絵を描こう!!書も持って外に出よう

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2007.11.11
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 声聞きて  誰かとぞおもふ  草を枕に

 【解説】 草を枕の野宿旅にあっては、葉叢の音が人声になり
      木立のそよぎが、古の落ち武者の無念のざわめきとなる。
      「そ、そこに居るのは誰や、誰かおるんか~、こら!」と
      大声で、誰何する語尾も震えがちになるものである。

満たされた食欲で、活発になった 二酸化炭素の生成と 汗の臭い。

これが呼び込むものは、黒白まだらの藪蚊である。

シラス を摘み出す作業に専念しているのをいいことに、

よしお のように、 ウィ~ン と近寄って来ては飛び去る様子が

不愉快な羽音の高さで認識できる。  これでもかとからかうように 耳元を飛び交っては、

テント内で、右から来て左に去り、 顔や四肢の何れかで停止し、 羽音もピタリと止まる。 

止まった場所でこそこそと 這い回っては、 『あ、ここ吸い易そうやん』 、とか、

『こいつ、筋肉締まってっけど、ここだけは鍛えることはできんしな』

と勝手な言い草をホザきながら、短パンの奥へ散歩を始める。

いきなりだが、 間寛平氏 は、 土佐宿毛 (すくも)出身である。

縮毛 ではない。 宿毛 だ。  同じ四国内だからといって、

『血ぃ吸うたろか~』  と鼻から喉に抜ける声を出して

私の股間の柔肌を狙う非道振りを許せる筈はないが、

間寛平氏 は失礼ながら オス ではないか。

オスの蚊は刺さず、草花の甘い蜜を主食にするという習性に、
何故か、

他人ではないという友達意識まで、 この昆虫の オス には感じてしまうのだ。

しかしだ、しかし、その メス は人間の血を吸う。こいつがぁあ、こいつがあ・・・

このメス 蚊が~

私の柔肌 に複雑怪奇な形状の口吻を突き刺し、

自分の唾液を 私の静脈 に注入した代わりに

私の血液 の吸うmgを盗人してけつかると思うと、

も~う許せなかった。  いくら 異性 とは言え、許せなかった。

例え、 阿波のなおみちゃん の前でもデレデレせず、

常に礼儀正しい毅然とした姿勢を崩さなかった私が

蚊の の前で、しかも私の血を吸おうとする メス蚊 対し

淡い恋心 を抱く筈もなく、 血まみれの復讐 を誓い、

殺気を孕む眼差しで 睨めつけたのだ。 

血を吸われたあと赤くはれて痒くなるのは、この メス蚊 唾液が、

私の肌にアレルギー反応を起こさしめるためだ。

明日の走行時に、人の目を忍びながら 股間を掻き毟る私 居ていい筈がない。

そんな不条理があってはいけない。 股間が腫上がっても、 張し てはいけない。

にもってするには、 キンチョー 以外にない。

手早く  蚊取り線香安全皿キット KS-1タイプ

バカボン の頬っぺにあるような 渦巻き型カートリッジ線香 装着した。

深緑色 鳴門の渦巻き が如何にも除虫菊は強いぞと

主張するかのように、とぐろを巻いていた。

とぐろを巻いているのが、 茶色 でないのがさいわいだ。

ペラペラ幕体とはいえ、外界と遮断されたテントの中で

耳を澄まして、メス蚊の阿鼻叫喚振りを聞く私は笑った。

「フェッヘっへェ~、ヘッヘェ~っだ。」

よしお のようにクールに笑った。  顔の下からは懐中電灯の電池も乏しい薄灯り。

蚊の不愉快な安眠妨害を怖れる必要は無くたった。

今の私を何者が怖れさせることが出来ようか。


少し開けたままのフラップの中に、 農家の灯り が今なお 見てとれる。

かと言って、まだまだ灯りが消えては困る。 何故かと問われても、それは言う気はない。 

個人情報でもあるからだ。

しかし、尿意の我慢も限界に来ていた。 中で解き放つ訳にはいかない。

「テントの中でしょん○んしておいたけんの」 大笑い

と笑いながら、 唇のぶ厚い渡辺君 に返却できるわけが ない。

農家の覚束ない灯りにだけ目をやり、

いきなりの化け物の出現にも 接して 、決して、漏らさず、 驚かず、

毅然とした対応をしようと決心したのだ。

そのために、落着いて述べるセリフも
しっかりしたものでなくてはならない。

「あ~、私は魚を食わないので、私を食っても

おいしくないですよ。 も~、肉臭くって・・・」

「わたしは、あなたに何の悪意もありません、

むしろあなたが好きです。あなたが、好きでぇーっつ

目を見て下さい  この私の目を、どーです、きれいな目でしょ。」

そして、肉体の水分に栄養を加味した上で、
土壌に還元する最中に、

いきなり後ろから抱き付く化け物に対しては、 尻から一発 大音声のてんしき攻撃 をすれば、

絶対化け物も笑い出すのではないかと考えるに至っては、 私自身一人笑いをしてしまい、

その笑いが残っている間に さっさと、自然の営みをしてしまおうと、 勢いをつけてテントを出た。

足早にテントの反対側に向い、 手早く剥き身を露出して、闇に潜む化け物目掛けて

「喰らえ!」 とばかりに3mの銀の弧を描きだしたのだ。

絞り切り、フンフンと二拍子で振り切ると仕事もほぼ完了。

臍下丹田 に力を入れて、何時でも てんしき弾 を放てる体制で

安全な我が家に戻った。  手を洗うことなど一切頭から締め出していた。

相変わらずフラップに隙間を開けたままにして、 KS-1タイプ を頭元にセットした。

そして 化け物にてんしき攻撃 という究極のシチュエーションを

思い出ながら、無理やり笑おうと集中することが 効果があったのか、

ぼんやり とした農家の灯りが消える前に、 眠りに落ちることができたのは、

さいわいであった。 恐怖に打ち勝った若き日の私だ。

蚊取り線香で1日分稼いだ。






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Last updated  2007.11.12 05:13:50
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