日向ぼっこ大好き

日向ぼっこ大好き

分娩台の上で

分娩台の上で






痛さからようやく逃れ、ほっとしたのも束の間
産声を上げなかった日向。

日向だけが救急車で搬送され、産んだ我が子のぬくもりすら感じることのできなかった私
一気に押し寄せる不安と疲労の中、分娩台の上で一人考えたこと・・・

それは、自分と主人との将来のことだった。
日向の将来のこと。そんなの考えられなかった。
「五体不満足」の著者、乙武くんの母親は彼を産んだ瞬間
「わぁ、かわいい!。」
と叫んだと言う。
しかし私はそんなにできた人間じゃない。

自分達のこれからはどうなるのだろう。
今まで幸せで二人仲良くやってきたのに、これからどれだけ制約されるの?
これから私たちは、この子供のために自分の人生を捧げ
自分達の夢や希望を捨てなければダメなんだ。
こんなに節制して、努力して妊娠中に頑張ったのに
今までだってまじめに生きてきたのに
お腹に命が芽生えたと知ったときから、あんなに楽しみにしていたのに
一度も下ろそうなんて思わなかったのに
私が何を悪い事したって言うの?
神様は何でこんな罰、私に与えるの?

でも、こんな気持ちを口に出したら終わりだと思った。
だから、誰にも自分気持ちは話さなかった。

本当は、こう思ってしまったんだ・・・。
「産まなきゃよかった」って。


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