乗せるための保育器に移された。
そうして、日向はゆうちゃんの付き添いの元、救急車で別の病院に搬送された。

はじめ、「パパには連絡しないでくれ」と言った。
「パパは今、大事な仕事中だから、一人で大丈夫だから・・・」
でも、ゆうちゃんに説得され、結局連絡してもらった。

パパは、急遽仕事をキャンセルして、飛んできてくれた。
パパは本当なら、高速で5時間はかかるだろう道のりを相当速度違反して、車を飛ばしてきたのだろう・・・。
目を少し赤くしながら
「ごめんね、一緒にいてやれなくて、本当にごめんね」
と、ママを抱きしめた。

それまで、ママのことを気遣って、ようちゃんがずっとそばにいてくれた。
だから気も紛れたし、寂しくなかった。
でも、パパの顔を見たら、ママは堪えていた涙が一気に溢れ出した。

やっぱり、日向はここにいないんだ・・・
初めてそう実感した。



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