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眼鏡の弦を咥えるのは勝手である
それを見た私が、
「こ~の野郎、どの外タレの猿真似だ!」 と
罵倒し、 『あ、何だか癖になっちゃって・・・あは、あはは』 と
誤魔化す野郎に 「ポーズつけてんじゃね~よ!」 と
冷静に非難するのも 勝手である。
みかんの父さん に頂いた折詰め弁当の存在が
安心感を生み、 空腹も忘れさせていた。
食堂を探す必要もない。 どちらにしても、
街道沿いに店を開けている食堂の姿など
見当たらぬ。 あっても酒場の 赤提灯 。
小1時間かからぬ内に、
国道11号線に辿り着いた。
時刻は8時 を廻っていた。
後はひたすらこの道を辿れば、
郷里の阿波 が待ち受けてくれるだけだ。
『路頭に迷い、 男前 の行き倒れが発見された』 と
愛媛リビング新聞 の記事に載ることもない。
『所持金1600円の癖に 男前 の行き倒れ』 などと
テレビ愛媛 で放映されることもない。
記事を読んだり、視たりした 愛媛県民 に ぷっ と
みかんの汁と種 を鼻から噴出されたくない。
もう迷うことは無くなったのだ。
その思いに、伊予山中で猟師に鉄砲で
撃たれたやも知れぬ 首領様にしの君 の安否など
消し飛んでしまった。
( 狸汁 は美味いんやろか
・・・でもちょっと アイツ 臭そうやで・・ ・)
地図 は 首領様 が持っているという弱点は完全に
解消されたのだ。
街道に時折行き交う車の音も絶えてしまえば
耳に届くは、 ぐぇ~、ぐぇ~、げこげこげこ
ポッポロピ~、シュクシュクト~ゼンショシマスゥ~
と人類言語にはほど遠い 野生の饗宴 。
視界に入るのは色を消した左右の田畑と、
奥まって黒々と朧な輪郭を描く山並み。
街頭の灯りは頼り無げに、灯りの届かぬ場所の
漆黒を際立たせるだけである。
街道から細い畦道で自宅へ続く農家も
周囲を防風林に囲まれ、密かな人の気配が
洩れる灯りの中に揺れて、団欒を囲むか
娯楽に興じるか、はたまた夜鍋仕事に
勤しむか、畦道の途中で暖か味は消え去る。
そんな農家の佇まいを横目に、
『も~う、いいでしょう』 (3回目)と 東野栄治郎 が
白いヤギひげをしごきながら、耳元で囁く。
『ほら、そろそろ例のもの、あれですよ、あれ』
走ることに夢中で、折角頂いた弁当を
有難い、有難い と思うばかりで、食べることを
失念していた。走れるだけ走り、テントを張って
その中でゆっくり食べようと決めていた。
道路の傾斜を足に感じるようになった。
そして、ぼんやりと見える道筋の先は
井戸の奥底に見出だすような、 未知の闇に
吸い込まれていくばかりであった。
国道もまた幅員を狭め、この先を進まば、
地獄の鬼 か、 白髪を振り乱した 人食い婆 が
夜中に包丁を研ぎ始めるぞと
私を脅かし始めるのだ。
安達太良山の山姥 ではあるまいが、
峠の上りは 鬼が潜む。
闇夜に出てきて、通りかかる人を喰う。
恐るに足りない。力技では私の勝ちだ。
相手は婦女子で、しかも老婆ではないか。
なに、私はと言えば、そんな物の怪に一切の怖れを
持たぬ、凛々しく、あまり非常時に役には立たない 男前 で
ある以上、 闇に潜む原始への恐怖 などは、女子や子供の
恐れるものであり、 ポパイの様な上腕二等筋を 持つ私 は
何でも来いの逞しいお兄さんであった。
スーダラ節の歌詞 をば
正確に思い出す作業に集中し、
力を込めて明るく口ずさむ私に
怖れの気持ちなど微塵もなかった。
しかし、しかしだ。 怖れはなくとも、
弁当は有難く頂かなくてはいけない。
もう夜も9時じゃあないか。
食わねば!食わねばなんめ。ははは、食わなければ・・・
見えない道筋の先を見てもしようがない。
前を見ない様に、そしていそいそと左右に目を配り、
焦って野営地を探したのだ。
その決心は簡単に報われた。
しつこい男なので、まだ2回位書き足せそうだ。
余分な話に逸れていくのを、意識的にやって
いるような気もする。
これで完結なのに、生臭さ記事が多過ぎて… 2009.04.19 コメント(13)
酩酊し、泥酔し、漂泊する政治 2009.03.15 コメント(16)
それでも私は帰ってくるのよ 2009.02.10 コメント(14)