★サンチャゴ巡礼日記

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2003年09月21日
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カテゴリ: サンチャゴ巡礼2003
なにから書いたらいいいのだろう?と思っているうちにまる一日たってしまいました。きょうはいまだに記憶が生々しい最後の一日に考えたことを書いてみます。

●9月17日(水) マンシラ⇒レオン 18キロ

最終日は歩く距離が短く、午前8時すぎには「レオンまで8km」という標識がある地点に到着しました。

あと8km。出発地点からそれまで170km近くはひたすら先を急いでいました。それが残り8kmになって初めて、ゆっくり味わって歩こうという気持ちになったのです。あと2時間。それしか歩く時間は残されていません。

いま歩いている道が、まわりの風景が、そして歩いている自分が、急にいとおしくなってきました。それまでずっと前しか見ていなかったのに、いまは周囲をゆっくりとながめ、ときには振り返り、ベンチがあったら座って休む余裕があります。これで終わりだと思うと大した景色でないことなど気になりません。電柱だって車の行きかう道路だっていとおしいのです。

残り少ないことがわかって初めて、いま歩いている道がいとおしくなり、じっくり味わいたくなる。それは巡礼も人生も同じではないかと思いました。目的地をめざしてまっしぐらになっているうちはプロセスを楽しむことができなかったのです。最後の8kmでそれに気づきました。

ブルゴスから1週間かけて歩いてきた道のりを思いました。最初からずっと同じペースで歩き、ことあるごとに出会う人がいます。いつの間にか見かけなくなった人がいます。最近よく見る人がいます。しょっちゅう会うけれど話したことはない人もいれば、一瞬の出会いのひとことでつよく印象に残る人がいます。これもまた人生と同じではないかと思いました。

歩くペースも一人ひとり違っていいのです。2日前の夜、フランス、カナダ、ドイツの巡礼者といっしょに食事をしました。そのとき「サンチャゴまで何日で歩くのか?」とみんなに聞いてみたのです。そしたら「そりゃ人によって違うよ」と口々にいわれました。

ポーランド系ドイツ人のマイケルさんがいいました。「スピリットのためにはゆっくり歩くほうがいいんだよ」。そのとき「いいこというなあ」と思ったのですが、そのことばを自分のこととして実感できたのは残りが8キロになったあの時点からかもしれません。






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最終更新日  2012年03月10日 18時35分24秒
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